(再告知)2018年 ホセ・クーラ、ボロディナとマリインスキーでサムソンとデリラ / Samson et Dalila / Jose Cura & Olga Borodina in Mariinsky
先日告知した、5月5日、マリインスキー劇場でのクーラとボロディナのカルメンですが、なんと、昨夜、劇場HPを見たところ、演目がサン=サーンスのサムソンとデリラになっていました!
公演10日前の急な変更で、しかも何の理由も説明もHPにはありません。こういう演目変更はよくあることなのか、どうか、そのあたりの事情もわかりません。びっくりしました。
ただ、クーラとボロディナは、カルメンの告知記事にも紹介した通り、サムソンでは何度も共演しており、またCDも録音しています。その点では息もぴったりで、変わらず素晴らしいコンサートになるだろうと思います。クーラの久しぶりのカルメンのドン・ジョゼを期待していた私としては、少々、複雑な思いはありますが・・。
主役サムソンがクーラ、デリラは、ロシアのベテランのメゾソプラノ、オルガ・ボロディナ。
今回の公演は、サンクトペテルブルク出身でもあるボロディナのデビュー30年記念をうたっています。
指揮は、フランス出身のエマニュエル・ヴィヨームです。
1日だけの公演で、セミ・ステージ形式というのは変わりません。
チケットはだいぶ少なくなりましたが、まだ平土間席の後方やボックス席2列目以降に残席があります。
1階席で日本円で約8千~1万円、上階の席では4千~6千円、最上階が千円です。
→ チケット購入
日本からロシアに行く場合は、ビザの手配が必要なため、残念ながらこれから行くのは難しいですが、連休にサンクトペテルブルク旅行をご予定の方には、ぜひおすすめです!
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2004年、シカゴでサムソンとデリラに出演したクーラとボロディナ
以下、カルメンとして発表された時の公演告知を若干組み替えて再掲します。
≪ボロディナとクーラのサムソンとデリラ≫
ボロディナとクーラは、それぞれの長いキャリアのなかで、何度か共演しています。サムソンとデリラは共演が多い作品で、全曲盤CDもリリースしています。
C・デイヴィスが指揮、ロンドン交響楽団による1998年収録。とても評価の高い録音です。
こちらはこのCD↑の録音風景の動画。2人の声がとても艶めかしく美しいです。
Saint-Saëns: Samson et Dalila (Olga Borodina with José Cura)
≪ボロディナとクーラ、96年に一緒にカルメンデビュー≫
ボロディナとクーラは、1996年にサンフランシスコオペラで2人そろってカルメンでロールデビューをしているようです。
(それ以前にクーラは、ダイジェスト版をコンサート形式で歌ったことや、初期の頃に脇役でオペラ出演したことはあるようですが、本格的なオペラでドン・ジョゼは初)
その1996年のサンフランシスコオペラのプレス資料から写真をお借りしました。
若いです!22年前で、クーラは34歳になる少し前、ボロディナも33歳、声も舞台姿もフレッシュで、さぞ魅力的なパフォーマンスだっただろうと思います。残念ながら録音や録画は見当たりません。
本当にういういしいクーラのドン・ジョゼ、現在のマッチョな演技、解釈とはだいぶ違う印象です。
≪ホセ・クーラとサンクトぺテルブルク≫
実はクーラは、今回が、念願のロシアでのオペラデビューです。
これまで、モスクワのクレムリン宮殿やボリショイ劇場、サンクトペテルブルクなど、ロシアで何度もコンサートには出演してきたのですが、オペラ公演は一度も機会がありませんでした。
昨年、サンクトペテルブルクでオネーギン賞特別賞を受け、同じサンクトペテルブルクにあるアレクサンドリンスキー劇場で授与式に出席したのですが、その時のインタビューで、ぜひここでオペラを歌いたいと語っていました。それで急きょ、話がまとまったのかもしれません。
2017年10月、サンクトペテルブルクのアレクサンドリンスキー劇場でオネーギン賞の授与式に出席
マリインスキー劇場は、今さら私が説明することもなく、バレエとオペラで世界的に有名な、長い歴史と伝統を持つ劇場で、現在はヴァレリー・ゲルギエフが総裁を務めています。
劇場サイトを見て驚いたのですが、シーズン中はほぼ毎日、3、4公演、多い日では9公演もの、バレエ、オペラ、クラシックとそれ以外のジャンルのコンサート、リサイタル、その他各種イベントが開かれているのです。
歴史的建造物のマリインスキー劇場に加え、2007年オープンのコンサートホール、さらに2013年には最新設備の新館マリインスキーⅡもオープン。この新館は複合施設で、ムソログスキー、ストラヴィンスキー、プロコフィエフ、シチェドリンというロシアが誇る大作曲家の名前がついた小規模なホールも整備されています。圧倒される規模と内容です。そしてマリインスキー劇場管弦楽団があり、専属の研修所であるマリインスキー劇場アカデミーが付属しています。
しかもサンクトペテルブルクにある劇場はこのマリインスキーだけではありません。エルミタージュ劇場、ミハイロフスキー劇場、前述のアレクサンドリンスキー劇場などなど、多くの劇場があります。もちろん首都モスクワにもボリショイ劇場をはじめとする数々の劇場があり、さすがバレエ、クラシック大国、なるほど芸術大国ロシアですね。
またサンクトペテルブルクは、世界史的にも何度も激動の舞台となった地です。帝政ロシアの首都として栄え、その後、ロシア革命の中心地となり、第2次世界大戦ではナチスドイツ軍によって900日間包囲されて70万人とも100万人ともいわれる犠牲者を出しながら耐え抜いたといいます。爆撃・砲撃により壊滅的になった市街は、戦後、復旧されて現在では美しい歴史的な街並みが残されているということです。ぜひ私も訪れてみたいと思います。
こちらは劇場サイトに掲載されている内部の様子。画像をクリックするとリンク先で360°劇場内を見ることができます。
同じく劇場サイト掲載の外観。
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昨年のインタビューでも、サンクトペテルブルクの印象を問われて、「すべてにおいて、文化、演劇、音楽が息づいている」と答えたクーラ。
この歴史と芸術の街での念願のクーラの初オペラ。ロシアでの初のオペラ出演でもあります。
コンサート形式だそうですが、ベテランの主役2人が、息の合った円熟の歌唱、演技もたっぷりつけて歌ってくれることと思います。
ロシアとEUは、このところ厳しい外交関係にあることが報道されています。懸念材料もありますが、舞台が無事に幕を開け、成功し、そして次のロシアでのオペラ出演につながることを願っています。
クーラのうたう「花の歌」を。2009年ウィーンの舞台から、カルメンはカサロヴァ。
Vesselina Kasarova, Jose Cura Carmen Act 2 Duo & "La fleur que tu m'avais jetée"
クーラのサムソンの動画を、クーラ演出・主演の2010年カールスルーエの舞台より
Samson et Dalila, con José Cura. Fragmento 11
Samson et Dalila, con José Cura. Fragmento 12
1996年サンフランシスコのカルメンより、クーラとボロディナ