中国迷爺爺の日記

中国好き独居老人の折々の思い

サッカーの試合と政治的主張

2013-07-30 20:19:32 | 身辺雑記

  8月28日にソウルで行われたサッカー東アジア杯の男子日韓戦で、韓国の応援団が日本の応援席に向けて「歴史を忘却した民族に未来はない」と書かれた横幅30~40メートル、縦数メートルの巨大な横断幕を掲げたという出来事がありました。

 日韓の歴史問題で、特に現在の朴大統領が就任して以来、日韓関係は冷え込んでいて、この横断幕はそれを反映したものでしょうが、試合会場で政治的主張を禁じたFIFAの規定に違反する疑いがあり、約1時間たった前半終了後に撤去されました。27日の女子日韓戦の際にも、韓国応援団が東京国立博物館が所蔵する朝鮮王朝の文化財の返還を求める内容の横断幕を掲げることを計画し、文化財が植民地時代に略奪されたとの主張を基に返還を求める内容だったようですが、韓国サッカー協会がFIFAの規定に従い、競技場への持ち込みを禁止したため、こちらは未遂に終わりました。

 サッカーの試合では時折サポーターの過激な行動が報道されますが、とりわけ反日感情の強い中国や韓国ではその傾向が顕著なようです。数年前にも中国で行われた日中戦で、中国のサポーターが騒ぎ、暴力沙汰になったことがあります。私の次男はサッカー好きですが、この時には中国人は国際的な文化に無知なのだと嗤っていましたが、今度の韓国のサポーターたちについても同じことが言えるのではないかと思います。このことについて下村文部科学相は記者会見で「その国の民度が問われると思う」と述べて批判したようで、おそらく韓国で報道されたら反発されると予想されるのですが、私もやはり民度の問題ではないかと思います。韓国でも心ある人たちや真のサッカーファンは、このような行き過ぎたサポーターの行為を苦々しく思っているのではないかと思います。

 一方、日本のサポーターや聯合ニュースによると、韓国で「侵略の象徴」と非難の的になっている旭日旗が日本側応援席の一角で一時振られ、主催者側の求めで撤去されたそうです。多くは若者であると思われる日本人サポーターは、戦時中の旭日旗が果たした役割についてほとんどが無知で、ただの日本の応援旗くらいの認識しかないのでしょう。やはり過去の歴史は学ぶべきです。

 スポーツの試合というものはある意味では戦争の代替物なのかも知れませんし、特に過去に曰くのある関係の国同士の試合となると、どうしても熱くなることはあるでしょう。歪んだ形の「愛国心」を超越してこそ、真にスポーツを楽しむことができるのではないかと思います。

 

 

 

 

 


毒餃子事件

2013-07-28 18:48:09 | 中国のこと

  今から5年前の2008年1月に中国で製造された冷凍餃子を食べた千葉と兵庫両県の3家族10人が一時意識不明の重体に陥るなどした事件がありました。この事件をきっかけに少々過剰にも思える中国製品忌避の動きが消費者の間に広がり、その影響は今も続いています。

 この事件で餃子製造元の食品会社の臨時従業員が危険物質投入罪で2010年に逮捕、起訴されました。中国側の発表によると、この従業員は賃金待遇や同僚への不満などから腹いせに有機リン酸系殺虫剤を混入させたというものです。

 事件から5年、容疑者逮捕、起訴から3年も公判は開かれず、何とも悠長なことで、中国当局は事件をうやむやにするのではないかとも疑われました。同年9月に沖縄県・尖閣諸島の日本領海で発生した中国漁船衝突事件をきっかけに日中関係が急激に悪化したため、「判決が中国社会や日中関係に与える影響に配慮し、開廷時期を探っていた」(日中筋)との見方が広がっていたようです。  

 何でも彼でも「尖閣」で、これさえ持ち出せば中国国民を納得させることができるのかと疑問に思います。「造反有理」ならぬ「尖閣有理」ということなのでしょうか。一方では人権問題なので国民を抑圧し、対日本の問題になると自分に火の粉がかからないようにするという中国当局のあり方は滑稽なくらいです。事件のあった中国河北省石家荘市の裁判所がすぐに公判を開かず、今頃になって開く(初公判は今月30日)というのは、日本など先進民主国家のような三権分立などはなく、裁判所も中国共産党支配のもとに置かれている実態を顕わにしたものでしょう。

 中国の刑法では危険物質投入罪は10年以上の懲役、無期懲役、あるいは死刑と規定されているようですが、このような裁判所の実態では裁判の結果もいろいろと屁理屈を振り回して、おそらくは甘いものになるのではないかと想像します。この事件は中国製品に対する信頼を極端に失墜させましたが、中国政府はどう考えているのかと思います。

 

 

 

 


女性客救出劇

2013-07-27 13:26:47 | 身辺雑記

 22日午前9時15分ごろ、さいたま市のJR南浦和駅ホームで、京浜東北線大宮発磯子行き普通電車から降りようとした30代の女性が足を滑らせ、車両とホームの隙間(幅約10センチ)に落ちて腰を挟まれ動けなくなったという事故がありました。車内やホームにいた乗客や駅員約40人がホームに横一列に並び、車両を押して傾け、数分後に隙間を広げて救出。女性は病院に搬送されたが、けがはありませんでした。女性が救出されたとき、拍手が起こったといいます。 JR東日本大宮支社によると、1両の重さは約32トンで、車体と台車の間にサスペンションがあり、横から力が加わった場合、車体だけが傾く仕組み。電車の乗客の一部も降車して協力し、8分遅れで運行を再開しました。

  

 このニュースはたまたま現場にいた『読売』の記者が記事と写真を配信し当日の夕刊で報道されました。この記事は世界各国でも報道され反響を呼んだようで、以下は『読売』紙の続報です。(YOMIURI ONLINEより) 

 本紙が22日夕刊で報じた、さいたま市のJR南浦和駅での女性客救出劇は、現場に居合わせた本紙記者の写真と共に世界各地でも報道された。

 ホームと車両の間に落ちた女性を乗客らが力を合わせ助け出したニュースに、「うちの国だったら、乗客は眺めるだけで何もしなかったかもしれない」「英雄的な行動」などの称賛の声が上がっている。

 米CNNテレビは22日夜(日本時間23日午前)、キャスターが「日本から素晴らしいニュースです」と前置きし、本紙の写真と共に女性救出を報じた。キャスターは「生死に関わる状況で、駅員と乗客が冷静に協力した」と称賛。「おそらく、日本だけで起こりうること」として、電車が約8分後に通常運転を再開したことも合わせて伝えた。

 英各紙がロイヤルベビー誕生の特集紙面を組む中、23日付ガーディアン紙は、「(駅員や乗客が)集団で、英雄的な行動を示した」とするAP通信の記事と本紙の写真を国際面で使った。

 イタリアの主要紙コリエーレ・デラ・セラのウェブサイトには「イタリア人だったら眺めるだけだろう」といったコメントも。香港でも、中国政府寄りの論調で知られるフェニックステレビのウェブサイトに、「中国で同様の事故が起きれば、大多数の人はやじ馬見物するだけだ」といった書き込みが見られた。

 対日関係が冷え込む中国では、政府の指導下にある有力ニュースサイト「中国ネット」が24日、日本での報道を引用する形で事実関係を論評抜きで報道し、国営新華社通信(電子版)などが転載。韓国でも聯合ニュースなどのメディアが、多くは、読売新聞の報道を引用して伝えた。23日の朝鮮スポーツ紙(電子版)は「乗客が力を合わせて救助する感動の写真が話題になっている」と指摘した。

 ロシアの大衆紙「コムソモリスカヤ・プラウダ」(電子版)には「どうしてこんなに迅速に乗客が団結できたのだろうか」「他人の命に対して、我々ロシア人も無関心であってはならない」と、驚きのコメントが寄せられた。

 タイのニュース専門チャンネル最大手TNNは、本紙の写陣真を、「日本の人々が生来の結束力を余すところなく示し、困っている人に助けの手をさしのべた、素晴らしいニュース」と紹介した。タイのソーシャルメディアでは、この写真をシェアする人が多く、フェイスブック上では「日本が、また世界を驚かせた」「とっさにこのような行動ができる日本人は、どのような教育を受けているのか」との声も出ている。

 日本人独特の行為かどうかはわかりませんが、外国の人たちを驚かせたことは事実でしょう。北日本大震災の時の都心部での地震発生直後の人々の冷静な秩序ある行動が諸外国で感心されましたが、とかく嫌な事件や事故が多い昨今、このようなさわやかなニュースは何かほっとさせられます。


スマホ中毒

2013-07-25 09:39:23 | 身辺雑記

 最近は車内で携帯電話を使っている人がますます増えているように思います。先日も電車に乗った時に見ていたのですが、近くにいるだけで10人以上が使っていました。乗ってきてすぐに携帯を取り出して熱心に画面を見ています。その様子は、周囲には全く関心を向けず自分の世界に閉じこもっているようで何か異様な感じもします。近頃はスマートフォン(スマホ)という多機能携帯電話になっていて、これを持つ人がも非常に多いようですが、私は従来型の携帯電話でさえもまともに使いこなさないのでスマホには関心がなく、何がスマホに熱中させるのかよくわかりません。スマホに熱中するあまり、事故や他人迷惑な事例も起こっています。6月に『毎日』紙に 「歩きスマホ 画面より大切なもの』という社説が載りましたが。その出だしは次のようなものです。

 「東京都内の私鉄駅で、スマートフォン(多機能携帯電話、スマホ)を見ながら歩いていた若い女性が突然、プラットホームから線路内に落ちた。都心部の交差点で、スマホをいじっていた男性がいきなりぶつかってきた。JR駅の改札口で人が動かないと思ったら、スマホを操作している人が流れを妨げていた。  いずれも、最近、目撃した人の話だ。スマホの広がりで、画面を見ながら歩いたり、自転車に乗ったりする人が増え、トラブルの原因になっている。」

 このようにスマホなどを操作していて駅のプラットホームから落ちた事故は国土交通省の調べでは全国で2010年度は11件、11年度は18件。けがをした人が各年度1人ずついたそうですが、これは把握されている分だけだそうですから実際にはもっと多いのでしょう。ホームから落ちたりするのは、冷たく言えば自業自得ですが、他人に迷惑を与えるのは論外でしょう。  

 この社説によると、筑波大の徳田克己教授(バリアフリー論)が首都圏と大阪圏の大学生のうち、通学に電車を利用していて人ごみを歩くことがある650人の調査をした結果ではスマホの所有率は93%で、携帯機器を使いながら歩いている人とぶつかったり、ぶつかりそうになったりした経験のある人は6割以上にのぼったということです。 徳田さんが07年にスマホではない携帯電話で同様の調査をした時よりも事故が増えているそうで、スマホは画面上の情報が多く、視野が狭くなりがちで事故やトラブルが増えているようです。 

 社説は、歩きスマホが高齢者や幼児、障害者、車いすやベビーカーにとって、とても危険なことで、点字ブロックの上で視覚障害者と正面衝突したり、階段で老人と接触したりする例もあるようだと指摘し、、歩きスマホは「動くバリアー(障壁)」というより「歩く凶器」だという徳田さんの言葉を紹介しています。そして「スマホを見ながら」は個室を公共空間に持ち込んでいるのと似ている、他者への配慮が希薄になっているのではないかと言っています。

 このような若い人たちを中心にしたスマホ依存症的現象は、ますます強くなるのでしょう。『毎日』の社説はに「路上喫煙のように条例で規制するのは最終的な手段だ。まずは、啓発と呼びかけ、自覚とマナーでこの問題に取り組みたい」と結んでいますが、とかく自己中心的な意識や言動が見られる若者には馬耳東風なのではないのだろうかと、私はどうも悲観的に考えてしまいます。


人権無視の極み

2013-07-23 18:26:00 | 中国のこと

  中国湖南省臨武県の中心部で、路上でスイカを売っていた50歳代の農民男性が、街頭の秩序維持などを担う行政組織である都市管理局の職員に殴られて死亡したというニュースを見ました。男性の親族によると、この事件に反発した住民数百人以上が、警官隊と衝突し、住民数十人が負傷したようです。男性は、無許可営業を理由に、職員から罰金100元(約1600円)を徴収され、職員と口論になって殴られて死亡し、一緒にいた妻も殴られ負傷しました。その後、現場に残された男性の遺体の周りに住民多数が結集、駆けつけた警官隊とにらみ合いましたが、警官隊は警棒で殴るなどして住民を強制排除し、遺体を郊外に運んで屋外に遺棄しました。遺体は間もなく発見され、家族が引き取ったということです。

 英国のBBCはこれについて次のように言っています。  

 このような暴力事件は今回が初めてではなく、都市管理局員のイメージは今や地の底まで落ちている。警察の補助的な役割を果たし、都市の秩序管理や軽犯罪の処理を行う都市管理局員だが、人権団体は昨年発表した報告書で、都市管理局員の「暴力行為」は一般市民の大きな怒りを買っており、社会不安を招いていると指摘した。「暴力」「違法な拘束」「窃盗」というのが、人々の目から見た都市管理局員のイメージである。

 中国での人権無視の状態は今更のことではありませんが、改めてこのようなニュースを見ると、この国の状況はひどいものだと思います。経済的には大国ですが、法治国家、文化国家としては二流、三流以下です。やはりこの国の政治体制のありようが根幹にあるのでしょう。このような人民抑圧を続ける限り、この国の未来はないと思います。

 

 


超高級ブドウ

2013-07-23 07:05:18 | 身辺雑記

 石川県が開発した「ルビ-ロマン」という高級ブドウがあります。一昨年もこのブドウの初競り値について書きましたが、今年も初競りの記事を見ましたので紹介します。 

 このブドウは石川県がブランド品種を目指して1995年から開発したもので、ルビーのように赤い果皮が特徴。1粒の直径が3.1センチ以上が条件で、重さは巨峰の2倍の約20グラムになるそうです。一昨年の最高値は50万円だったようですが今年は40万円でした。1房36粒。1粒約1万1000円という値段です。 最高値で落札したのは金沢市にあるホテルの42歳の西洋料理長で、「丸ごと使って、お客様をビックリさせたい」と話していたそうですが。料理にしても菓子にしてもどういう使い方をするのか、値段はどれくらいになるのかなどと考えます。 

 私の誕生石はルビーですが、このブドウも私には、まったく手の届かない高嶺の花ですから、まさにイソップ寓話の「酸っぱいブドウ」そのもので、「所詮はブドウだろう」と負け惜しみを言うほかはありません。

   

    

 

 

 

 

 

 

 

 


熱中症

2013-07-20 19:57:52 | 身辺雑記

  梅雨が明けてから暑い日が続いていますが、総務省消防庁のまとめによると熱中症で8〜⒕日の1週間に救急搬送された人が全国で1万913人と、昨年同期(1941人)の5.6倍になり、このうち初診時に死亡が確認された人は16人だったそうです。とりわけ関東甲信−九州が梅雨明けした6〜8日以降、35度以上の猛暑日となる所が相次いだためとみられています。気象庁によると、今年は関東甲信で平年より15日、東海−九州で13〜6日梅雨明けが早く、平年より早く真夏のような暑さに見舞われました。10、11、12日はいずれも全国927観測地点中100地点以上で猛暑日となったようです。 

 少なくとも3週間の入院が必要な重症とされた人は393人、入院が必要な中等症は3854人で、年齢別では65歳以上の高齢者が全体の48.8%、で半数近く、7歳以上18歳未満の少年が13.2%、18歳以上65歳未満の成人が37.4%だったそうです。 

 このところ毎年のように熱中症の危険が警告され患者も増加していて、街での会話にもしばしば話題になっています。要するに長時間暑気に曝されるのが危険で、それを避けると同時にこまめな水分の補給が必要だと言われています。昨年の夏私は3時ごろから人の家を訪ねて帽子もかぶらずに3時間近く歩き回り、街の中で倒れて救急車で病院に運ばれました。軽い熱中症だったようですが幸い入院することもなく、その日のうちに帰宅でかました。これに懲りて今年は日盛りの時間に外出することは避け、帽子は必ず着用して水分補給も怠らないように心がけています。 

 私は若い頃は夏は苦手ではなかったのですが、年を取るとどうも暑さに弱くなりました。まして80歳という高齢になり暑さはこたえます。無理をしないように気を付けてはいますが、それでも朝家を出るときに上からも下からも熱気に焙られるようになるのはたまりません。子どもの頃は朝は涼しく、夕方も打ち水をして涼をとったことを懐かしく思い出します。街中は黒い土を見ることは少なく、コンクリートだらけでヒートアイランド現象となる今頃、まだ7月も終わっていないのに、これからどれくらい暑い日が続くのかと憂鬱な気分になります。

 

 

 

 


クマゼミ

2013-07-18 08:22:46 | 身辺雑記

  今朝(17日)8時ごろ、街に出ようと歩いていましたら、クマゼミがやかましく鳴いていました。今年の初鳴きです。昨日は静かでしたから、ゆうべのうちに一斉に羽化したのでしょう。 

  シャア、シャア、シャアというにぎやかな鳴き声を聞くと、夏になったなという感じがします。今年の初鳴きは例年より早いのか遅いのかはわかりません。鳴く時間帯はおもに日の出から正午までの午前中で、日が照って温度が上がる午前7時頃から午前10時頃まで最もさかんに鳴くのだそうです。初めは長くジーッと鳴き、やがてシャア、シャア、シャア(セン、セン、センとも聞こえます)と鳴き出し、1匹が鳴くとつられるように他も鳴き出して大合唱になります。 

  私が幼いころ神戸で見かけたクマゼミは8センチくらいもあり、なかなか堂々としていて、捕まえようとしてもすばやく逃げてしまいました。今頃見かけるクマゼミはずいぶん小型になりました。神戸から東京に移転するとクマゼミはいませんでした。戦前のことですが、今では北上して関東でもクマゼミは見られるそうです。どのあたりまで北上しているのでしょうか。

       

                                                                                     インタネットより   

 


市役所に放火

2013-07-16 15:03:21 | 身辺雑記

 私が住んでいる市の市役所の1階が、63歳の市民の男に火炎瓶やガソリンで放火され約2200平方メートルを焼き、職員や来庁者ら計6人が煙を吸い込むなどし、病院に搬送されました。 

 この男は自宅マンションの固定資産税を滞納して、預金通帳などを差し押さえられたとして、税収納課の窓口に「生活ができない」と抗議していて次第に激高して犯行に及びました。職員によると、男はガソリンのような液体が入ったポリタンクと火炎瓶を入れたバッグを持って午前9時30分ごろに来庁したそうですから計画的な犯行でしょう。男は最初に火の付いていない火炎瓶をカウンター内に投げ込み、液体を床にまき散らした後、火の付いた2本目の火炎瓶を投げ込み、その際に「俺の人生めちゃくちゃや。お前らが差し押さえるからこうなったんや。俺の答えはこれや」と叫んでいたといいます。 

 男は、1995年に現在居住する自宅マンションを購入しその直後から固定資産税を滞納していたとみられ、2003年8月と12年6月に市に自宅を差し押さえられていました。そのためたびたび税収納課を訪れ抗議を繰り返し、時には窓口の職員を脅したりもしたそうです。 

 まったく理不尽なことで、まじめに職務を遂行しているだけの職員こそいい迷惑です。全国的にもこのような抗議や脅しは少なくないようで、大阪市の橋下市長のようにとかく公務員を叩くことで人気を博すような者がいますから、住民の間に公務員を敵視し見下すような風潮があるように思います。 

 市は14日、事件による市庁舎の建物の被害額が1億4700万円に上るとの見通しを発表しました。建物の構造に被害があった場合、額が増える可能性があるそうです。この男のように還暦を過ぎてなおこのような公共の安寧と秩序を乱し、大きな損害をもたらすような粗暴で無分別な行為は厳しく罰せられるべきでしょう。

 

 

 

 

 

 

 


職人を育てる(2)

2013-07-14 20:05:00 | 身辺雑記

(前掲書「『不揃いの木を組む』より」

 小川さんが経営する、鵤(いかるが)工舎では宮大工を志す若者たちが寝食を共にしながら、修業しています。この本の中で「うちは修行中は、飯も一緒、仕事も一緒、寝るのも、刃物研ぎもみんな一緒だ」と紹介されています。なぜ何もかも一緒に生活するのか、小川さんは最近の「個食」を批判してこう言っています。「それはあかんわな。何もなくても家族みんなで食っていれば、いろいろなことが分かるわけだよ」、そして ,

 「うちだってそうだ。もし弟子たちが仕事は一緒だが、それぞれがアパートに住んで現場に通ってくるだけなら当然、寝るのも飯を食うのも別々だから、みんなはそいつがどんなやつかわからんわ。どんなやつかわからんでは育てられないし、現場に一緒にいるやつだってどう扱ったらいいか戸惑ってしまう。それじゃ、あかんわ。 一緒に暮らして一緒に飯を食っているから、言葉でいわんでもあいつが何を考えているかが分かるんや。そういう雰囲気、ふれあいが大事なんや。弟子希望で来たやつで、近くに部屋を借りて通っていいかというのがいたが、そんなのはうちにいらないからと断った。」

  と言っています。「個室」があって「個食」が当たり前のようになっている現在の多くの家庭の様子からすると、小川さんのことばは異質なものに思われるかも知れませんが、傾聴すべきことではないかと思います。 

 それでも弟子入りした若者の中には「一緒」ということに負担を感じる者もいるようで、「俺がきょうは夕方どこかへみんなで飯を食いに行こうといったら、仕事が終わってまで一緒に飯を食いに行くんだったら、解雇してほしいっていう子が実際いるものな」ということもあったようです。小川さんはこうも言っています。「でも今の子はみんな個室で育っているから、みんなで一緒に暮らすというのが耐えられないらしい。それを理由に止めて行くのもいたからな。ずっといっしょというのは耐えられませんって」 

 私が子どもの頃は一家の主の職場が居住地に近いということが多かったこともあり、また職場での勤務も残業、残業で追いまくられることもあまりなかったせいか、我が家でも夕食の時には大抵父親が一緒でした。子沢山ということもあったのですが、個室などというものはありませんし、そういうものを考えたこともありませんでした、いつから今のような家族の様子が普通になってきたのでしょうか。少子化ということもあるでしょうが、それほど豊かになったわけではないのに子どもはそれぞれ個室を持ち、きょうだいが顔を合わせて話し合うことも少なくなっているし、食事時の団欒ということも少なくなっているようですが、私が子どもの頃は、家が貧しかったこともありますが、食事中はもとより食後もきょうだい達は両親も交えてあれこれ話したりしたものです。ひとしきり時間が過ぎると弟妹たちは寝てしまい、宿題のある高校生の私や次の妹は食事の時に使ったちゃぶ台で勉強したもので、それが当たり前でした。友人たちの生活程度はさまざまでしたが、個室のある者はいませんでした。 

 何でも昔が良かったというつもりはありませんが、やはり一家は一緒ということは大切なのではないかと思います。 

 「親だって子供が自分の部屋で何をしているかわからない。何をしているかわからないで、何かあったときに、『何でこんなことになった』『まさかうちの子が』ということになる。日ごろ何でもないときに触れ合っていること、これが一番のいい教育なんだな。」 

 この本は単に宮大工の修行の話というだけでなく、教育論としてもなかなか深いものがあるようで、親も教師も一読すればいいのではないかと思います。

 (追記)小川三夫さんは『宮大工と歩く奈良の古寺』(文春新書)という本を著しています。自分も修復や再建に携わった体験を織り交ぜたものですが、その博識と造詣の深さに感嘆します。次男と法隆寺に行く前には何度も読みました。