10月は中高生の中間テストの季節だった。テストの期間は生徒にとって気の重いもので、よほどの者でなければ、テストを自分の力を試す機会だと楽しみにしていることはないだろう。
教師にとっても、テストするということは気楽なものではない。日ごろ教えたことがどれくらい理解されているかを知るものであるし、それを知るためにはどのような出題にすればよいか頭を悩ませる。私が高校の教師だった頃は理科の生物を担当していたが、1年生で必修で、3人の担当者がいた。出題者によって難易度の違いが出たり、結果にクラスによってばらつきがあったりしないように、3人がそれぞれ問題を作成して持ち寄り、討議して出題するものを選んだが、これがなかなか骨の折れることだった。私達がそれぞれ退職した後は、そう言うことはしなくなって、担当教師それぞれが勝手に出題するようになったらしい。聞くところでは、英語や数学ではあまり出題に骨を折ることはなかったようだ。
個人差はあっても教師たる者、鼻歌混じりでいい加減に出題していることはないだろうが、それでもニュースになるような話を見ると理解に苦しむことがある。最近もそのようなことがあった。いくつか書き上げてみよう。
1.愛知県立の商業高校の総合ビジネス科の「総合実践」の中間考査で20代の教諭が、職員室で暗殺された校長が残した血で書いた文字を手掛かりに、選択肢に実名で挙げられた教員7人の中から犯人を選ぶという内容の出題をした。校長が書き残した「41124」と横に書いた数字を上下逆から見ると「カていカ」と読めるため、答えは「家庭科の教員」というのが正解とされた。「頭の柔軟さをはかる問題」として出題されたと言う。
2.鳥取県米子市の市立中学校で理科担当の70歳の男性非常勤講師が1年生の授業で、「作用点」など物体に働く力に関する問題を出題。「がけの上に立っている人のどこにどういう力を加えたら落ちて死ぬか、助かるか、一緒に落ちるか」と問い掛けた。生徒が驚いたため、出題を「どこに力を加えたらあの世にお送りすることになるか」と変更。「殺せば罪になるし、助ければ表彰される」とも説明した。
3.東京都杉並区の区立小学校の23歳の女性教諭が、3年生の算数の授業で時間が5分余ったため、「3人姉妹の長女が自殺した。長女の葬式に来たかっこいい男の人に、次女はもう一度会いたいと思った。どうすればいいか」とクイズを出した。児童が「電話をかける」と答えたが、教諭は「男の人に会えたのは葬式だよ」とヒントを出し、児童が「妹を殺しちゃうの」と聞くと、「それが正解」と話した。児童からは「こんな問題出していいの」と戸惑いの声が上がったと言う。
4.愛知県岡崎市立の小学校の45歳の男性教諭が、担任している3年生の算数の授業で「子どもが18人います。1日に3人ずつ殺します。何日で殺せるでしょう」という割り算の問題を出題していた。
どれも唖然とするようなことばかりだ。(続)