ホセ・クーラは多忙な中でも、アーティストの社会的責任として、可能な限りチャリティー活動に取り組んでいます。
2011年フランスのナンシーで行われた東日本大震災復興支援のコンサートへの出演や、プラハで行ったユニセフのためのコンサートなどのような単発の取り組みとともに、ハンガリーの障がい者の就労支援の財団との関係のように、継続的に支え、繰り返しコンサートに出演するなどの活動も行っています。
→ クーラのチャリティー活動に関する記事のまとめ
今回紹介するのは、クーラが住むスペインのお隣の国、ポルトガルの、白血病予防と治療、患者支援を目的とする協会(APCL)によるドナーバンクの創設等のための取り組みです。クーラは創設時からの理事となり、募金のためのコンサートに2002年から2009年までの間に4回参加しています。
そのなかから、TV放送され、動画がアップされている2009年のコンサートの様子を紹介します。
ポルトガルの首都、リスボンにある巨大なアトランティコ・パビリオンで開催されたこの支援コンサート。クーラをメインにして、その他にポルトガルの有名なアーテイストが多数、出演しました。3時間近いコンサートで、前後半に分けて、多彩なプログラムが披露される間に、受付センターで募金を受け付け、その総額が、リアルタイムで画面右上に表示されるようになっていました。
クーラが参加した4回のなかには、クーラがオペラアリアをメインを歌ったり、指揮をしたりする回もあったようです。そして毎回、クーラがポルトガルのアーティストと、その人の持ち歌を一緒に歌うというのが後半のクライマックスとなっているようです。
2009年のコンサートから、クーラが出演している部分の動画と画像を紹介したいと思います。
July 2, 2009
Charity Concert for APCL
José Cura
Mariza
Camané
Rui Veloso
Pedro Caldeira Cabral
Luís Represas
Orquestra Sinfónica Portuguesa
Coro Lisboa Cantat
Los Calchakis
≪募金を受け付けるセンター≫
募金方法は電話やネットの両方でしょうか。大勢の人が受付センターに待機し、募金を受け付け、集計しているようです。
≪巨大な会場アトランティコ・パビリオン≫
巨大な会場、たくさんの参加者でいっぱいです。コンサートの観客は、事前に募金をすることでチケットが受け取れる仕組みのようです。
≪コンサート前半の様子≫
●コンサートの始まり~クーラのアカペラから
コンサートは、クーラが登場しながらアカペラで歌う霊歌(スピリチュアル)で始まり、そこにオーケストラの伴奏が入ると、アルゼンチンのカルロス・グアスタビーノ作曲「アネーロ(切望)」に美しくつながっていきます。
Jose Cura "Espiritural"... Gustavino "Anhelo"
●進行役の女性とともに
●サントゥッツアの祈り
次は、珍しいことに、クーラがメゾソプラノの歌を歌いました。クーラが何度も歌ってきたオペラ「カヴァレリア・ルスティカーナ」から、サントゥッツァが歌う「賛えて歌おう」。
Jose Cura " inneggiamo, il signor non è morto" Cavalleria Rusticana
●アルゼンチンのクリスマス
ポルトガルのアーティストが何組か登場した後、前半の最後に、クーラとフォルクローレグループのロス・カルチャキスが登場し、ラミレス作曲「アルゼンチンのクリスマス」。もっと長い曲ですが、その一部分の動画です。
José Cura Los Calchakis Navidad Nuestra
≪コンサート後半から≫
後半も、ポルトガルのアーティストが登場した後、クーラが、それぞれのポルトガルアーティストと組んで、その人の持ち歌を歌いました。
●ファド歌手カマネと
ポルトガルの民族歌謡ファドの歌手カマネとクーラ。哀愁漂う独特のファドの曲調です。
José Cura and Camané "Danca de vokta"
●シンガーソングライター・ルイス・レプレサスと
ポルトガルのポピュラー音楽で大きな影響力をもち、国際的にも活動するルイス・レプレサスと。
José Cura and Luís Represas "Cuando me pierdo "
●ファドの女性歌手マリーザと
マリーザは、ポルトガルの国民的スターだそうです。独特の歌いまわし、迫力ある歌です。
José Cura and Mariza "Cavaleiro Monge"
●ルイ・ヴェロソと
ポルトガルの著名なロック、ブルースの歌手、ミュージシャンのルイ・ヴェロソと。
José Cura and Rui Veloso "Porto Côvo"
●“誰も寝てはならぬ”
クーラのコンサートではおなじみの、プッチーニのオペラ「トゥーランドット」から「誰も寝てはならぬ」。
アンコールの定番なので、これもアンコールとして歌われたのかもしれません。
José Cura "Nessun dorma" Turandot Puccini
●最後にイマジン
コンサートの最後は、全員が登場しての、イマジンの合唱。
José Cura and friends "Imagine"
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クーラがこのポルトガル白血病克服支援コンサートに出演するのは、2009年が4回目。それゆえ、ポルトガルのアーティストとも何回も共演しているらしく、とても親密な雰囲気のコンサートでした。
前半の冒頭からのクーラの歌は、コンサートの趣旨にふさわしく、病気の克服への祈りがこめられたような、しっとりとして、つよい願いと希望が感じられる曲、歌唱だったように思います。
後半のポルトガルのアーティストとの共演は、多彩な曲、歌唱スタイル、個性的な面々を相手に、ファド、ポップス、ブルースなど、相手の持ち歌を一緒に歌いあげました。オペラ歌手にとっては実はなかなか大変なことなのだと思います。
このように音楽のジャンルを超えて、多彩なアーティストと共演し、相手の土俵に入って一緒に音楽を楽しみ、観客も楽しませるというのは、とてもクーラらしいし、彼も大好きなのでしょう。
愛する音楽を通じて、友好と感動をひろげ、そのことで社会的に貢献する――クーラがアーティストとしての初心としてかかげていることでもあります。