フランスのガブリエル・アタル教育相は27日、一部のムスリム(イスラム教徒)女性が着る、ゆるやかに全身を覆う「アバヤ」について、公立校での着用を禁止すると発表した。9月4日の新年度から規制を適用するとしている。
フランスでは、世俗主義に反するとして、公立校や政府機関の建物で宗教的象徴をまとうことが厳しく禁じられている。 頭髪を覆うスカーフは、2004年から公立校での着用が認められていない。
今夏に34歳で教育相に任命されたばかりのアタル氏はテレビ番組で、「教室に入った時に、見た目で生徒の宗教を特定できてはいけない」と説明。「学校でのアバヤ着用を禁止すると決めた」と述べた。
学校でのアバヤ着用をめぐっては、数カ月にわたって議論が続いてきた。
学校でアバヤを着る生徒が増える中、政治的な対立が起きている。右派政党が禁止を求める一方で、左派政党はムスリム女性や少女の権利の侵害を懸念している。
アタル氏は、「世俗主義は、学校を通じて自らを解放する自由を意味する」と述べ、アバヤは「学校という世俗的聖域に対して共和国が持つ抵抗力を試す宗教行為」だと主張した。
その上で、夏休み明けの学校再開までに、全国レベルの明確なルールを示すと述べた。
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フランス政府は2010年、公共の場での顔を覆うヴェールの着用を禁止。500万人超のムスリム・コミュニティーから怒りを買った。
同国では19世紀以来、キリスト教カトリック教会の影響を公的教育から排除するため、大きな十字架などのキリスト教のシンボルを含め、学校での宗教的象徴の使用を厳しく禁止してきた。
また、人口分布の変化を反映し、長年にわたって法律を更新してきた。現在では禁止事項にイスラム教のスカーフやユダヤ教のキッパも含まれるが、アバヤが全面的に禁止されたことはない。
イスラム教の宗教的象徴をめぐっては、2020年にパリ近郊で、預言者ムハンマドの風刺画を教材として生徒たちに見せた教師が首を切断されて殺害された事件以降、議論が活発化している。
仏ムスリム評議会(CFCM)は、衣服だけでは「宗教的象徴」にならないとしている。