このほどイスラエル政府の高官が自分のフェイスブックに、広島、長崎への原爆投下について「日本の侵略の当然の結果だ。(平和祈念式典は)独り善がりで、うんざりしている」などと書き込んでいたことがわかりました。現地大使館はイスラエル外務省に抗議していますが、この高官は停職処分を受けています。この高官は「日本が追悼すべきなのは、中国や韓国の侵略犠牲者だ」とも書き込んだようです。
言うまでもなくイスラエル国家を形成しているユダヤ民族はナチスドイツによる民族絶滅の大虐殺(ホロコースト)の犠牲になり戦後米英の支援を受けて現在の地に国家を作りました。イスラエル国家建設以前からこの地に居住していたパレスチナ人を強制的に追い出し、その後も様々な攻撃を加えてきました。ナチスドイツによる甚だしい受難は忘れてはならないものですが、その民族がパレスチナの民に加えた暴力的な行為はまた許されないものです。その国の高官の今回の発言には怒りを覚えます。おそらく彼は戦後世代で日本をナチスドイツと同盟した侵略国家と認識し、その国が世界で唯一の核兵器の被爆国家であることなどは念頭にないのでしょう。公表はしていませんが、イスラエルは一般に原爆保有国家とされています。広島や長崎への原爆投下は百万の米国兵士を救ったという「神話」がこれまで流布されてきましたが、ナチスのユダヤ人に対して行ったと同じホロコーストです。
イスラエル首相府は「(書き込みの内容は)受け入れがたいものであり、政府の立場を表したものではない」としているようですが、その場限りの取り繕いでないことを望みます。日本政府も毅然とした姿勢で臨むべきです。