人と、オペラと、芸術と ~ ホセ・クーラ情報を中心に by Ree2014

テノール・指揮者・作曲家・演出家として活動を広げるホセ・クーラの情報を収集中

(DVD現物編) 2016 ザルツブルク復活祭音楽祭オテロ Salzburg Easter Festival 2016 Otello / Jose Cura

2017-04-27 | ザルツブルク復活祭音楽祭2016のオテロ



昨年のザルツブルク復活祭音楽祭のティーレマン指揮、ヴェルディのオテロに出演したホセ・クーラ。舞台がDVD・ブルーレイになるということで予約注文していましたが、輸入版DVD(日本語字幕あり)が2017年4月19日に発売され、私の手元にも到着しました。その様子を紹介したいと思います。

このザルツブルク復活祭2016のオテロ、これまで、ネットの中継、Youtubeの録画、クラシカジャパンの放映と、何度か観賞してきました。クーラのオテロのDVDは、2006年のリセウのプロダクションのDVD以来、10年ぶりとなります。
なお日本語のパンフが付属する版は4月30日発売とのことです。


以前も紹介しましたが、DVDの紹介動画
Verdi: Otello from Osterfestspiele Salzburg


Christian Thielemann Conductor/Vincent Boussard Stage director
Vincent Lemaire Stage designer/Christian Lacroix Costume designer
Guido Levi Lighting designer/Isabel Robson Video designer
Jörn Hinnerk Andresen Chorus master/Stefan Ulrich Dramaturg

José Cura Otello/Dorothea Röschmann Desdemona/Carlos Álvarez Iago
Benjamin Bernheim Cassio/Christa Mayer Emilia/Georg Zeppenfeld Lodovico
Bror Magnus Tødenes Rodrigo/Csaba Szegedi Montano/Gordon Bintner Araldo

ホセ・クーラ(オテロ)、ドロテア・レシュマン(デズデモーナ)、カルロス・アルバレス(イアーゴ)、ベンジャミン・ベルンハイム(カッシオ)
クリスタ・マイヤー(エミーリア)、ゲオルク・ツェッペンフェルト(ロドヴィーコ)、ブルール・マグヌス・トーデネス(ロデリーゴ)、チャバ・ゼゲディ(モンターノ/バリトン)

演出=ヴァンサン・ブサール、舞台装置=ヴァンサン・ルメール、衣裳=クリスチャン・ラクロワ
指揮=クリスティアン・ティーレマン 演奏=シュターツカペレ・ドレスデン及び同合唱団、ザルツブル祝祭児童合唱団


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こちらは、我が家に到着したDVDパッケージの正面。




これはパッケージを開けたところです。




これは裏面と、パンフレットを開いた面。英語、ドイツ語、フランス語の解説があります。



こちらはDVDの画面。確かに日本語の字幕もありました。ただちょっと、妙な旧字があったり、部分的にヘンなところも。フォントもあまり美しくないので、以下では、オフにします(笑)。 


これまでの投稿で、各シーンやレビューなどを紹介してきました。 (レビュー編) (放送編) (リハーサル編) (告知編)など


今回は、DVDの映像から、オテロの苦悩をリアルに描き出す、クーラの表情を中心に、いくつかのシーンを紹介したいと思います。

クーラのオテロは、決して美しい歌を歌わず、「オテロはベルカントではない。メロドラマ(人間ドラマの意味か)だ」というヴェルディの手紙を道しるべにして、スコアとテキストの深い分析と解釈をつづけ、心理的にリアルなオテロの創造をめざしています。そのため、歌唱スタイルなどについては、賛否が激しく、好みの分かれるところかもしれません。
しかし、現代のオペラ、今日にふさわしいオペラのあり方の探求のひとつとして、クーラは、重要な挑戦をつづけているアーティストであることは間違いないと思います。


●第1幕

冒頭、まっ暗い中で登場するオテロ


●第2幕

イアーゴの策略と挑発により、疑念と怒りを高めていくオテロ。すさまじい怒りの表情で、オテロとイアーゴの二重唱へ。






●第3幕

愛する妻、デズデモーナに対し、冷静に問いかけることもできないまま、疑惑を自らのなかで決定的なものにし、絶望、復讐を誓う。














本国への召喚命令、カッシオへの権限移譲の命を受け、ついに壊れ始めるオテロ。混乱と人格崩壊をなまなましく演じる。














●第4幕

不気味な静けさとともに、デズデモーナ殺害へつきすすむオテロ。




オテロの死
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2017/18 プラハ交響楽団のレジデント・アーティスト3年目 / Jose Cura with Prague Symphony Orchestra

2017-04-23 | プラハ交響楽団と指揮・作曲・歌 ~2017



プラハ交響楽団の2017/18シーズンプログラムが発表されました。ホセ・クーラが出演するコンサートの予定を紹介したいと思います。

2015/16シーズンから、チェコのプラハ交響楽団のレジデント・アーティストとなったホセ・クーラ。主席指揮者のピエタリ・インキネン氏(現在、日本フィルの主席でもある)の指揮で、作曲作品の初演をおこなうなど、年間、3企画のコンサート(各2回ずつ)で、歌手、指揮者、作曲家としての活動を続けてきました。

そして17/18シーズンは、3年契約の最終年。名残惜しいですが、総仕上げとして、さらに充実した年になることと思います。

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●2017/18シーズン第1回 ホセ・クーラとミサ・クリオージャ




JOSE CURA & MISA CRIOLLA
Smetana Hall, Municipal House

4.10.2017 19:30
5.10.2017 19:30
José CURA | tenor
Aniello DESIDERIO | guitar
PRAGUE PHILHARMONIC CHURCH
Lukáš VASILEK | Choirmaster
Mario DE ROSE, José CURA | conductor

アリエル・ラミレス 「ミサ・クリオージャ」
2017/10/4,5
指揮 マリオ・デ・ローズ、ホセ・クーラ


来季の1回目のコンサートは10月4、5日。南米のミサ曲として有名な、ラミレス のミサ・クリオージャです。オーケストラバージョンのようです。
プラハ響のオケに、ギター奏者とコーラス。そしてクーラがテノールソロのようです。
また指揮者のところに、友人のデ・ローズとともにクーラの名前もありますので、時々、交代しながら指揮台にのぼるのでしょうか?それとも他の演目で、クーラが指揮をするのでしょうか?

5/4追記 クーラ作曲の「Modas」もプログラムにあがっていました。世界初演です。指揮はクーラでしょうか?

こちらは2007年と10年前ですが、クーラが歌うミサ・クリオージャを。イタリアのアッシジ、世界遺産を構成するサン・フランチェスコ大聖堂でのコンサートです。

José Cura - Misa Criolla - Assisi 2007




●2017/18シーズン第2回 ホセ・クーラと展覧会の絵




21.3.2018 19:30
22.3.2018 19:30
CLAUDE DEBUSSY
The sunken cathedral (arr. Leopold Stokowski)
Pictures for orchestra
MODEST PETROVIČ MUSORGSKIJ
Pictures from the exhibition (Arr. Maurice Ravel)
SYMPHONY ORCHESTRA HL. M. PRAHY FOK
José CURA | conductor

ドビュッシー 
「プレリュード 第1集『沈める寺』」 編曲レオポルド・ストコフスキー
「管弦楽のための映像」

ムソログスキー
「展覧会の絵」(編曲:モーリス・ラヴェル) 


2回目のコンサートは、クーラは指揮者としてだけの登場のようです。
ドビュッショーの没後100周年を、ちょうどこの2018年3月に迎えるのだそうです。ドビュッシーと印象主義音楽の流れで、ラヴェルの編曲による「展覧会の絵」がとりあげられているということでしょうか。

オペラでのドラマティックでパワフルな歌唱と演技の印象とは、また違ったクーラの指揮者としての側面が見られそうです。


ドビュッシーもムソログスキーも見当たらなかったので、こちらはラヴェルのボレロを指揮するクーラの動画を。
オケはメニューインによって設立されたポーランドのシンフォニア・ヴァルソヴィア。クーラは数年間、ここの客演指揮者をつとめていました。指揮をしているクーラは、いつも本当に楽しそうです。

Video Clipe Maurice Ravel Bolero Jose Cura Sinfonia Varsovia




●2017/18シーズン第3回 ホセ・クーラ――レジデント・アーティスト




13.6.2018 19:30
14.6.2018 19:30
Latin-American songs
JOSÉ CURA, CARLOS GUASTAVINO, CARLOS LÓPEZ
BUCHARDO, ALBERTO GINASTERA
MIECZYSŁAW KARŁOWICZ Symphony in Op. 7 "Rebirth" (Czech premiere)
SYMPHONY ORCHESTRA HL. M. PRAHY FOK
José CURA | Tenor, conductor

ホセ・クーラ、カルロス・グアスタビーノ、カルロス・ロペス・ブチャルド、アルベルト・ヒナステラ(アルゼンチンの作曲家)
ラテンアメリカの歌

ミェチスワフ・カルウォーヴィチ(ポーランドの作曲家) 
「交響曲ホ短調『復活』」


「ホセ・クーラ――レジデント・アーティスト」と銘打たれた、最後のコンサート。
第1部は、クーラの作曲作品を含む、アルゼンチンの作曲家による南米の音楽です。クーラはテノール・指揮者となっているので、グアスタビーノやヒナステラの歌曲を歌うのかもしれません。
クーラの作曲作品は、このプログラムには明記されていませんので、お楽しみです。未発表の初演作品と思われます。

昨年、ドイツとルクセンブルクで、クーラが南米の先輩作曲家と自身の曲を歌サートがあり、ラジオでも放送され、日本でも聞くことができました。この時の情報を以前のブログで紹介しています。

その時の動画はないので、クーラの歌うグアスタビーノの曲を。

La rosa y el sauce - tenor José Cura (ARGENTINA)



そして第2部は、ポーランドの作曲家のシンフォニー。クーラは、前述したようにポーランドのオケの客演を務めていたこともあるように、ポーランドとは深い縁があります。この間、クーラの作曲作品の初演や念願のマーラーの「復活」の指揮などの機会を提供してくれたのも、ポーランドでした。


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プラハ交響楽団との協力関係は、プラハ響にとっても、クーラにとっても、とても魅力的で創造的なものを沢山えることができているようです。3年の契約は来季で終わりますが、引き続き、プラハ響とクーラとの関係が、何らかの形でつづくとよいと思います。
その思いは、最後の演目「復活」にもこめられているようです。






*写真は、プラハ交響楽団のHPからお借りしました。
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ホセ・クーラ ポートレートとインタビュー モナコにて / Jose Cura , Portrait and Interview in Monaco

2017-04-18 | 人となり、家族・妻について



以前の投稿でも紹介しましたが、ホセ・クーラのポートレート紹介とインタビューが、モナコの情報サイト"Little Big Monaco"に掲載されています。 → Little Big Monaco.com

今年2月から3月にかけて、クーラは、モナコのモンテカルロ歌劇場で、ワーグナーのタンホイザーのパリ版フランス語上演に主演、珍しい仏語上演版の復活を成功させました。その際のインタビューと、クーラの紹介を合わせて、記事にまとめたようです。

この記事では、念願のワーグナーへの挑戦についての思いをふくめて、クーラのこれまでの経歴や、多面的なアーティストとしての個性などについて、とてもコンパクトに、わかりやすくまとめてあります。よく取材して、アーティストとしてのクーラへのリスペクトが感じられる記事ですので、ウィキペディアの記事などより、こちらをおすすめしたいと思います(苦笑)。
すでに一部、紹介した部分もありますが、あらためて全体を紹介したいと思います。

ネットの記事は仏語版と英語版がありますが、英語版の方のリンクを紹介しています。
また、いつものことですが、日本語訳は不十分なもので、誤訳直訳ばかりと思いますので、ぜひ元のサイトをご覧ください。






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LITTLE BIG PORTRAIT of JOSÉ CURA

≪魅力的な歌手≫


非凡なテノールのキャリアによって世界中で知られているが、ホセ・クーラは、指揮者、演出家、作曲家でもある。

彼はちょうど、2月にモンテカルロ歌劇場でタンホイザーに主演した。創造性と音楽への愛によって導かれた素晴らしいアーティストであり、最新のアルバム、ドヴォルザークの「愛の歌」("Love songs")がiTunesでリリースされた。

ダークヘア、広い肩幅、印象的な存在感と魅力的な声。彼は優しい目をした鬼。魅力的な鬼だ。
ホセ・クーラは、自分が望むことだけを行う、と私たちは感じる。妥協することなく。

彼は、自分をヴェルディとプッチーニに制限していた賢明なものから逃げ出しているようだ。そして、私たちが決して、彼にそうなるだろうと期待したことがなかった、彼自身の特異な道に従って。
この2月、彼はモンテカルロ歌劇場で、1861年にパリのオペラで初演されて以来、初めてフランス語で上演されるタンホイザーの主役だった。
これまでワーグナーのレパートリーをまだ探究していなかったアーティストにとっての、新しい成功した挑戦。舞台上でほぼ3時間という大変な役であり、肉体と精神の愛との間に引き裂かれた歌手の役柄。


≪多面的なアーティスト≫

大喜びのモナコの聴衆を離れ、それから彼は、自分自身が作曲したオラトリオ「この人を見よ」«Ecce Homo»の演奏のためにプラハに向けて出発した。5月に初めて演奏するベンジャミン・ブリテンのピーター・グライムズ«Peter Grimes»のリハーサルのためにボンに飛ぶ前に。そして彼は演出もする。

誰もがめまいを起こすのに十分であるが、彼は違う。とても穏やかに見えながら、テノールと作曲家、テノールと演出家、あるいは指揮者、舞台装飾家、プロデューサーなど、多彩な役割を果たすことが自然であることがわかる。
さらに彼が本当に楽しんでいる写真を忘れることなく。

また、俳優を加えなければならない。なぜなら、さまざまな役柄を深く体現するための彼のやり方であるから。彼は働き、探求し、深め、限界を越える。

彼は、新しい大胆な道を試してみることを楽しんでいる。サムソンやカラフで、何度も繰り返して熱心に彼を聞きたいと思っている観客を混乱させる危険を冒しても。2014年に、モナコで、アルゼンチン音楽のコンサートをやったように。
彼は、映画界においてオーソン・ウェルズがやったようなものだ。ホセ・クーラは、自由で分類できないアーティスト。そして彼は、彼がやりたいことだけをする。





≪指揮と作曲≫

彼の素晴らしいキャリアは、彼が生まれたアルゼンチンのロサリオから、過去20年間、世界で最も権威のあるステージで演奏するよう、彼を導いた。

子供の頃、ギターを学んだ後、ピアノをやり、合唱団の指揮者を務め、作曲と指揮の訓練を受けた。
当時、彼は自分自身を、声楽のソリストとしては見なしていなかった。彼の才能を発見し、オペラ歌手としての勉強を勧めたのは、ロサリオの音楽大学の教授だった。その後、ブエノスアイレスのテアトロコロン付属芸術学校で学ぶ奨学金を得た。

すべての美しい物語と同様、紆余曲折と幸運な出会いがある。
90年代の初め、ホセ・クーラは、チャンスがほとんど得られなかったアルゼンチンを離れた。ブエノスアイレスのアパートを売却して、妻と赤ちゃんと一緒に、イタリアで運を試すために。

数か月後、成功できないまま、残りのお金がなくなり、彼はアルゼンチンに帰ることにした。最後に、彼は、友人の一人が、ミラノの歌手の電話番号を、ヨーロッパに渡る前に渡してくれたことを思い出した。彼はその歌手に会ってもらうことができ、アンドレア・シェニエからのアリアを歌った。彼の声に感銘を受けた教師は、彼を援助してくれることになった。そしてクーラは、彼を徐々に成功へと導いてくれる人を得ることができた。
 

≪独立と教えること≫

今では、彼は、かつての彼のボヘミアンの生活スタイルを笑っている。しかし、彼はおそらく当時から、強い自立性を保っていた。

彼の次の課題は、iTunesのようなネットのメインのプラットフォームでアルバムを制作し、販売することだ。たとえば、彼の最新のアルバム、ドヴォルザークの歌曲集「Love Song」――作曲家の不可能な愛を伝える感動的なアルバムのような。

またホセ・クーラは、知識を共有したいと考えている。彼はロンドンのロイヤル・アカデミーのゲスト教師で、マスタークラスを教えており、またフランスをはじめとする他の多くの国でも同じことをしている。
彼は情熱的で忠実であり、モナコとモンテカルロ歌劇場とのつよい絆を感じ、頻繁に戻る。





≪インタビュー≫


Q、初めてのワグナーをフランス語で歌う!この経験をどのように表現する?

A、山に登るようだ!
スコアは非常に長く、ボーカルがたいへん複雑であるだけでなく、テキストの量も膨大だ。


Q、新しいレパートリーやタンホイザーのような役柄にどのようにアプローチする?

A、通常、まず台本を学ぶことから始めて、それから、作曲家が、その言葉がどのように聞えると想像していたのかを見つけ出そうとして、音楽を汲み取る。

タンホイザーの場合、これまでになく私は、テキストを覚えるのに苦労したために、そのプロセスは非常に遅かった。
なぜなら、おそらく、私が多くの瞬間、フランス語の歌詞が、音楽と衝突していると感じたためだと思う。
私は、役柄にアプローチするのに、これほど苦しんだことは一度もない!





Q、どのようにして声を発見した?

A、音楽を職業にしようと認識した時、私の夢は、歌ではなく、指揮と作曲だった。しかし80年代に、アルゼンチンで作曲家・指揮者として生き残るのは困難だった。

経済的な理由から、オペラを歌い始めた。はじめは、合唱団、結婚式、ショッピングセンターなどで、わずかなコインと引き換えに歌った。ある日、当時のアルゼンチンでは、これ以上前進できないと認識し、ヨーロッパで運を試すことにした。次に起こったことは、今や伝説の一部だ‥


Q、テノールであり、指揮者、演出家でもある。何が今の最高の喜び?

A、これには答えることができない。子どものうち、どの子が一番好きかをたずねるようなもの。それぞれの分野が相互にリンクされ、このリンクは音楽だ。
(歌、指揮、演出・・)それぞれが独自の特徴をもち、ユニークで、私がそれぞれに感じる喜びも同様だ。だから私は、すべてのことをハードに行うことで、いろいろな楽しみを見いだすことができる。

Q、あなたはロンドンのロイヤルアカデミーの客員教授であり、各地で定期的にマスタークラスをやる。オペラが存在し続けるには、伝えていくことが不可欠?

A、伝えてゆくということは、一般的にも、種の生存のためには不可欠のことだ。

Q、モナコに定期的に戻るが、モンテカルロオペラとは?

A、モンテカルロのオペラチームは非常に才能があり、友好的であるとともに、モナコの国や、人々も好きだ。モナコは、世界でも最高に思う場所のひとつといっても言い過ぎではない。

Q、モナコの何が好き?レストラン?

A、外食は好きではなく、自宅で料理して食べることを好む。モナコでは友人がそのことを知っているので、しばしば自宅に招待してくれる。モナコでの喜びの1つは、1日のはじまりから終りまで、海を見ながら過ごせること。1年のうち、数か月をモナコで住むのが夢だ。





Q、今後のプロジェクトは?

A、タンホイザーのあと、プラハで自分が作曲した「この人を見よ」の世界初演をした。それからボンでピーター・グライムズの演出と舞台デザイン、主演をおこなう。
その先の新しいプロダクションが2つ、プラハでのナブッコと、タリンでの西部の娘。両方とも2018年だ。
同時に、いま私の最初のオペラの台本を書いているところ。
またドヴォルザークの「愛の歌」をリリースした。これは、私の独立したプロデューサーとしての、始めてのデジタル配信だ。




*写真は、クーラのHPなどからお借りしました。
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(告知編) ホセ・クーラ ブリテンのピーター・グライムズに初挑戦 演出と主演 / Jose Cura PETER GRIMES

2017-04-13 | ピーター・グライムズ



2~3月に、初めてのワーグナーに挑戦し、タンホイザーのパリ版仏語上演を成功させた、ホセ・クーラ。
そして現在は、2つめの大きな挑戦である、イギリスの作曲家ブリテンの英語オペラ、ピーター・グライムズの演出と主演のため、ドイツのボンでリハーサルを続けています。5月7日が初日です。

現時点での公演の告知と、クーラがFBやインスタグラムなどにアップしたリハーサル画像などをお借りして掲載するとともに、長年の念願でもあったオペラ、ピーター・グライムズに対するクーラの思いを、インタビューなどから抜粋して紹介したいと思います。

→ ボン劇場の案内ページ





クーラは、初役のピーター・グライムズで出演するとともに、演出と舞台デザインを担当しています。
5,6,7月にわたり9公演が予定されていますが、6月はクーラは出演しないようです。

☆クーラの出演日
07 May 18:00, 10 May 19:30, 13 May 19:30, 26 May 19:30
08 Jul 19:30, 15 Jul 19:30

☆Johannes Mertesがグライムズ役
11 Jun 18:00, 22 Jun 19:30, 30 Jun 19:30

≪キャスト・スタッフ≫
Peter Grimes - José Cura / Johannes Mertes [11th, 22nd, 30th June]
Ellen Orford - Yannick-Muriel Noah
Balstrode - Mark Morouse , Auntie - Ceri Williams , 1st niece - Marie Heeschen , 2nd niece - Panagiota Sofroniadou / Rosemarie White Gerber * , Bob Boles - Christian Georg , Swallow - Leonard Bernad
Mrs. Sedley - Anjara I. Bartz / Susanne Blattert , Pastor Adams - David Fischer
Ned Keene - Fabio Lesuisse * / Ivan Krutikov , Hobson - Daniel Pannermayr
fisherwoman - Asta Zubaite / Marianne Freiburg , A lawyer - Dong-Wook Lee / Georg Zingerle

Choir / Extrachor of the Theater Bonn , Beethoven Orchester Bonn

Musical director: Jacques Lacombe
Staging and equipment: José Cura
Lighting: Thomas Roscher , Chore study: Marco Medved , Direction and co-equipment: Silvia Collazuol
Director: Christian Raschke , Stage assistants: Ansgar Baradoy , Musical assistant: Stephan Zilia's ,inspiration: Karsten Sandleben

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ボン劇場のリハーサル室でしょうか。クーラがFBやインスタグラムに投稿した写真です。
ひとこと、コメントが付けられていますが、まだ全体の演出構想が語られていないので、禅問答のような感じ・・


"Today afternoon rehearsing Grimes 3rd act monologue. The boat is his burden..."
「今日の午後、グライムズの第3幕のモノローグをリハーサル中。ボートは彼の重荷・・」


"Grimes surrounded by the spirits of the dead kids..."
「グライムズは、亡くなった子どもたちの霊に囲まれた・・」






"Grimes Prologue... Is it all in his head?"
「グライムズのプロローグ・・すべては彼の頭の中?」


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その後まだ、クーラのFBには演出構想などが掲載されていませんので、どんな舞台になるのか、クーラの解釈の中身はまだよくわかりません。
そのため、クーラのこの作品にかける思いの一端を知る材料として、この間の、クーラのインタビューから、ピーター・グライムズに関する主な発言を抜粋(再掲も含む)して紹介します。


――2017年ドイツの雑誌インタビューより

Q、タンホイザーから3か月後、次の大役、ピーター・グライムズでデビューする。今回、ボン・オペラでは、演出と舞台デザインもやる。新しい役柄を準備しているアーティストにとって、これはかなり難しいことでは?


A、これは巨大な挑戦であり、大きなリスク。挑戦は、私の肩にかかっている仕事の量に関係し、演出と同じということで、私の解釈を最良の方法で作り上げるということについて、自分自身に甘やかすリスクも・・。

冗談はおいて、それは仕事の地獄だが、それはまた、非常に報われるもの。芸術的な楽しみの縮図だ!

もしそれがより頻繁にあるオペラだったなら、おそらく私は演出して歌うことはなかっただろう。しかし、そう頻繁に演奏されない素晴らしい作品を、私が演出する可能性がいつ再びあるだろうか? 私はこの1つのチャンスを失うことはできなかった!

Q、ピーター・グライムズはあなたの「夢の役柄」の1つ。どこに興味をもっている?そして何が挑戦?

A、私にとって、ワグナーの音楽的レトリックと、密度の濃い自由奔放な台本を扱うことの難しさに対して、ピーター・グライムズは正反対――音楽、テキスト、アクションの完璧な共生。私にようなパフォーマーにとっての夢だ。この作品において、すべての瞬間が挑戦だが、しかしリスクを伴うそれぞれのステップが、また喜びとともにある、そういうおもしろい挑戦だ。

Q、2つの新しい役柄、タンホイザーとピーター・グライムズとの違いと類似点は?

A、両方ともつまはじきにされた男だが、理由は異なる。タンホイザーは彼の運命に挑むが、ピーター・グライムスはその結果に苦しんでいる。
声楽的には、タンホイザーは素晴らしい音楽に非常に依存しているが、グライムスは精神の状態を伝えるために、声を使うことに依存している。時には単独の声だけに。たとえば第3幕の長い独白のように。

Q、今あなたの代表的な役柄といえるのは?

A、オテロとディック・ジョンソン(西部の娘)は、カニオ(道化師)、サムソン(サムソンとデリラ)と同様に、私の重要な役割だと言うことができる。数年後には、グライムスもそうなることを希望する。

『Das Opernglas』





――2016年フェイスブックで、フォロワーの質問に答えて(再掲)

Q、2017年に、初のワーグナーに挑戦、ブリテンのピーター・グライムズにデビューするが?

A、タンホイザーの音楽、一般にワーグナーは、私のように、音楽と演技とのリアルな結びつきを求める者にとっては、理想的とはいえない。しかしこれはスタイルの問題であり、私が解決すべき問題だ。

それには関係なく、ワーグナーの音楽は、信じがたいほどの音のモニュメントだ。残念なことに、台本は愚かしいけれど...。
とにかく私は、タンホイザーをやってみたかった。
なぜなら、私は少なくとも一生に一度は、ワーグナーのオペラを演じたかったからだ。ドイツ語は私には手が出せないので、この「フランス語上演」のチャンスを手放すことはできなかった。

ピーター・グライムズについては、私の“深い思い”を伝えるにはまだ早すぎる。いま進行中だからだ。しかしそれは、私にとって、理想的なオペラだ。次のような理由によって。
ピーター・グライムズは、音楽とドラマの完全な結合だ。もし仮にそこから音楽を削除し、台詞だけを語ったとしても、それらは完璧に意味をなしているだろう・・。


――2016年9月のリエージュでのインタビューより(再掲)

Q、2016-17シーズン中のもう一つの冒険、20世紀の英語のオペラで歌い、演出する?


A、ピーター・グライムズは、私のキャリアにおける最大のチャレンジ。
私はいつも、これを歌うことが夢だと言い続けてきたが、ボン劇場の人々が、私のインタビューでそれを読み、私を雇った。そしてまた、私は誘惑に抵抗できなかったために、演出もおこなう。
ブリテンにおいて、私はほとんどゼロからスタートする必要があり、特に美学、言語、音楽、30年の歌のキャリアの後に、これは非常にリフレッシュになる。
台本は本当に信じられないすごさ、素晴らしいスコア、音楽とアクションとの間の結びつきは総合的で、私自身にとっては、ワーグナーよりも、はるかに快適な方法だ。このプロジェクトは、私の情熱を大いに鼓舞してくれる。

Q、ホセ・クーラにとって、残っている探求は?

A、私のキャリアにおいては、私を魅了し、最も喜びを与えてくれるキャラクターにアプローチし、そして、私が快適に感じ、人びとに何らかのおもしろいものを提供できる場所で過ごすことができた。アーティストとして幸運である場合、期待にこたえ、妥協を受け入れず、自分自身に対して厳しくあることが不可欠だ。
私は、歌手として夢見たすべてをやることができた。まだピーター・グライムズが残っていたが、今シーズン、歌えることになった。成熟した役柄のためには、何年もかかる。明らかに、成熟度の点では、最初のピーター・グライムズは、250回演じたオテロのようにはいかない。だから私は、かなりの時間をかけて、ブリテンの英雄を解釈することができるよう願っている。





――2013年ニューヨークでのインタビューより(再掲)

●現代のオペラを


オペラ的な演劇を行う別の方法があるとをつよく信じる。繊細さとニュアンスにもとづいた方法が。それは現代のオペラ。俳優が自分自身を、本当の深さと特徴づけで役柄に投入する。それは近代的なオペラだ。
将来やりたいのはピーター・グライムズ。私が愛するのはオペラの舞台に流動性を創造するという夢を助けてくれるオペラ。舞台演劇のように。素晴らしい誘惑だ


――2011年リエージュでのインタビューより(再掲)

Q、イタリアオペラの大きな役をたくさん歌っているが、他に試してみたい役柄は?


私はピーター・グライムズをやりたい。私があまり年をとりすぎる前に、誰かがオファーをくれることを願っている。
チャイコフスキーのスペードの女王のゲルマン役でオファーを何度も受けたし、いくつかワグナーの役でも受けた。しかし、私は言語のためにそれらを断った。私は覚えただけのオペラを歌いたくない。やることは可能だが、もし本当にそのキャラクターを描写したいのであれば、その言語をよく知らなければならない。私にはロシア語を学ぶ時間がない。

――2007年ロンドンでのインタビュー(再掲)

私の夢の一つは、ピーター・グライムズをやること、そして私はここ、ロンドンでそれをやってみたい。ここロンドンよりも、それを学び、演じるのに良い場所があるだろうか。

一方で、それは非常に危険なことだ。もしあなたがイギリス人やドイツ人でなくて、英語やドイツ語のオペラをやるとき、正確なアクセントを身につけていないと、死ぬほど批判される。しかしあなたがイギリス人で、イタリアオペラを完璧なアクセントでなく歌っても、誰も何も言わない。なぜそうなるのか、私にはわからない。私は、イタリア的なアプローチが最も健康的だと思う。なぜなら、外国語で完璧なアクセントを持つのは不可能だから。

重要なことは、キャラクターをつくるために最適なアプローチをすることだ。私はピーターグライムズをやれると思う。しかし私がイギリスでそれを提案するたびに、彼らは「イエス、でも他のどこかで最初にやって、それからここに持ってきて」という。なぜだろうか。私は最初からそれをよく学びたい。再びやるときに、ゼロからスタートしなければならないよりも。誰かがこれを読んで、私がそれを行うことができるようになることを願う。




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こうしていくつか抜粋しただけでも、かなり前から、ピーター・グライムズの魅力とそれへの挑戦の意向を、機会あるごとに語っていたことがわかります。ドラマと歌・音楽を一体としてとらえ演じるオペラパフォーマーとしてのクーラにとって、「夢」の作品ということですね。

実は、一度、2011年に、クーラの居住地のテアトロ・レアルで予定されていましたが、劇場監督の交代にともなってキャンセルになったという不幸な経過もありました。今回、いよいよ、ボンで実現します。

長年の願いがついにかない、さらにこの先も自分の代表的な役柄にしたいという、高い意気込みで臨んでいるクーラ。
このチャレンジが成功することを心から願っています。




*写真はクーラのHP,FBなどからお借りしました。
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(インタビューとレビュー編) ホセ・クーラ 自作オラトリオ「この人を見よ」を世界初演 / José Cura "Ecce homo" world premiere

2017-04-02 | プラハ交響楽団と指揮・作曲・歌 ~2017



チェコのプラハ交響楽団のコンサートの続報です。3月8、9日のコンサートについては、(リハーサル編)でも紹介しました。
今回は、コンサート本番の様子を、プラハ交響楽団子ども合唱団のホームページ、フェイスブックに掲載された沢山の写真のなかから、いくつかお借りして紹介するとともに、クーラのプラハでのインタビュー、そしてコンサートのレビューなどを抜粋して掲載したいと思います。
いつものことですが、チェコ語やスペイン語からの翻訳がたいへん不十分であることについてはご容赦ください。

今回、コンサートの前半は、プラハ交響楽団をクーラが指揮して、サティとレスピーギの曲を演奏しました。

後半は、クーラ作曲のオラトリオ「ECCE HOMO(この人を見よ)」の世界初演。指揮は友人のマリオ・デ・ローズ。
オケはプラハ響、そしてソリスト男声2人、女声2人、混声合唱合唱団と子どもの合唱団、さらにクーラ自身が、キリスト役の声として歌いました。

≪曲目・出演≫

エリック・サティ 「ジムノペディ」 (クーラ指揮)
レスピーギ 「教会の窓」 (クーラ指揮)
クーラ作曲 オラトリオ「ECCE HOMO(この人を見よ)」 (マリオ・デ・ローズ指揮)

Smetana Hall, Municipal House  8.3.2017 19:30 、9.3.2017 19:30
ERIK SATIE Gymnopédie (orch. Claude Debussy)
OTTORINO RESPIGHI Church Windows
JOSÉ CURA Ecce homo, oratorio (world premiere)
José CURA = tenor
Lucie SILKENOVÁ = soprano, Sylva ČMUGROVÁ = alto, Aleš VORÁČEK = tenor, Jaromír NOSEK = bass
PRAŽSKÝ FILHARMONICKÝ SBOR / PRAGUE PHILHARMONIC CHOIR , JAROSLAV BRYCH = choirmaster
KRÁLOVÉHRADECKÝ DĚTSKÝ SBOR JITRO / CZECH CHILDREN'S CHOIR JITRO , Jiří SKOPAL = choirmaster

SYMFONICKÝ ORCHESTR HL. M. PRAHY FOK / PRAGUE SYMPHONY ORCHESTRA
José CURA = conductor , Mario DE ROSE = conductor




クーラの「この人を見よ」世界初演をはじめ、コンサートは大きく成功したようです。
喝采を受けて、やや涙ぐみながら、感に堪えない表情のクーラの写真もアップされていました。ちょっと枚数が多くて恐縮ですが、掲載しました。
少年のころから作曲家、指揮者を夢見て、そのために自己研さんを積んできたクーラ。プラハ響とともに、着実に自作の作品の初演を迎えることができて、本当に喜びと誇りにいっぱいだったことと思います。














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――レビューより

●クーラのオラトリオ 興味深い世界初演

アルゼンチンの歌手、指揮者、作曲家のホセ・クーラは、彼のオラトリオ「Ecce homo(この人を見よ)」の世界初演の場として、プラハを選んだ。クーラは今シーズン、プラハ交響楽団のレジデント・アーティストであり、それは驚きではない。プラハ交響楽団とプラハの聴衆は、クーラの初めての歌のコンサート以来、彼を愛している。
3月8日と9日、完売の市民会館のスメタナホールの聴衆は、その晩、クーラが、その活動のすべての分野で秀でていることを直接、目撃した。

クーラは、前半のプログラムで、プラハ交響楽団を指揮しただけでなく、第2部では、彼の作品のオラトリオで、他のソリストと合唱団とともに、歌でも出演した。
そのためオラトリオの装置は本当に巨大で、指揮者のマリオ・デ・ローズ、クーラのアルゼンチンの友人は、ステージの棚に対して指揮しなければならなかった。

若いクーラが1989年に書いたオラトリオは、その後、彼が主に歌の活動に焦点を当てていたため、引き出しに残されていた。
今、復活祭の前に、過去の有名な作品に描かれたキリストの情熱のテーマは、再び音楽的に描き出され、クーラの新たな展望は、確かに彼らと一緒に名誉の場所を取るだろう。
クーラは、キリストと、その磔刑による死の前の最後の瞬間に焦点を当てている。伝統的な栄光の代わりに、人間としてのイエス・キリストを明らかにする瞬間をピックアップした。

クーラ自身が、キリストの役割を巧みに想定し、他の歌手とともに、福音書からの様々な人物を演じた。
全体として、クーラは、伝統的でわかりやすい音楽言語と、グレゴリオ聖歌の知識を使っている。伝統的な日本のものを含む多くの打楽器を使用し、いくつかはバルコニーに置いた。悲痛さは完璧だった。歌詞は、主に詩篇とスターバト・マーテルによっている。

クーラが音楽的に実現させた聖書の場面は、感嘆すべき成功をおさめ、そしてそれに関わるすべての人びとが最善をつくした。
聴衆から受け取った反応は巨大で、特に作者としてクーラは、プラハの聴衆の二重のスタンディング・オベーションを受けた。
(「Novinky.cz」)




――2017年3月、プラハでのラジオインタビューより

●子どもの痛み、母の痛みを描いたEcce Homo

私がプラハ交響楽団(FOK)のレジデント・アーティストとして持っている関係では、その合意の中でとりわけ、私が作曲した作品を毎年1つ、デビューさせることを含んでいる。昨年は「マニフィカト(Magnificat)」、今年は「この人を見よ(Ecce Homo)」で、それはより大きく、より重要な仕事だ。
Magnificatは長さが12から13分、一方、Ecce Homoはオラトリオで、まだ初演されていないが、予想される期間は、約35分から40分となるだろう。

この作品は私の好奇心から生まれた。時には私の周りの人々と、これらについて議論したことがある。私の妻、近所の司祭と一緒に...。それは神との関係における「人間」的な要素だ。
キリストの生涯と彼の最後の数時間において、いつも私の心に触れてきたことの1つであり、最も注目してきたのは、キリストの人間的次元だ。・・・

私の「Ecce Hom」に新しさがあるとしたら、それは神学的ではなく、音楽的に2つのテーマを挿入したこと。つまり、一方では子どもの痛み、もう一方は母親の痛みであり、それらを同じ作品にまとめたことだ。





●クーラとチェコとの間の優れたケミストリー、オラトリオ世界初演に加え、チェコのファンに驚きを

私たちはiTuneとの販売契約を結んだばかりで、15年前に録音したドヴォルザークの歌曲を公開する。当時はプライベートコレクションだった。
これらの曲はiTunesでまもなくリリースされる。(すでにリリース済み、アマゾンなどでも購入可 → 紹介ページ

それは、私がチェコ語で歌った、人生で最初で最後の時だ。私は今も、その美しい音楽を、私にとっての完全な外国語で正しく歌うための闘いを覚えている。

チェコ語で私を援助してくれた人に、私はこう言ったことを思い出す――この言葉では、4つの音符を歌わなければならないが、母音は2つしかない。何かが欠けているか、何か残っている――と。残りはすべて子音であり、ラテン系の人には子音を歌うことができないためだ。
その答えはとてもシンプルだった――「子音を歌い、歩く」。





●ピアノからラグビーへ――スポーツへの熱中が音楽活動に貢献

私が7〜8歳の時、父は私にピアノを勉強するように言った。当時、60年代から70年代の話だが、私たちはピアノを勉強しなければならなかった。私の父は、当時の中産階級の良き息子として、ピアノを演奏していた。
そして、数日後、いくつかのレッスンの後、ピアノ教師は、私にノートを持たせて家に帰らせた。そこには、「ホセは音楽には興味がない。彼は別の趣味を見つけるべきだ」とあった。それから、私はラグビーを始めた。
何の関係もないようだが、つながりがある。それらは、ステージにたつ人間として、私のキャリアに対する基本的な方法だ。 
当時、それは目新しかった。オペラを歌うアスリートは、非常に珍しかった。

インタビューにこたえるクーラ



●懸念――人間に起こっている全てのことに無関心ではいられない

人間は、まず、すべてがユニークだ。しかし今起こっていることは、これまで以上に、非常な混乱であり、グローバリゼーションと大衆化によって、人々のアイデンティティが脅かされている。

今度は誰もが同じ服を着て、同じものを食べ、同じ音楽を聴き、同じ香りをつけ、同じことをする。
これはいいこと? ノー、これは悪い? ノー、それは残念なことだ。個人として、ジャンルとして、私たちを犠牲にしているのであり、残念だ。





●誰もが皆、神からの賜物を持っている――肯定的エネルギー、コミュニケーションの手段としての芸術への全面的関与

私はこれまで何度も言ってきたが、信念がある。そしてこれは、私を理解するうえで、すべてを説明するものだ。
私は、私たち全員が、何らかの才能に恵まれていると信じている。私は本当に、私たちのすべてが同じだけのものを持っていると思っている。
しかし、何が起こるかは、私たち全員がそれらを発見する能力が同じではないということ。運がある場合、不幸を抱えている場合、または内向的な人物である場合など、自分ができることを発見するのには、人生で2つの選択肢がある――それらを隠すのか、それとも、自分ができるすべてを示すのか。
もし自分に与えられた才能を隠すならば、最後に、神の前で、「あなたは私が与えたもので何をしたのか?」という問いに答えなければならない。
もし才能を隠さなければ、まわりからたたかれるだろう。しかし、私は、神からよりも、仲間からたたかれる方を選ぶ。神からの方がもっと痛いからだ。





●指揮者として受けた最大の賛辞

オペラの費用が5ユーロや10ユーロの場合、普通の人々はそれを気にしない。またステージで見ようとしていることが本当にあなたを興奮させるなら、10や20ユーロを支払う。問題は金額だけではなく、ステージで何が行われているかだ。

私が指揮者として受け取った最も美しい賛辞の1つは、数ヶ月前にプラハから来た。前回のコンサートの機会に。
誰かがソーシャルメディアに書いた。
「プラハ交響楽団(FOK)の舞台でクーラを見て、バーンスタインのコンサートを思い出した。オーケストラは彼のために演奏し、彼はオーケストラのために指揮するという絶対的な確信を持っていた。ここで起こっていたことはラブストーリーであり、私たちは幸運にも、参加し、それを目撃することができた... 」






クーラが子ども合唱団に送ったメッセージ


現地の報道


子ども合唱団、指揮者、合唱指揮者との記念撮影


終演後、晴れやかな笑顔のクーラと、友人で同郷の指揮者マリオ・デ・ローズ。彼がクーラの作曲作品の公開を後押ししてくれた。




プラハ・スメタナホールの正面に掲げられた、チェコの偉大な作曲家スメタナのレリーフ。

*画像は、プラハ響のHPや合唱団のFBなどからお借りしました。
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