長岡京エイリアン

日記に…なるかしらん

『軍師官兵衛』  視聴メモ 第39回『跡を継ぐ者』

2014年10月09日 11時27分55秒 | 日本史みたいな
『軍師官兵衛』第39回『跡を継ぐ者』(2014年9月28日 演出・田中健二)


登場する有名人・武将の『信長の野望』シリーズでのだいたいの能力評価(テロップ順)

黒田 官兵衛 孝高  …… 知力84、統率力67
 (演・岡田准一)

徳川 家康      …… 知力102、統率力65
 (演・寺尾聰)

黒田 長政      …… 知力77、統率力63
 (演・松坂桃李)

浅井 茶々姫     …… 知力16、統率力21
 (演・二階堂ふみ)

母里 太兵衛 友信  …… 知力44、統率力80
 (演・速水もこみち)

後藤 又兵衛 基次  …… 知力14、統率力75
 (演・塚本高史)

石田 三成      …… 知力92、統率力60
 (演・田中圭)

井伊 直政      …… 知力69、統率力81
 (演・東幹久)

北条 氏政(うじまさ)…… 知力101、統率力106
 戦国北条家第4代総帥。家督は嫡男・氏直に譲っているが実権を掌握し続けている。(演・伊吹吾郎)

増田 長盛      …… 知力85、統率力37
 豊臣家重臣。主に外交交渉を担当していた。(演・有薗芳記)

豊臣 秀長      …… 知力83、統率力75
 (演・嘉島典俊)

本多 忠勝      …… 知力66、統率力84
 (演・塩野谷正幸)

榊原 康政      …… 知力45、統率力78
 (演・中村育二)

福島 正則      …… 知力45、統率力83
 (演・石黒英雄)

北条 氏直(うじなお)…… 知力64、統率力79
 戦国北条家第5代総帥。北条氏政の嫡男。(演・羽田昌義)

千 利休
 (演・伊武雅刀)

豊臣 秀吉      …… 知力95、統率力94
 (演・竹中直人)


ざっとの感想

○天正十七(1589)年五月。黒田孝高44歳、黒田家家督を嫡男・長政22歳に譲り、隠居(ぜんぶ数え年計算です)!
 でも、そうか、かつて永禄十(1567)年に、孝高22歳は父・黒田職隆44歳に家督を譲られていたんでしたっけ。
 え!? 似てるもなにも、年齢の関係がまったくいっしょじゃありませんこと!? すごいなぁ~、黒田家! 実は豊臣家の後継者うんぬんなんか関係なく、タイミングがいいから、もともとこの年に隠居するって決めてたんだったりして!?
 現代の感覚からすればずいぶんと早い隠居のような気がするのですが、無論のこと、これが官兵衛の政治活動の終了を意味しているはずがなく、官兵衛は引き続き、というか以前にも増して中央の豊臣政権に活動の重心をおいてくるわけでして、疑われているからこそ、疑っている人物との距離を縮めるという捨て身の決意が込められている隠居であることは間違いがないのでありました。

 それにしても、かつての小寺家に相当する脅威が、今の豊臣政権とは……スケールちがいすぎ!!

○非常に心温まる、長政とお糸の方との晩酌シーンです。お糸の方は、いいね……

○ダーイシ三成、額にぶっとい青筋をおったてて「官兵衛なんか、隠居させりゃあいいじゃない!」と秀吉に嘆願。男のジェラシーは醜いったらありゃしねぇや! 女のジェラシーは怖くて、たま~に魅力的ですけど、男はただただ、その人物が小さく見えるだけですからねぇ……
 実際の石田三成がどういう人物だったのかはよくわからないんですけれども、私はどっちかっていうと、石ノ森章太郎の『マンガ日本の歴史』に出てきた三成のような、まじめだけどどこか抜けたところもある、バブル期に浮かれてしまった悲劇の凡人のようなキャラクターのほうが好きです。田中さんの三成は、とにかくいっしょにいて肩がこりますよね、たぶん。

○「懐妊しました。」という事実で、鬼の首を取ったかのように傾城ぶりをバリバリ発揮しはじめる茶々姫。でも、別に政治にまで口出しをしてるわけじゃないから、激務に疲れた秀吉にとっての、そういうシチュエーションのお店のような存在で、たまにはけっこうなのではないのでしょうか。
 秀吉、茶々姫を抱きながら『茶々の子守唄』的なオリジナルソングを唄おうとしてたでしょ……やっぱり竹中秀吉は、油断のスキもありゃしませんな!

●茶々バッシングで100人処刑! まさに、狂王秀吉。
 でも、いくら怒ったからって、落首の燃える炎をかたわらにしながら「うおおぉ~!!」と絶叫するとは……わかりやすすぎ!

○「主君を諌めるは、家臣の務め。」とつぶやいて、なんの躊躇もなくすくっと立ち上がる官兵衛、ステキすぎです。なんとアクティヴな隠居生活か!

○100人処刑かと思ったら、今度は黄金ばらまきサービス……日本史上でも屈指の「王さまっぷり」をほしいままにしている秀吉です。単純っつうかなんつうか。でも、これほど明解な「アメとムチ」政策もないわけでして、ある意味で人を殺しもするし元気にもする太陽に酷似している君主、とも言えるのではないのでしょうか。確かに官兵衛の言うとおり、その強権ぶりが豊臣家そのものの安泰に直結するものでないことは明らかなわけなんですけれど。
 この時代の京都に住むのは、かなりのギャンブルだったんだろうなぁ~。でも、それは794年以来、ず~っとそうか。

●この『軍師官兵衛』におけるおねの方はホンットに性格が悪いというか、いいかっこしいというか……だって、自分の言いたいグチをひとしきり侍女のマグダレナに言わせきってから「これこれ、そのようなことを言うでない。」みたいなフォローを入れるパターンの繰り返しなんだもんね! しまいにゃ自分の亭主を叱るのも40すぎの大の大人に丸投げする始末。
 自分の口を汚さずに他人にブラックなことをさんざん言わせてから形だけいなして済ます……おまえはビートきよしか、コノヤロー!!

○甲斐守に推挙されたということで、これを期に口ヒゲルックにリニューアルして変化をアピールする黒田長政なのですが、それ以上にしれっと変化しているのが、秀吉の白髪の増量&勝新みたいなサイド逆毛の強調! いよいよ、『秀吉』で語られなかった晩年ゾ~ンへの突入が間近になってまいりました!! どうするどうなる、竹中秀吉☆

●うをを、織田信忠の悲劇ふたたび! 徳川家康との会見という超重要な席で、北条家代表の主席を隠居した親父に譲る、現当主・北条氏直!! 当主の威厳、1ミクロンもなし……まぁ、親父が伊吹吾郎さんなんだから、しかたねぇけどよう!
 事実を言いますと、北条氏政は天正八(1580)年八月の時点で43歳で北条家家督を嫡男の氏直19歳に譲っています。

 ね、どっちも若いでしょ!? だからたぶん、戦国時代の大名における「隠居」という言葉に込められたニュアンスを、現代のものと全く同じだと考えるのはおかしいんですよ。実際に、史実の官兵衛も北条氏政も、隠居したからといって「引退」したわけではまるでなかったわけなんですから。
 つまり、官兵衛の隠居宣言イコール「政治の喧騒から離れた生活をしたい」という、今回のエピソードに流れていた空気はドラマオリジナルの架空だと考えたほうがいいと思うんです。おそらく、官兵衛は秀吉に慰留されて政権の中枢におさまることを前提にして家督を長政に譲ったのでしょう。隠居すると聞いて、「えぇ~、やめないで!」と感じた人間はいなかったはずなのです。もちろん、長政は「うわ~、大変だ……」と気を引き締めたでしょうし、三成は「あぁ、官兵衛さんが京あたりに引っ越して来るんだな。」と理解したことでしょう。
 「軍師」とか「隠居」とか、歴史ドラマにおける日本語のあつかいはほんとうに注意が必要ですよね~。おもしろい!


結論、「第40回がとてもたのしみです。」

 さぁさぁ、秀吉の天下統一に向けて、事実上の「最後の脅威」となった北条氏政(当主は氏直……)が登場してきました! しかも伊吹吾郎さん!! 盛り上がってきましたねぇ~。そして、次回第40回で、黒田官兵衛の物語はついに放送第1回のオープニングに巡り還ってくるようであります! うわ~官兵衛さん、老けてるのになぜかなつかしい!!

 今回さんざん出産ハッピームードが満開になった豊臣家も、まぁ……歴史をちょっと調べてみればああいうことになるわけですし、まだまだ官兵衛の前途に苦難のタネは消えません。
 でも、いよいよ残すところ10回ほどとなった『軍師官兵衛』。最後までがんばっていってくださ~い!!

 蛇足ながら、自分で引用しておいて違和感を訴えるのもなんなんですが、上の戦国武将たちの能力値、いくらなんでも北条氏政のやつは優遇しすぎだろ……伊吹吾郎さんだけどさぁ。
 これは『信長の野望』シリーズ第2作の『全国版』をもとにしている数値なのですが、この氏政は、多分に親父の北条氏康のキャラクターも加味しての能力値になっているし、ある意味、居城の天下の名城・小田原城の難攻不落さも個人の技能に入ってる部分があるし……私自身も、別に氏政が特に好きというわけでもないので相当にまゆつばな値であると理解しております。こっちは第3作の『戦国群雄伝』から引用した能力値なんですが、氏直も地味~に高いですよね。
 でも、まいっか! ラスボスはそうこなくっちゃね☆
コメント
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