穴にハマったアリスたち

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映画 プリキュアオールスターズ NewStage3 永遠のともだち:「ユメタの見た夢」

2014年03月21日 | プリキュア映画シリーズ
映画を振り返っていてふと思い出した。
騒動の元凶の一人であるユメタくんは、プリキュアさんと直接会話していない。
ハピネスさんやドキドキさん、エコーさんとは話していますが、歴代の面々とは言葉を交わしていません。
ラストシーンで別れの挨拶をしていたくらいで、基本的にユメタくんが遠くから彼女たちの活躍を見ていただけ。
下手したら存在すら気づかれていないんじゃなかろうか。

今回の映画では、バク母の過保護が問題になってはいますが、ではバク母はどうすべきだったのか?と考えるとかなり難しい。
ユメタくんは自身の夢のために学校を離れ、実地に赴いた。
が、悪夢は冗談抜きで怖い。彼が腰抜けとか何とかじゃなくて、洒落にならない怖さです。
ていうか無理ですよアレ!軽く10メートルはありそうな高速移動する理性なき攻撃性生命体ですよ。
プリキュアさんですら苦戦しまくる相手に、身一つで何をどうしろと。

しかもそこまで頑張っても、救った子供たちはほどなく自分のことを忘れてしまうのです。
報酬はただ一つ、子供たちとの楽しい時間。だけどそれすらもすぐに失われる。
ただひたすらに孤独で恐ろしい戦いが、終わりなく続くのです。普通に考えて、心折れます。

なんでユメタくんがあの年で実戦に行ってるのか分かりません。
あえて勝手なことを垂れ流すと、劇中ではお父さんが出てきていませんので、そこが絡んでるのかもしれません。
職務中に悪夢にやられた父に代わって、ユメタくんが戦いに行ったとか。そうだとしたら、恐怖を感じる理由もますます増える。

よって、ユメタくんが恐怖に震えてああなってしまうのは、いたって当然のこと。
そこで無理に「いいから戦え」と外に押し出しても、ほどなく壊れてしまうのは目に見えています。
バク母の過保護(?)はやむを得ないのです。他にどうしろと。

ただそれだけでは事態が好転しないのも確か。
そして勇気を振り絞って前に進むための一押しをしたのが、親でも友でもなく、全くの無関係であるプリキュアさんだった。
私ら視聴者からすれば、プリキュアさんの声に反応するのは至極当然ですが、ユメタくんにとっては赤の他人。
これは他人だからこそ、説得力を持って胸に響いたととるべきか、プリキュアさんのド級の浸透力に感動すべきなのか…。

今回のテーマ「母の愛」からは、否応がなしに製作者様の存在を連想します。
子供を怖い夢から守り、一緒に遊んだのに、しばらくすると忘れられてしまう…そんなユメタくんには、子供向けコンテンツの全てが被る。
深読みというより下種の勘繰りになりますが、ユメタくんの苦悩は「プリキュア」スタッフ様も抱える悩みなのかもしれない。
一生懸命に頑張って素晴らしいコンテンツを作り出しても、お子様たちはやがて卒業していく。
卒業していくのが正しいと分かっていても、やっぱりそれは辛い。

これはお子様向けコンテンツに限らず、おそらくほぼ全ての業界に言えます。
ふと乗ったタクシーの運転手のことを、どれほど覚えているか。何気なく使った文房具のことを、いったいいつまで覚えているか。
自分自身の仕事を思い返してみても、そんなにいつまでも覚えていてもらえるとは思えないし、覚えていてもらっても困る。

ですがその悩みに対する回答は、この映画そのものなんですね。
美翔さんはとうの昔に討ち死にした古い古いコンテンツです。それなのに、今もこうしてやってきてくれた。新しく覚えてくれる人たちもいる。
映画が終わればすぐにまた忘れられるのでしょうけれど、いつの日かまた、こうやって姿を見せてくれる日も来るでしょう。

最後のシーンで、新しいプリキュアであるエコーさんら(これから活躍し、忘れられていく人たち)が、黒白先輩やエースさん(既に忘れられたが、再び戻ってきた人たち)を見送っていたのは、これから過酷な戦いに赴く彼女たちへのエールだったのかもしれない。
確かに辛いことが多く、報われる時間は短いのかもしれない。でも、ちゃんと覚えていてくれる人はいて、この頑張りは無駄にはならない。

歴代プリキュアさんたちの姿は、まさしくその証明だよなぁと思う。

これから同じ苦労をする同世代であるエンエンたちから言われても、説得力がない。
母から励まされても、世代が違い過ぎて実感がわかない。
でも同じ苦しみを乗り越えた、10年ほど先の先輩たちの雄姿は励みになる。
最後に手を振っていたのが、初代の黒白と最新のエースさん(「ドキドキの最年長」でもいい)だったも、納得のいく人選です。
あれが私たちの目指す姿だ。

親や友の言葉では動けなかったユメタくんがプリキュアさんには反応できた理由も、直接は会話をしなかった理由も、分かるような気がする。


(映画本編の感想はこちら

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