Jose Cura FB cover photo
すでに2週間近くがたちましたが、脳腫瘍で闘病中だったバリトン歌手のホロストフスキーが2017年11月22日に亡くなりました。本当に残念なことでした。
同日、ホセ・クーラは、舞台で共演し仕事上の大切な友人であったホロストフスキーを悼んで、フェイスブックに上の画像をかかげるとともに、追悼のメッセージを掲載しました。
"Dear Dima, this is how we, who knew you, will always remember you: beautiful and smiling!" Jose Cura
「親愛なるディーマ、私たちはいつでもあなたの美しい笑顔を忘れない!」
****************************************************************************************************************************************
ホセ・クーラは、ディミトリー・ホロストフスキーと何回か共演していますが、実は2人は、同じ1962年生まれの同い年でした。
今年2017年に55歳(クーラは12月生まれ)になりました。以前の投稿で、生い立ちや2人の共演の舞台などについても紹介しています。
→ 「ホセ・クーラとディミトリー・ホロストフスキー」
ホロストフスキーは、バリトンとして充実期、これからまだまだ活躍するという時の病、そして執念の闘病・・。さまざまに報道されていますし、詳しくもない私がここに書くまでもありませんが、脳腫瘍と診断され、困難な治療を続けながら、コンサートやレコーディングなど、最後まで、ファンと観客に歌を届けようとたたかい続けてくれたそうです。
数々の名演、舞台姿、各種の録画、録音、そして彼の美しい声と笑顔は、世界中の音楽を愛する人たちの中に残り続けることと思います。
特にクーラと同年齢ということで、とても他人事とは思えません。昨年もまだ若い51歳のテノール、ヨハン・ボータ氏が亡くなり、ソプラノのダニエラ・デッシーも58歳で亡くなっています。もちろん病気は避けられるものではありませんが、オペラ歌手は本当に激務で、体だけが楽器、世界中を旅してステージに立ち続け、やりがいも喜びも大きいけれど、万一調子が悪ければ容赦ない観客やレビューの批判にもさらされる、とてつもない重圧がかかった職業です。果敢にステージたち、才能を花開かせ、素晴らしい歌と音楽を届けてくれるオペラ歌手たちが、どうか健康を保ち、長く活躍しつづけ、芸術家としての実りある人生を全うしてほしいと心から願います。
この画像は、今年3月のクーラのインスタの投稿。プラハでの湖畔(?)の銅像がまるでイル・トロヴァトーレの主人公マンリーコみたいだとクーラが投稿したものです。
実はここに、私が「あなたのマンリーコは最高にクールで、ゲバラのように(クーラと同郷アルゼンチン人)大胆不敵だった」とコメントしたところ、クーラが返信してくれたのです。
どうやらあの舞台についてはクーラ自身は思うところがあるようですが、「トロヴァトーレで、ビジネスにおける私の親友の1人ホロストフスキーに出会えたので、私にとって幸運だった!」とコメントしてくれました。当時、闘病中だったホロストフスキーへの思いが込められていたように感じました。
2人が共演した2002年のロンドン王立歌劇場のトロヴァトーレは、幸いにしてDVDが販売されていて、現在でも入手可能です。
これは、クーラの公式HPの紹介ページから。
こちらはクーラとホロストフスキー2人の有名なバトルシーンのリハーサル風景。DVDの特典映像として付属しているものの一部です。リハーサルで、譜面台を使った立ち回りを演じる、おちゃめな2人。インタビューもあります。
Jose Cura and Dmitri Hvorostovsky Battle scenes rehearsal
何度も紹介していますが、ネットにあがっているそのバトルシーンも。
Battle scene: Jose Cura vs Dmitri Hvorostovsky (Il trovatore)
ぜひ、DVDで2人の熱演をお楽しみいただきたいと思います。
以下、トロヴァトーレから、2人のいくつかのシーンを。
ホロストフスキーが演じるルーナ伯爵
クーラ演じる吟遊詩人マンリーコ
レオノーラの愛をかけて、決闘する2人。本格的な激しい立ち回り、迫力のシーンでした。銀色の髪をなびかせて華麗に動き回るホロストフスキーは、本当に魅力的でした。
再び対決する2人
美しい銀髪で高貴なホロストフスキーのルーナ伯爵、黒い髪、赤い衣装でワイルドなクーラのマンリーコ。とても対照的でした。
ついに捕らえられたマンリーコと母、服毒して亡くなったレオノーラ。その牢獄に現れるルーナ
マンリーコを拳銃で射殺するルーナ。しかし・・
実はマンリーコは、赤ん坊の時に誘拐されたルーナの実の弟だった。ねじれた運命に翻弄された兄と弟、ラストシーン
最後に、カーテンコールで大喝采をうけたホロストフスキーの笑顔を。
R.I.P. Dmitri Hvorostovsky!