人と、オペラと、芸術と ~ ホセ・クーラ情報を中心に by Ree2014

テノール・指揮者・作曲家・演出家として活動を広げるホセ・クーラの情報を収集中

2009年 ホセ・クーラ 白血病克服支援のチャリティーコンサート ポルトガル・リスボン

2019-03-23 | チャリティー活動




ホセ・クーラは多忙な中でも、アーティストの社会的責任として、可能な限りチャリティー活動に取り組んでいます。
2011年フランスのナンシーで行われた東日本大震災復興支援のコンサートへの出演や、プラハで行ったユニセフのためのコンサートなどのような単発の取り組みとともに、ハンガリーの障がい者の就労支援の財団との関係のように、継続的に支え、繰り返しコンサートに出演するなどの活動も行っています。
 → クーラのチャリティー活動に関する記事のまとめ

今回紹介するのは、クーラが住むスペインのお隣の国、ポルトガルの、白血病予防と治療、患者支援を目的とする協会(APCL)によるドナーバンクの創設等のための取り組みです。クーラは創設時からの理事となり、募金のためのコンサートに2002年から2009年までの間に4回参加しています。
そのなかから、TV放送され、動画がアップされている2009年のコンサートの様子を紹介します。

ポルトガルの首都、リスボンにある巨大なアトランティコ・パビリオンで開催されたこの支援コンサート。クーラをメインにして、その他にポルトガルの有名なアーテイストが多数、出演しました。3時間近いコンサートで、前後半に分けて、多彩なプログラムが披露される間に、受付センターで募金を受け付け、その総額が、リアルタイムで画面右上に表示されるようになっていました。

クーラが参加した4回のなかには、クーラがオペラアリアをメインを歌ったり、指揮をしたりする回もあったようです。そして毎回、クーラがポルトガルのアーティストと、その人の持ち歌を一緒に歌うというのが後半のクライマックスとなっているようです。

2009年のコンサートから、クーラが出演している部分の動画と画像を紹介したいと思います。





July 2, 2009
Charity Concert for APCL
José Cura
Mariza
Camané
Rui Veloso
Pedro Caldeira Cabral
Luís Represas
Orquestra Sinfónica Portuguesa
Coro Lisboa Cantat
Los Calchakis



≪募金を受け付けるセンター≫

募金方法は電話やネットの両方でしょうか。大勢の人が受付センターに待機し、募金を受け付け、集計しているようです。




≪巨大な会場アトランティコ・パビリオン≫

巨大な会場、たくさんの参加者でいっぱいです。コンサートの観客は、事前に募金をすることでチケットが受け取れる仕組みのようです。









≪コンサート前半の様子≫


●コンサートの始まり~クーラのアカペラから




コンサートは、クーラが登場しながらアカペラで歌う霊歌(スピリチュアル)で始まり、そこにオーケストラの伴奏が入ると、アルゼンチンのカルロス・グアスタビーノ作曲「アネーロ(切望)」に美しくつながっていきます。
Jose Cura "Espiritural"... Gustavino "Anhelo"




●進行役の女性とともに



●サントゥッツアの祈り

次は、珍しいことに、クーラがメゾソプラノの歌を歌いました。クーラが何度も歌ってきたオペラ「カヴァレリア・ルスティカーナ」から、サントゥッツァが歌う「賛えて歌おう」。
Jose Cura " inneggiamo, il signor non è morto" Cavalleria Rusticana




●アルゼンチンのクリスマス

ポルトガルのアーティストが何組か登場した後、前半の最後に、クーラとフォルクローレグループのロス・カルチャキスが登場し、ラミレス作曲「アルゼンチンのクリスマス」。もっと長い曲ですが、その一部分の動画です。
José Cura Los Calchakis Navidad Nuestra










≪コンサート後半から≫


後半も、ポルトガルのアーティストが登場した後、クーラが、それぞれのポルトガルアーティストと組んで、その人の持ち歌を歌いました。


●ファド歌手カマネと

ポルトガルの民族歌謡ファドの歌手カマネとクーラ。哀愁漂う独特のファドの曲調です。
José Cura and Camané "Danca de vokta"




●シンガーソングライター・ルイス・レプレサスと

ポルトガルのポピュラー音楽で大きな影響力をもち、国際的にも活動するルイス・レプレサスと。
José Cura and Luís Represas "Cuando me pierdo "




●ファドの女性歌手マリーザと

マリーザは、ポルトガルの国民的スターだそうです。独特の歌いまわし、迫力ある歌です。
José Cura and Mariza "Cavaleiro Monge"




●ルイ・ヴェロソと

ポルトガルの著名なロック、ブルースの歌手、ミュージシャンのルイ・ヴェロソと。

José Cura and Rui Veloso "Porto Côvo"




●“誰も寝てはならぬ”

クーラのコンサートではおなじみの、プッチーニのオペラ「トゥーランドット」から「誰も寝てはならぬ」。
アンコールの定番なので、これもアンコールとして歌われたのかもしれません。
José Cura "Nessun dorma" Turandot Puccini




●最後にイマジン

コンサートの最後は、全員が登場しての、イマジンの合唱。
José Cura and friends "Imagine"




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クーラがこのポルトガル白血病克服支援コンサートに出演するのは、2009年が4回目。それゆえ、ポルトガルのアーティストとも何回も共演しているらしく、とても親密な雰囲気のコンサートでした。

前半の冒頭からのクーラの歌は、コンサートの趣旨にふさわしく、病気の克服への祈りがこめられたような、しっとりとして、つよい願いと希望が感じられる曲、歌唱だったように思います。

後半のポルトガルのアーティストとの共演は、多彩な曲、歌唱スタイル、個性的な面々を相手に、ファド、ポップス、ブルースなど、相手の持ち歌を一緒に歌いあげました。オペラ歌手にとっては実はなかなか大変なことなのだと思います。

このように音楽のジャンルを超えて、多彩なアーティストと共演し、相手の土俵に入って一緒に音楽を楽しみ、観客も楽しませるというのは、とてもクーラらしいし、彼も大好きなのでしょう。
愛する音楽を通じて、友好と感動をひろげ、そのことで社会的に貢献する――クーラがアーティストとしての初心としてかかげていることでもあります。






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(告知編)2018年 「ホセ・クーラの音楽的世界」―ハンガリーでコンサート / The Musical Universe of José Cura in Hungary

2018-02-13 | チャリティー活動




少し前に公表された、ホセ・クーラの新しいスケジュールの1つを紹介します。「ホセ・クーラの音楽的世界」と銘打たれた、クーラの作曲作品だけを一挙3作上演する(!)コンサートです。
作曲者のクーラ自身が、2曲は指揮をし、1曲はテノールパートを歌います。(指揮しながらは歌いません)
日時は、2018年3月29日、場所はハンガリー・ブダペストのバルトーク国立コンサートホールです。
クーラが長年にわたり支援を続けている障碍者の就労支援のなどを行っているSalva Vita財団の創立25周年を記念した、チャリティーコンサートのようです。


少年の頃から自発的に作曲を始めていたというクーラ。作曲の先生について学ぶとともに、大学でも指揮と作曲を専攻しました。その後も本格的に作曲家、指揮者をめざして勉強を続けていました。クーラ自身が、なぜ作曲するのかについて語った言葉を以前のブログで紹介しています。
→ 「ホセ・クーラ 作曲は、やむにやまれぬもの」


クーラは今年2018年の前半、2月にモナコで自ら舞台デザイン、演出、主演をするブリテンのピーター・グライムズ(2/20~28)の再演(昨年ボンで初演)に取り組み、その後、3月は中東オマーンでオペラ道化師に出演(3/15,17)、その直後にプラハに戻り指揮者としてドビュッシーとラヴェルを演奏(3/21,22)します。そして今回のコンサートが3月29日です。
舞台デザインと演出、歌手、指揮者、作曲家と、この短い2か月の間においても、多面的で多彩な活動に精力的に取り組む予定です。
→ クーラ2018年カレンダー






"The Musical Universe of José Cura"
29 March 2018, Thursday 7:30 pm — 10 pm
Béla Bartók National Concert Hall

José Cura: Modus
José Cura: Magnificat
José Cura: Ecce homo

Conductor: José Cura, Mario De Rose
José Cura= tenor
Zita Váradi= soprano
Krisztina Simon= mezzo-soprano
István Horváth= tenor
Marcell Bakonyi= bass

Hungarian Radio Symphony Orchestra
Choir and Children's Choir (choir masters: Zoltán Pad, László Matos)

「ホセ・クーラの音楽的世界」
2018年3月29日 午後7時30分~10時
バルトーク国立コンサートホール ハンガリー・ブダペスト

ホセ・クーラ作曲
「Modus(モデュス)」
「マニフィカト」
「この人を見よ」

指揮者: ホセ・クーラ、マリオ・デ・ローズ
テノール: ホセ・クーラ その他出演者
合唱団、子ども合唱団
ハンガリー放送交響楽団 








今回演奏されるクーラ作曲の3曲について、初演された時の公演の様子やクーラのインタビューから、抜粋して紹介したいと思います。


●「Modus(モデュス)」

この曲は、2017年10月のプラハ交響楽団のコンサートのために作曲された、クーラの新作です。
以下、クーラのインタビューや記事から。


――プラハ響FBより

中世のプラハにインスパイアされた私は、10分のトラックに、10世紀のキリエに由来する、コーラスとオーケストラのためのモデュスを取り入れた。10月にプラハ交響楽団(FOK)とのコンサートで初演する予定だ。


FOK(プラハ響)という家族のレジデント・アーティストとして、毎年、私は自分の作品から1曲を初演してきた ―― 音楽劇『もし私が死んだら』(2015/16シーズン)、オラトリオ『Ecce homo(この人を見よ)』(2016/17シーズン)。
しかし、(これまでクーラが書き溜めてきた未発表の)『レクイエム(フォークランド戦争の被害者のためのミサ曲)』や、『The Montezuma y el Fraile pelirrojo』,『赤毛の兄弟』などは、このコンサートのためには大きすぎた。

今年、これまでの伝統を壊さないために、私はプラハの中世の雰囲気に触発された短い作品を書くことに決めた。
そこで、私は良いインスピレーションを探し始めた。私は10世紀のキリエからそれを見つけた。

私は2016年のクリスマスまで、一種の「グレゴリオ聖歌」である「Modus(モドゥス)」に取り組んだ。
その曲は常に同じモチーフの周りを回っている。徐々に多くのレイヤーをミュージカルトップに追加しながら発展し、そして同様にシンプルに終わる。






●「Magnificat(マニフィカト)」

マニフィカト=「わが心、主を崇め」とは、キリスト教の聖歌で、ラテン語で、聖母マリアの祈りだそうです。
初演は2014年4月、イタリアのベリーニ劇場でした。クーラはいくつかのインタビューで、このマニフィカト作曲に込められた思いを語っています。


――2015年ドイツ誌でのインタビューより

1988年にマニフィカトを作曲した。私の妻は、2回流産した後、3回目に妊娠した自分自身に気づいた。今回は明らかに確実に思われた。
長男が生まれた時、私は25歳だった。マニフィカト誕生と同時だった。
その3年後に、私たちは幸運を求めて、ヨーロッパに移住した。そして私の歌手としてのキャリアが始まった。当時の楽曲は、27年間、ボックスに仕舞い込まれていた。
私が思うこのマニフィカトは、聖母マリアの歓喜の歌であるだけでなく、夢でいっぱいの若者、そして彼女にいま起こっていることに直面して抱いている怖れの歌でもある。
1988年、テキストにこういう思いを込めて音楽をつけた。プレミア(2014年4月)は非常にうまくいった。私に信頼を寄せてくれたベリーニ劇場(初演の場となったイタリアの劇場)には本当に感謝している。


――2016年3月チェコでのインタビュー

当時、私は25歳だった。妻は2回の流産を経て3度目の妊娠をした。法王が聖母マリア年を宣言した年だった。
歌は私たちが子どもを得た喜び、そして聖母マリア出現への喜びを表現した。しかしそれだけではない。
マリアがその事を知った時、彼女はまだティーンエージャーだった。そして彼女は恐らく、かなりのショックを受けただろう。
私のマニフィカトでは、マリアが砂漠に1人で座っているところから始まる。作品のメッセージが表示される。

1人でいる場合には、人は何もできない。もし我々が団結せず、戦争、テロリズム、経済的道徳的危機を別のものに置き換えようとしない限り、我々は勝利することはできない。
これがマニフィカトに託した、私のメッセージだ。





2016年2月にプラハ交響楽団のコンサートで演奏した際のリハーサル映像。
Jose Cura Magnificat rehearsal news video



子どもの合唱団とのリハーサル
José Cura "Magnificat" composer and conductor





●「この人を見よ( Ecce homo)」

初演は2017年3月のプラハ交響楽団のコンサート。指揮はクーラの友人のマリオ・デ・ローズ、クーラは歌手として、キリストの役を歌いました。


――2017年3月、プラハでのラジオインタビューより

●子どもの痛み、母の痛みを描いたEcce Homo

私がプラハ交響楽団(FOK)のレジデント・アーティストとして持っている関係では、その合意の中でとりわけ、私が作曲した作品を毎年1つ、デビューさせることを含んでいる。昨年は「マニフィカト(Magnificat)」、今年は「この人を見よ(Ecce Homo)」で、それはより大きく、より重要な仕事だ。
Magnificatは長さが12から13分、一方、Ecce Homoはオラトリオで、まだ初演されていないが、予想される期間は、約35分から40分となるだろう。

この作品は私の好奇心から生まれた。時には私の周りの人々と、これらについて議論したことがある。私の妻、近所の司祭と一緒に...。それは神との関係における「人間」的な要素だ。
キリストの生涯と彼の最後の数時間において、いつも私の心に触れてきたことの1つであり、最も注目してきたのは、キリストの人間的次元だ。・・・

私の「Ecce Hom」に新しさがあるとしたら、それは神学的ではなく、音楽的に2つのテーマを挿入したこと。つまり、一方では子どもの痛み、もう一方は母親の痛みであり、それらを同じ作品にまとめたことだ。


――クーラのFBより、ECCE HOMOについて

●1989年に作曲して以降、しまい込まれていた


この作品を、1989年に、ブエノスアイレス出身のテノールの同僚のために書いた。
作品は、彼と私によって公開されることはなかった。若い、夢見る2人には、その実現に必要な要素を集めることはできず、プロジェクトを現実に変える力はなかった。

それから何年も経ち、私の芸術的キャリアはさまざまな方向に向かった。
Ecce Homoは、他の多くの作品と同じように、引き出しの後ろにしまい込まれたままだった。

●30年を経て、作品は成熟した

2016年に、私はそれを再発見し、喜びと誇りをもって、それを実現することができた。
それまでのすべての年月は、単にホコリを集めるために費やしたのではない。作品は成熟した。良いワインと同じように。

間違いなく、過去30年間、私が、人間としてアーティストとして、成熟するためにやらなければならなかったことが、1989年には考えられなかった裁量権を得て、このオラトリオを改訂することを可能にした。







クーラ自身が作曲について、作品について語った動画を。作曲家として、頭や心のなかで曲を想像していると、その曲をはじめて実際に聞いた時には、ショック、よい意味での(時には悪いことも)ショックを受けるということや、マーラーのように、繰り返し繰り返し、曲の修正をしたくなることなど、語っているようです。
José Cura about Ecce homo



こちらはオラトリオ「この人を見よ」を構成する1曲「スターバト・マーテル」の初演(先にこの曲だけ初演された)の様子を伝えた動画
JOSE CURA Stabat mater



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今回のコンサートが行われるのは、ハンガリーの首都ブダペストのバルトーク国立コンサートホールです。
比較的最近建てられた新しいホールで、“芸術の宮殿”と呼ばれている現代的な建築物です。

この間、チェコやハンガリーなど東欧の国々で、クーラの作曲作品の演奏の機会が比較的多くなっています。
昨年クーラは、自ら台本を書いたオペラも作曲し終えたそうです。旧作の初演、上演機会が増えてきたばかりか、新作、オペラの創作などの作曲家として本格的な活動を再開したクーラ。クーラの初オペラ作品が、こうした国々の劇場などで早期に上演機会が得られることを願っています。クーラの脚本、作曲、そして舞台デザイン、演出、主演の作品をぜひ上演してほしいものです。

















*画像は劇場HPなどからお借りしました
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2015年 ホセ・クーラ マドリッドで知的障害者のためのチャリティーコンサート / Jose Cura / Charity concert in Madrid

2016-08-25 | チャリティー活動



ホセ・クーラは、アーティストの社会的責任として、また、そもそもクーラのアーティストとしての原点である平和と社会正義の実現のために、各国で、可能な限り、さまざまな形のチャリティーコンサートに参加しています。
フランスのナンシーで行われた2011年日本の東日本大震災支援のコンサートについては、以前、紹介しました。
 * → 「2011年 フランス・ナンシーで東日本大震災チャリティーコンサートに出演」

東日本大震災支援のような突発的、緊急的な取り組みのほかにも、白血病克服のためのドナーバンクの創設を目的としたポルトガルの取り組みでは、創設時からの理事となり、またハンガリーの障害者の就労支援のための基金には、定期的に訪問して支援のコンサートを行うなど、継続してとりくんでいます。

こうした活動の一環として、今回は、2015年4月9日に開催された、マドリッドでのチャリティー・コンサートを紹介します。
知的障害者の支援を目的としたProdis財団の15周年にあたって、クーラと長い付き合いのあるバリトンのルッジェーロ・ライモンディが、財団支援のために開催する7回目のコンサートで、ライモンディは、自身も障害のある子どもをもち、系統的に支援を続けているそうです。ライモンディの要請を受けて、クーラもはじめて参加しました。

コンサートは、ホセ・クーラが歌う、オペラ道化師のバリトンのプロローグ“Si può?…”から始まったようです。
他のソリストの歌をはさんで、クーラは、プッチーニのトスカから「星は光りぬ」や、アルゼンチンの愛国歌「アウローラ」の「旗の歌」やアルゼンチンの歌などを歌ったらしいのですが、残念ながら、録音も動画もありません。

参加者: José Cura, Rosa Torres-Pardo, Sabina Puértolas, Marina Pardo, Ruggero Raimondi

ポスター


クーラは、コンサートに参加した思いを、フェイスブックに記しています。いくつかの写真とともに、紹介したいと思います。

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●小さなピエロとともに

私は、とても感動的な瞬間の素敵な思い出を共有したい。
それはProdisのためのコンサートで、道化師のプロローグ“Si può?…”を歌った時のことだった。

私はいつも、一番近い席に子どもがいるとき、その子の手を取って、歩きながらと手をつないで歌うことがよくある。今回は、アナのチャンスだった。
アナは21歳。ダウン症をもっているが、私がこれまで一緒に歩いたなかでも、とても賢い女の子だった。

こういう場合、通常、子どもたちは、とても固くなったままだけれど、それどころか、アナは、私と一緒に歩きながら、無意識のうちに、「小さなピエロ」の役を演じてくれた。




私は、歌うあいだ、彼女を見ながら、魂の安らぎを感じた。それとともに、危険も感じた。
アナの無邪気さに、私は、深く心を動かされたので、歌いながら、感情のあまり窒息しないように、集中しなければならなかったからだ。

歌い終わって、私は安堵した。私だけではなかった。会場のなかの、ほぼ全員が泣いていた。
ありがとうアナ。
そしてみんな、財団の素晴らしい子どもたち、ありがとう。


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クーラは、以前、インタビューなどで、「自分はすぐ泣いてしまう」と言っていたことがありますが、今回もそうだったようですね(笑) 
一見、強面で、頑固、納得いかないこととは、とことんたたかいますが、その内面は、情熱的で熱く、ヒューマンな人であることがわかるエピソードだと思います。

 → 財団のHPのコンサートの記事



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2011年 フランス・ナンシーで東日本大震災チャリティーコンサートに出演 / Jose Cura / Concert solidarité Japon 2011

2016-08-06 | チャリティー活動


ホセ・クーラは、社会に対する関心を常に持ち続け、積極的に発言をするとともに、オペラなど芸術を現実社会に近づける努力をしています。また、さまざまなチャリティー活動にも熱心にとりくんでいます。

日本ではほとんど報道されませんでしたが、ホセ・クーラは、2011年9月4日、フランスのナンシーにあるロレーヌ国立歌劇場で開かれた、東日本大震災支援のチャリティ・コンサートに出演しました。

クーラは、ロレーヌ国立歌劇場で2007年から2010年にかけてマスター・クラスを担当するなど、劇場と関係が深く、このチャリティ・コンサートには、クーラとともに、マスタークラスの教え子たちも多数参加しています。
このコンサートの収益は、すべて日本赤十字に寄付されたそうです。

また日本人歌手として、世界各地で活躍されているソプラノの大村博美さんが参加され、クーラと蝶々夫人の二重唱を歌いました。
大村さんは、HPで、次のように感想を書かれていました。 → 大村さんのHP

「ホセ・クーラも気さくな人柄で、彼の熱い気質があふれた情熱的なうたを披露してくれました。 最後に歌った アンコールの “誰も寝てはならぬ” では自分のマスタークラスの弟子である若いテノールたちとうた合戦のように一緒にうたいあいっこを披露してくれ、次の世代を育てたいという彼の思いの感じられるいい舞台になりました。
私はオテッロより “柳の歌~アヴェマリア” を祈りをこめて歌い、蝶々夫人より ピンカートンとの二重唱 ( ホセ・クーラと)や 花の二重唱 などを蝶々さんの舞台でやるように演技をつけて歌いました。終演後、涙で目を真っ赤にしたお客様がたが楽屋に訪ねてきて下さって、感激しました。
今回のコンサートの収益はすべて日本赤十字に寄付されました。復興への祈りを込めて!!」


大村さんの誠実な人柄とともに、クーラの熱意とフランクな人柄が伝わります。

今回は、劇場のHPなどにアップされた画像を紹介するとともに、YouTubeから、コンサートの様子を一部紹介したいと思います。画質音質が良くないのが残念です。
 → 仏ロレーヌ国立歌劇場のHP

コンサートのポスター“コンサート「親愛なる日本 」”
大村さんとクーラの名前が大きくのっています。


大村博美さんとホセ・クーラ




大村博美さんとホセ・クーラ、プッチーニの蝶々夫人より、二重唱
Puccini Madame Butterfly duo final acte I :"Bimba dagli occhi ... " José Cura Hiromi Omura


大勢の出席者と共に


ホセ・クーラ、デュエットのようですが、曲目はわかりません。


ホセ・クーラ、コンサートのアンコール定番、プッチーニのトゥーランドットから「誰も寝てはならぬ」
Puccini Turandot "Nessun dorma" José Cura


こちらはコンサートの様子を報じたフランスの新聞報道、劇場HPよりその一部を






震災から5年以上たちますが、被災地のくらしと営業の再建はまだまだすすんでいないといわれています。こうした取り組みをなんらかの形で継続的に生かしていけないだろうかと思います。

大村博美さんとホセ・クーラ、コンサート終了後の写真のようです。(大村さんのHPより


*画像は、劇場のHPなどからお借りしました。
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