人と、オペラと、芸術と ~ ホセ・クーラ情報を中心に by Ree2014

テノール・指揮者・作曲家・演出家として活動を広げるホセ・クーラの情報を収集中

2021年 ホセ・クーラ、スイスでアルゼンチン歌曲のコンサート(無観客・ライブストリーミング)

2021-02-19 | アルゼンチンや南米の音楽

 

 

 

2021年2月9日、ホセ・クーラの11か月ぶりのコンサート出演が実現しました。

スイスのチューリッヒ近くの町、ヴィンタートゥールでのアルゼンチン音楽のコンサートです。オーケストラは、ヴィンタートゥールムジークコレギウムで、1629年に創立された非常に歴史の古いオケです。独自の活動の他、チューリッヒ歌劇場のピットでも演奏しているそうです。クーラは長年にわたり、チューリッヒ歌劇場のオペラに出演してきましたので、オケとの信頼関係も深いのかもしれません。

コロナ禍のため、残念ながら無観客で実施されることとなりましたが、ライブストリーミングされ、試聴することができました。またオケの公式YouTubeチャンネルに録画も掲載されています。限定公開のため、いつまで視聴できるのかわかりませんが、楽しく美しいコンサートでしたので、ぜひご覧になってみてください。

約1時間半、休憩なしで、クーラ自身がオーケストラ用に編曲したアルゼンチンの作曲家による歌曲30曲を、クーラ自身が指揮をしながら歌っています。

 

 

 

 

 

 

 

●ヴィンタートゥールムジークコレギウムの公式チャンネル掲載の動画リンク

(*はじめの10分ほどはまだ黒い画面で、始まりません。11分少し前にクーラが入場、話し始めます)

 

 

 

Musikkollegium Winterthur
LEITUNG UND TENOR José Cura
SOLIST Barbora Kubikova, guitar


ARGENTINISCHER ABEND MIT JOSÉ CURA  09. FEB 2021

Argentine songs for tenor, chamber orchestra, piano and guitar in arrangements by José Cura

 

                                                (作者)          (曲名の直訳)

Intro    

1、Hilda Herrera „Desde el fondo de ti“   ヒルダ・エレーラ(1933~)     「あなたの奥深くから」

2、María Elena Walsh „Postal de guerra“  マリア・エレナ・ウォルシュ(1930 – 2011)  「戦地からの葉書」

3、Carlos Guastavino „Violetas”      カルロス・グアスタヴィーノ(1912 – 2000)  「すみれ」

4、Carlos Guastavino „Pájaro muerto”      同                  「死んだ鳥」

5、Carlos Guastavino „Se equivocó la Paloma”   同                 「鳩のあやまち」

6、Carlos Guastavino „Préstame tu pañuelito”            同           「あなたのハンカチを貸して」 

7、Carlos Guastavino „El albeador”       同                   「アルバドール」

8、Carlos Guastavino „Romance de José Cubas”  同            「ホセ・クーバスのロマンス」

9、Alberto Ginastera „Canción del árbol del olvido”  アルベルト・ヒナステラ(1916 –1983)  「忘却の木の歌」

10、José Cura „Pensé morir”         ホセ・クーラ(1962~)作曲    「私は死ぬと思った」

11、Carlos Guastavino „La Rosa y el Sauce”  カルロス・グアスタヴィーノ   「バラと柳」

12、Carlos Guastavino „Cortadera Plumerito”  カルロス・グアスタヴィーノ  「コルタデラ プルメリト」  

13、Carlos Guastavino „¡Qué linda la madreselva!“  カルロス・グアスタヴィーノ 「スイカズラはなんて美しいのだろう」

14、Carlos Guastavino „La flor del aguapé”     同            「アグアペの花」

15、Carlos Guastavino „Ay, aljaba, flor de chilco...”  同            「ああ、矢筒のようなツリウキソウの花」

16、Carlos Guastavino „Cuando acaba de llover”     同          「雨が降り出した時」

17、Carlos Guastavino „Yo, maestra”        同            「私、先生」

18、Carlos Guastavino „Ya me voy a retirar”       同          「私は引退する」

19、Carlos Guastavino „Los días perdidos”      同           「失われた日々」

アンコール曲 

 

 

 

 


 

 

 

●公式チャンネルの動画が非公開になった場合は、以下のリンクでご視聴ください。アルゼンチンのラジオ局が放送し、アップしているもののようです。

 

Concierto de José Cura desde Suiza por Radio Rosario Clásica fm 90.7

 

 

 

 

 

 

 

 


 

 

●現地でのクーラのFB投稿より 

 

 

”ヴィンタートゥールで雪とともに目を覚ました。リハーサルを終え、準備完了だ! 私たち全員は距離をとり、通常のコンサートとは違う。20人が80人分のステージに広がる。私はオーケストラから10メートルほど離れ、彼らは全員、顔でのコミュニケーションを難しくするマスクを着ているが、しかし雰囲気は最高、愛は感じ合える!!! 19:30、忘れずに!”

 

 

 

 

 

 

 

 


 

 

≪ それはコミュニケーションのイベントだった ーー レビューより ≫

 

 

"興味深いのは、ホセ・クーラとの夕べだった。彼はアルゼンチンの作曲家の歌で聴衆を喜ばせた。芸術的な観点からは初めてのことではなく、そのプログラムも初めてではなかったが、洗練された雰囲気の中で、メロディックに彩られた、メランコリックな表現力とユーモラスな音楽、ホセ・クーラ自身によるオーケストラのためのアレンジ。それは彼が語ったように11か月ぶりのコンサートであり、最初のストリーミングイベントだった。”

”それはコミュニケーションのイベントであり、ホセ・クーラはまるでテレビ番組であるかのように存在していた。彼はリラックスして魅力的で、瞑想的で、ユーモラスで、家で見ている私たちとコミュニケーションを取り合っていた。”

”彼がジェスチャーを通じてオーケストラともコミュニケーションを取っているという事実は、驚くほど自然に思えた。曲の叙情的な内容が複雑なものでないことを残念に思う人もいるかもしれないが、しかし、彼の活力と深みのある声はそれを忘れさせ、ギタリストのバーバラ・クビコワの演奏を含む楽器の貢献が多くの魅力をもたらした。アルベルト・ヒナステラという作曲家はからよく知られているが、カルロス・グアスタヴィーノが前面に押し出され、クーラは、音楽の解釈者であるだけでなく、パブロ・ネルーダの詩の作曲によって作曲家でもあることが証明された。”

 

 

 

 

 


 

 

クーラは、2020年3月15日にドイツ・ハンブルクでヴェルディのオテロに出演して以来、1年近く、コロナ禍によってすべての公演がキャンセルされ、ステイホームを余儀なくされていました。その間、繰り返しロックダウンに見舞われたマドリードで、健康を維持しながら、作曲やオーケストレーションなどで創造的な仕事を続けていました。しかし舞台に生きるクーラにとって、生のステージに立てない苦悩は大きなものだったと思います。

動画では、ようやく舞台に帰ってきたクーラの喜び、オケと一緒に音楽をつくっていく楽しさを噛み締めながら、味わいながら、歌い指揮する姿が映し出されています。繰り返しオケへの感謝の言葉も述べているようです。英語で語っていて字幕がないために、私には何を言っているのか十分理解できないのが残念です。今回のストリーミングは原則無料で配信され、限定公開でオンデマンド視聴もできましたが、オケの運営を支援するために、クーラも「ぜひ寄付を」と呼びかけていました。

コロナ禍を克服し、通常の形でコンサートやオペラが上演できるのは、いつ頃になるのでしょうか。アーティストと音楽・文化芸術関係者の皆さんの先の見通せない不安や経済的困難はまだまだ大きなことだと思います。ワクチンの普及をはじめとして、世界が困難を克服でき、文化・芸術活動の新たな本格的スタートが可能になる日を心から待ち望んでいます。

 

 

 

 

*写真はコンサート動画より


コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 2020年 ホセ・クーラ インタ... | トップ | ホセ・クーラ、南ボヘミア・... »

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。