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「ギフト返品天国」の米国、悩み深い小売業 年末商戦に影

2024-12-27 12:59:10 | 商社・小売り・スーパー、食料・飲料全般、ビジネス・水・酒・穀物メジャー

26日の米株式相場は小幅上昇し、ダウ工業株30種平均はクリスマス休暇前の24日に比べ、28ドル高の4万3325ドルで終わった。

米債券市場で長期金利が一時約8カ月ぶりの高水準を付けたこともあり、株式の相対的な割高感が増したとの見方から朝方は売りが優勢となった。その後はウォルマートなど一部の銘柄に買いも入り、相場は小幅上昇して終わった。

 

26日、クリスマス休暇明けの市場では年末商戦のピークを過ぎた小売業界の動向に市場関係者の関心が向かった。

8〜10月期の決算が11四半期連続の減収となっている百貨店大手コールズや12%減益となった小売りチェーン大手ターゲットといった年初から株価に売り圧力が強まっている小売銘柄の動向を注視する投資家が多い。

 

特に注目されたのが返品の拡大だ。全米小売業協会(NRF)は2024年年間の返品商品の金額が約8900億ドル(約140兆円)と過去最高規模になるとの推定値を発表した。

米クレジットカード大手マスターカードの聞き取り調査によると、11月1日から12月24日までの年末商戦の売上高は前年同期比3.8%増加した。しかし、これは商品返品による消費者への返金額は反映していない。返品分を反映すれば、年末商戦の実績自体が悪化する可能性もある。

 

クリスマス休暇後にギフトとしてもらった商品を返品するのは、米国では年末商戦後半の恒例行事だ。

大手小売りチェーン店などの店舗には返品のための特別コーナーが設けられ、長い行列ができる。返品を予想し、小売店も値段のついていない返品用レシートを発行し、ギフトをもらった人が返品しやすいよう対応するのが慣行だ。

 

返品の際に、消費者が店側からその理由を聞かれることもない。「返品天国」ともいえるほど容易に返品ができるのが米国の小売業界だ。もらったギフトのほとんどを返品するため、もらう際に返品用のレシートが包装の中にあることをギフトをくれる相手に念を押す人さえいる。

しかし、そんな米国のギフト返品文化に24年は変化がみられる。盗んだ商品を返品コーナーに持っていって違法に現金を確保したり、電化製品などで複数メーカーの製品を購入し気に入ったものを確保した後に要らないものを返したりといったこれまでにない事例が出てきているのだ。

 

このため、小売業界各社は返品を制限するルールを導入した。これまで無期限で返品を受け付けてきた企業でも、商品購入後一定期間内の返品しか受け付けないところがでてきた。

レシート提出を義務付けたり、衣服などで着用したことがわかるような商品は返品を断ったりもするようになった。一部の返品常習者に対しては返品を断るルールを導入した企業もある。

 

だが、これはもろ刃の剣でもある。返品しやすいことを理由に特定の小売店で買い物をする消費者も多い。

過剰に返品を縛るのは売り上げ減少につながる懸念がある。NRFの調査によると、消費者の76%が「無条件で返品可能なこと」がどこで買い物をするかを決める際の重要な要素と考えているという。

 

小売各社は年末商戦で、今まで以上に消費者の返品に上手に対処できるかどうかを問われている。

(ニューヨーク=伴百江)

 

 

 
 
 

マーケットコラム「ウォール街ラウンドアップ」の一覧ページです。2024年10月1日、コラム名称を「NY特急便」から変更しました。

 

 

 

日経記事2024.12.27より引用

 

 



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