俳優の加藤武さん、サウナで倒れ急死 86歳 前日まで元気だったのに……
(スポニチアネックス 2015年8月2日付け記事より)
劇団文学座の代表で、市川崑監督の映画「金田一耕助シリーズ」の警察官役など、名脇役として活躍した俳優の加藤武(かとう・たけし)さんが7月31日夜、東京都内の病院で死去した。86歳。死因は不明。東京都出身。葬儀・告別式は親族だけで行う予定。持病はなく、最近も多忙な日々を過ごしていたが、トレーニングに訪れたスポーツジムのサウナで倒れ、帰らぬ人となった。
文学座によると、加藤さんは大きな病気をした経験がなく、最近も元気だった。時間があればスポーツジムに通い、エアロビクスなどで汗を流していた。31日はジムのサウナで汗を流していた際に倒れた。都内の病院に搬送され、死亡が確認された。詳しい死因は分からないという。
亡くなる前日の30日には、東京・信濃町の文学座で、月次定例会に出席。普段と変わらぬ様子だったといい、関係者は「全くもって元気だった。」と驚きを隠さない。17日には俳句の会に出席、19日には朗読会を上演していた。
9月26日から岐阜県可児市で主演舞台『すててこてこてこ』が上演される予定で、今月後半から始まる稽古に向けて準備していた矢先の訃報だった。
加藤さんは、1929年5月24日、東京都・築地小田原町(現・中央区)生まれ。早稲田大学英文科卒業後、中学校教諭を経て、1952年に文学座に入団。こわもての風貌と愛きょうのある演技で、悪役や個性の強い役どころを務め、2007年に亡くなった北村和夫さんとともに、文学座の中核俳優として活躍した。
市川崑監督の映画『犬神家の一族』(1976年)や『八つ墓村』(1996年)などの、横溝正史原作の「金田一耕助シリーズ」で演じた警察官役では、「よーし、分かった!」の決めゼリフで作品に欠かせない存在だった。その他、『隠し砦の三悪人』(1958年)などの黒澤明監督作品にもたびたび出演。『悪い奴ほどよく眠る』(1960年)では、同じシーンを30回以上撮り直し、強烈な照明の熱さに耐えかねて倒れそうになったことも。「三船敏郎さんがひゅっと差し出した水を飲んだら、はっと我に返り、それで OKが出た。」とスターから受けた恩を忘れず、半世紀以上たってもうれしそうにこのエピソードを語っていた。
『仁義なき戦い』、『釣りバカ日誌』といった人気映画シリーズや、『風林火山』(2007年)などの NHK大河ドラマでも、印象的な脇役を演じた。今年2月、演劇界への長年の貢献が認められ、読売演劇大賞の芸術栄誉賞を受賞した。
加藤さんは、演技以外の活動にも精力的だった。太鼓打ちの名手としても知られ、低音の声で朗読劇や海外ドラマ、アニメの吹き替えでも活躍。今年1月に都内で行った朗読独演会では、「舞台でも何でもやりたい。いつも意欲を持ってないと駄目。命ある限りやってやりたい。」と熱く語っていた。
夫人を1995年に亡くしてからは一人暮らし。2人の娘がいる。
東京都杉並区内にある加藤さんの自宅は、電気がついておらずひっそりとしていた。訃報を知り自宅前に来た女性は、「よくセリフの練習をされていて、声が外に漏れ聞こえていました。」と語り、別の女性は、「よく自転車で買い物に出掛けられてました。先月お見掛けした時はお元気そうだったのに……」と、突然の悲報に驚いていた。
葬儀・告別式は親族のみで行う。文学座が、お別れの会か劇団葬を開くことを検討している。
……無茶をするのは、捜査だけにしてほしかった。
2代目・橘警察署長(『犬神家の一族』)にして8代目・等々力大志警部にして、11代目・磯川常次郎警部たる加藤武さん、逝く……って、刑事役やりすぎだろ!! おまけに『天河伝説殺人事件』でもセルフパロディやっちゃってるし。
しかし、悲しむべき訃報であることは当然なのですが、齢86にして、「事故死」なわけでしょ? これは、たぶん。
すごいですよね……まだまだ現役で生きていく気マンマンだったんじゃないですか!! そのご高齢でまだ「寿命」じゃなかったって、あなた! 松永弾正久秀じゃないんですから……
個人的には、作品がおもしろかったかどうかは別にしても、市川版『獄門島』(1977年)のころの絞り込まれたスタイルがいちばん好きだったなぁ。その後はじょじょ~に丸くなってきてましたからね。あのキャラクターは太ってると、どうもねぇ。胃薬のんで捜査してるくらいなんだから。
でも、歳を重ねてつけ眉毛もカドも取れた、「片岡金田一シリーズ」の磯川警部役もステキだったなぁ。いや、俳優として活き活きとしてらっしゃったのは、むしろこっちのほうだったのかも知れませんよね。
なんか、ただの訃報に終わらず、「えっ!?」と唖然としてしまうような、どことなく陽性な去り際になってしまっているのが、いかにも加藤武さんらしい、みたいな。
まぁなんにしても、体調管理は大事ですよ、ホント! いや、ご本人は確信的に体調管理のつもりでやってらっしゃったんでしょうが、過度なトレーニングが逆にあだとなってしまった感は、どうにもいなめず。
80代で一人暮らし……いまどき珍しくない話ではあるんだろうけど、天下の文学座の代表ですし。損失ははかり知れないやね。
あ~、加藤さんの「ダメ刑事」パターンを一新してくれる新星が活躍する、ちゃんと横溝原作をもとにしている金田一耕助シリーズ、出てきてくんないかなぁ。
でも、そもそも原作小説に出てくる刑事さんがたって、あれほどダメじゃないんですよね……やっぱり、演じる俳優の個性が直接の動力源になって生まれるオリジナルキャラクターって、単純なだけ強いよなぁ。しかもただ陰険なだけじゃなくて、実は節度のあるいい人だしね。ズルい!
とにもかくにも、合掌。
(スポニチアネックス 2015年8月2日付け記事より)
劇団文学座の代表で、市川崑監督の映画「金田一耕助シリーズ」の警察官役など、名脇役として活躍した俳優の加藤武(かとう・たけし)さんが7月31日夜、東京都内の病院で死去した。86歳。死因は不明。東京都出身。葬儀・告別式は親族だけで行う予定。持病はなく、最近も多忙な日々を過ごしていたが、トレーニングに訪れたスポーツジムのサウナで倒れ、帰らぬ人となった。
文学座によると、加藤さんは大きな病気をした経験がなく、最近も元気だった。時間があればスポーツジムに通い、エアロビクスなどで汗を流していた。31日はジムのサウナで汗を流していた際に倒れた。都内の病院に搬送され、死亡が確認された。詳しい死因は分からないという。
亡くなる前日の30日には、東京・信濃町の文学座で、月次定例会に出席。普段と変わらぬ様子だったといい、関係者は「全くもって元気だった。」と驚きを隠さない。17日には俳句の会に出席、19日には朗読会を上演していた。
9月26日から岐阜県可児市で主演舞台『すててこてこてこ』が上演される予定で、今月後半から始まる稽古に向けて準備していた矢先の訃報だった。
加藤さんは、1929年5月24日、東京都・築地小田原町(現・中央区)生まれ。早稲田大学英文科卒業後、中学校教諭を経て、1952年に文学座に入団。こわもての風貌と愛きょうのある演技で、悪役や個性の強い役どころを務め、2007年に亡くなった北村和夫さんとともに、文学座の中核俳優として活躍した。
市川崑監督の映画『犬神家の一族』(1976年)や『八つ墓村』(1996年)などの、横溝正史原作の「金田一耕助シリーズ」で演じた警察官役では、「よーし、分かった!」の決めゼリフで作品に欠かせない存在だった。その他、『隠し砦の三悪人』(1958年)などの黒澤明監督作品にもたびたび出演。『悪い奴ほどよく眠る』(1960年)では、同じシーンを30回以上撮り直し、強烈な照明の熱さに耐えかねて倒れそうになったことも。「三船敏郎さんがひゅっと差し出した水を飲んだら、はっと我に返り、それで OKが出た。」とスターから受けた恩を忘れず、半世紀以上たってもうれしそうにこのエピソードを語っていた。
『仁義なき戦い』、『釣りバカ日誌』といった人気映画シリーズや、『風林火山』(2007年)などの NHK大河ドラマでも、印象的な脇役を演じた。今年2月、演劇界への長年の貢献が認められ、読売演劇大賞の芸術栄誉賞を受賞した。
加藤さんは、演技以外の活動にも精力的だった。太鼓打ちの名手としても知られ、低音の声で朗読劇や海外ドラマ、アニメの吹き替えでも活躍。今年1月に都内で行った朗読独演会では、「舞台でも何でもやりたい。いつも意欲を持ってないと駄目。命ある限りやってやりたい。」と熱く語っていた。
夫人を1995年に亡くしてからは一人暮らし。2人の娘がいる。
東京都杉並区内にある加藤さんの自宅は、電気がついておらずひっそりとしていた。訃報を知り自宅前に来た女性は、「よくセリフの練習をされていて、声が外に漏れ聞こえていました。」と語り、別の女性は、「よく自転車で買い物に出掛けられてました。先月お見掛けした時はお元気そうだったのに……」と、突然の悲報に驚いていた。
葬儀・告別式は親族のみで行う。文学座が、お別れの会か劇団葬を開くことを検討している。
……無茶をするのは、捜査だけにしてほしかった。
2代目・橘警察署長(『犬神家の一族』)にして8代目・等々力大志警部にして、11代目・磯川常次郎警部たる加藤武さん、逝く……って、刑事役やりすぎだろ!! おまけに『天河伝説殺人事件』でもセルフパロディやっちゃってるし。
しかし、悲しむべき訃報であることは当然なのですが、齢86にして、「事故死」なわけでしょ? これは、たぶん。
すごいですよね……まだまだ現役で生きていく気マンマンだったんじゃないですか!! そのご高齢でまだ「寿命」じゃなかったって、あなた! 松永弾正久秀じゃないんですから……
個人的には、作品がおもしろかったかどうかは別にしても、市川版『獄門島』(1977年)のころの絞り込まれたスタイルがいちばん好きだったなぁ。その後はじょじょ~に丸くなってきてましたからね。あのキャラクターは太ってると、どうもねぇ。胃薬のんで捜査してるくらいなんだから。
でも、歳を重ねてつけ眉毛もカドも取れた、「片岡金田一シリーズ」の磯川警部役もステキだったなぁ。いや、俳優として活き活きとしてらっしゃったのは、むしろこっちのほうだったのかも知れませんよね。
なんか、ただの訃報に終わらず、「えっ!?」と唖然としてしまうような、どことなく陽性な去り際になってしまっているのが、いかにも加藤武さんらしい、みたいな。
まぁなんにしても、体調管理は大事ですよ、ホント! いや、ご本人は確信的に体調管理のつもりでやってらっしゃったんでしょうが、過度なトレーニングが逆にあだとなってしまった感は、どうにもいなめず。
80代で一人暮らし……いまどき珍しくない話ではあるんだろうけど、天下の文学座の代表ですし。損失ははかり知れないやね。
あ~、加藤さんの「ダメ刑事」パターンを一新してくれる新星が活躍する、ちゃんと横溝原作をもとにしている金田一耕助シリーズ、出てきてくんないかなぁ。
でも、そもそも原作小説に出てくる刑事さんがたって、あれほどダメじゃないんですよね……やっぱり、演じる俳優の個性が直接の動力源になって生まれるオリジナルキャラクターって、単純なだけ強いよなぁ。しかもただ陰険なだけじゃなくて、実は節度のあるいい人だしね。ズルい!
とにもかくにも、合掌。