『軍師官兵衛』第9回『官兵衛試される』(2014年3月2日 演出・本木一博)
登場する武将の『信長の野望』シリーズでのだいたいの能力評価(テロップ順)
小寺 官兵衛 孝高 …… 知力84、統率力67
(演・岡田准一)
竹中 半兵衛 重治 …… 知力59、統率力91
(演・谷原章介)
明智 光秀 …… 知力93、統率力95
(演・春風亭小朝)
荒木 村重 …… 知力52、統率力83
(演・田中哲司)
本願寺 顕如(けんにょ)…… 知力96、統率力65
浄土真宗本願寺派第11世宗主(演・真島秀和)
母里 太兵衛 友信 …… 知力44、統率力80
(演・速水もこみち)
石田 三成 …… 知力92、統率力60
(演・田中圭)
柴田 勝家 …… 知力51、統率力87
(演・近藤芳正)
丹羽 長秀 …… 知力82、統率力73
(演・勝野洋)
織田 信長 …… 知力115、統率力108
(演・江口洋介)
瀧川 一益 …… 知力66、統率力78
(演・川野太郎)
別所 賀相(よしすけ) …… 知力48、統率力45
播磨国三木城主・別所長治の叔父で、別所家の重鎮。親毛利派。(演・ベンガル)
別所 重棟(しげむね) …… 知力64、統率力57
別所長治の叔父で賀相の弟。親織田派。(演・佐戸井けん太)
別所 長治(ながはる) …… 知力63、統率力63
播磨国の東部を治める戦国大名。叔父である別所賀相・重棟兄弟の後見を受けている。(演・入江甚儀)
佐久間 信盛 …… 知力57、統率力51
(演・立川三貴)
赤松 広秀 …… 知力39、統率力42
播磨国龍野城主。かつての当主・赤松政秀の次男。のちに豊臣家大名となり、斎村政広に改名する。(演・野杁俊希)
小寺 政職 …… 知力44、統率力49
(演・片岡鶴太郎)
羽柴 秀吉 …… 知力95、統率力94
(演・竹中直人)
小寺 職隆 …… 知力72、統率力55
(演・柴田恭平)
ざっとの感想
○どんなにスゴんでみせてもまったく怖くならないプリティ勝家。もうここまできたらミスキャストなんて言ってる場合じゃないですよね。これはまさに、ご本人の死後、実に430年もの永きにわたって流布されてきた「無骨で野卑」という柴田勝家像に21世紀の空気を吹き通す風穴を開けんとする、勝算なき革命戦争なのだ!! 近藤芳正さんの歴史的挑戦に拍手! かぁ~わいぃ~♡
○口ではデカいことをずけずけぬかしつつも、右手に持っている扇をかなり神経質そうにちょいちょい握りなおす江口信長。いかにも、四面楚歌の状況に対して内心のハラハラドキドキを隠しきれないでいる成りあがり大名といった本質を、またしても的確に射抜いたこまやかな演技ですね。いや~、『軍師官兵衛』における織田信長の造形はホントに深いです。毎回、毎回。
江口洋介さんの、「常になにかに満足していない」あせりの表情がものすごくフィットしている気がします。
●今回にいたってはまるでセリフなし、立ち上がった勝家に一瞬「ぎょっ」とする演技しかなかった明智光秀……
もういらねぇよ、こんな役立たず! 謀反おこす前にさ、佐久間信盛とセットで高野山にでもブックオフにでもさっさと売っぱらっちゃえ!!
○竹中半兵衛の、小学生にでもわかりそうな挑発をバカ正直に真に受けて、廊下に出たとたんにダッシュして播磨国に帰国するヤング官兵衛!
のちに戦国時代を代表する知将になるとはとても思えない単純さなのですが、その反面、やっとこのドラマの主人公である官兵衛に「好感」を持てる個性が生まれてきたような気がしました。やっぱ、主人公はこのくらいかわいくないとねぇ。かしこいだけじゃつまんないですよ。
こういった若々しい官兵衛が、いかなる運命をたどって放送第1回のオープニングのようなオッサンに老成していくのか? みものですね~。
○稽古で木刀を振るう所作がやたらサマになる官兵衛。う~ん、やっぱり外見が若いころの真田広之さんっぽいんだよなぁ、岡田くんって。今さらですが、小柄な岡田くんが主君だと、その家臣の速水もこみちさんの異常な体格がさらに強調されて、絵的にすばらしい凸凹感が生まれますね。いいキャスティングだ……ジャニーズ違いだけど、今のレギュラー家臣陣は『怪物くん』なみのベストバランスだと思います。カラーが誰もかぶってないのがいいですよね。
○思えば、かつて『功名が辻』(2006年)では荒木村重を演じていたベンガルさん。つくづく「反織田」に縁のある役者さんよね。それにしても、太ったね……
●播磨国龍野城主は赤松広秀……って、いつのまにか団時朗さん死んじゃってたー! 赤松政秀は第5回の土器山合戦の翌年に、毒殺といわれる謎の急死を遂げるのですが、複雑な戦国情勢のために容疑者は特定できていません(浦上? 小寺? やっぱり暗殺といえば宇喜多?)。ここらへんをちゃんと映像化してくれるドラマがあったらいいなぁ~、と夢想するわけなんですが……世の中は視聴率、視聴率だもんね~。難しいよね~。
○小寺政職演じる片岡鶴太郎さんの、「ニワトリのものまね」が堪能できる今回のバカ殿っぷりでした。
でも、戦国の世を生き抜いて旧勢力(政秀のいとこに当たる赤松本家)から独立し、一国一城の「王者」にまでのし上がった人間(政職60歳)が、よその王の本拠地に出向いて平伏するということの意味合いをかんがみれば、決して政職が性質的に臆病だっただけで信長への謁見をかたくなに拒否していたわけではない、ということは察せられるかと思います。それは政職も立派な人並み以上の戦国人。プライドってもんがありますよね!
○隣国の摂津国の王者ということで、官兵衛に粋な計らいを見せつけてくれた荒木ムラムラ、グッジョブ! よもや、あの荒木村重の振る舞いを見て「なんてナイスガイなんだ!」と惚れてしまいそうになるドラマが制作されるとは……
●それにしてもムラムラ、どうせ摂津国有岡城(兵庫県伊丹市)から播磨国御着城(姫路市)に大軍連れて行進するんだったらさぁ、ついでに行く途中にある播磨国三木城(三木市)にも寄り道して別所家をビビらせてちょうだいよ! そしたら、あなたの運命も含めて、日本史は大いに織田政権よりに変わってたかも知れないんだぜ!?
織田信長に、竹中半兵衛の献策を受けてこういう示威行軍キャンペーンをほんとに挙行する余裕があったんだったら、三木合戦も有岡城合戦も起きてねーっつうの! 日本史と『軍師官兵衛』との、おおいなる矛盾がここに!!
●「わたくしは、蓼でございますか?」のセリフをすっとぼけた調子で言えない中谷さん。これだから中谷さんは中谷さんなんだよなぁ! ここで素直に、お客さんを苦しませないひょうきん女房を演じるという選択肢をとらないところに、女優・中谷美紀一代の「気持ち悪いアンチエイジング演技」がむき出しになっています。私はそういうの大っ嫌いなんですが、中谷さんなんだからしょうがねぇか。
●小寺政職「成りあがりのくせに、え~らっそうな男じゃったの~う。」
……お前が言うか? あんたも主君(赤松晴政)がよそに気を取られてるうちに独立して大名になったじゃねぇか! どっちも同じ穴の YAZAWA!!
○実際に主君(斎藤龍興)を殺す一歩手前までやっちゃったことのある竹中半兵衛と、どうしても主君(小寺政職)の家臣という立場から逃れられない官兵衛。その戦国人としての圧倒的な経験差が浮き彫りになった今回の対決でした。そのへんはわかりやすくまとまった脚本で、半兵衛の大きさと恐ろしさがうまく出ていましたね。これからの中国戦線でのしのぎのけずり合いが非常に楽しみ!
●ちょっと語られる順番がよくわからないんですが……今回の天正三(1576)年時点になってやっと本願寺がクローズアップっていうのは、なんか遅すぎない? だって、本願寺派の抵抗があるからこそ、織田信長も荒木村重もホイホイ自軍を播磨国に派兵する余裕がなかったわけなんでしょ?
どうも、荒木軍の播磨国入りという虚構に説得力を持たせるために、本願寺内戦の本格化を史実よりもずっと後にずらしたような作為が認められます。そういう小細工は、いらん!!
結論、「第10回がとてもたのしみです。」
今回は全体的におもしろかったんですが、前回に再登場するというフラグが立ったはずの将軍・足利義昭はおろか、われらがうちゆき姫までもが出てきませんでした……お濃の方、そのままうすくなって消えていかないでね~!!
登場する武将の『信長の野望』シリーズでのだいたいの能力評価(テロップ順)
小寺 官兵衛 孝高 …… 知力84、統率力67
(演・岡田准一)
竹中 半兵衛 重治 …… 知力59、統率力91
(演・谷原章介)
明智 光秀 …… 知力93、統率力95
(演・春風亭小朝)
荒木 村重 …… 知力52、統率力83
(演・田中哲司)
本願寺 顕如(けんにょ)…… 知力96、統率力65
浄土真宗本願寺派第11世宗主(演・真島秀和)
母里 太兵衛 友信 …… 知力44、統率力80
(演・速水もこみち)
石田 三成 …… 知力92、統率力60
(演・田中圭)
柴田 勝家 …… 知力51、統率力87
(演・近藤芳正)
丹羽 長秀 …… 知力82、統率力73
(演・勝野洋)
織田 信長 …… 知力115、統率力108
(演・江口洋介)
瀧川 一益 …… 知力66、統率力78
(演・川野太郎)
別所 賀相(よしすけ) …… 知力48、統率力45
播磨国三木城主・別所長治の叔父で、別所家の重鎮。親毛利派。(演・ベンガル)
別所 重棟(しげむね) …… 知力64、統率力57
別所長治の叔父で賀相の弟。親織田派。(演・佐戸井けん太)
別所 長治(ながはる) …… 知力63、統率力63
播磨国の東部を治める戦国大名。叔父である別所賀相・重棟兄弟の後見を受けている。(演・入江甚儀)
佐久間 信盛 …… 知力57、統率力51
(演・立川三貴)
赤松 広秀 …… 知力39、統率力42
播磨国龍野城主。かつての当主・赤松政秀の次男。のちに豊臣家大名となり、斎村政広に改名する。(演・野杁俊希)
小寺 政職 …… 知力44、統率力49
(演・片岡鶴太郎)
羽柴 秀吉 …… 知力95、統率力94
(演・竹中直人)
小寺 職隆 …… 知力72、統率力55
(演・柴田恭平)
ざっとの感想
○どんなにスゴんでみせてもまったく怖くならないプリティ勝家。もうここまできたらミスキャストなんて言ってる場合じゃないですよね。これはまさに、ご本人の死後、実に430年もの永きにわたって流布されてきた「無骨で野卑」という柴田勝家像に21世紀の空気を吹き通す風穴を開けんとする、勝算なき革命戦争なのだ!! 近藤芳正さんの歴史的挑戦に拍手! かぁ~わいぃ~♡
○口ではデカいことをずけずけぬかしつつも、右手に持っている扇をかなり神経質そうにちょいちょい握りなおす江口信長。いかにも、四面楚歌の状況に対して内心のハラハラドキドキを隠しきれないでいる成りあがり大名といった本質を、またしても的確に射抜いたこまやかな演技ですね。いや~、『軍師官兵衛』における織田信長の造形はホントに深いです。毎回、毎回。
江口洋介さんの、「常になにかに満足していない」あせりの表情がものすごくフィットしている気がします。
●今回にいたってはまるでセリフなし、立ち上がった勝家に一瞬「ぎょっ」とする演技しかなかった明智光秀……
もういらねぇよ、こんな役立たず! 謀反おこす前にさ、佐久間信盛とセットで高野山にでもブックオフにでもさっさと売っぱらっちゃえ!!
○竹中半兵衛の、小学生にでもわかりそうな挑発をバカ正直に真に受けて、廊下に出たとたんにダッシュして播磨国に帰国するヤング官兵衛!
のちに戦国時代を代表する知将になるとはとても思えない単純さなのですが、その反面、やっとこのドラマの主人公である官兵衛に「好感」を持てる個性が生まれてきたような気がしました。やっぱ、主人公はこのくらいかわいくないとねぇ。かしこいだけじゃつまんないですよ。
こういった若々しい官兵衛が、いかなる運命をたどって放送第1回のオープニングのようなオッサンに老成していくのか? みものですね~。
○稽古で木刀を振るう所作がやたらサマになる官兵衛。う~ん、やっぱり外見が若いころの真田広之さんっぽいんだよなぁ、岡田くんって。今さらですが、小柄な岡田くんが主君だと、その家臣の速水もこみちさんの異常な体格がさらに強調されて、絵的にすばらしい凸凹感が生まれますね。いいキャスティングだ……ジャニーズ違いだけど、今のレギュラー家臣陣は『怪物くん』なみのベストバランスだと思います。カラーが誰もかぶってないのがいいですよね。
○思えば、かつて『功名が辻』(2006年)では荒木村重を演じていたベンガルさん。つくづく「反織田」に縁のある役者さんよね。それにしても、太ったね……
●播磨国龍野城主は赤松広秀……って、いつのまにか団時朗さん死んじゃってたー! 赤松政秀は第5回の土器山合戦の翌年に、毒殺といわれる謎の急死を遂げるのですが、複雑な戦国情勢のために容疑者は特定できていません(浦上? 小寺? やっぱり暗殺といえば宇喜多?)。ここらへんをちゃんと映像化してくれるドラマがあったらいいなぁ~、と夢想するわけなんですが……世の中は視聴率、視聴率だもんね~。難しいよね~。
○小寺政職演じる片岡鶴太郎さんの、「ニワトリのものまね」が堪能できる今回のバカ殿っぷりでした。
でも、戦国の世を生き抜いて旧勢力(政秀のいとこに当たる赤松本家)から独立し、一国一城の「王者」にまでのし上がった人間(政職60歳)が、よその王の本拠地に出向いて平伏するということの意味合いをかんがみれば、決して政職が性質的に臆病だっただけで信長への謁見をかたくなに拒否していたわけではない、ということは察せられるかと思います。それは政職も立派な人並み以上の戦国人。プライドってもんがありますよね!
○隣国の摂津国の王者ということで、官兵衛に粋な計らいを見せつけてくれた荒木ムラムラ、グッジョブ! よもや、あの荒木村重の振る舞いを見て「なんてナイスガイなんだ!」と惚れてしまいそうになるドラマが制作されるとは……
●それにしてもムラムラ、どうせ摂津国有岡城(兵庫県伊丹市)から播磨国御着城(姫路市)に大軍連れて行進するんだったらさぁ、ついでに行く途中にある播磨国三木城(三木市)にも寄り道して別所家をビビらせてちょうだいよ! そしたら、あなたの運命も含めて、日本史は大いに織田政権よりに変わってたかも知れないんだぜ!?
織田信長に、竹中半兵衛の献策を受けてこういう示威行軍キャンペーンをほんとに挙行する余裕があったんだったら、三木合戦も有岡城合戦も起きてねーっつうの! 日本史と『軍師官兵衛』との、おおいなる矛盾がここに!!
●「わたくしは、蓼でございますか?」のセリフをすっとぼけた調子で言えない中谷さん。これだから中谷さんは中谷さんなんだよなぁ! ここで素直に、お客さんを苦しませないひょうきん女房を演じるという選択肢をとらないところに、女優・中谷美紀一代の「気持ち悪いアンチエイジング演技」がむき出しになっています。私はそういうの大っ嫌いなんですが、中谷さんなんだからしょうがねぇか。
●小寺政職「成りあがりのくせに、え~らっそうな男じゃったの~う。」
……お前が言うか? あんたも主君(赤松晴政)がよそに気を取られてるうちに独立して大名になったじゃねぇか! どっちも同じ穴の YAZAWA!!
○実際に主君(斎藤龍興)を殺す一歩手前までやっちゃったことのある竹中半兵衛と、どうしても主君(小寺政職)の家臣という立場から逃れられない官兵衛。その戦国人としての圧倒的な経験差が浮き彫りになった今回の対決でした。そのへんはわかりやすくまとまった脚本で、半兵衛の大きさと恐ろしさがうまく出ていましたね。これからの中国戦線でのしのぎのけずり合いが非常に楽しみ!
●ちょっと語られる順番がよくわからないんですが……今回の天正三(1576)年時点になってやっと本願寺がクローズアップっていうのは、なんか遅すぎない? だって、本願寺派の抵抗があるからこそ、織田信長も荒木村重もホイホイ自軍を播磨国に派兵する余裕がなかったわけなんでしょ?
どうも、荒木軍の播磨国入りという虚構に説得力を持たせるために、本願寺内戦の本格化を史実よりもずっと後にずらしたような作為が認められます。そういう小細工は、いらん!!
結論、「第10回がとてもたのしみです。」
今回は全体的におもしろかったんですが、前回に再登場するというフラグが立ったはずの将軍・足利義昭はおろか、われらがうちゆき姫までもが出てきませんでした……お濃の方、そのままうすくなって消えていかないでね~!!