穴にハマったアリスたち

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今日見かけた嫌なニュース:<部下手当>管理職に支給 部下との会食に…日本綜合地所

2008年03月03日 | 王様の耳はロバの耳
気分の悪くなるニュースを見かけたので文句を言ってみる。
こんな会社では働きたくない。
世の中には酷い会社もあったものだ。


■<部下手当>管理職に支給 部下との会食に…日本綜合地所
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080303-00000060-mai-soci

 日本綜合地所は3日、部下との付き合いを円滑に進めるため、管理職に月10万~30万円の「部下手当」を4月から支給すると発表した。会食費や冠婚葬祭費に充ててもらう。

 部長級23人と、それ以外の管理職(副課長から次長)39人が対象。支給額は、部長級で部下が20人以上の場合で月30万円、19人以下は月20万円、それ以外の管理職が月10万~15万円。通常の給与振り込み口座とは別に、専用の口座を設けて、特別の手当であることを明確にする。

 日本綜合地所はこれまで、取引先との付き合いなどは経費として処理できていたが、社内の飲み会は自己負担だった。今回の手当導入で年1億5000万円の負担増となるが、同社は「部下とのコミュニケーションに役立ててほしい」としている。

この手の話っていくつも問題があると思うので、適当に列挙してみる。

【1.なんでコミュニケーションが必要なのか】

仲が悪いよりは良いほうがいい。それは分かる。
プライベートで仲良くしようと思わない人とでも、仕事中はそれなりに仲良くやっていく必要がある。それも分かる。
でもそれなら「コミュニケーションを育む行為」は「業務」なんじゃ?

業務なら残業代を支給すべきだ、というのが私の考え。
業務でないなら強制力はあってはならないし、「コミュニケーションが大事だから」という理屈も通らない。
職務上、意思疎通が必要だというならそれは業務行為であって、超過労働に対して手当てを支給するのが筋だと思う。

【2.何故に酒?】

現実問題として、酒が一番簡単なツールだというのは分かります。
私個人としてはお酒は好きですし。
ただ、信念上・健康上・宗教上・体質上・嗜好上、酒が飲めない人なんて五万といるわけで。
「とりあえず呑み」という発想はさすがに時代遅れに過ぎる。

いかにもありがちな状況として、平日突発的に上司に誘われて…、てケースがあると思いますけど、最悪にも程がありますね。
別に職場で飲みに行きたくないというわけではないですが、例えば、1ヶ月以上前から計画して開催日は休日の前…とかその程度の配慮は最低限。
なんか稀に、「最近残業頑張ってるみたいだから、労いがてら…」なんて狂った思考をする人も世の中にはいるみたいですけど。いや、そんな暇あったら帰って寝るから。

【3.なんで人のつながりが薄れてきてるのか】

えてしてその根幹部分が無視されてる気がする。
「最近の若者は職場でのつながりが薄れてきてる」→「じゃあ飲みにでも行ってコミュニケーションを育もう!」
っていや待って。なんでそもそも、社員同士の関係性が薄れてきてるのか、そこを突き詰めないと意味ないでしょ、と。

で、理由は人それぞれ大量にあると思いますが、その中の一つに「賃金が安くて上がらない」があると思うんですよ。
終身雇用の年功序列がなくなって、成果主義という名の賃金抑制策がとられて久しく。
身も蓋もないですが、今の若い世代は年食っても、今の50、60台と同じ賃金は支給されないんですよね。そのくせ業務量も密度も上がってる。
それに加え、就職氷河期やリストラを見てきてることもあって「会社に尽くしても無駄」という意識はかなり強いし、「会社が全て」という考え方もしていない。
だから「え?業務に不都合が出ない程度には仲良くやってるのに、なんでそれ以上にコミュニケーションしないといけないの?」と思ってしまう。ぶっちゃけ、私はそう。

なので、こんな手当てによる上からの指示で酒飲みに行くより、この手当てを部下に現金そのままで渡した方がよっぽど効果は高いと思う。
それこそ、「じゃ臨時収入が入ったし、飲みにでも行きましょうか」てことになりそうだし。
(てか、それが理想的な姿なんじゃ…?)



…と、私は思うんですが、他の方の書いてるブログや感想見てると絶賛してる人が多数派に見える。

先日、普段会わないような人と仕事で一緒になったんですけど、たまたまこのニュース記事のようなことが話題になりました。
その人は「ただ飯が食えるなんて素晴らしい!」「とても良い制度だ」と大絶賛してました。
別にその価値観は否定しないです。私個人としては、「ただ飯なのは業務行為なのだから当然だし、時間拘束考えれば丸損。ていうか、その『手当て』の費用って、私らの稼いだ利益から捻出してるんだから『ただ飯』じゃないだろ」と思いますが、相手の価値観まで否定しようとは思いません。

でも、その手の「営業」系の人種は、困ったことにこちらの価値観を否定…というか勝手に見下してくるのがどうにもこうにも。
件のその人も、私の考えに対しては「ああドライなんですね」の一言と「もっと人生楽しめば?」的表情を向けて、会話が途断。
こちらからすれば、相手の方が恐ろしく低いレベルに見えるわけですが、それはそれで尊重してるってのに、その手のことに向こうは気づかない不思議。

思うに、価値観が違うのは当然だし、相手の考えに染まる必要もなし。
でも、その溝を『お互いに』埋めようとしなければコミュニケーションなんて成り立たない。
その辺の相手の価値観無視して「やっぱ理解しあうには飲みだよ!」では、「コミュニケーション促進のため云々」ってのと思いっきり矛盾してるんですが、彼らはそういうことには考えが及ばないらしい。

私が微妙に好きな言葉の一つに、「友好的な相手にしか通用しない交渉能力は交渉能力ではない」てのがあります。
「交渉能力」は「コミュニケーション力」で可。
要するに、飲み会で楽しくやれる人としか成立しないコミュニケーションは、そもそもコミュニケーションではない。
価値観が違う相手と、違うなら違うなりに、お互いに不快にならないように上手く共存していくことがコミュニケーションだと思うのです。

…とまぁ、会社で開催される花見や行事を、若手の大半がボイコットするような職場で働いてる私のうわ言でした。


【蛇足】
もし自分が管理職の立場で、この手当てを受けたらどうするか?
私だったら、この10万だか20万だか全てを懸賞金にした勝負事をやると思う。
ジャンルはゲームでもスポーツでも何でもいいし、毎回変えるとかで。
毎月1回、賞金20万のイベントが行われれば、飲み会やるより盛り上がると思うんだけど、どうだろう。

もしくは、使い道を持ち回りで部下に考えさせる。
希望するなら、「20万で盛大に飲み食い」でもいいし、「全員に均等分配」でもいい。
何にせよ、「使い道を委ねて、考えさせる」のは効果があると思う。
みんなで検討する段階で、自ずとコミュニケーションが促進されるんじゃないかな。
少なくとも、ただ単に酒飲みに行くよりはずっと。


【蛇足2】

別のサイトから一部引用。


部下との会食・冠婚葬祭費に「手当」、日本綜合地所が支給へ

 同社はこれまでも、禁煙を宣言した社員に支援金10万円を渡すキャンペーンを行ったり、3人目以降の子供が生まれた社員に中学校までの教育費を援助するなど、ユニークな制度を取り入れている。

非喫煙者は丸損かよ!
これ、最初から吸ってない人にもちゃんと10万円支給したんだろうか。してないんだろうなぁ…。
世の中には非喫煙者手当て(煙草吸わない人は月々5,000円みたいな手当て)をやってるところもあるのに。
やっぱこの会社、考え方がダメダメだ。

(追記)
TBくださった方によれば、この制度により喫煙社員全員が禁煙したため、非喫煙者にも協力金の名目で支給されたそうな。
ただ順番的には逆だよなぁ…。まぁ評価はしますが。
コメント (2)
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