ホセ・クーラは、来年2018年の6月に、チェコのプラハの国民劇場で、ヴェルディのナブッコを演出する予定です。
10月4、5日のプラハ交響楽団のコンサートを前にした9月末に、この演出のためのプレゼンテーションをおこなったようです。劇場のFBに写真が掲載されていました。
現在までの情報を紹介したいと思います。
なお、クーラは歌いません。演出、そしていつものように舞台デザインも兼ねます。
2018年6月28、29日、7月1、3日の予定。会場はカーリン・ミュージックシアター。
Nabucco / Giuseppe Verdi
Národní divadlo Praha(The National Theatre Opera)
June 2018 THURSDAY 28, FRIDAY 29
July 2018 SUNDAY 01 , TUESDAY 03
The Karlín Music Theatre
Conductor: Andreas Sebastian Weiser
Stage director: José Cura
Sets: José Cura
Costumes: Sylvia Collazuol
Chorus master: Adolf Melichar
Dramaturgy: Jitka Slavíková
●クーラから、プラハのナブッコへの招待
こちらは劇場がアップした、クーラによるナブッコ演出についての動画です。英語で語っています。
オファーを受けた当初は、ナブッコという若いヴェルディのオペラ、そして大変に有名なこのオペラの難しさ、危険性を懸念したといいます。そしてチェコの国民劇場のスタッフ、専門家の協力を得て、ドラマ構成上の課題を克服したということなども語っているようです。
ぜひプラハへと、クーラからのお誘いです。
José Cura - Nabucco / José Cura about Nabucco
●2017年9月
劇場スタッフを前に、演出構想をプレゼンテーションするクーラ。劇場FBより。
5、7月に演じたピーター・グライムズの余波で、長髪のまま、その髪を束ね、髭もじゃの姿は、クーラファンのあいだでも話題になりました(笑)
●2017年3月
こちらはその半年ほど前になりますが、2017年3月9日、ちょうどナブッコ初演(1842年3月9日)から175年にあたる日に開かれた、クーラと国民劇場スタッフとの打ち合わせの様子。
劇場のFBに掲載されました。
このプラハ訪問の時も、3月初めにプラハ交響楽団とのコンサートがありました。実はこの当時、2月28日までモンテカルロ歌劇場で、初のワーグナー挑戦タンホイザーのパリ版仏語上演という大きなプロダクションがあり、また直後のプラハ響コンサートではクーラの作曲作品の世界初演があり、そしてこのナブッコ演出の準備をこなすという、たいへんなハードワークの時期だったようです。
●クーラとナブッコ
残念ながら、このプラハのプロダクションでは、クーラは演出と舞台デザインだけで、指揮や出演はありません。
なので、これまでのクーラが出演したナブッコの動画をいくつか紹介しておきます。
こちらは、昨年夏のコンサートで、クーラがナブッコの合唱曲「行け、我が想いよ、金色の翼に乗って」を指揮している動画。
José Cura - Va Pensiero - Dubrovnik Summer Festival 2016
クーラ自身がナブッコのオペラに出演したのは、この1995年パリでの公演だけではないかと思います。
まだ若いこの時のクーラの出演は、大きな反響をよんだようです。
クーラのイズマエーレと、その恋人であり、ナブッコと奴隷との間に生まれた娘アビガイッレ、ナブッコの正妻の娘フェネーナとの重唱を。
Jose Cura 1995 Nabucco " Fenena! ... O mia diletta! "
こちらは全編
Giuseppe Verdi: Nabucco
今後また、クーラによるナブッコの作品解釈などがFBに掲載されるのを楽しみに待ちたいと思います。
イタリアの独立運動と深く結びついて語られてきたこのオペラ。「行け、我が想いよ」はイタリアの第2国歌ともいわれるそうです。クーラにとってもイタリアは、祖母の故郷でもあり、1991年に祖国アルゼンチンから移住した先がイタリアのヴェローナ近郊の町だったそうです。そこから移民排斥にあい、フランスに移り住み、その後はスペインに住んでいます。祖国や民族の問題は、今日の世界では、非常に複雑な課題と困難な状況を生み出しています。もちろんオペラであり、芸術作品としてではありますが、社会的課題に関心の高いクーラがどのような演出をするのか。どういうメッセージを込めるのか。プラハで鑑賞するチャンスがあればと切に思います。
The Karlín Music Theatre, at which the National Theatre will be performing some of its opera and ballet productions during the time of the reconstruction of the State Opera building, is one of the oldest and most beautiful theatres in Prague.
*写真は劇場のHP,FBなどからお借りしました。