中国迷爺爺の日記

中国好き独居老人の折々の思い

知事の仕事

2012-04-30 09:31:39 | 身辺雑記

  『朝日』の夕刊(4月23日付)に「石原都政 停滞の季節?」という記事が載った。4期目に就任してから1年、尖閣諸島の土地購入問題や自分が党首に擬せられる新党構想など、最近とかく話題の多い人物だが、肝心の都政への関心は急速に失っているのではないかと都議や都の幹部にはそんな見方が広がっているそうだ。 

 登庁は議会開催中を除くと週2回ペースで、3期目まではほとんど出席してきた秋の総合防災訓練の視察や、春の首都大学東京の入学式は「出る必要がない」と欠席した。米国ワシントンの保守団体に招かれて講演した、尖閣諸島の購入問題は同行した幹部は事前に何も聞かされていず、知事は「面白い話だろ。政府にほえ面をかかしてやる」と言ったそうだ。相変わらずの傲慢、傍若無人振りで、公私の弁えができないのではないか、権力の座に長くいるとこうなるという見本のようなものだ。登庁週2回ということは前にも聞いて、勝手気ままなことをするものだと思ったことがある。彼には都知事になった時に都政や都民のために謙虚に尽くすなどという「初心」というものがなかったのだろう。

 傲岸さ傍若無人さに拍車をかけているのが記者会見の場などでの言葉遣いの乱暴さ汚さだ。日本の首都のトップとして一定の品位を持つという自覚はないのだろうか。いったいどのような育ち方をしてきたのか。こんなサイトがある。全く好き勝手放題だが、石原信者の中には共鳴するものもいるのかも知れない。

 http://matome.naver.jp/odai/2129161684892120001

 東京都知事は全国の知事の中でも群を抜いて高給で月額は158.5万円、これに年2回の期末手当がつくから年収は2,430万円にもなる。それに1期(4年)勤めれば退職金が支給され、東京都の場合は1億5,730万円で、これも全国トップだ。知事として動く場合はもちろん公費出張で先頃の米国行きも幹部が同行しているから公務扱いだろう。それでいて都民はもちろん議会も幹部も知らないことを独断的に話すのは思い上がっているとしか思えない。幹部たちもあの傲岸な態度に小心翼翼として追従し、髭の塵を払ってばかりなのかと思う。 

 どこの知事でもその仕事はハードなものだろうから、それに見合う報酬を決めているのだろう。首都の知事は非常な激務だと想像できるし、都の財政は潤沢だと聞く。だからある程度の高給は必要だし支出可能だろう。しかしそれならそれで職務に専念するべきだ。週2回の登庁など知事の登庁については特にきまりがないのだろうか、どうにも首をかしげてしまう。普通の公務員がこんなことしたら懲戒ものだ。しかし彼のことだから「行っても大した仕事はねえんだよ。時間の無駄だ」くらいは言いかねない、そういうこともあるからかも知れないが、元来は作家でもあるから、今も短編小説を出したりしているし、自分が原作、脚本、総指揮を手掛けた映画のロケにも出演したそうだ。

 彼は若いころに自民党の右翼タカ派議員が集まって「青嵐会」を結成した時、その幹事長になったが、結成にあたっては会員名簿に血判署名するという時代錯誤的なことを提案し、その後もカチカチの超タカ派人物として知られている。私は彼のタカ派ぶりはもちろん、その傲岸で傍若無人な言動が大嫌いで、何様のつもりだと言いたくなる。そんな彼が都知事選に初めて出たときに、記者団の前での第1声が「裕次郎の兄です」だったのにはバカらしくて笑ってしまった。このような超タカ派の人物を4期も知事に選ぶ東京人とは何なのだろうかと不思議に思うこともあったが、近くである小売店を営む知人は「東京の人間はイナカモノの集まりなんですよ」といささか穏やかでないことを言い、「だから石原がどんな人物で、どんなことをするのかなどには無関心なんです。有名だったらいいんです」と言った。 

 新聞の記事は最後に「知事は4期目1年について問われると『元気はないよ、年だもん。あっぷあっぷでやることをやってきた』と振り返った。ただ任期の残り3年については『一寸先は闇』とけむに巻いた」と書いているが、1年前に急遽立候補した時も79歳という「もう年」だった。その時に本気で4年間を全うする気があったのか。今更「一寸先は闇」ですまされることか。

 「権腐十年」という言葉がある。韓国の諺らしいが、 権力の座に10年居続ければ必ず腐る、という意味だ。昭和29年から37年まで兵庫県知事を務めた坂本勝氏は、多選弊害を信条として、自身の公約どおり二期で退任した。石原知事は既に3期12年間知事の座にあり、今は14年目に入っている。彼自身は否定するが、やはりいろいろと疑惑がある。謙虚に「権腐十年」ということばを自身に投げかけてみてはどうか。

 http://eritokyo.jp/independent/nikkangendai-col116.html

 

(朝の散歩から)

 最近はもう初夏の気配だ。あちこちでハナミズキが咲き、いろいろな花が見られる。ブログ友の I さんは自宅にハナミズキを植えたのは正解だったとコメントをくれたが、庭にハナミズキのある家は羨ましいと思う。 

 

リリアン

シャクナゲ

名前を知らない花も多い。

 


ツツジ(躑躅)

2012-04-28 10:48:05 | 身辺雑記

 寒さが残る中でウメが開き「梅は咲いたか、桜はまだかいな」などと言っているうちにサクラが咲いて春爛漫となる。その桜が終わるとハナミズキが交代するように咲き出す。それと同時にツツジが美しく花を開く。朝散歩に出ると見上げるとハナミズキが朝の光を受けて輝き、下を見るとツツジが毎日のように花を増やしている。好い季節だと心が浮き立つ。

 今日のブログはツツジで染めよう。 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


理想の上司

2012-04-26 11:02:41 | 身辺雑記

 東京都にある産業能率大学が春の新入社員550人に「理想の上司」を調査したら466人の回答があって、次のような結果になった。  

 [男性] 

     ①橋下徹 ②池上彰 ③イチロー ④阿部寛 ⑤水谷豊 ⑥佐々木則夫 所ジョージ     野村克也 ⑨タモリ ⑩北野武 佐藤浩市 堤真一  渡辺謙 

 [女性] 

     ①天海祐希 ②江角マキコ ③澤 穂希 ④真矢みき ⑤篠原 涼子 ⑥松嶋奈々子     ⑦竹内結子 和田アキ子 ⑨菅野美穂 仲間由紀恵 

 男性の1位は、最近食傷気味の名で分かるが、その他については、名前も知らない人物がいる。

 そもそも「理想の」上司とは何なのか。聞かれた方で分かっているのだろうか。だいたい私のような物知らずはさておいて、それぞれ自分が選んだ人物の実像をどれほど知って、それを自分の理想の人物としているのか。Hg君が「イチローのようなのが上司だったらかない ませんよ(やりきれない)」と笑った。イチローは確かに人並みすぐれた才能がある(ただし野球で)。才能がある上に彼は自分には非常に厳しいトレーニングを課す。だが彼が上司だったら自分のことには集中するが、部下の面倒をこまめに見るとは思えない。 

 ざっと見ると何かテレビなどで知名な人物が多いようで、私は女性の一位の天海祐希などは、確か宝塚歌劇出身の女優ではなかったかと思うが、いったい理想の上司としてどんな資質を持っているのか。テレビのドラマで何かそう思わせる役でも演じたのか。全く知らない。その他の人物についてもそう思う。例えば男性5位の水谷豊は私も好きだった人気テレビドラマ「相棒」の上司の役で、こんな一匹狼のような上司がいたら、うっとうしいなと思いながらそれはそれで面白かったが、水谷本人と役の上の上司とは違う、演技している姿だ。だから正しくは「水谷豊が演じる杉下右京が上司として好ましい」ということだろう。そうだとすると皆、虚像を真実の姿と錯覚しているのではないか。この調査自体、何を知ろうという目的でやったのか、下らない調査だと思うが、答える方もどうも薄っぺらな感じがする。 

 男性1位になった橋下大阪市長については、「リーダーシップがありそう」が7割を占めたそうだが、「ありそう」というのはいい加減なものだ。女子社員で彼に入れたのは2票だけで、産業能率大学は「女子は男性上司に優しさやアドバイスを求めるが、橋下さんにはそのイメージがなかったのでは」と分析しているようだ。少し偏った分析だとは思うが、少なくとも熱狂的に橋下氏を支持する大阪のオバハンをはじめとする女性とはちょっと違う感覚があるのだろうか。 

 当の橋下氏は記者団に答えてこう言っている。「市の職員に聞いたら、絶対にそんな順位にはならない。同じ組織にいないから無責任に言えるんじゃないですか。自分の組織にリーダーシップのある上司が来たら嫌でしょう」。自分がリーダーシップのある上司と思っているのが彼らしく自信たっぷりなところがあるが、リーダーシップのあることと、部下の意見には耳を傾けず、頭ごなしに居丈高な態度をとることと勘違いしているのではないか。少なくとも特定の部下やその集団を「敵」として容赦なく叩くようことは、やはり理想の上司の姿とは思えない。

 

(朝の散歩で)

 サイクリングの一団が通り過ぎた。恰好から見ると同好の士のあつまりのようだ。女性も1人混じっていた。もちろんみな無言で坂道を一列になって登って行ったが、何かすがすがしい光景だった。 私の長男も次男も50歳になろうとしているがそれぞれ違ったタイプの自転車を持っていて、時折独りで楽しんでいるようだ。 

 

  

  こういう健康的な姿を見るのは気持ちがいいものだが、中には朝っぱらから嫌な光景を見ることがある。散歩の途中で私鉄のターミナル駅の前の広場を通ったら、隅のほうで高校生の男女が向かいあって立ってたばこを吸っていた。朝とは言え人前で堂々としたものだが、いかにも慣れた様子で喫煙している姿は不愉快なものだった、特に女子生徒の喫煙姿が珍しく、特に化粧しているわけでもなく、崩れた制服姿ではないのだが、物慣れた様子でたばこをふかしている様子はいかにも自堕落な感じで、どんな生活、どんな家庭の子で、将来どんなになるのかと思ったものだ。

 その点植物は良い。これまでにも紹介してきたが、今の季節は様々な花が咲いて心が慰められる。花も良いものだが開いたばかりの葉の新緑のすがすがしさもとても良いものだ。

  

  

 

 

  サンゴジュの赤い新葉もよい。

  

 

 

 


つくし(土筆)

2012-04-24 07:38:41 | 身辺雑記

 海津大崎に行く途中で、マキノというところにある「道の駅」に寄った。コゴミやタラの芽などの山菜や、琵琶湖のそばらしく鮒鮓や子鮎の佃煮が置いてあり、珍しくツクシがあったので買った。

  

 「ツクシだれの子、スギナの子」とは言うが、ツクシはスギナの葉で、生殖のための胞子を作る胞子葉だ。筆の先端に当たる部分に胞子嚢が固まっていて、ここで作られた胞子が飛散する。近頃はこの辺りではツクシを見かけなくなった。スギナはかなりあるのだがツクシがない。ツクシの胞子がなくてもスギナは地下茎で増えていくからいいのだろうが、ツクシがないとやはり物足りない。

 ツクシには思い出がある。中高生の頃滋賀県の大津に住んでいたが、家から湖岸の方に向かって歩いて行くと、途中に今はJRの湖西線になっているが、当時は江若(こうじゃく)鉄道という、大津と滋賀県高島郡今津町(現高島市)を結ぶ私鉄の路線があって、その線路があった。あまり列車が通らず閑散としていたが、春になると線路の間が何十メートルにもわたってツクシがびっしりと群生し、薄茶色の絨毯のようになり、春の野の土筆摘みなどという鄙びたものではなく、がばっと掴んで引き抜いて大量に家に持って帰った。家では夜になると母や私たち子どもが、ツクシの茎の節についている鞘(これを「袴」と言った)をアクで指を黒くしながら取った。そうやって処理したツクシを母が大きな鍋に入れてゆで、水に晒してから醤油で味付けした。こうしてできたツクシの佃煮は、胞子の苦みがあってなかなかおいしいものだった。酒の好きな父はとても好んでいた。 

 長男は結婚後滋賀県の湖東の野洲(やす)という所に住んだが、近くの土手にかなりツクシが生えていて、妻と遊びに行ったとき長男の家族と一緒に皆で摘みに行った。その一部を我が家に持って帰って妻が母がやったように料理してくれたのが懐かしい思い出になっている。

 そのようなツクシだから懐かしく、買って帰って料理したが、成長しておおかたは胞子嚢が開いてしまい、私が好きな胞子の苦みが少なかった。やはり摘むのはまだ顔を出して間もなく、節が詰まっていて胞子嚢が固いのが良い。味も母や妻のものには及ばなかった。

    

 

 

 


海津大崎の桜

2012-04-23 10:53:42 | 身辺雑記

 久しぶりにHg君の車で、Hg君夫妻とHr君と一緒、に琵琶湖の北西端にある高島市の海津大崎の桜を観に行った。あいにくの小雨模様だったが、2,3日前に満開という情報があったので出かけることにした。

 琵琶湖は途中でくびれたような形になっていて、北湖と南湖に分かれ、境目に湖東と湖西を結ぶ琵琶湖大橋がある。

       

  高島市は北湖の西北に位置し、海津大崎はその湖岸に面した断崖にある。断崖沿いに道路が作られ、湖岸側に4キロに樹齢50年以上、約600本のソメイヨシノの並木がある。当日は小雨がぱらついていたので陽光に映えた桜を観ることはできなかったが、墨絵に近いような光景で、それはそれで風情があった。湖岸に沿ってびっしりと桜があるので、湖から見た眺めも素晴らしいようで、15分千円で観桜船があるのだが、天気が悪いので利用しなかった。

湖上から見た風景(滋賀県観光情報より)  

                                  

 前方の山は比良山。 

 

 

 

 

 

 

 

 対岸の桜

 

    

  

   竹生島(ちくぶしま)。琵琶湖国定公園特別保護地区、国の名勝および史跡に指定されている。長浜市の湖岸から約6キロメートルにあり、周囲2キロメートル、 面積0.14平方キロメートル。長浜市早崎町に所属する。

 

 カイツブリ。滋賀県の県鳥に指定されている。 

                                                                                                                                         Wikipediaより


ハナミズキ

2012-04-22 08:37:41 | 身辺雑記

 前に紹介した「花のみち」を通り抜けて北に向かうと、街路樹に紅白のハナミズキが植えてある。今から20年以上前にハナミズキが植えられて間もない頃、妻と散歩したことがある思い出の道だ。あの頃若かった樹もだいぶ太く大きくなっている。

 

 歌劇場とハナミズキ

  

  

 ハナミズキ(アメリカヤマボウシ)は1912年に東京市長だった尾崎行雄が、アメリカのワシントンに桜(ソメイヨシノ)を贈り その返礼として1915年に贈られたものだ。花が白いものと赤いものがある。

 

 

  

 花弁のように見えるのは苞というもので、中央にかたまっているのが花序。

 

 

 


憲法九条(2)

2012-04-21 07:28:27 | 身辺雑記

 橋下大阪市長が率いる「大阪維新の会)が国政改革の政策集「船中八策」の原案に、憲法九条について国民投票することが盛り込まれたことに関して、堺市の88歳の男性が批判している。

 この投稿者は、維新の会が2年間かけて議論し国民投票すると言うが橋下氏は「そこまでが大阪維新の会が主張すること」と述べていることに「何と無責任かと思う。国民がノーと言えばそれでよし、イエスと言えば維新の会の仕事だと言うのだろうか」と言っている。そしてそれに続けて、

 「あの戦争で何百万人もの国民が死んだ。ついこの前の歴史だ。戦争体験者は私を含め、まだたくさん残っている。9条改正への道を開いてはならない、死者たちにどう説明するのか。責任をどう取るのか」

 と述べ、大阪で卒業式に「君が代」を歌え、起立しろとしているのが9条改正と通じる右傾化傾向であると指摘している。そして最後に、 

 「思想信条や言論の自由。それこそが民主主義ではないのか。橋下氏がどんな思想信条を持っていてもおかしくはない。ただ、権力を持っている人が自分の考えを他人に押し付けるのはどうか。日本が危ない国になろうとしていると危惧するのは、私一人ではないだろう」 

と結んでいる。

 88歳というと私より10歳も年上だし。まして橋下市長とは親子ほども違う。この人のこのような心からの声に橋下氏は少しは謙虚に耳を傾けるだろうか。残念ながら彼は反戦主義者ではないし、護憲派でもない。地方での講演依頼の中には「憲法9条改正反対」や「核廃絶」などについての依頼があると、「私は改憲派だし、核保有を肯定します」と断りを入れるそうだし、安全保障について、「日本の一番情けないところは、単独で戦争が出来ないことだ」と述べるなど、徴兵制度の復活や核兵器保有を肯定する発言を度々行っていたようだから(Wikipedia「橋下徹」)、そんな彼の心には真摯な老人の声は届かないだろうと思う。私はこのような先輩のことばに勇気づけられた。若い人たちにも伝えたいと思う。

 

(朝の散歩から)

 皇太神社。家から15分ほど行ったところにある歴史の古い神社。源氏の守護神八幡社を勧請、創建された。十世紀以後の頃のようだが不明。江戸時代の正徳五年(1715)に現在地に遷座されたという。阪神・淡路大震災で、本殿、拝殿が崩壊、そのご氏子たちなどによって再建された。

 

 

 

 

境内のシャガ。アヤメ科。

 

 

 

 

 


憲法九条

2012-04-19 10:26:43 | 身辺雑記

 私は、住んでいる市の「九条の会」に入っている。と言っても会費を納め会報を読むだけで、活動もしない名ばかりの怠け会員だが、それでも憲法第九条は守らなければならないと考えている。日本が内外に大きな災害をもたらしたあの大戦の反省を込めた九条だが、以前から保守派は現在の日本国憲法は、戦勝国アメリカが押しつけたものと批判し、憲法を改悪しようとしているが、九条もその的になっていることは間違いなく、中には公然と核武装まで言う者がいる。ここであらためて九条を見てみよう。

  1. 日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権」の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。
  2. 前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。

 この条文があるから、日本はあの大戦後から現在に至る60年間というものは戦争、戦闘を体験していないで、一部の者は嫌悪するが、「平和国家」としての体面を保ってきた。もっとも第2項の「陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない」は、現実には自衛隊という形の軍事力はあり、2011年の軍事費は、突出して1位の米国から、中国、英国、フランスに次いで世界第5位、58.4億ドルになっている。これでも物足りないと言うのは、要するに攻撃力、交戦権を持つ実質的な軍隊を持つべきだと言うことだろう。あの大戦から60年、このように非戦を否定し、軍事力を増大させるべきだという声が高まっている今、改めて憲法九条の持つ意義を理解しなければならないと思う。それを夢想と嘲笑することは、あの大戦の多くの犠牲者を冒涜することにならないか。

 東北大震災の瓦礫処理は放射能汚染を心配する市民の反対で引き受ける自治体が少ない。大阪市は引き受けることにしたが、やはり住民の反対に遭っている。それにいら立ったのか橋下市長は2月にこんなツイーとをした。 

 「世界では自らの命を落としてでも難題に立ち向かわなければならない事態が多数ある。しかし、日本では、震災直後にあれだけ「頑張ろう日本」「頑張ろう東北」「絆」と叫ばれていたのに、がれき処理になったら一斉に拒絶。全ては憲法9条が原因だと思っています。」

 言っていることはまともだろう。ただこのツイーとの末尾の「全ては憲法9条が原因だと思っています」は突飛で、一見何のことかわからないのだが、真意は瓦礫の処理が滞っているのは国防と同じで、要するに自分で汗しないで他に頼ろうとしている。日本人がこのような精神状態になったのは憲法九条が原因だと言いたかったらしい。この橋下氏の発言に対して大阪府泉南市の25歳の大学院生が批判の声を寄せている。 

 「(前略)橋下氏いらだっているらしい。記者の質問に『平和を維持するために自ら汗をかかないというのが9条の根源的な精神だと思う』と答えたという。     橋下氏は間違っていると私は考える。9条の前提は国民の不断の努力により、話し合いで紛争を解決することだからだ。私たちは平和に対して真正面から向き合っている」

  そして瓦礫の処理に対して人々は放射能による体への影響、風評被害を懸念しているとして、「9条のせいにする前に、橋下氏はしっかりとした補償などの支援態勢を考えてはどうか」と結んでいる。

 ところで、橋下氏のツイーとの最後の「全ては憲法9条が原因だと思っています」がいかにも突飛だと思った人が多かったのか、あるブログによると次のようなツイートが続出したらしい。見て笑ってしまった。

 ○「あたいの胸が小さいのも全ては憲法9条が原因だと思っています」  ○「オレの頭の毛が薄いのも全ては憲法9条が原因だと思っています」  ○「私がモテないのはどう考えても全ては憲法9条が原因だと思っています」  ○「商談が不調に終わって今月のノルマの達成が危ういのも、全ては憲法9条が原因だと思います」   ○「広島が勝てないのも黒田が帰ってこないのも、全ては憲法9条が原因だと思います」  ○「阪神が優勝しないのも、全ては憲法9条が原因だと思っています」  ○「郵便ポストが赤いのもすべては憲法9条が原因だと思っています」 などなど

 ふざけている、不真面目だという向きもあるだろうが、江戸時代に時の幕府の政策や世相を風刺した狂歌と一脈通じる庶民感覚があって面白い。もっともこれらのツイーターが、どれくらい九条の精神を大切にし、橋下氏の意図に反発して揶揄したのかは定かではないが。 (続く)

 

(朝の散歩から)

カイドウ(海棠)。中国原産のバラ科植物。

 

 

 

 

 

 

 


パンジー尽くし

2012-04-18 11:44:03 | 身辺雑記

 花の春。朝の散歩で家々や店、ホテルなどの前や道路脇で春の草花を見ることが多いが、圧倒的にスミレの仲間のパンジーが多く、それがまた、色や模様などにさまざまなものがある。

 パンジーの名前の由来は「花が人間の顔に似て、8月には深く思索にふけるかのように前に傾くところからフランス語の『思想』を意味する単語パンセ(pensée)にちなんで名づけられた。この由来のために、パンジーは長い間自由思想ンボルだった。(Wikipedia) 

 散歩しながらさまざまなパンジーの写真を撮るのも楽しいものだ。切りがないほどいろいろなものがある。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


就活

2012-04-17 07:02:59 | 身辺雑記

 私がよく行く、近隣のJR駅の構内にあるエキマルシェという駅中スーパーの一隅に喫茶室がある。ここの従業員たちは皆女性だが、ほとんどが学生で、元気がよくて接客態度もなかなか良いので気に入っている。その中の一人にYさんという娘がいたが、昨年の秋ごろから姿を見せなくなっている。聞けば3年生で、就職活動で忙しいのだそうだ。今時は4年生になってというような悠長なことではなく、3年生にもなると就活に走り回らなければならないから大変だ。

 私の長男が勤めているのは、紡績機械や工作機械などの産業機械を製作している歴史の古い中堅企業で、やはり学生の就活時期になると役目上面接もするようだが、「最近の学生ときたら」と冴えない表情をする。あまりクラブ活動(特に文化系)はしないし、3年生だから専門に通じるゼミにもまだ入っていない。だからこれまで自分に役立ったことは何か程度の質問をせざるを得ないのだが、居酒屋でアルバイトをしていて人間関係の難しさが分かりましたなどという答えが返ってくる。それも理科系の女子学生だ。息子が冴えない気分になるのも分かるような気がする。息子は企業なんて言うものは理不尽なことが多いものだが、それに耐えていくことも必要で、結局は、これも理不尽な上下関係が多い体育系を採用することが多いのだと言う。情けないことだ。

 滑稽だったのは、東大卒で採用した新社員が3年で辞めた話だ。息子の会社は京都にあって、「○○機械」というのだが、同じ京都に「○○製作所」という電子部品の製造と販売を行なう企業があって、「○○」はまったく同名だ。その社員が辞めた理由は、「○○機械」を「○○製作所」と間違って受験し、採用後に社内の様子から気がついたというのだから呆れてしまう。「○○製作所」のほうが知名度は高いようだが、会社案内書もあるのになぜ受験時に気がつかなかったのか、それにしても3年もたってと、長男は呆れるのを通り越して憮然としていた。この学生がその後どうしたのか、「○○製作所」に入れたのかは分からないが、いずれにしても頼りなく、使えそうにもないように思う。

 だいたいそういうことが分かっているのに、なぜ3年生を就活の対象にするのかと聞いたら、やはり大企業の採用期の影響があるからだそうだ。ブログ友のSさんも書いていたが、大学生はもっと勉強しなければならない。入学してからすぐには専門のことは無理にしても、人生のこと、教養のことなど何でもいい、もっと勉強しなければならない。まして専門の過程に入ったらなおさらだ。最低、最小の単位をとればいいという姿勢ではどうにも物足りない。

 

(朝の散歩から)

ヤマブキ(山吹)。バラ科の植物。一重と八重とがある。黄金に例えられる黄色が美しい。

 

 

 

 

グミ。グミ科の常緑低木。これは我が家のもので、大きな実がなるが酸っぱく、渋い。