長岡京エイリアン

日記に…なるかしらん

突然炎のごとく……!!  総力特集 「せかいのサメ」 第2集

2013年10月29日 22時43分45秒 | 日記
ここでは、世界に400種生存していると言われるサメのうち、代表的な種を紹介します。

 第2回目にして、早くも私のいちばん大好きなサメが登場! キャーおばぁーちゃーん!!


ネズミザメ目(つづきその1 マオナガ・ニタリ・ハチワレ・シロワニ・オオワニザメ・ウバザメ・メガマウスザメ)

マオナガ(真尾長) Alopias vulpinus
オナガザメ科オナガザメ属

英名 …… Common thresher Shark (コモン・スレッシャー・シャーク)
体長 …… 3.6~7.6メートル

形態
 オナガザメ科の最大種。最大で全長7.6メートル、体重350キログラムに達する。体型は流線形。
 独特の美しさを持つこのサメは、何よりその長い尾ビレが特徴であり、長さは胴体とほぼ同じである。
 外見は同属のニタリと非常に類似し、しばしば見間違えられる。

体色
 背側の体色は灰色から黒色で、青みがかっている。側面はメタリックシルバー、もしくは銅色。腹側は白色である。腹側の白色は胸ビレの上まで伸びる。ニタリはこの白色が胸ビレの上に張り出さないことから、区別可能である。

分布
 世界中の熱帯から亜寒帯海域まで広く分布し、温帯海域に最も多い。沿岸から外洋まで生息し、高度回遊性で夏には北大西洋や北海にも現れる。海表面近くにいることが多いが、水深550メートルまででも見られる。幼魚は温帯の沿岸域で過ごす。

生態
 非常に活動的で、泳ぎが速い。奇網も発達し、冷たい海域でも速く泳げる。オスとメスは交尾期以外、別の海域に分かれて生息するらしい。
 胎盤を形成しない卵食型の胎卵生。メスは3~8歳で成熟し、妊娠期間は9ヶ月で毎年2~4尾の子どもを産む。寿命は約50歳と推定される。
 幼体は1.1~1.6メートル程度になるまでメスの胎内で育ち、産まれた後の成長速度は速い。

 餌生物は主に外洋性浮魚類(サケ、スズキなど)である。底生性魚類(カレイ、タチウオなど)やイカ、タコ、甲殻類、まれに海鳥も捕食する。独特な長い尾ビレは捕食行動に関係し、小魚などを叩いて気絶させたり致命傷を与えると考えられる。また、魚の群れを寄せ集める効果もあるとも考えられている。延縄(はえなわ)漁ではオナガザメの口ではなく尾ビレが針にかかっている場合が多い。

人との関わり
 マグロ延縄漁などで混獲され、肉やヒレ、皮、肝油が利用される。スポーツ・フィッシングの対象にもなる。他のオナガザメ類と同様、もともと低い繁殖速度を大幅に上回る量の漁獲があり、世界中で数が減少している。
 臆病な性質のためか人間には危害を加えないが、船に衝突してくることはある。


ニタリ(似たり) Alopias pelagicus
オナガザメ科オナガザメ属

英名 …… Pelagic thresher (ペラジック・スレッシャー)
体長 …… 3.8メートル

分布
 太平洋とインド洋の熱帯海域の表層に多く生息し、地中海も分布域に含まれる。しかし、分布域に関しては同属のマオナガと混同されている可能性があり、さらなる調査が必要である。主に外洋に生息するが、沿岸部にも現れる。生息水深帯は0~150メートル。

形態
 オナガザメ科では最も小型である。他のオナガザメ類と同様に、全長の半分を占める尾ビレをもつ。背側の体色は濃青色か灰色、側面はメタリックシルバー。腹側は白色である。腹側の白色は胸ビレの上までは伸びない。ニタリと非常によく似た同属のマオナガはこの白色帯が胸ビレの上まで伸びることから、これらの区別が可能である。また、同属のハチワレはこれら2種と異なり、頭部後方に目立つ溝があるので見分けやすい。

生態
 外洋性浮魚類(サケ、スズキなど)を主に捕食し、イカ類も餌生物に含まれる。
 胎盤を形成しない卵食型の胎卵生。子宮内の胎児は最初は自らの卵黄で成長し、体長が約12センチメートルになると他の未受精卵を食べ始める。1回で産む個体数は通常2尾で、2つの子宮それぞれに1尾が育つ。胎内から産まれる時の体長は160~190センチメートル。正確な妊娠期間は知られていないが、毎年出産すると考えられている。

人との関わり
 地域によっては漁業対象種になることもあるが、マグロ・カジキ延縄漁での混獲が主である。肉、ヒレ、肝油、皮が利用される。スポーツ・フィッシングの対象種でもあるが、繁殖速度が低いため個体数は減少している。
 人には無害である。


ハチワレ(八割れ) Alopias superciliosus
オナガザメ科オナガザメ属

英名 …… Big eye thresher (ビッグアイ・スレッシャー)
体長 …… 2.7~4.9メートル

マグロ延縄などで混獲され、肉や鰭、皮などが利用される。

分布
 世界中の熱帯から温帯海域の沿岸から外洋まで広く分布するが、詳細は分かっていない。海表面から水深500メートルの中層まで見られるが、多くは水深100メートル以深に生息している。

形態
 最大で全長4.9メートル、体重360キログラム。オナガザメ類に特徴的な長い尾ビレをもち、その長さは全長の半分を占める。目が非常に大きい。頭部の後方背側に深い切れ込みがあり、上から見ると「八」の字に割れているように見えることが和名の由来になっており、これによって他のオナガザメ類との区別が可能である。背側の体色はメタリックグレーで、褐色または紫色がかっていることもある。腹側は白色。上下のアゴの歯はほぼ同形。エッジが滑らかな三角形で、先端はやや内側に曲がる。

生態
 他のオナガザメ類に比べてやや深い場所に生息している。昼間は深海に住み、夜間に餌を求めて浅海に移動する「日周鉛直移動」を行う。内温性で奇網システムによる体温調節を行い、周囲の海水温よりも体温を恒常的に高く保っている。餌生物はサバ、ニシン、カジキ幼魚などの浮魚類、甲殻類、頭足類(イカ、タコ)など。尾ビレで獲物を叩いて気絶させ、捕食する。

 胎児が子宮内で未受精卵を食べて育つ卵食型の胎卵生。妊娠期間は12ヶ月で、1回に産む個体数は2~4尾(通常は2尾)。オスは270~290センチメートルで9~10歳、メスは330~360センチメートルで12~14歳で成熟する。幼体の産まれたときの体長は60~140センチメートル。
 成熟するのに10年かかり、産む子どもの数も少ないことから、漁獲によって生息数は減少している。

人との関わり
 主にマグロ延縄漁で混獲される。肉質は上等ではないが、フィレ、燻製、干物、塩漬けなどに調理される。また、ヒレはフカヒレ、皮は皮革製品に加工される。
 人に対する危険性はない。


シロワニ(白鰐) Carcharias taurus
オオワニザメ科シロワニ属

英名 …… Sand tiger shark(サンドタイガー・シャーク)、Grey nurse shark (グレイ・ナース・シャーク)
体長 …… 2.0~3.2メートル

 和名の「ワニ(鰐)」は、サメの古い別称である。

形態
 最大で全長320センチメートル、体重158キログラム。体型はがっしりした流線型で、太く重量感がある。頭部はやや平らで長い円錐形。口は大きく、常時半開きになっている。上下のアゴの歯はほぼ同形。歯の形状はキバ状で、前歯だけでなく、後ろの数列の歯も立ち上がっており、歯がずらりと並んだ外見は恐ろしい印象を与える。第1・第2背ビレはほぼ同じ大きさで、尾ビレは上部が長く伸びる。

体色
 背側の体色は明るい茶色から灰色で、腹側は白色。幼魚期の側面に薄い褐色の斑点が見られることもあるが、成魚では消失する。

分布
 全世界の温帯・熱帯の海域に生息しており、西大西洋はバミューダ海域からアルゼンチン、地中海、東大西洋はカナリア諸島からカメルーン、南アフリカ、紅海、オーストラリア、タスマニアに分布し、恐らくは西太平洋にも生息していると推測される。日本近海にも生息しており、沿岸性。

生態
 活動は夕方からで昼間は岩陰などでじっとしていることが多い。主な餌生物はサメやエイも含む魚類、甲殻類、頭足類(イカ、タコ)である。
 胎卵生。ネズミザメ目に見られる卵食型に分類されるが、シロワニの場合はその最も特殊化したタイプであり、未受精卵だけでなく同じ子宮内の他の胎児も捕食する共食い型でもある。体長約5センチメートルで孵化し、未受精卵や他の胎児を食べて成長する。子宮が2つあり、それぞれに1尾の胎児が生き残る。そのため、1回に産む個体数は最大で2尾である。妊娠期間は9~12ヶ月、子どもは体長1メートルになってから産まれてくる。
 水族館で好んで飼育されるサメで、人気がある。その凶暴な顔つきからは想像できないが、性格はおとなしく人を襲うことはないとされている。温厚な性格であることから、シロワニを「巨大な子犬」と呼んだ学者もいるという。

人との関わり
 世界中の海に広く分布しているが、一部の地域では数が減少している。特にオーストラリア東海岸や大西洋南東部では、顔つきだけで危険と判断した人間が過剰な駆除をおこなった時代があり、急速に個体数が減少した結果、絶滅の危機にさらされることになった。現在、オーストラリア政府はシロワニを厳重に保護し、個体数を増やす試みをおこなっているものの、具体的に回復したという報告はまだない。
 また、IUCN(国際自然保護連合 1948年に設立された国家と NGO団体からなる国際的な自然保護機関)は、このサメをレッドリストの中で「絶滅危惧第2類」に指定している。

 シロワニはダイバーたちのお気に入りで、よく一緒に泳いでいる姿が見られる。とはいえ、その鋭い歯は危険なため、まちがってもちょっかいをかけてはならない。


オオワニザメ(大鰐鮫) Odontaspis ferox
オオワニザメ科オオワニザメ属

別名 …… ミズワニ(ミズワニ科のミズワニとは別種)
英名 …… Smalltooth Sandtiger (スモールトゥース・サンドタイガー)
体長 …… 2.0~4.5メートル

形態
 最大全長はメス4.5メートル、オス3.4メートル、体重は最大800キログラム。外見はシロワニに非常によく似ているが、オオワニザメは第1背ビレが第2背ビレや尻ビレよりもかなり大きく、シロワニは第1背ビレと第2背ビレと尻ビレがほぼ同じ大きさであるため見分けがつく。また、オオワニザメは目の瞳孔がシロワニの線状と違って丸い。オオワニザメの方がシロワニよりも大きい。

体色
 背側が灰色または灰褐色。黄土色の斑点が背と側面の上部にあったり。身体全体に赤い斑点が散らばっていることもある。腹側は淡い灰色または白色で、胸ビレと腹ビレは少し暗い色をしている。幼魚はヒレの先端に黒い斑点があるものもいる。

分布
 世界中の熱帯から温帯の海域に広く分布すると推測されるが、報告例が少ないため詳細は判明していない。
 北大西洋の温暖な海域や東大西洋のガスコニー湾(北スペイン)、モロッコから南スペインとポルトガル沿岸、地中海、日本近海、オーストラリアなどの西太平洋、ハワイなどの中央太平洋、東太平洋では南カリフォルニア、カリフォルニア湾、南アフリカの沿岸に分布している。
 外洋の島や大陸棚の近辺に生息しているようである。表層から水深900メートルまでの深海に生息する。幼魚は水深200メートル以深で多く、表層には比較的大型な個体が見られる。
 延縄漁で散発的に漁獲されることがある。

生態
 餌生物は小さな魚類や頭足類(イカ、タコ)、甲殻類など。
 妊娠したメスが見つかっていないため繁殖様式は不明であるが、 シロワニと同様に卵食・共食い型の胎卵生であると予想される。
 推定される成熟サイズは、オスは体長2.0~2.5メートル、メスは体長3.0~3.5メートル。幼体が産まれたときの大きさは全長1.0~1.1メートルと推定されている。幼魚が比較的深い水深200メートル以深で多く見つかっていることから、出産時あるいは産まれてすぐに深海に移動し、ホホジロザメやメジロザメ類などの、より大きな捕食者から逃れているものと考えられる。

 確認されている個体数はかなり少なく、稀種である。


ウバザメ Cetorhinus maximus
ウバザメ科ウバザメ属(一属一種)

別名 …… バカザメ
英名 …… Basking Shark (バスキング・シャーク)
体長 …… 3~12メートル

名称
 属名「 Cetorhinus 」は、ギリシア語の「 ketos(クジラ)」と「 rhinos(鼻)」に由来し、種小名「 maximus 」は「大きい」という意味を表す。和名である「姥鮫」は、側面にある非常に長いエラを、老婆のシワに例えて名付けられたとされる。英語名の「 Basking shark 」は、しばしば水面近くで餌をとっている様子が観察され、その様子がまるで気持ちよさそうにひなたぼっこをしている( bask )ようであったことから名付けられた。もちろん、実際には熱心にプランクトンを摂取している。
 また、このような行動をしている際に簡単に捕らえられてしまうために、「バカザメ(馬鹿鮫)」という別名も用いられる。

形態
 ウバザメはネズミザメ目の最大種で、ジンベエザメに次いで、全ての魚類の中で2番目に大きい種である。
 頭から尾にいくにつれて急角度ですぼまるシリンダー状の身体つき、楯鱗(じゅんりん サメ・エイ類にみられる、真皮から突出した象牙質をエナメル質が覆うという、歯と同じ構造の極少のうろこ。皮膚に密生していわゆる鮫肌を形成する)と数層の粘液で覆われたとても粗い肌、とがった鼻先(若い個体では明確に曲がっている)、三日月状の尾ビレなどがある。大きな個体では、背びれが海面上に出るとひっくり返ってしまう。体色は非常に変化に富む(観察時の状況や個体自身の状況にもよるようである)。尾ビレの付け根にはみごとな隆起線が走っている。

 正確に測定された最大の個体は、全長は12.3メートルあり、体重は16トンと見積もられた。普通、ウバザメは全長3~8メートルほどになる。かつては10メートルを超える個体もいたが、長年にわたる乱獲の結果、これほどの大きさの個体は極めてまれになっている。日本では網にかかった9メートルの個体が瀬戸内海や茨城県の日立市沖合で見つかっているが、近年はウバザメ自体が見つかることが珍しくなっている。

 ウバザメは、非常に巨大な口とエラをもっている。他のサメ類のエラはせいぜい体高の半分程度であるが、本種のエラは腹から背まで、体幹をほぼ一周するかと思われるほど大きく裂けている。それぞれのエラの間からは赤い内部がはみ出しているのが見られる。また、ウバザメが大きく口を開けると、その奥には湾曲した「鰓弓(さいきゅう)」と呼ばれる太い軟骨の柱が、まるで檻のように並んでいるのが見える。鰓弓にはプランクトンを濾(こ)し取るための「鰓耙(さいは)」と呼ばれる毛状の器官が櫛のように密集して生えており、口から入った海水とともに流れてくるプランクトンを捕える。口は体高よりも大きく開けることができ、幅1メートルほどになり、餌をとる時は大きく開けたままにして泳ぐ。

 典型的なネズミザメ科の体型をもつため、遠目では同じネズミザメ科で大きさも似ているホホジロザメ(第1集参照)と間違えられやすい。しかし、近づいてよく観察すれば容易に判別できる。ウバザメの空洞状の口、長くはっきりとしたエラ、小さな目、そして細い胴回りなどが判別の目安となる。ホホジロザメは大きく短剣状の歯をもつが、ウバザメの歯はより小さく(5~6ミリメートル)かぎ状であり、上アゴの最初の3~4列と下アゴの6~7列のみが機能している。この2種は、生態の面でもいくつかの大きな違いがある。

 このサメはしばしば、傷ついているのが目立つ。この傷は、ヤツメウナギやダルマザメに遭遇したことによるものである可能性が高い。ウバザメの肝臓(重さは体重の25% に達する)は腹部全体におよび、浮力の調節や長期間におよぶ活力の貯蔵の役割を果たしていると考えられる。
 メスの個体は右側の卵巣だけが機能しているようであり、、これはサメ類では珍しい特徴である。

体色
 背中側が暗褐色から黒あるいは青で、腹側にいくにつれて鈍い白色に変わる。

分布
 ウバザメは汎存種(はんぞんしゅ)で、世界中の温帯もしくは亜寒帯の寒冷な海域に広く生息している。西大西洋ではニューファンドランドからアルゼンチン。東大西洋ではアイスランドから南アフリカ、地中海、西太平洋では日本、韓国、中国、オーストラリアの南側、タスマニア、ニュージーランド、東太平洋はアラスカ湾からチリにかけて季節ごとに見られるが、インド洋にはいない。沿岸性なのか外洋性なのかはいまだに議論の余地がある。

 水温摂氏8~14℃を好む。しばしば陸の近くでも見られ、囲い込まれた港や内湾の中へ入ってくることもある。プランクトンの集中している場所に集まるため、表層面近くにいることがよく目撃されるが、水深750メートルまでにも現れる。

生態
 性質は大変おとなしく、海面近くで大きく口を開けながら鰓耙を立てた状態で泳ぎ、呑んだ海水からプランクトンを鰓で濾しとって食べる。
 ウバザメが濾過する海水の量は1時間あたり2000リットルにも及ぶが、このような「プランクトンフィーダー(濾過摂食者)」の仲間はサメ類では珍しく、他にジンベエザメとメガマウスの合計3種のみである。採餌時の速度はおよそ時速3.6キロメートルと非常に緩慢で(記録されている最高速度は時速6.5キロメートル)、身体を蛇のようにくねらせて泳く。
 ホホジロザメなどと違って接近する船を避けようとしない。単体で、かつ撒き餌に引き寄せられて接近していなければ、人間に対しては無害である。

 ウバザメは社会性動物で、性別で分かれたグループを形成する。このグループは通常は少数(3~4尾)であるが、最大で100尾に及ぶものも報告されている。彼らの社会行動は、視覚的な合図に従っているものと考えられている。ウバザメの目は、小さいが非常に発達している。このサメは船も視覚的に観察するため、同族と見間違える可能性があることで知られている。メスは、浅瀬で出産すると考えられている。

 このサメの捕食者はほとんどいないが、シャチやイタチザメがウバザメを捕食することが知られている。
 巨大で動きが遅いが、ジャンプして海面に体を打ちつける「ブリーチング」も行うことができ、その際に水面から全身が完全に飛び出ている様子も報告されている。この行動は皮膚に付着した寄生虫を追い払う意図があるとされる。

 ウバザメは暖かい時期には陸の近くや囲い込まれた港の中で見られるものの、海面近くのプランクトンがほとんどいなくなる秋から冬にかけての時期は、沿岸から完全に姿を消す。そのため、この時期には深海で冬眠しているのではないかという説が立てられていたが、2002年の調査結果によって、エサのプランクトンを求めて回遊していることが確認された。同時に、水深750メートルの深海に潜ることも判明している。

 
人間との関係
 ウバザメは人間にとって危険性は低く、自分に近づく船やダイバーに対して寛容で、ダイバーの周りを旋回することさえあり、ウバザメが頻繁に見られる海域では、観光ダイビングの目玉として人気を呼んでいる。
 外見がホホジロザメに似ているため、ときどき海岸に現れるとパニックを引き起こすことがある。

 歴史的に、ウバザメはその泳ぎの遅さ、非攻撃的な性質、そして過去には豊富だった個体数のために、漁業の主要産物であった。ウバザメは商業的にさまざまな形で利用され、肉は食品や魚粉に、皮膚は皮革製品に、そしてその大きな肝臓(健康サプリメントとして注目されているスクアレン成分の含有量が高い)は肝油に用いられた。アイスランドでは、肉を発酵させたものを「ハウカットル」と呼んで珍重しており、サメ独特のアンモニア臭が特徴である。現在では、主にヒレ(フカヒレとして利用する)を取るために捕獲されている。身体の一部(軟骨など)は中国では伝統医学の漢方薬として、日本では媚薬として用いられていたこともある。

 過去の乱獲によって急速に個体数が減少した結果、IUCN(国際自然保護連合 1948年に設立された国家と NGOからなる国際的な自然保護機関)は、このサメをレッドリストのなかで「絶滅危惧第2類」に指定している。
 保護活動は、世界ではイギリスが最も真剣にとりくんでいる。2002年11月のワシントン条約( CITES 絶滅の恐れがある野生動植物の国際取引に関する条約)会議でジンベエザメとともに『付属書2』に登録され、保護を受けることとなった。現在では、生産品の交易は多くの国で規制されている。イギリスの他にも、マルタ、アメリカ合衆国、ニュージーランド、そして大西洋において捕獲が完全に禁じられている。

 ウバザメの死骸は腐敗すると下アゴが欠落したりして、生前とはまるで別の生物のように見えるほど変形することもある。そのような状態で海岸に流れ着くと、身体が大きいこともあってしばしば人を騒がせる。1977年にニュージーランドで発見された「ニューネッシー」事件などのように、かつて海の怪物「シーサーペント」やプレシオサウルスなどの恐竜時代の首長竜の生き残りであると考えられた死骸のほとんどが、後に腐敗したウバザメの死骸であろうと結論づけられている。


メガマウスザメ Megachasma pelagios
メガマウスザメ科メガマウスザメ属

別名 …… メガマウス、オオグチザメ(大口鮫)
英名 …… Megamouth Shark (メガマウス・シャーク)
体長 …… 4.6~7.1メートル

 本種のみでメガマウス属を構成し、メガマウスザメ、もしくはメガマウスの名で呼ばれる。学名は、「沖合の大きな口のサメ」という意味。

形態
 古い形態を保つサメで、 現代に繁栄しているサメの形態とはかなり異なる点が多い。ネズミザメ目のサメの中では、ミツクリザメと並んで原始的な形態を残しているといわれる。

 非常に丸い頭部を持っている。頭部からエラまでの長さは、尾ビレを除いた胴体部分の全長に匹敵する。口は頭部の先端から目の後方まで伸びている。また、目の後ろに小さな噴出口がある。第1背ビレは胸ビレの付け根の後ろから始まり、第2背ビレのおよそ2倍の大きさがある。 身体は柔らかい。
 特徴的な口を開けるアゴの筋肉が非常に発達していて、さらに柔軟な皮膚を利用してアゴを伸ばし、口を前方に突きだして開けるという、ヒゲクジラに近い構造となっている。この構造は他のサメには現存せず、同じように口を突出させる機能を持つミツクリザメでも、このような構造にはなっていない。

 身体は大きいものの、プランクトンを主食にしているため、サメの特徴である歯はとても小さく、ヤスリ状の列になっている。口の内壁は光が当たると銀色に輝く。他のサメに見られない特徴として、上唇が白い蛍光色に発光し、プランクトンをおびき寄せる。

 歯は食物を咀嚼するために使用されているものではない。日本の三重県で採集されたメスには、オスが生殖のために噛みついて付けられた「交尾傷」が多数発見された。そのため、小さな歯は主に交尾行動のために利用すると考えられている。

体色
 灰色か黒に近い灰色。腹部は比較的に白っぽい。

分布
 太平洋やインド洋など、熱帯から温帯の広い海域で発見されているが、詳しいことはわかっていない。
 日本近海での目撃例と捕獲例が比較的多く、2011年現在、全世界で50例ある内の13例が日本におけるものであり、東京湾の海底谷でも発見されている。

生態
 非常に大型なサメであるにもかかわらず、1976年に発見されたばかりの珍しい種である。ホホジロザメの仲間とは思えない、まん丸な顔を持つこのサメは、深海に住むため生態がほとんど知られていない。ネズミザメ目の中で、メガマウスザメとウバザメが単一の起源から進化したものとする説と、両種が異なった祖先から独自に進化したとする説があった。しかし、DNA の塩基配列から推定したメガマウスザメの系統学的位置づけから、本種は現存するネズミザメ目のなかで最も原始的であり、ウバザメと単一起源ではないことが判明した。

 発信器を用いた追跡調査から、本種の遊泳水深は昼間には水深100~200メートルの中層域(やや浅い深海)に生息しているが、夜間には水深10~20メートルの表層付近まで浮上してくることが分かり、このような日周鉛直移動は、餌生物の移動に関連していることが示唆されている

 プランクトンを常食にし、特徴的な口はプランクトンを飲み込み、濾過する。口が大きいので、誤ってプランクトン以外の生物を飲み込んでしまうこともある。
 プランクトンを食べる大型のサメは本種の他には、同じネズミザメ目のウバザメと、最大のサメであるジンベエザメの3種である。巨大な身体を維持するためにプランクトンを餌にするようになったのは、クジラと同じ大型海洋動物としての選択だったといえる。

発見
 1976年にハワイ沖の海底ケーブルにからまっていたオス個体が発見されたのが世界最初の発見例である。新種のサメとわかったが、それ以降は数年に一度のペースでしか見つからず、「幻のサメ」といわれた。日本では1984年に静岡県で、浜辺に打ち上げられた個体が見つかったのが最初である。
 捕獲及び目撃例は世界的に見ても極めて少なく、深海に生息することから死体が陸に漂着するのも極めてまれで、未解明な部分が多い。オス個体は北半球でしか見つかっていない。

 深海に生息し、大型であることから、本種にはダルマザメによる皮膚の噛み跡も見られるほか、2011年に三重県沖で発見された個体の皮膚には寄生性のプランクトンが付着していた。
 なお、本種はめったに獲れないことと、肉質が水っぽく味がないことから、食用には不向きとされる。
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