前回の記事に続いて、ホセ・クーラがエストニアで出演した2021年11月18、19日のコンサートから、舞台写真を中心に紹介したいと思います。
もともと今回のコンサートは5月に予定されていたのですが、コロナ禍のため延期になり、11月にスケジュールを組みなおしたものです。幸い、無事に開催され、ラジオ放送で聞くこともできました。
冒頭からクーラのトークが始まります。コロナ禍で久しぶりの満員のホールで歌える喜び、また恒例となった携帯電話のチェックのお願い(苦笑)など、相変わらず率直で、ユーモアたっぷりです。
12月4日現在、まだ聞くことはできますので、ぜひ以下の画像に張ったリンクからどうぞ!
Performers:
José Cura (tenor)
Monika-Evelin Liiv (mezzo soprano)
Rovshan Mamedkuliyev (guitar, Russia)
Estonian National Symphony Orchestra
Conductors José Cura and Mario De Rose
今回のコンサートは前半、後半に分かれていました。ラジオだけでは、舞台がどんな配置、雰囲気だったかわかりにくいと思いますので、主催者のFBから画像をいくつかお借りして紹介したいと思います。
≪ 前半① ―― アルゼンチン歌曲 ≫
前半のアルゼンチン歌曲では、室内楽編成のオケとソロのギターとピアノを配置し、その中央付近にクーラが座って、最小限の動作で指揮をしながら歌っています。これはこの間の、アルゼンチン歌曲コンサートで共通しているようです。
そしてクーラは、オケやギタリスト、ピアニストと対話をしているような親密な雰囲気で歌い、また曲の間には、ユーモアたっぷりのトークで客席を和ませていました。
≪ 前半② ――クーラ作曲のギター交響曲 ≫
前半の2つめの部分は、クーラがパンデミック中に作曲した、オーケストラとギターのための協奏曲「復活ための協奏曲」です。
少年のころからギターを習ってきたクーラは、長年、ギター協奏曲を作曲したいと思っていたけれども、舞台のスケジュールが多忙すぎて、なかなか着手できなかったそうです。そして昨年来のパンデミックに直面、突然のステイホームによってできた時間を、作曲に注ぎ込んで完成したのがこの曲とのことでした。表題にはパンデミック後への希望を込め、「復活」という言葉が入っています。
ラジオの音だけでは誰が指揮をしているのかわかりませんでしたが、写真を見るとやはり作曲者のクーラが指揮をしていました。ギタリストにロシアのロブシャン・マメドクリエフ氏を迎えています。このギター協奏曲は、今年9月にドイツのザールブリュッケンで世界初演され、今回が2回目、そして初めて録音されラジオで公開されました。
≪ 後半 ーー オペラのアリアとデュエット ≫
後半、クーラは歌手として、オペラのアリアをやゲストのメゾソプラノのモニカさんとデュエットをしました。指揮は同郷で友人のマリオ・デ・ローズ。
クーラが歌ったのは、レオンカヴァッロのオペラ「道化師」から、通常バリトンが歌う「プロローグ」、続いて主人公カニオの「衣装をつけろ」、マスカーニの「カヴァレリア・ルスティカーナ」からトゥリッドゥとサントゥッツァの二重唱。
そしてアンコールと思われるのが、プッチーニの「トゥーランドット」から「誰も寝てはならぬ」、最後は、クーラのイエスタディの弾き語りでした。
●コンサート主催者のFBに掲載された70枚近い舞台写真
こちらに、紹介した写真以外にもたくさんの写真がありますので、ぜひご覧になってください。アルバム名をクリックすると見られます。
●共演したギタリスト・マメドクリエフ氏のインスタより
●オケのメンバーのインスタより
●リハーサルの様子とクーラのインタビュー動画
クーラがアルゼンチン歌曲の指揮をしているリハーサルの様子が収録されています。また、クーラのインタビュー動画、リトアニアとの出会い、西部の娘を演出・指揮したこと、様々な活動をすること、才能という種を伸ばす努力について、エストニア初演のギター協奏曲について等々……を英語で語っています。
●クーラが作曲したギター協奏曲のスコアの写真とラジオ生中継の告知ーークーラのFBより
” 金曜日のエストニア時間19:00(18:00中央ヨーロッパ)、タリンでの私のコンサートの生放送を聴いてほしい。素晴らしいプログラムのなかでも、エストニア初演の私のギター協奏曲「Concierto paraunResurgir」が、ロブシャン・マメドクリエフ氏のギター演奏で、初めて放送される。 お見逃しなく! ”
●主催者のFBに掲載されたコンサートの告知動画
●コンサート告知でのクーラ紹介記事
(抜粋)
……
アルゼンチン出身のオペラテノール、ホセ・クーラが、エストニア国立歌劇場(Rahvusooper)、メゾソプラノのモニカ=エブリン・リーヴ、エストニア国立交響楽団(ERSO)とともに、金曜日の夜にタリンで公演を行う。
クーラは、指揮者、作曲家、そして歌手という実質的に3つの異なる役割を担い、レオンカバッロのオペラ「道化師」、マスカーニのオペラ「カヴァレリア・スルティカーナ」…のアリアを演奏する。
「地球の反対側に旅して、自分で作曲した歌とともに演奏するというのは、最高に素晴らしく、言いようのない気分。一緒に育ってきた作品たちだ」とクーラは語った。
エストニアでは、クーラ自身が作曲したギター協奏曲「Concierto para un Resurgir(「復活のための協奏曲」)」も初演される。この曲は、コロナウイルスのパンデミックの際に制作されたもので、ライブ音楽が苦しめられている静寂の日々が早く終わるようにという願いが込められている。「創作の着想は、混乱した時代に誠実さと真摯さを示した人々への賛辞でありたいということ」とクーラは語っている。
ホセ・クーラが1990年代の後半に、世界的に有名になった。そのパワフルなテノールの声は、世界のトップオペラハウスの舞台で披露され、2011年のサーレマ・オペラ・デイズで初めてエストニアの観客の前に姿を現し、厳しい批評家たちをも魅了した。
エストニア国立オペラが新シーズンのフェアを開催
2018年9月には、エストニア国立オペラでプッチーニの「西部の娘」で、演出家、指揮者、舞台・照明家を務めた。
…
●エストニア国立交響楽団のシーズンパンフレットより
*画像は主催者、オーケストラのSNS,HPからお借りしました。