今年2020年は、作曲家ベートーヴェン(1770~1827)の生誕250周年のメモリアル・イヤーです。12月16日が誕生日といわれています。
ホセ・クーラにとっても重要な作曲家であり、指揮者としての活動において最も多く指揮した作曲家の1人が、ベートーヴェンなのだそうです。またコロナ禍で来年2021年8月に延期となりましたが、ベートーヴェン生誕地のドイツ・ボンで開催されるメモリアル・コンサートに出演する予定もありました。
今回はベートーヴェン生誕250周年にちなんで、クーラが昨年2019年に、中東・オマーンの首都マスカットでベートーヴェンの交響曲第9番を指揮した時のことを紹介したいと思います。クーラはビゼーのオペラ「カルメン」のドン・ジョゼにテノール歌手として出演しながら、その合間をぬって第9を指揮しました。
クーラ自身がその公演の動画をアップしていますので、リンクも掲載しています。
≪ベートーヴェン生誕を祝う王立歌劇場マスカットのツイート≫
●王立歌劇場マスカットのツイッターより
オマーンの王立歌劇場マスカットが、クーラが指揮した第九の写真を掲載して、ベートーヴェン生誕250年をお祝いしていました。
Happy Birthday #Beethoven, born this day 250 years ago in Bonn, Germany. Flash back to Beethoven’s 9th Symphony in 2019 with the Orchestra and Choir of Teatro Colón Buenos Aires led by José Cura. #Beethoven250 #ROHM pic.twitter.com/s5yI8GbBTM
— Royal Opera House (@ROH_Muscat) December 17, 2020
≪クーラ指揮、王立歌劇場マスカットでのベートーヴェン交響曲第9番≫
●クーラのFBより (2019年9月14日)
” ベートーヴェン第9番第3楽章のスナップショット。素晴らしいパフォーマンスだった。 一緒に素晴らしいコンサートをしてくれたアルゼンチンの仲間たちに感謝。”
●クーラの公式YouTubeチャンネルにアップされた第九の録画(全編)
Beethovens Ninth Symphony, Muscat 2019 (YouTubeのページにとんでから視聴できます)
Orchestra and Choir of the Teatro Colón in Buenos Aires
Solistas: María Belén Rivarola, Guadalupe Barrientos, Enrique Folger, Cristián Pellegrino.
Director: José Cura
”2018年、プラハ国立歌劇場でナブッコのプロダクションのリハーサルをしていた時、友人であり王立歌劇場マスカットの芸術監督であるウンベルト・ファンニ氏からの電話を受けた。
―― あなたに、私たちの劇場の2019/2020シーズン開幕に出演してほしい。もしその時期フリーで、望むのなら、どの劇場と一緒に行きたい?
彼は聞いてきた。「テアトロコロン」、一瞬の迷いもなく私は答えた。そこで、2019年9月、ビゼーの「カルメン」とベートーベンの第9交響曲でシーズンをスタートさせた。
テアトロコロンの芸術グループの歴史の中で初めて、この素晴らしいアンサンブルが大西洋を横断し、彼らの比類のない品質を証明できたことをとても誇りに思う。
これはベートーヴェン第9交響曲のコンサートのライブ録音。アーカイブ用の固定カメラとマイクだけで録画されたものであるが、その夜のすべての人たちのエネルギーとコミットメントの鮮明な証拠だ。楽しんで!”
≪ 2019年公演当時の劇場や関係者のサイト、SNSより ≫
*王立歌劇場マスカットの告知サイト
Soprano María Belén Rivarola
Mezzosoprano Guadalupe Barrientos
Tenor Enrique Folger
Bass Christian Peregrino
Conductor
José Cura
Choir and Orchestra of Teatro Colón of Buenos Aires
●王立歌劇場マスカットのFBより
●同行取材した記者のFBより
●クーラの友人であり、王立歌劇場マスカットの芸術監督ファンニ氏のインスタより
” ホセ・クーラがロームで指揮した素晴らしいベートーヴェンの第9交響曲"
●共演したテアトロコロンのテノール歌手のFBより
" ベートーヴェンの第9交響曲を彼のバトンの下で歌うことができたのは、何という喜び、興奮、そして特権だろうか。
もっとたくさん! ”
≪ 公演当時のレビュー ≫
●普遍的な自由と喜びを達成する音楽の勝利
17/09/2019
現在オペラ「カルメン」を上演中である王立歌劇場マスカットは、金曜日の夜、ブエノスアイレスのコロン劇場のオーケストラとコーラスによるベートーヴェンの第9交響曲の見事なパフォーマンスをおこなった。オペラのキャストが声を休ませている間、ピットのミュージシャンが、世界中のコンサートホールでもめったに提供されない壮大なプレゼンテーションのために、ステージ中央に配置された(カルメンの闘牛場のセットを背景にして)。
さらに特別なのは、ホセ・クーラが、「カルメン」の主役テノールのドン・ジョゼから、公演のマエストロに役割を変えて、ベートーヴェンが1824年に作曲した偉大な合唱交響曲のために、100人の強力なオーケストラと90人の合唱団メンバーを指揮したことだ。
コンサートの前にチケット購入者は、教育およびアウトリーチ部門を代表する王立歌劇場の取締役会顧問であるナセル・アル・タイ博士による、ベートーヴェン最後の重要な交響曲の背景を説明する講演会に招待された。その音楽構造、モチーフの周期的使用、そして作曲家の人生のなかで作品がどう位置付けられるかを明快に分析した。このような洞察力を武器に、4つの楽章による70分間の公演が、より多くのコンサート参加者にとって、よりアクセスしやすく、楽しむことができた。
1公演だけのパフォーマンスが売り切れただけでなく、劇場は、予備席もない状態で立見席まで詰め込まれていたといっていいだろう。照明が消え、ミュージシャン、コーラス、ソリストの全員がステージに上がり着席するまでに数分かかった。最後に指揮者のホセ・クーラが、コンサートマスターのフレディ・ヴァレラ・モンテロを伴って表彰台に上った。
・・(中略)・・
クーラのバトンが降ろされると、劇場内は爆発的な拍手に包まれた。 ホセ・クーラは舞台上を飛び回ってソリストを抱きしめ、その夕べのさまざまなソロミュージシャンが彼らにふさわしい拍手を受けられるように指示した。それは驚異的なパフォーマンスに対するエネルギッシュな結論だった。
(「omanobserver.om」)
*画像は、劇場のSNSや報道などからお借りしました。