川上 稔(かわかみ みのる 1975年1月3日生まれ)
東京都出身。私立城西大学(埼玉県)経済学部卒業後、ゲーム制作会社「 TENKY」に所属。ゲーム作家としての代表作は『メリーメント・キャリング・キャラバン』(1998年)、『奏(騒)楽都市 OSAKA』(1999年)、『 Twelve 戦国封神伝』(2005年)など。
1996年、『パンツァーポリス1935』で第3回電撃ゲーム小説大賞「金賞」を受賞し作家デビュー(その年の大賞受賞はなし)。以後、兼業作家として活動を続ける。小説家としての代表作は、共通の世界観「都市世界」上の出来事をまとめた『都市シリーズ』・『 AHEADシリーズ』。現在も同じ世界観の一部となる『境界線上のホライゾン』を執筆中(2013年10月時点で通算14巻)。
「先生」と呼ばれることを嫌がる。
綿密に構築された設定の下、改行と体言止めを多用する独特の文体で大長編を書く。作中には独自の造語や世界観が縦横無尽に散りばめられ、その全てを完全に理解するにはそれなりの精読や予備知識を必要とするものが多い。
一般の小説に比べて改行が多いこともあるが、それを差し引いても相当に作品ごとの文章量が多く、電撃文庫の最多ページ数記録の上位は川上作品で独占されている。『終わりのクロニクル7』(最終第14巻 2005年)では、ついに電撃文庫史上初、ライトノベル文庫全体としても異例の「1091ページ」となったが、『境界線上のホライゾン2・下』(2009年)でそれをも突破した(全1154ページ)。そのページ数のため、全国の書店でブックカバーが付けられない事態が発生した。 ライトノベルとしては、単行本1冊ごとの平均ページ数が世界規模でも群を抜いて多い。 刊行速度は非常に速く、また大きな長編が終了した直後であるにもかかわらずすでに次作の構想を練っているなど創作意欲は非常に旺盛である。
「都市シリーズ」
『パンツァーポリス1935』(1997年1月)
川上稔の代表作「都市シリーズ」内の「機甲都市伯林」(きこうとしベルリン)シリーズの第1作である。
2作目からは以降の「都市シリーズ」の慣例に従い『機甲都市伯林』がメインタイトルとなり、それに続く『パンツァーポリス19××』はサブタイトルとなる。
『パンツァーポリス1935』は、異世界のドイツ首都ベルリンを舞台とした小説。川上稔のデビュー作であり、1996年度第3回電撃ゲーム小説大賞(現在の電撃小説大賞)「金賞」受賞作である。後の『機甲都市伯林』シリーズに対して「旧伯林」と呼ばれる。マンガ家のしろー大野がイラストを手がけている。
『機甲都市伯林』シリーズは『パンツァーポリス1935』の続編。1937年から1944年のベルリンを描いており、「旧伯林」に対して「新伯林」と呼ばれる。都市シリーズの第2期として始まった。第1作を遥かに凌ぐスケールとなっている。全5巻。
「機甲都市伯林」シリーズのあらすじ
こことは異なる世界のドイツにて。
1935年、ある新型航空戦艦を2人の男が奪取して逃走。ドイツ国軍は奪還のために追跡するが、新型機拿捕は失敗に終わる。新型航空戦艦はこの時、大気圏外飛行を世界で初めて成功させた。これを参考に、ドイツの極秘軍事機関「 G機関」がさらなる最新型航空戦艦「疾風」を制作することとなる。
作中での関連年表
962年 「救世者」がドイツを統一する(第一帝国)。
1698年 イギリスの発明家トーマス=セイヴァリ(1650~1715年)により「精霊式機関模型」が創られる。
1710年 イギリスの発明家トーマス=ニューコメン(1664~1729年)により精霊式機関が実用化される。
1853年 江戸幕府治世下の日本にアメリカ合衆国の黒船来航。鎖国制度廃止。
1871年 プロシア王国を母体としたドイツ帝国成立。第二帝国宣言。
1894年 イギリスに移民したアメリカ人発明家ハイラム=マキシム(1840~1916年)による精霊式飛行機の史上初飛行が成功する。
1901年 ドイツ人冒険家フーバー=タールシュトラーセ(22歳)、エジプトで「千王母の墓」を発見する。
1906年 ドイツ人技術者パウル=ヴァーグナー(31歳)、精霊式機関を応用した重力変化に成功する。
1914年 第一次世界大戦勃発。
1916年 フーバー、戦争中のフランスで「大空洞」を発見する。
1918年 ドイツ降伏。
1919年 第一次世界大戦の終結にともないドイツ帝国崩壊、ドイツ共和国成立。
1920年 ドイツ、世界初の有人気圏外探査船の打ち上げを試みるも、失敗。
1935年 ベルリン騒乱。
1937年 疾風事件。
1938年 大ドイツ帝国宣言(第三帝国)。
1939年 第二次世界大戦勃発。
1943年 新ベルリン騒乱。
1945年 ドイツ降伏。
第1作『パンツァーポリス1935』の登場キャラクター
ヴァルター=タールシュトラーセ
主人公。傲岸不遜。冒険家だった父フーバーの後を追う。
1911年生まれ、身長187cm、体重72kg。趣味は天体観測、好物はリップフェン(ハムステーキ)とモーゼルヴァイン(モーゼル産ワイン)。
パウル=ヴァーグナー
1875年生まれ。世界初の宇宙航空戦艦「dp-xxx カイザーブルク(皇城)」の設計者で、開発も担当した。世界で指折りの紋章技師でもある。
エルゼ=ブロイアー
1915年生まれ。ベルリン大学の学生で、ドイツでも五指に入る武器商人ガストン=ブロイアーの娘。ヴァルターやパウルらと出会い、「皇城」の改修を手伝うことになる。
マイアー=シュリアー
ヴァルターの後輩で、お人よしのドイツ軍人。最新鋭戦闘機「フランメンリッター(炎騎士)」の操縦者。
ベルリン騒乱を機にドイツ軍を脱走し、裏切り者(エルヴァタンゲン)と呼ばれる。
アメリカに亡命した後に、元上司のオスカー少将と共に「反戦独立部隊(反独隊)」を創設する。
オスカー=ミリルドルフ
1886年生まれ。ドイツ空軍少将で、第五師団「アイゼンフォーゲル(鉄鳥)」師団長。
12歳年下の妻を持つ。典型的なドイツ軍人であるが娘思いでもある。
ベルリン騒乱が原因で失脚し、後に退役してアメリカへ亡命する。
シュタインメッツ
ブロイアー社の飛行機工場長。
フーバー=タールシュトラーセ(故人)
1879年生まれ。数々の発見を為し遂げてきた冒険者。
1920年、人類で初めて宇宙へ飛び出し、後に「フーバーの宝島」と呼ばれる通信を残して事故死する。
ミハイル=シュリアー
1996年12月に、この『パンツァーポリス1935』の物語を祖父マイアーの証言に基づいて記録した著者。
ミハイルによると、祖父はのちに軍人から冒険家に転進し、執筆した時点ではすでに物故している。
ドラマ CD
『パンツァーポリス ようこそ機甲都市伯林へ!』(1997年4月)
ラジオドラマ番組『電撃大賞』(文化放送 毎週土曜日深夜2時00~30分)で、1997年2~4月に第12話まで放送。未放送の最終第13話を加え、日本コロムビアから2枚組CD が発売された。
主なキャスティング
ヴァルター=タールシュトラーセ …… 草尾 毅(31歳)
パウル=ヴァーグナー …… 銀河 万丈(48歳)
エルゼ=ブロイアー …… 永島 由子(26歳)
マイアー=シュリアー少尉 …… 石川 英郎(27歳)
オスカー=ミリルドルフ少将 …… 家弓 家正(64歳)
シュタインメッツ …… 田の中 勇(64歳)
ドイツ空軍の尋問官 …… 中井 和哉(29歳)
ドイツ空軍の軍医 …… 麻生 智久(47歳)
オスカーの副官 …… 堀井 真吾(39歳)
エルゼの父ガストン …… 阪 脩(66歳)
ヴァルターの父フーバー …… 草尾 毅(2役)
ナレーション …… 来宮 良子(65歳)
東京都出身。私立城西大学(埼玉県)経済学部卒業後、ゲーム制作会社「 TENKY」に所属。ゲーム作家としての代表作は『メリーメント・キャリング・キャラバン』(1998年)、『奏(騒)楽都市 OSAKA』(1999年)、『 Twelve 戦国封神伝』(2005年)など。
1996年、『パンツァーポリス1935』で第3回電撃ゲーム小説大賞「金賞」を受賞し作家デビュー(その年の大賞受賞はなし)。以後、兼業作家として活動を続ける。小説家としての代表作は、共通の世界観「都市世界」上の出来事をまとめた『都市シリーズ』・『 AHEADシリーズ』。現在も同じ世界観の一部となる『境界線上のホライゾン』を執筆中(2013年10月時点で通算14巻)。
「先生」と呼ばれることを嫌がる。
綿密に構築された設定の下、改行と体言止めを多用する独特の文体で大長編を書く。作中には独自の造語や世界観が縦横無尽に散りばめられ、その全てを完全に理解するにはそれなりの精読や予備知識を必要とするものが多い。
一般の小説に比べて改行が多いこともあるが、それを差し引いても相当に作品ごとの文章量が多く、電撃文庫の最多ページ数記録の上位は川上作品で独占されている。『終わりのクロニクル7』(最終第14巻 2005年)では、ついに電撃文庫史上初、ライトノベル文庫全体としても異例の「1091ページ」となったが、『境界線上のホライゾン2・下』(2009年)でそれをも突破した(全1154ページ)。そのページ数のため、全国の書店でブックカバーが付けられない事態が発生した。 ライトノベルとしては、単行本1冊ごとの平均ページ数が世界規模でも群を抜いて多い。 刊行速度は非常に速く、また大きな長編が終了した直後であるにもかかわらずすでに次作の構想を練っているなど創作意欲は非常に旺盛である。
「都市シリーズ」
『パンツァーポリス1935』(1997年1月)
川上稔の代表作「都市シリーズ」内の「機甲都市伯林」(きこうとしベルリン)シリーズの第1作である。
2作目からは以降の「都市シリーズ」の慣例に従い『機甲都市伯林』がメインタイトルとなり、それに続く『パンツァーポリス19××』はサブタイトルとなる。
『パンツァーポリス1935』は、異世界のドイツ首都ベルリンを舞台とした小説。川上稔のデビュー作であり、1996年度第3回電撃ゲーム小説大賞(現在の電撃小説大賞)「金賞」受賞作である。後の『機甲都市伯林』シリーズに対して「旧伯林」と呼ばれる。マンガ家のしろー大野がイラストを手がけている。
『機甲都市伯林』シリーズは『パンツァーポリス1935』の続編。1937年から1944年のベルリンを描いており、「旧伯林」に対して「新伯林」と呼ばれる。都市シリーズの第2期として始まった。第1作を遥かに凌ぐスケールとなっている。全5巻。
「機甲都市伯林」シリーズのあらすじ
こことは異なる世界のドイツにて。
1935年、ある新型航空戦艦を2人の男が奪取して逃走。ドイツ国軍は奪還のために追跡するが、新型機拿捕は失敗に終わる。新型航空戦艦はこの時、大気圏外飛行を世界で初めて成功させた。これを参考に、ドイツの極秘軍事機関「 G機関」がさらなる最新型航空戦艦「疾風」を制作することとなる。
作中での関連年表
962年 「救世者」がドイツを統一する(第一帝国)。
1698年 イギリスの発明家トーマス=セイヴァリ(1650~1715年)により「精霊式機関模型」が創られる。
1710年 イギリスの発明家トーマス=ニューコメン(1664~1729年)により精霊式機関が実用化される。
1853年 江戸幕府治世下の日本にアメリカ合衆国の黒船来航。鎖国制度廃止。
1871年 プロシア王国を母体としたドイツ帝国成立。第二帝国宣言。
1894年 イギリスに移民したアメリカ人発明家ハイラム=マキシム(1840~1916年)による精霊式飛行機の史上初飛行が成功する。
1901年 ドイツ人冒険家フーバー=タールシュトラーセ(22歳)、エジプトで「千王母の墓」を発見する。
1906年 ドイツ人技術者パウル=ヴァーグナー(31歳)、精霊式機関を応用した重力変化に成功する。
1914年 第一次世界大戦勃発。
1916年 フーバー、戦争中のフランスで「大空洞」を発見する。
1918年 ドイツ降伏。
1919年 第一次世界大戦の終結にともないドイツ帝国崩壊、ドイツ共和国成立。
1920年 ドイツ、世界初の有人気圏外探査船の打ち上げを試みるも、失敗。
1935年 ベルリン騒乱。
1937年 疾風事件。
1938年 大ドイツ帝国宣言(第三帝国)。
1939年 第二次世界大戦勃発。
1943年 新ベルリン騒乱。
1945年 ドイツ降伏。
第1作『パンツァーポリス1935』の登場キャラクター
ヴァルター=タールシュトラーセ
主人公。傲岸不遜。冒険家だった父フーバーの後を追う。
1911年生まれ、身長187cm、体重72kg。趣味は天体観測、好物はリップフェン(ハムステーキ)とモーゼルヴァイン(モーゼル産ワイン)。
パウル=ヴァーグナー
1875年生まれ。世界初の宇宙航空戦艦「dp-xxx カイザーブルク(皇城)」の設計者で、開発も担当した。世界で指折りの紋章技師でもある。
エルゼ=ブロイアー
1915年生まれ。ベルリン大学の学生で、ドイツでも五指に入る武器商人ガストン=ブロイアーの娘。ヴァルターやパウルらと出会い、「皇城」の改修を手伝うことになる。
マイアー=シュリアー
ヴァルターの後輩で、お人よしのドイツ軍人。最新鋭戦闘機「フランメンリッター(炎騎士)」の操縦者。
ベルリン騒乱を機にドイツ軍を脱走し、裏切り者(エルヴァタンゲン)と呼ばれる。
アメリカに亡命した後に、元上司のオスカー少将と共に「反戦独立部隊(反独隊)」を創設する。
オスカー=ミリルドルフ
1886年生まれ。ドイツ空軍少将で、第五師団「アイゼンフォーゲル(鉄鳥)」師団長。
12歳年下の妻を持つ。典型的なドイツ軍人であるが娘思いでもある。
ベルリン騒乱が原因で失脚し、後に退役してアメリカへ亡命する。
シュタインメッツ
ブロイアー社の飛行機工場長。
フーバー=タールシュトラーセ(故人)
1879年生まれ。数々の発見を為し遂げてきた冒険者。
1920年、人類で初めて宇宙へ飛び出し、後に「フーバーの宝島」と呼ばれる通信を残して事故死する。
ミハイル=シュリアー
1996年12月に、この『パンツァーポリス1935』の物語を祖父マイアーの証言に基づいて記録した著者。
ミハイルによると、祖父はのちに軍人から冒険家に転進し、執筆した時点ではすでに物故している。
ドラマ CD
『パンツァーポリス ようこそ機甲都市伯林へ!』(1997年4月)
ラジオドラマ番組『電撃大賞』(文化放送 毎週土曜日深夜2時00~30分)で、1997年2~4月に第12話まで放送。未放送の最終第13話を加え、日本コロムビアから2枚組CD が発売された。
主なキャスティング
ヴァルター=タールシュトラーセ …… 草尾 毅(31歳)
パウル=ヴァーグナー …… 銀河 万丈(48歳)
エルゼ=ブロイアー …… 永島 由子(26歳)
マイアー=シュリアー少尉 …… 石川 英郎(27歳)
オスカー=ミリルドルフ少将 …… 家弓 家正(64歳)
シュタインメッツ …… 田の中 勇(64歳)
ドイツ空軍の尋問官 …… 中井 和哉(29歳)
ドイツ空軍の軍医 …… 麻生 智久(47歳)
オスカーの副官 …… 堀井 真吾(39歳)
エルゼの父ガストン …… 阪 脩(66歳)
ヴァルターの父フーバー …… 草尾 毅(2役)
ナレーション …… 来宮 良子(65歳)