■(第38話)わんだふるぷりきゅあ!「こむぎの帰る場所」感想
ある日のこと。どこぞの施設で余生を過ごしていた栗原さんのところに、犬を連れた女子中学生様がやってきました。
2年前に手放した犬です。託した先の不祥事で行方不明になり、大変に心を痛めていたのですが、無事だったようです。良かった。
それは良いとして、件の預け先が同行してないのは如何なることか。あとこの娘さんの親御さんはどこだ。
まぁ先に話を聞いたとか、車の中とかで待機してるのかもしれませんが、今この場にいて欲しい。
娘さんは犬のことを優しく語ります。良い子なんでしょう。しかしながら微妙な牽制も感じます。マロンを世話してくれてありが…「こむぎです」…え、あぁまぁマロンを…「こむぎです」。
たぶんこの子、マロンを引き渡せと言われると警戒してるぞ。育てられないから手放したのに、妙な誤解をされてそう。
栗原さんも微妙に眉をひそめる。どうしたものか、これ。
年の功で上手く場を作りはするものの、何か急に叫んで去っていったり、特別なワンダフル臭する男子が勝手に車椅子を動かしたりと、やたらに慌ただしい。
犬の預け先だけでなく、ここのスタッフさんもどこに行ったんだ。
おまけに、また一人女の子が増えて、何か飛びついてきてわんだふるわんだふる言い出した。マロンはどこいった。また逃がしたのか。
しかしそこは聡明で温和な栗原さんです。
よく分からんが、たぶんこの子がマロンだ。
元より無事でいてくれるならそれで十分です。いや状況からして、逃げた時に事故にでも遭い、霊獣に転生したとか何とかそういうのな気もするので、「無事」といってよいのかは分かりませんが、まぁ良いんだろう。この謎の中学生に改めて預けよう。
こうしてこむぎさんは、平和裏に犬飼家で普通のワンダフル生活を続けることになりました。世界は今までどおりに続いてゆく。
【過去とこれからと】
「ガルガルしてるところを拾った」は、伏線でも布石でもなく、ただの設定だと思っていたので、このタイミングでやったのはちょっと意外。
ぶっちゃけペットショップの話題を避けるための方便に過ぎないと思ってた。
だから案の定というか、設定の補強をしただけかなという印象。こむぎを巡って悶着が起きるとか、トラウマだとか捨て犬問題とかはやりようがないので。
例年であれば、個人回の総決算みたいなタイミングで、極言するなら一回パスみたいな回をやったのは、勿体なかったように思う。ここから何か繋がるのかもしれないけれど。
犬飼さんが、手放すかどうかを一切迷わず、こむぎにも相談しなかったのは良かったです。
ザクロに攫われた悟くんに対しては迷いがなかったのに、こむぎで迷ったらバランスが悪い(拉致という犯罪性の高さの違いはあるものの)。
尤も、栗原さんにはマロンを引き取る選択肢は元よりありません。
逆に言うなら、「いろはは構成上、迷えないし相談すらできない」→「元の飼い主に戻す選択肢は潰しておきたい」の詰将棋的な必然の産物なのかも。
やっぱりこのタイミングでやるにしては、消化試合感が強いような…。