帝国の属州「執政官」という考え方は、古代ローマ帝国から大英帝国、そしてアメリカ帝国へと連綿(れんめん)と受け継がれてきました。
ジャパン・ハンドラーズとは、「覇権国アメリカ」が日本に送り込む〈日本管理要員〉であり、カウンターパーツは、その意を受けた現代の執政官です。そして本人の自覚あるなしにかかわらず、日本にかかわるすべてのアメリカ人が、この『帝国の属州管理者』たる役目を背負わされています。
実際に、政治家、経済人、学校の先生、シンクタンク研究員などのさまざまな職種の人々が、それぞれの分野で、日本の政財界に絶えず目を光らせて活動しています。 彼らはどのような場面で、どのようなネットワークを通じて活動を行うのか? 簡単に分類すれば、次の四つです。
Ⅰ. 政府の公式交渉のレベル
まずは公式的な「政府間交渉」があります。1997年に行われた日米自動車交渉などが例に挙げられます。 当時、橋本龍太郎・通産大臣とアメリカ通商代表部(USTR)代表ミッキー・カンターが、この自動車交渉を担当しています。
このような交渉はメディアにも取り上げられやすく、一般国民もテレビ・新聞などで目にする機会が多いので和歌や安いと思います。
アメリカには、国務省、国防総省、大統領直轄の政府機関である国家安全保障会議(ナショナル・セキュリティ・カウンシル:NSC)にそれぞれ、東アジアという地域(リージョン)を担当する部署があります。 その中の一つに「ジャパン・デスク」というポストがあり、このデスクの部長が、政府間交渉レベルでの対日政策を担う責任者です。
また、アメリカ大使館のアタッシュ(大使側近)として、日本に赴任してくる人々もジャパン・ハンドラーズの重要な一角を構成しています。
こうした大使館職員の中には非公式な立場で日本を訪れている人々がたくさんおり、CIA(アメリカ中央情報局)お東京支社長なども大使館職員として紛れ込んできています。
彼らは、本社「アメリカ」から地方の支社「日本」へ出稼ぎに来ており、民間企業と同様、彼らジャパン・ハンドラーズも対日政策において、得点をあげることが要求されています。営業成績が悪いと、閑職に回される厳しい世界です。
Ⅱ.財界人レベル
次に「日米ビジネス界を構成する財界人たちのネットワーク」があります。これには元USTR(米通商代表部)日本部長グレン・フクシマが会頭を務めた「在日米商工会議所(ACCJ)」と日本経団連(旧経団連)との関係が挙げられます。ACCJのような団体は、俗に「ロビイスト団体」といわれるものです。主に、経済的権益を確保するために、日本のカウンターパートとなる人間や団体を通じたり、アメリカ大使館の経済担当公使と頻繁に連携しながら日本政府に「要望書」などで政策の変更を上から一方的に命令するほか、財界人同士の非公式な人脈を通じて圧力をかける場合もあります。
通信企業のA&Tのアームストロング会長が、アメリカ側の代表を務めていた「日米財界人会議」は、このネットワークの代表例です。
また、ロビイスト団体がアメリカ政府の圧力を背景に、日本に対して「〇〇に関する勧告」などの体裁を通して、規制撤廃(デレギュレーション)などの要求を突き付けてくる場合がありますが、これらはたいていの場合「〇〇イニシャチブ」などの名称で呼ばれます、
一応「単なる提言書」の形はとっていますが、実際は「対日指令文書」です。 これらの指令をアメリカ側から日本政府内に送り込まれた閣僚・官僚・文化人・大学教授らが、自身らで構成される審議会や政策諮問機関を通じて、「政府への答申」という形で日本側に突きつけ、真綿で首を締めるように圧力をかけて実現させていきます。
Ⅲ.シンクタンク人脈とジャパノロジスト人脈
ⅠやⅡのように、メディアの表舞台に登場することはほとんどりませんが、決定的な影響力を持つのがアメリカのシンクタンク研究員や日本研究家(ジャパノロジスト)のネットワークです。
アメリカが日本支配を行う上で、彼らは絶対に欠かせない知的人材です。ン本語が堪能で、日米交流の最大の難点である「言葉の壁(ランゲージ・バリア)」を楽々とクリアでき、日本人に対して人懐っこい振舞い、右も左も分からないアメリカ人のふりをして、ずけずけと日本国内の知的ネットワークに入ってきます。
ジャパノロジストの先駆的な存在となったのが、ハーバート・パッシンやドナルド・キーンなどの言語学者たちでした。
戦前・戦中から日本語を勉強し、「言葉の壁」を乗り越えた彼らは、日本に対するスパイ要員として育てられた学者たちです。
そして彼らに「メシの食いぶち」を提供するのが、アメリカのシンクタンクや大学の研究所などです。彼らはこういう機関に就職し、日本で得た情報をもとに、アメリカ政府に対し政策立案をするのです。 このようにアメリカの学者というのは、アメリカの軍事的な国益、またはアメリカ企業の経済的な利益とべたべたに癒着しています。
ジャパノロジストたちがメリカのシンクタンクに拾われ、戦略家の役割を担ってきている現実は、ある意味では冷戦構造の産物です。冷戦時代には、日本だけではなく、世界各国、様々な地域の専門家や学者たちがアメリカ政府とウォール街の資金によって、アメリカの世界覇権と共産主義撃滅のための戦略を立案してきたのです。
また、彼ら研究者にしても、メシを食うには、シンくタンクに入るしか道はないのであり、生きていくためにやっている汚れ仕事と思いつつも自分の研究成果と分析を国家に差し出してきました。 冷戦が終わった現在でも、このような機関を利用した属国管理システムは生きています。
アメリカのシンクタンクは、目標を立てたら必ずそれを遂行し、場合によっては、現実すら無理やり作り変えてしまう集団なのです。 尚、ジャパノロジストの中には、宗教や民間団体のネットワークを通して、日本に働きかえを行う人物もいます。これら期間はシンクタンク系ではありませんが、それに相当するネットワークとして理解する必要があります。
Ⅳ.国際会議・秘密クラブ・NGOを介した最高レベル
さらに深く潜行した交流チャンネルとして「国際会議・秘密クラブ」を介したネットワークがあります。ここにデイビッドロックフェラーがつくった「トライラテラル・コミッション(TC)」(旧称・日米欧三極委員会)や、「東アジア共同体評議会(CEAC)」、「日本国際交流センター(JCIE)」などの、sンくタンクとは言えませんが、日米欧亜の人的ネットワークとして重要な役割を果たしている組織・団体(非政府組織=NGOとも言ってもよい)が含まれます。
これらは、日米エスタブリッシュメント層(旧華族・財閥)のネットワークがベースになっています。 皇族や旧華族、財界人、政治家など日本のエスタブリッシュメントとアメリカ側が、緊密な協議とレクリエーション活動で親交を深め、アメリカの希望する政策が、日本の国会や内閣で、円滑に審議され、実現するように働きかけるのです。
つまり、日本で最も影響力のある人々をあらかじめ集めておいて、「究極の根回し」を行うわけです。 このように、多面・多層的な交流や人脈によって、ジャパン・ハンドラーズとカンターパーツの網の目が形成されています。 この操る者と操られる者の「不均衡」な関係を、具体的な人名をあげながらつぎの投稿で紹介してゆく予定にしています。