ホセ・クーラは3月26、28日、プラハ交響楽団と、クーラが演じてきた主要なオペラのタイトルロールを歌うコンサートを行いました。
会場はいつものように、プラハ響の本拠地、スメタナホールです。
クーラは、2015年の秋から2018年春まで、プラハ響のレジデント・アーティストとなり、各シーズン3回、指揮、歌、クーラの作曲した曲の初演など、多彩なプログラムのコンサートを行ってきました。
昨年春でレジデント契約は終わりましたが、その後も双方が引き続き関係を維持することを望み、今回のコンサートが企画されたそうです。
この記事では、告知記事やリハーサルの様子、初日の写真などを紹介したいと思います。
初日を終えた段階で、すでに素晴らしいレビューが出て、観客からもSNS上に感動の声がアップされています。レビューについては、のちほど紹介できればと思います。
→ これまでのプラハ響関係の記事まとめ (2018年以降) (2015~2017年)
JOSÉ CURA IN HIS FAMOUS ROLES
GIUSEPPE VERDI Otello
RUGGIERO LEONCAVALLO I Pagliacci
CAMILLE SAINT-SAËNS Samson et Dalila
BENJAMIN BRITTEN Peter Grimes
José CURA | tenor
PRAGUE PHILHARMONIC CHOIR
Jakub ZICHA | choirmaster
PRAGUE SYMPHONY ORCHESTRA
Jacques LACOMBE | conductor
RUGGIERO LEONCAVALLO I Pagliacci
CAMILLE SAINT-SAËNS Samson et Dalila
BENJAMIN BRITTEN Peter Grimes
José CURA | tenor
PRAGUE PHILHARMONIC CHOIR
Jakub ZICHA | choirmaster
PRAGUE SYMPHONY ORCHESTRA
Jacques LACOMBE | conductor
≪プログラム≫
●ヴェルディ オテロ
●レオンカヴァッロ 道化師
●サン=サーンス サムソンとデリラ
●ブリテン ピーター・グライムズ
ソリストはクーラ1人。単にオペラアリアを歌うというのでなく、プラハ響、約60人のプラハフィルハーモニー合唱団とともに、クーラが選んだオペラのいくつかのシーンを歌うというプログラムのようです。
非常にぜいたくなコンサートですね。
≪コンサートにむけたクーラのコメントより≫
このコンサートにむけたクーラのコメントが、メディアの告知やプラハ響のHPに掲載されていました。いくつか紹介します。
――ここでのすべての素晴らしい出来事はプラハ響とともに
プラハ響は私にとってたくさんのことを意味する。私がプラハとの強い関係を築いたのは、このオーケストラを通してであった。 私がここでやった素晴らしいことは、すべてこの彼らのおかげだ。
昨年、私はプラハ国立歌劇場でナブッコの演出・舞台デザインを行ったが、それまでの何年もの間、プラハ響が私の後ろに立っていた。そして彼らが、私をチェコの聴衆に紹介してくれた。
――自分の家にゲストを迎えるみたいな
私達は長年、ジャック(指揮者のジャック・ラコンブ氏)と良い友達だ。 私たちがプラハで一緒に仕事をするのは今回が初めて。 私は、彼が私のオーケストラを指揮することを非常に誇りに思うし、この会場は私の家のようなものだから、自分の家にゲストを迎えるみたいなものだ。
(「Prahatv」)
――長すぎるリスト
私の最も重要なキャラクターから抜粋してコンサートプログラムを作成するよう依頼されたとき、私が最初にしたことは、最も愛する役柄をリストアップすることだった。そうすることで、それがいくつのキャラクターなのかを実感した。そのリストは、一晩で聞くには長すぎた...。
それで私は、キャリアの中で画期的な出来事を選んで、歴史の順に並べることにした。
(「Prazskypatriot」)
――4つのタイトルロール
コンサートのプログラムの中で、サムソンとデリラは、私が演出・舞台デザインをし、最初に非常に大きく成功した演目だった。
オテローーそれは、歌手、演出家、そして指揮者として、常に、私にとって重要な芸術的パフォーマンスを生み出す機会を与えてくれる素晴らしい作品だ。
ショービジネスの世界における栄光と悲惨の関連を明らかにする道化師のカニオ。
そしてついにピーター・グライムズ。長い間、私はこの苦悩する漁師を演じたかった。自分でパフォーマンスをしたとき、初めて、演技のパレットの上で、自分がこれまでやったことのない広い範囲のカラーを発見した。
(プラハ響FBより)
――4つのタイトルロール
コンサートのプログラムの中で、サムソンとデリラは、私が演出・舞台デザインをし、最初に非常に大きく成功した演目だった。
オテローーそれは、歌手、演出家、そして指揮者として、常に、私にとって重要な芸術的パフォーマンスを生み出す機会を与えてくれる素晴らしい作品だ。
ショービジネスの世界における栄光と悲惨の関連を明らかにする道化師のカニオ。
そしてついにピーター・グライムズ。長い間、私はこの苦悩する漁師を演じたかった。自分でパフォーマンスをしたとき、初めて、演技のパレットの上で、自分がこれまでやったことのない広い範囲のカラーを発見した。
(プラハ響FBより)
初日の様子を伝える写真(プラハ響FB)
リンク先に、クーラのミニインタビュー、リハーサルの様子を伝えるニュース動画があります。
プラハ響FBより、コンサートのプログラムを紹介する指揮者のジャック・ラコンブ氏
ラコンブ氏がFBにアップした告知ポスター
プラハ響FBに掲載されたコンサート告知のミニ動画
3年間のレジデントアーティストとしての協力関係、様々なチャレンジを経て、今回は、歌手としてのクーラの真骨頂を発揮するオペラのコンサートでした。
この4つの役柄は、クーラも説明しているように、長年歌い続けてきた役柄であり、またグライムズのように長年歌いたいと願い続けてきてようやく実現した役柄です。最近では、クーラのオペラ出演は、主にこの4演目がメインになっているとも言えます。円熟の表現者、解釈者として、オケと合唱をバックに、クーラの到達点を示す舞台だったのではないでしょうか。
録音や動画はまだ見つかりませんが、レビューや観客の反応からも、クーラの存在感、歌唱と表現力、キャラクターのドラマ・・クーラがキャリアの画期となった役柄として選んだだけあって、それぞれが素晴らしい舞台だったようです。現地に行けないのは本当に残念です。
ぜひ、DVDや録画の配信などをお願いしたいです。
*画像はプラハ響のFBやHPなどからお借りしました。