映画『未来惑星ザルドス』(1974年2月 106分 アメリカ・アイルランド合作)
あらすじ
2293年の未来。人類は不老不死の特権階級「エターナルズ=永遠人(Eternals)」と、寿命のある「ブルータルズ=獣人(Brutals)」に分かれ、エターナルズは「ボルテックス」という土地に住み、獣人は荒廃した土地でエターナルズのために食料を生産していた。二つの世界は見えないバリアによって隔離され、ザルドス(Zardoz)という名の、獣人達が神と崇める人の頭部を模した空飛ぶ石像のみが往来可能であり、ザルドスは穀物を受け取る代わりにブルータルズの中から選んだ「エクスターミネーターズ=撲滅戦士 (Exterminators) 」という殺し屋集団に武器を渡していた。エクスターミネーターズは、「銃は善なり、ペニスは悪なり」と宣するザルドスの命ずるまま好き放題に同族であるはずのブルータルズを撃ち殺し、その人口を減らしていた。
あるとき、エクスターミネーターズのリーダー・ゼッドは、貢物の穀物に紛れてザルドスに乗り込み、ボルテックスへ旅立つ。飛行中にゼッドはザルドスを操るエターナルズのアーサー=フレインを撃ち、空中に放り出す。
ボルテックスに着いたゼッドは、メイというエターナルズの女性に捕獲され、彼女とコンスエラ(Consuella)という女性エターナルズはテレパシーによるゼッドの尋問を行うが、ゼッドは記憶を途中で遮断しており、ボルテックスに来た目的や方法といった肝心な情報は得られなかった。彼女らは観察のためにゼッドを3週間ほど生かしておくことで合意し、ゼッドはエターナルズの男性フレッドに預けられ、肉体労働などの使役を受けることになった。
フレッドはゼッドに、エターナルズの社会の仕組みを見せる。ボルテックスは「タバナクル(Tabernacle)」という中央コンピューターによって支配され、エターナルズは永遠に若く、争いや生殖もなく、仮に事故などで死んでもすぐに再生される。脳に埋め込まれたチップ「クリスタル」によってテレパシー能力や念力による攻撃能力を持つが、常に思考を監視され、不穏な思考や反逆思考の持ち主には、歳を取らせるという刑罰が与えられるディストピアだった。ボルテックスは当初、科学者の理想郷として建設され人類への貢献が期待されたが、不死不老ゆえの熱意の枯渇によりほとんど成果を出せず、エターナルズは目的を失って無気力状態に陥っている。そんな中でゼッドと接触したエターナルズの中には、ゼッドを不死という名の彼等の牢獄に終焉をもたらす解放者と見なす者が現れるようになった。
一方メイはゼッドの遺伝子を解析し、ゼッドは普通のブルータルズとは異なり、精神と肉体の能力はエターナルズを凌ぐ可能性があることを見出し、ゼッドの出自と行動にまつわる謎が、次第に明らかになるのであった。
映画『未来惑星ザルドス(みらいわくせいざるどす Zardoz)』は、アメリカ合衆国・アイルランド合作のSF映画。ブアマン自身による小説版も存在する。製作費157万ドル。
ジョン=ブアマンは、長年の盟友だったウィリアム=ステアと共に脚本を練り上げ、「未来に突き進む私たちの感情が後退しているという問題を描き出したかった」と語っている。そして、物語の舞台を「現代社会が崩壊した遠い未来」に設定した。
ブアマンは、「物語を貫く中心的なキャラクターに焦点を当てて作り上げたのです。彼(ゼッド)は不思議にも選ばれ、同時に操られているのです。私は物語をミステリー風味で、手掛かりや謎を解明しながら少しずつ真実が明かされるようにしたかったのです。」と語っており、脚本はオルダス=ハクスリー、ライマン・フランク=ボーム、T・S=エリオット、トールキンの作品やアーサー王物語から影響を受けたという。また、「外的宇宙というよりも内的なものを描いたつもりです。より形而上学的な、優れたSF文学に近いものです。SFというジャンルに悪い印象を与えているのは、ほとんどが宇宙服を着た冒険物語です。」とも語っている。
ショーン=コネリーの起用についてブアマンは、「彼は007ジェイムズ=ボンド役を降りたばかりで、仕事がなかったんだ。だから私のところに来たんだよ。」と語っている。シャーロット=ランプリングは出演の理由について、「詩的だったからです。脚本には身体を愛し、自然を愛し、そして生まれてきた場所を愛せとはっきりと書いてありました。」と語っている。海岸でエクスターミネーターズに虐殺される獣人たちは、撮影現場周辺にいたジプシーによるエキストラ出演である。また、このシーンでゼッドに最初に殺される獣人はブアマンが演じている。この他、ゼッドがエターナルズから知識を授かるフラッシュバックシーンにはブアマンの3人の娘がカメオ出演しており、当時妻だったクリステル・クルーズ=ブアマンは衣装デザイナーとして参加している。
製作費は20世紀フォックスが出資し、製作はブアマンが所有するジョン・ブアマン・プロダクションズが手掛けた。主要な撮影は1973年5~8月に行われた。撮影にはスタンリー=キューブリックがテクニカル・アドバイザーとして参加しているが、クレジットはされていない。
撮影はアイルランド東部のウィックロー県で行われ(ブアマンの自宅から約16km 圏内の場所だった)、ザルドスの石像が飛行するシーンは県内の町ブレイのスタジオの駐車場で撮影され、石像はケーブル操作で動かしていた。撮影中、コネリーはブレイに居住しており、この時に住んでいた邸宅は彼が死去する数か月前に競売に出されている。ブアマンはブレイの景観を気に入っており、『エクスカリバー』(1981年)など複数の作品の撮影を同地で行っている。また、当時はアイルランド共和軍(IRA)の活動が活発だったため銃器の持ち込みができず、ブアマンは撮影地の変更を検討していたが、技術スタッフの一人がIRAメンバーだったことが判明し、彼を通してIRAと交渉した結果、撮影地への銃器の持ち込みが認められたという。ゼッドとコンスエラが老いていくシーンは1日かけて撮影され、ラストシーンで映し出される手形はブアマン自身の手形が使用された。
ブアマンは使用した楽曲について、イギリスの古楽研究家デイヴィッド=マンロウに作曲を依頼した。物語の舞台は23世紀の未来世界だが、これについてブアマンは、未来的な音楽には旧世界の様々な楽器の音色が含まれていることが相応しいと考えていた。そのため、ブアマンは中世の楽器(鐘や笛など)を使用するようにマンロウに指示している。また、マンロウが作曲した中世楽器の音楽の他にルートヴィヒ=ヴァン=ベートーヴェンの『交響曲第7番 第2楽章』も使用された。
1974年2月6日からアメリカ合衆国のロサンゼルスとニューヨークで公開されたが、批評家からは酷評された。また、観客からも複雑な世界観は受け入れられず批判の対象となった。スターログは「大半の批評家(そして観客)は、ブアマンのアナロジーや哲学的な主張を理解できなかった。」と批評しており、こうした空気の中で「鑑賞する価値がない映画」と判断され、上映館では空席が目立つようになった。当時の観客の証言によると、「映画を観終わった観客がロビーに戻ってくると、次の上映待ちの人たちに観賞せずに帰るように促していて、その光景が何度も繰り返されていた。」という。チケットの売上も低調で、アメリカ合衆国・カナダの最終的な配給収入は180万ドルに留まっている。
ブアマン自身は、「非常に耽美で個人的な映画だが、それを実現するためには十分な予算とは言えなかった。」と評価している。
本作は、時代を経るごとにカルト的人気を集めていることが指摘されている。1992年にロサンゼルス・タイムズに寄稿したジェフ・バルチャーは「熱狂的なSFファンにとって、この映画は知性が人類を圧倒し、人類が不死を実現した時に何が起きるのかを見せてくれるサイケデリック体験だ。」と批評し、ブアマンが自分自身の思い描くヴィジョンの一部を実現した作品と位置付けた。こうした再評価が進む中で、本作は1970年代の映画の中で最も荒々しくて野心的な古典作品と認識されるようになった。
おもなキャスティング
ゼッド …… ショーン=コネリー(43歳 2020年没)
コンスエラ …… シャーロット=ランプリング(28歳)
メイ …… セイラ=ケステルマン(30歳)
フレッド …… ジョン=アルダートン(34歳)
アーサー=フレイン / ザルドス …… ナイオール=バギー(25歳)
囚人ジョージ=サデン …… ボスコ=ホーガン(24歳)
老いた科学者 …… クリストファー=カソン(61歳 1996年没)
タバナクルの声 …… デイヴィッド=デ・キーサー(46歳 2021年没)
おもなスタッフ
監督・脚本・製作 …… ジョン=ブアマン(41歳)
音楽 …… デイヴィッド=マンロウ(31歳 1976年没)
撮影 …… ジェフリー=アンスワース(59歳 1978年没)
≪年度末は忙しい!! 本文マダナノヨ≫
あらすじ
2293年の未来。人類は不老不死の特権階級「エターナルズ=永遠人(Eternals)」と、寿命のある「ブルータルズ=獣人(Brutals)」に分かれ、エターナルズは「ボルテックス」という土地に住み、獣人は荒廃した土地でエターナルズのために食料を生産していた。二つの世界は見えないバリアによって隔離され、ザルドス(Zardoz)という名の、獣人達が神と崇める人の頭部を模した空飛ぶ石像のみが往来可能であり、ザルドスは穀物を受け取る代わりにブルータルズの中から選んだ「エクスターミネーターズ=撲滅戦士 (Exterminators) 」という殺し屋集団に武器を渡していた。エクスターミネーターズは、「銃は善なり、ペニスは悪なり」と宣するザルドスの命ずるまま好き放題に同族であるはずのブルータルズを撃ち殺し、その人口を減らしていた。
あるとき、エクスターミネーターズのリーダー・ゼッドは、貢物の穀物に紛れてザルドスに乗り込み、ボルテックスへ旅立つ。飛行中にゼッドはザルドスを操るエターナルズのアーサー=フレインを撃ち、空中に放り出す。
ボルテックスに着いたゼッドは、メイというエターナルズの女性に捕獲され、彼女とコンスエラ(Consuella)という女性エターナルズはテレパシーによるゼッドの尋問を行うが、ゼッドは記憶を途中で遮断しており、ボルテックスに来た目的や方法といった肝心な情報は得られなかった。彼女らは観察のためにゼッドを3週間ほど生かしておくことで合意し、ゼッドはエターナルズの男性フレッドに預けられ、肉体労働などの使役を受けることになった。
フレッドはゼッドに、エターナルズの社会の仕組みを見せる。ボルテックスは「タバナクル(Tabernacle)」という中央コンピューターによって支配され、エターナルズは永遠に若く、争いや生殖もなく、仮に事故などで死んでもすぐに再生される。脳に埋め込まれたチップ「クリスタル」によってテレパシー能力や念力による攻撃能力を持つが、常に思考を監視され、不穏な思考や反逆思考の持ち主には、歳を取らせるという刑罰が与えられるディストピアだった。ボルテックスは当初、科学者の理想郷として建設され人類への貢献が期待されたが、不死不老ゆえの熱意の枯渇によりほとんど成果を出せず、エターナルズは目的を失って無気力状態に陥っている。そんな中でゼッドと接触したエターナルズの中には、ゼッドを不死という名の彼等の牢獄に終焉をもたらす解放者と見なす者が現れるようになった。
一方メイはゼッドの遺伝子を解析し、ゼッドは普通のブルータルズとは異なり、精神と肉体の能力はエターナルズを凌ぐ可能性があることを見出し、ゼッドの出自と行動にまつわる謎が、次第に明らかになるのであった。
映画『未来惑星ザルドス(みらいわくせいざるどす Zardoz)』は、アメリカ合衆国・アイルランド合作のSF映画。ブアマン自身による小説版も存在する。製作費157万ドル。
ジョン=ブアマンは、長年の盟友だったウィリアム=ステアと共に脚本を練り上げ、「未来に突き進む私たちの感情が後退しているという問題を描き出したかった」と語っている。そして、物語の舞台を「現代社会が崩壊した遠い未来」に設定した。
ブアマンは、「物語を貫く中心的なキャラクターに焦点を当てて作り上げたのです。彼(ゼッド)は不思議にも選ばれ、同時に操られているのです。私は物語をミステリー風味で、手掛かりや謎を解明しながら少しずつ真実が明かされるようにしたかったのです。」と語っており、脚本はオルダス=ハクスリー、ライマン・フランク=ボーム、T・S=エリオット、トールキンの作品やアーサー王物語から影響を受けたという。また、「外的宇宙というよりも内的なものを描いたつもりです。より形而上学的な、優れたSF文学に近いものです。SFというジャンルに悪い印象を与えているのは、ほとんどが宇宙服を着た冒険物語です。」とも語っている。
ショーン=コネリーの起用についてブアマンは、「彼は007ジェイムズ=ボンド役を降りたばかりで、仕事がなかったんだ。だから私のところに来たんだよ。」と語っている。シャーロット=ランプリングは出演の理由について、「詩的だったからです。脚本には身体を愛し、自然を愛し、そして生まれてきた場所を愛せとはっきりと書いてありました。」と語っている。海岸でエクスターミネーターズに虐殺される獣人たちは、撮影現場周辺にいたジプシーによるエキストラ出演である。また、このシーンでゼッドに最初に殺される獣人はブアマンが演じている。この他、ゼッドがエターナルズから知識を授かるフラッシュバックシーンにはブアマンの3人の娘がカメオ出演しており、当時妻だったクリステル・クルーズ=ブアマンは衣装デザイナーとして参加している。
製作費は20世紀フォックスが出資し、製作はブアマンが所有するジョン・ブアマン・プロダクションズが手掛けた。主要な撮影は1973年5~8月に行われた。撮影にはスタンリー=キューブリックがテクニカル・アドバイザーとして参加しているが、クレジットはされていない。
撮影はアイルランド東部のウィックロー県で行われ(ブアマンの自宅から約16km 圏内の場所だった)、ザルドスの石像が飛行するシーンは県内の町ブレイのスタジオの駐車場で撮影され、石像はケーブル操作で動かしていた。撮影中、コネリーはブレイに居住しており、この時に住んでいた邸宅は彼が死去する数か月前に競売に出されている。ブアマンはブレイの景観を気に入っており、『エクスカリバー』(1981年)など複数の作品の撮影を同地で行っている。また、当時はアイルランド共和軍(IRA)の活動が活発だったため銃器の持ち込みができず、ブアマンは撮影地の変更を検討していたが、技術スタッフの一人がIRAメンバーだったことが判明し、彼を通してIRAと交渉した結果、撮影地への銃器の持ち込みが認められたという。ゼッドとコンスエラが老いていくシーンは1日かけて撮影され、ラストシーンで映し出される手形はブアマン自身の手形が使用された。
ブアマンは使用した楽曲について、イギリスの古楽研究家デイヴィッド=マンロウに作曲を依頼した。物語の舞台は23世紀の未来世界だが、これについてブアマンは、未来的な音楽には旧世界の様々な楽器の音色が含まれていることが相応しいと考えていた。そのため、ブアマンは中世の楽器(鐘や笛など)を使用するようにマンロウに指示している。また、マンロウが作曲した中世楽器の音楽の他にルートヴィヒ=ヴァン=ベートーヴェンの『交響曲第7番 第2楽章』も使用された。
1974年2月6日からアメリカ合衆国のロサンゼルスとニューヨークで公開されたが、批評家からは酷評された。また、観客からも複雑な世界観は受け入れられず批判の対象となった。スターログは「大半の批評家(そして観客)は、ブアマンのアナロジーや哲学的な主張を理解できなかった。」と批評しており、こうした空気の中で「鑑賞する価値がない映画」と判断され、上映館では空席が目立つようになった。当時の観客の証言によると、「映画を観終わった観客がロビーに戻ってくると、次の上映待ちの人たちに観賞せずに帰るように促していて、その光景が何度も繰り返されていた。」という。チケットの売上も低調で、アメリカ合衆国・カナダの最終的な配給収入は180万ドルに留まっている。
ブアマン自身は、「非常に耽美で個人的な映画だが、それを実現するためには十分な予算とは言えなかった。」と評価している。
本作は、時代を経るごとにカルト的人気を集めていることが指摘されている。1992年にロサンゼルス・タイムズに寄稿したジェフ・バルチャーは「熱狂的なSFファンにとって、この映画は知性が人類を圧倒し、人類が不死を実現した時に何が起きるのかを見せてくれるサイケデリック体験だ。」と批評し、ブアマンが自分自身の思い描くヴィジョンの一部を実現した作品と位置付けた。こうした再評価が進む中で、本作は1970年代の映画の中で最も荒々しくて野心的な古典作品と認識されるようになった。
おもなキャスティング
ゼッド …… ショーン=コネリー(43歳 2020年没)
コンスエラ …… シャーロット=ランプリング(28歳)
メイ …… セイラ=ケステルマン(30歳)
フレッド …… ジョン=アルダートン(34歳)
アーサー=フレイン / ザルドス …… ナイオール=バギー(25歳)
囚人ジョージ=サデン …… ボスコ=ホーガン(24歳)
老いた科学者 …… クリストファー=カソン(61歳 1996年没)
タバナクルの声 …… デイヴィッド=デ・キーサー(46歳 2021年没)
おもなスタッフ
監督・脚本・製作 …… ジョン=ブアマン(41歳)
音楽 …… デイヴィッド=マンロウ(31歳 1976年没)
撮影 …… ジェフリー=アンスワース(59歳 1978年没)
≪年度末は忙しい!! 本文マダナノヨ≫
ザルドス・・・素晴らしい傑作です。
私も以前引用記事を書きました(↑)。
訳本も買いましたが、謎解きが日本語ではサッパリ分からなかった。非道い訳でした。
「すばらしいオズの魔法使い」の文字がだんだん欠けていって最後に「オズ 法」になったのを見てゼドが「そうだったのか❗」と驚く、これではナンノコッチャです。ここは英語で併記する以外ワカンナイのです。
その意味では題名は「未来惑星ザードズ」でなければならないのですっ‼️
いや~、すごい作品でしたね。私、大変遅ればせながらも、この作品を4Kデジタル版のスクリーンで初見できたこと、ほんとうに幸福なことでした。映画の神?に感謝せねば。
予算的事情もあってか、なかなかイイ感じにゆるくておおらかな印象も受けたのですが、その中身には鋼鉄のようにガッチガチなブアマン監督の宗教そして人類史への考察があると見受けました。伝わるかどうかは別としても、ゼッドを主人公とした地獄めぐりのような形而的問答合戦は、かのエヴァンゲリオンシリーズの数段上をゆく密度であると感じましたね。またその主人公を、非常にベタな大スターイメージの定着したコネリーが演じているのが、実に巧妙なんですよね! ふつうのスペクタクルSFかと思って観てみたら、罠にはまってしまうわけです。
映画的なヴィジュアルイメージの強い『オズの魔法使い』をベースにしているのも、非常にうまいですよね。そうですか、「ウィザード=魔法使い」というイメージの定着していなかった時代にザルドスの言葉遊びを説明するのは、そんなに難しかったんですね……なんで怪獣みたいな「ザルドス」にしちゃったんですかね。「ウィザルド・オブ・オス」?
パンフレットを読んで、ブアマン監督が両親譲りのイエズス会信者だと伺って、大いに納得しました。なんでそこまで!?ってくらいにストイック。
私の大大大好きな、タルコフスキー監督やヘルツォーク監督にも通じる、異常なまでの意志の強さを感じた作品でした。
油断すると、強烈な眠気をけしかけてくるところも、そっくりですね……