●ジョルダーノは良い作曲家だが、天才ではなかった
アンドレア・シェニエのオペラ全体の中で、最も重要であり、キャラクターにとってのターニングポイントとなるフレーズの一つは、ぎこちなく音楽に埋もれたままになっている。
それは、“La eterna cortigiana curva la fronte al nuovo iddio”(同じ年老いた売春婦が新しい神にひざまずく)。群衆が新しい司令官に盲目的に熱狂している様をみながら、シェニエが言う言葉だ。
1997年、ウィーンでコレッリを囲むコンサートより。「5月の晴れた日のように」。熱く歌いあげている。今の成熟した声、表現とはまた違う若い魅力がある。
Jose Cura "Come un bel dì di maggio" Andrea Chénier
同じく、シェニエの辞世の句「5月の美しい日のように」、1999年パリ、コンサートのため、やや明るめの表現でドラマティックに盛り上げている。
Jose Cura 1999 "Come un bel dì di maggio" Andrea Chénier
アンドレア・シェニエから第2幕の二重唱「甘美な時よ、崇高な愛の時よ!」を。2001年ベルリンでのコンサートより(音声のみ)。録音良くないが美しい。
Jose Cura 2001 "Ora soave, sublime ora d'amore!" Andrea Chénier
一番最近のもので録音がある、同じく「5月の美しい日のように」の2013年ウィーン国立歌劇場。解釈を深め円熟した味わいのシェニエ。革命の激動に散った詩人の生への哀惜、誇りと諦観が切ない。
Jose Cura 2013 "Come un bel dì di maggio" Andrea Chénier
最後に、上にあげたものとダブりますが、クーラの「5月の美しい日のように」だけを年代別に1999、2001、2004、2013年と並べたマニアックな(笑)ものを。こうして聴くと、初期の若々しい声の魅力とともに、年を重ねるごとの解釈と表現の深まりが聴きとれるように思います。
José Cura Andrea Chénier "Come un bel dì di maggio" 1999~2013
Saturday, 23 April, 2016 - 19:00 Audi Arena, Gyor
Program: Verdi Otello
The stage version of the opera is performed on the 400th anniversary of playwright William Shakespeare’s death.
Győr Philharmonic Orchestra, conducted by José Cura
Featuring / Christian Juslin / Gabrielle Philiponet/ Piero Terranova / Zsófia Kálnay / Gergely Boncsér / Marcell Bakonyi
Hungarian National Choir
2016年4月15日に公開された記者会見の動画。残念ながらハンガリー語で字幕もないため、内容は聞き取れません。左側の女性は、デズデモナで出演するGabrielle Philiponet
José Cura Győrben rendezi az Otellot
同じく会見の動画、後半にクーラのインタビューと昨年のロスト・アンドレアとのコンサートの様子が少し見られます。
Újra Győrben vezényel José Cura
Gabrielle Philiponetとホセ・クーラがコンサートで歌ったオテロとデズデモーナの二重唱「もう夜もふけた」 2013年トルコ
G. VERDI / OTELLO "Già nella notte densa" José CURA & Gabrielle PHILIPONET, conductor Vladimir LUNGU
ヴェルディの「運命の力」より、第3幕ドン・アルヴァーロの「生きることは地獄だ、この不幸な者には…おお、あなたは天使の胸に抱かれ」。
この年、スカラ座にもアルヴァーロ役で出演しました。また今年2016年5月、ヴィースバーデン五月音楽祭で18年ぶりにアルヴァーロを歌います。
Jose Cura "La Vita E Inferno ~ O Tu Che In Sen" La Forza del Destino
ヴェルディの「エルナーニ」より、 第1幕「ありがとう、愛する友たちよ」
Jose Cura 1999 "Mercé, diletti amici" Verdi Ernani
ヴェルディ「ドン・カルロ」より、第1幕「彼女を失ってしまった」 ドン・カルロには何回も出演していますが、オペラ全曲は正規の録音も動画もありません。
Jose Cura 1999 "Io l'ho perduta" Don Carlo (Verdi )
レオンカヴァッロ「道化師」より、「衣装をつけろ」 カニオ役は「歌手として最後に歌うならこれ」というほど、クーラ自身も打ち込んでいる役です。
Jose Cura "Vesti la giubba" 1999 Pagliacci
プッチーニ「妖精ヴィッリ」より、 第2幕「ここがあの家 - 苦しい僕のこの思いを」 ヴィッリは1994年、クーラが初めて全曲ライブ録音した記念すべきオペラです。その後も06年にウィーンで、07年にジェノヴァで出演しました。
Jose Cura 1999 "Ecco la casa...Torna ai felici di" Le Villi
プッチーニ「エドガール」より、第2幕 「享楽の宴、ガラスのような目をしたキメラ」 めったに上演されないエドガールですが、さらにその4幕版の世界初演に主演しています。その時のことは別の投稿で紹介しています。
→「2008年 プッチーニのエドガール 4幕版 世界初演」
Jose Cura "Orgia, chimera dall`occhio vitreo" Edgar
プッチーニ「マノン・レスコー」より、第1幕デ・グリューの「見たこともない美人」 前年の1998年には、スカラ座でマノン・レスコーに出演しています(DVDもあり、リッカルド・ムーティ指揮、マノンはグレギーナ)。
Jose Cura "Donna non vidi mai " Manon Lescaut
プッチーニ「マノン・レスコー」より、第1幕デ・グリューの「美しい人たちの中で」
Jose Cura "Tra voi belle" Manon Lescaut
ポンキエッリの「ジョコンダ」より、「空と海」 1997年スカラ座デビューの時はこジョコンダのエンツォ役でした。どこまでも空につきぬけていくような歌声は、若い頃のクーラの魅力です。
Jose Cura 1999 "Cielo e mar" La Gioconda
プッチーニの「トスカ」より、第1幕の「妙なる調和」 カヴァラドッシ役はクーラがずっと歌い続けている役です。
最近の歌声は、別の投稿「2014年ハノーファーのトスカ」で紹介しています。
Jose Cura 1999 "Recondita armonia" Tosca
プッチーニ「西部の娘」より、「やがてくる自由の日」
別の投稿「ホセ・クーラ プッチーニの西部の娘」で、2008年ロンドンのロイヤルオペラでのラジオ放送の音声やクーラの楽曲解釈を紹介しています。
Jose Cura "Ch'ella mi creda" La Fanciulla del West
チレア「アドリアーナ・ルクヴルール」より、「私の心は疲れ」
Jose Cura "L’anima ho stanca” Adriana Lecouvreur
クーラの故郷、アルゼンチンの歌曲
Jose Cura Anhelo
ジョルダーノ「アンドレア・シェニエ」より、第4幕「五月の晴れた日のように」、処刑を前にしたシェニエの辞世の歌。2006年のボローニャ歌劇場来日公演でも出演、DVDもあります。
Jose Cura 1999 "Come un bel dì di maggio" Andrea Chénier
ASTOR PIAZZOLLA Tangazo, variace na Buenos Aires
ALBERTO GINASTERA Tance z Estancie op. 8a (ceska premiera)
MAURICE RAVEL Bolero
CARLOS GUASTAVINO Divky, c. 1 ze Tri argentinskych romanci
SILVESTRE REVUELTAS Noc Mayuu, hudba k filmu (ceska premiera)
このコンサートでは指揮だけですが、クーラは母国アルゼンチン音楽の紹介に非常に熱心で、世界各地で機会があればアルゼンチン歌曲のリサイタルをしたり、またオペラコンサートのアンコールで歌ったりもしています。
2010年 Jose Cura "Somos novios" & "Esta tarde vi llover"