『軍師官兵衛』第12回『人質松寿丸』(2014年3月23日 演出・大原拓)
登場する武将の『信長の野望』シリーズでのだいたいの能力評価(テロップ順)
小寺 官兵衛 孝高 …… 知力84、統率力67
(演・岡田准一)
竹中 半兵衛 重治 …… 知力59、統率力91
(演・谷原章介)
明智 光秀 …… 知力93、統率力95
(演・春風亭小朝)
母里 太兵衛 友信 …… 知力44、統率力80
(演・速水もこみち)
丹羽 長秀 …… 知力82、統率力73
(演・勝野洋)
松永 弾正少弼 久秀 …… 知力86、統率力76
大和国信貴山城主、かつての京政権の覇者(演・ミッキー=カーチス)
織田 信長 …… 知力115、統率力108
(演・江口洋介)
吉川 元春 …… 知力58、統率力85
(演・吉見一豊)
織田 信忠 …… 知力73、統率力69
信長の嫡男で、織田家の現当主(演・中村倫也)
毛利 輝元 …… 知力85、統率力80
(演・三浦孝太)
小寺 兵庫助 利高 …… 知力78、統率力63
(演・植木祥平)
足利 義昭 …… 知力98、統率力86
(演・吹越満)
小寺 松寿丸 …… 知力77、統率力63
官兵衛の嫡男、後の黒田長政。今回の時点では10歳。(演・若山耀人)
小寺 政職 …… 知力44、統率力49
(演・片岡鶴太郎)
小早川 隆景 …… 知力83、統率力77
(演・鶴見辰吾)
羽柴 秀吉 …… 知力95、統率力94
(演・竹中直人)
小寺 職隆 …… 知力72、統率力55
(演・柴田恭平)
ざっとの感想
○栗山善助とお道とのあいだに第一子が誕生すると聞いて盛り上がる官兵衛家中。でも、この時期(1570年代後半)に生まれるということは、このお子さんは、官兵衛の孫・黒田忠之の重臣であの「黒田騒動」を引き起こす栗山大膳利章(としあきら 1591年生まれ)とは別人ということになる。
女の子だったら利章の姉ということで特に問題はないのですが、男の子だったら、利章ほど有名になる前に病気か戦乱で早死にしてしまうのだろうか…… Oh, 生まれる前から死亡フラグ点灯!?
○きたきたきたきた、松永弾正エピソードぉおおおお!!
今年はオープニング明けのドあたまから「松永様、御謀反」ときたもんだ! 大河ドラマの歴代松永史上でも、今までにないメインへのすえ方じゃないですか!?
●それにしても、絶対♡ 松永久秀主義者の私から見ても、CG 画像で再現されたあの信貴山城天守閣は、ちょっと立派にしすぎなんじゃなかろうかと……さすがに、そこまでのものを築城するテクニックはなかったんじゃない? 本丸にあんなに広い縄張りとれないでしょ、信貴山じゃ。
○ミッキーさんというキャスティングも、実にいい!! 眼の輝きが若々しすぎるんだよなぁ。そこがどうしようもなく異常で、「只者ではない」感をセリフなしでもで猛プッシュ。松永弾正は爆死する瞬間まで青春じゃなきゃダメ!
○「足利義昭さま……」と、小学生でもやらなそうな失言をおかす光秀。ベタだねぇ~。
「ハエ将軍」とののしっておきながら、そのハエをいつまでたってもつぶせずにいる信長。これはもう軍事力とか政治力の話じゃなくて、信長自身の過去における優柔不断さを今さら後悔する、「あの時やっちまっとけばな~。」という単なるグチですよね。
ハエはハエでもベルゼブブ!! 足利一族伝来の「ねちっこさ」をナメんなよ!!
●いかな高齢(68歳)の松永弾正といえども、自分が一度は暗殺しかけた足利義昭公を旗印に最後の挙兵はしないでしょうよ。鞆の浦なんてクソ遠いし! これはもう、明らかに北の上杉謙信の上洛にあわせた賭けだったはずです。『軍師官兵衛』はそこまでして西日本にドラマの焦点をもっていきたいのだろうか。
力なき権威なんてぶっとばせ!! 弾正は常に力あるものを利用するのです。
●信長の「裏切りは許さん。」から人質要求のエピソードにいくのは実に自然だし、このやりとりはもう世界共通の「乱世のならい」であるわけなのですが。
松永弾正だって人質(子か孫2人)はちゃんと信長に提出してるのよね……ちゃんと提出してるのに裏切っちゃってるのよね……
人質がどーのこーの言おうが、裏切るヤツは裏切る!! 肝心のところで脚本の説得力がなくなってしまった……
○本人のいないところで、禁断の「10歳になっても失禁」エピソードを孫に暴露する小寺職隆。嫌な親父だなぁ。まぁ、もらしてたのはそこにいるキラトくんだったんですけどね。
○オープニングではクレジットがなかったのだが、今回は松永弾正に加えてさらに、弾正の「空気息子」こと松永久通までもが登場の大盤振る舞い! キャー!!
松永久通って、『信長の野望』でもひたすら役に立たないわ(知力53、統率力48)久秀よりも先に死ぬわで、ホントにいてもいなくてもいいんだよなぁ! でも、その哀愁が、イイ!!
●弾正の「古天明平蜘蛛釜」はさ、も~ちょっと一発で名器とわかる造形にしてもらえんもんだったろうか。ちょっと、フツーの古臭い茶釜すぎやしないかい? いや、私も茶器のことなんてなんにもわかんないけどさ。
もっとこう、ウソでもいいからギラギラしたオーパーツみたいなけれん味を足してさ……それじゃなきゃ「子よりも茶器を取る」弾正の狂気が浮かばれんでしょうがよ!
●信長の「松永の人質を処刑」判断に「そんな、ひどい……」みたいなショックな顔をするお濃の方の神経がまったく理解できない。アンタ、それでも戦国人か? しかも、武家の娘で棟梁の正妻なんでしょ!?
裏切った者の人質は、そりゃそうなりますよ、どっちも真剣勝負なんだから。それがルールなんだから。
このシーンでのお濃の方のリアクションとか、小寺家との人質交渉を過剰に心配する秀吉とか、な~んかこのドラマの脇役連は、感覚が「現代すぎる」というか、「人命を重視しすぎ」のような気がします。いや、そりゃ大事な命は今も昔も大事なんだけどさ、その大事な命を守るために「あえて踏み潰さなきゃいけない命」っていうものもあるでしょうよ。「人類みな兄弟」みたいな空論を戦国ドラマにねじこむんじゃない!!
●「小寺政職の子が人質にならないのなら、家臣の官兵衛の子でいっか。」というように織田家が考えてくれると思う? この脚本の流れは絶対におかしい。
つまり、織田家はハナっから小寺家なんかあてにしておらず、もともと官兵衛を「交渉相手」に選んで話を進めていたのではなかろうか、と……っていうか、これも織田家じきじきというよりは、羽柴秀吉発信の単なる中国攻め戦略の一環だったのでは?
要するに、「織田信長と小寺政職の正式外交」なんていうしかつめらしい土台そのものが妄想なんじゃなかろうか、と。実際にはもっと土くさくてざっくりしたやりとりだったんじゃないかなぁ。秀吉のヘッドハンティングみたいな。
●実際、人質が危険なのは「実家が何かやらかしたとき」だけなのであって、それよりも「文化的先進地域への留学」とか「大企業での帝王学の実地体験」とかいうメリットのほうが大きいような気がします。黒田長政だって、まぁだいたい名将に成長しましたしね。
●ほんとに官兵衛が松寿丸を連れて信長に謁見したのかどうかがまず疑問なのですが、それにしても、現当主の信忠を下座にすわらせて堂々と上座にいる信長なんて、こんな配置を公式行事でやるわけないんじゃない!? そんなの、「社長はコイツだけどいちばん偉いのはオレな。」って会長がのさばってるみたいなもんじゃないの。そりゃまあ、内実はそうだったとしても、それを表に出さないのがルールなの!!
信忠、あなたもっとごはんを食べなさい! 貫禄なさすぎ!!
結論、「第13回がとてもたのしみです。」
松永弾正のはっちゃけっぷりは最高だったのですが、「人質外交の悲劇性」とか「織田信長の非人間性」とかをむりやりねじこんできた脚本に大いに疑問を感じた回でした。地方と中央の政治的事情のからめかたって、難しいのねぇ。
それにしても、「小寺家の代表」としての官兵衛とその息子といったイメージを強調したら、のちの小寺政職の挙兵に対する織田家の処断がモロに松寿丸にぶちあたってくるかと思うのですが……そこらへんはどうさばく、脚本!? 最初から官兵衛と小寺政職を別勢力みたいにとらえていたら問題はないわけなんですけどね。実際、1577年当時はほぼそういう関係だったんじゃないの?
さぁ、家臣が異常に有能な地方領主の悲哀と意地をどう見せるか、片岡鶴太郎!! ここからが真骨頂ですなぁ。
登場する武将の『信長の野望』シリーズでのだいたいの能力評価(テロップ順)
小寺 官兵衛 孝高 …… 知力84、統率力67
(演・岡田准一)
竹中 半兵衛 重治 …… 知力59、統率力91
(演・谷原章介)
明智 光秀 …… 知力93、統率力95
(演・春風亭小朝)
母里 太兵衛 友信 …… 知力44、統率力80
(演・速水もこみち)
丹羽 長秀 …… 知力82、統率力73
(演・勝野洋)
松永 弾正少弼 久秀 …… 知力86、統率力76
大和国信貴山城主、かつての京政権の覇者(演・ミッキー=カーチス)
織田 信長 …… 知力115、統率力108
(演・江口洋介)
吉川 元春 …… 知力58、統率力85
(演・吉見一豊)
織田 信忠 …… 知力73、統率力69
信長の嫡男で、織田家の現当主(演・中村倫也)
毛利 輝元 …… 知力85、統率力80
(演・三浦孝太)
小寺 兵庫助 利高 …… 知力78、統率力63
(演・植木祥平)
足利 義昭 …… 知力98、統率力86
(演・吹越満)
小寺 松寿丸 …… 知力77、統率力63
官兵衛の嫡男、後の黒田長政。今回の時点では10歳。(演・若山耀人)
小寺 政職 …… 知力44、統率力49
(演・片岡鶴太郎)
小早川 隆景 …… 知力83、統率力77
(演・鶴見辰吾)
羽柴 秀吉 …… 知力95、統率力94
(演・竹中直人)
小寺 職隆 …… 知力72、統率力55
(演・柴田恭平)
ざっとの感想
○栗山善助とお道とのあいだに第一子が誕生すると聞いて盛り上がる官兵衛家中。でも、この時期(1570年代後半)に生まれるということは、このお子さんは、官兵衛の孫・黒田忠之の重臣であの「黒田騒動」を引き起こす栗山大膳利章(としあきら 1591年生まれ)とは別人ということになる。
女の子だったら利章の姉ということで特に問題はないのですが、男の子だったら、利章ほど有名になる前に病気か戦乱で早死にしてしまうのだろうか…… Oh, 生まれる前から死亡フラグ点灯!?
○きたきたきたきた、松永弾正エピソードぉおおおお!!
今年はオープニング明けのドあたまから「松永様、御謀反」ときたもんだ! 大河ドラマの歴代松永史上でも、今までにないメインへのすえ方じゃないですか!?
●それにしても、絶対♡ 松永久秀主義者の私から見ても、CG 画像で再現されたあの信貴山城天守閣は、ちょっと立派にしすぎなんじゃなかろうかと……さすがに、そこまでのものを築城するテクニックはなかったんじゃない? 本丸にあんなに広い縄張りとれないでしょ、信貴山じゃ。
○ミッキーさんというキャスティングも、実にいい!! 眼の輝きが若々しすぎるんだよなぁ。そこがどうしようもなく異常で、「只者ではない」感をセリフなしでもで猛プッシュ。松永弾正は爆死する瞬間まで青春じゃなきゃダメ!
○「足利義昭さま……」と、小学生でもやらなそうな失言をおかす光秀。ベタだねぇ~。
「ハエ将軍」とののしっておきながら、そのハエをいつまでたってもつぶせずにいる信長。これはもう軍事力とか政治力の話じゃなくて、信長自身の過去における優柔不断さを今さら後悔する、「あの時やっちまっとけばな~。」という単なるグチですよね。
ハエはハエでもベルゼブブ!! 足利一族伝来の「ねちっこさ」をナメんなよ!!
●いかな高齢(68歳)の松永弾正といえども、自分が一度は暗殺しかけた足利義昭公を旗印に最後の挙兵はしないでしょうよ。鞆の浦なんてクソ遠いし! これはもう、明らかに北の上杉謙信の上洛にあわせた賭けだったはずです。『軍師官兵衛』はそこまでして西日本にドラマの焦点をもっていきたいのだろうか。
力なき権威なんてぶっとばせ!! 弾正は常に力あるものを利用するのです。
●信長の「裏切りは許さん。」から人質要求のエピソードにいくのは実に自然だし、このやりとりはもう世界共通の「乱世のならい」であるわけなのですが。
松永弾正だって人質(子か孫2人)はちゃんと信長に提出してるのよね……ちゃんと提出してるのに裏切っちゃってるのよね……
人質がどーのこーの言おうが、裏切るヤツは裏切る!! 肝心のところで脚本の説得力がなくなってしまった……
○本人のいないところで、禁断の「10歳になっても失禁」エピソードを孫に暴露する小寺職隆。嫌な親父だなぁ。まぁ、もらしてたのはそこにいるキラトくんだったんですけどね。
○オープニングではクレジットがなかったのだが、今回は松永弾正に加えてさらに、弾正の「空気息子」こと松永久通までもが登場の大盤振る舞い! キャー!!
松永久通って、『信長の野望』でもひたすら役に立たないわ(知力53、統率力48)久秀よりも先に死ぬわで、ホントにいてもいなくてもいいんだよなぁ! でも、その哀愁が、イイ!!
●弾正の「古天明平蜘蛛釜」はさ、も~ちょっと一発で名器とわかる造形にしてもらえんもんだったろうか。ちょっと、フツーの古臭い茶釜すぎやしないかい? いや、私も茶器のことなんてなんにもわかんないけどさ。
もっとこう、ウソでもいいからギラギラしたオーパーツみたいなけれん味を足してさ……それじゃなきゃ「子よりも茶器を取る」弾正の狂気が浮かばれんでしょうがよ!
●信長の「松永の人質を処刑」判断に「そんな、ひどい……」みたいなショックな顔をするお濃の方の神経がまったく理解できない。アンタ、それでも戦国人か? しかも、武家の娘で棟梁の正妻なんでしょ!?
裏切った者の人質は、そりゃそうなりますよ、どっちも真剣勝負なんだから。それがルールなんだから。
このシーンでのお濃の方のリアクションとか、小寺家との人質交渉を過剰に心配する秀吉とか、な~んかこのドラマの脇役連は、感覚が「現代すぎる」というか、「人命を重視しすぎ」のような気がします。いや、そりゃ大事な命は今も昔も大事なんだけどさ、その大事な命を守るために「あえて踏み潰さなきゃいけない命」っていうものもあるでしょうよ。「人類みな兄弟」みたいな空論を戦国ドラマにねじこむんじゃない!!
●「小寺政職の子が人質にならないのなら、家臣の官兵衛の子でいっか。」というように織田家が考えてくれると思う? この脚本の流れは絶対におかしい。
つまり、織田家はハナっから小寺家なんかあてにしておらず、もともと官兵衛を「交渉相手」に選んで話を進めていたのではなかろうか、と……っていうか、これも織田家じきじきというよりは、羽柴秀吉発信の単なる中国攻め戦略の一環だったのでは?
要するに、「織田信長と小寺政職の正式外交」なんていうしかつめらしい土台そのものが妄想なんじゃなかろうか、と。実際にはもっと土くさくてざっくりしたやりとりだったんじゃないかなぁ。秀吉のヘッドハンティングみたいな。
●実際、人質が危険なのは「実家が何かやらかしたとき」だけなのであって、それよりも「文化的先進地域への留学」とか「大企業での帝王学の実地体験」とかいうメリットのほうが大きいような気がします。黒田長政だって、まぁだいたい名将に成長しましたしね。
●ほんとに官兵衛が松寿丸を連れて信長に謁見したのかどうかがまず疑問なのですが、それにしても、現当主の信忠を下座にすわらせて堂々と上座にいる信長なんて、こんな配置を公式行事でやるわけないんじゃない!? そんなの、「社長はコイツだけどいちばん偉いのはオレな。」って会長がのさばってるみたいなもんじゃないの。そりゃまあ、内実はそうだったとしても、それを表に出さないのがルールなの!!
信忠、あなたもっとごはんを食べなさい! 貫禄なさすぎ!!
結論、「第13回がとてもたのしみです。」
松永弾正のはっちゃけっぷりは最高だったのですが、「人質外交の悲劇性」とか「織田信長の非人間性」とかをむりやりねじこんできた脚本に大いに疑問を感じた回でした。地方と中央の政治的事情のからめかたって、難しいのねぇ。
それにしても、「小寺家の代表」としての官兵衛とその息子といったイメージを強調したら、のちの小寺政職の挙兵に対する織田家の処断がモロに松寿丸にぶちあたってくるかと思うのですが……そこらへんはどうさばく、脚本!? 最初から官兵衛と小寺政職を別勢力みたいにとらえていたら問題はないわけなんですけどね。実際、1577年当時はほぼそういう関係だったんじゃないの?
さぁ、家臣が異常に有能な地方領主の悲哀と意地をどう見せるか、片岡鶴太郎!! ここからが真骨頂ですなぁ。
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