中国迷爺爺の日記

中国好き独居老人の折々の思い

高齢者の冬の入浴

2013-01-31 09:46:56 | 身辺雑記

 入浴中の高齢者の急死が全国的に増えているそうです。厚生労働省によると、浴室での溺死者は1999年は全国で3058人だったのが、2011年は4581人に増加しています。大分県では昨年、入浴時に溺死した約180人のうち、9割が65歳以上だったと言います。体温や血圧の急激な変化が関係するようで、特に冬期に多いので注意しなければいけません。 

 どこの家でも大体同じでしょうが我が家の浴室は北向きで、冬はとても室内が低温になります。最近の一部の住宅のように浴室内をあらかじめ暖めておくようにはなってはいませんから、入浴する時には上の下着のシャツは脱がずに浴槽に腰まで入れ、暖まってきたら脱ぐようにしています。それでも体を十分に暖めないと浴槽から出た時にかなり寒く感じ、この時も心臓にはよくないようです。 

 東京都健康長寿医療センター研究所によると入浴時の急死の原因について、

(1)体温の上昇で意識障害になって浴槽から出られず、さらに体温が上がってしまう「熱中症」

(2)脱衣後の寒さによる血管収縮、入浴後の血管拡大などで血圧や脈拍数が変動し

脳卒中や心筋梗塞を起こす「ヒートショック」 

などを挙げていますが、このような危険性は年齢が10歳増えると1.34倍、気温が10度下がると1.42倍に膨らむそうです。 

 いくら注意していてもその時の体調などが原因で事故に見舞われることはあるでしょうから、やたらに心配せずに注意は十分にしておこうと思います。それにしてもシャワーだけでもさっぱりする夏の入浴は良いものです。

 

 

 

 


体罰は「いじめ」か

2013-01-27 20:04:32 | 身辺雑記

 自民党が検討する「いじめ対策基本法案(仮称)の骨子案が分かったそうです(下記)。野党とも調整して、超党派の議員立法として国会での成立を目指ことになるようです。(『毎日』1月27日付)。 

 その骨子案は次のようなものです。

 ・教諭体罰やインターネットの悪質な書き込みもいじめと位置付け。

 ・死亡や大岡が、長期欠席を伴う重大事案について学校から市町村長らへの報告を義務化。学校は調査組    

  織を設置。

 ・生命の安全が脅かされる際に、学校は直ちに警察に通報。

 ・いじめをした児童、生徒を学校教育法に基づいて出席停止とする措置の活用。

 ・スクールカウンセラーの配置促進や、いじめ防止の基本方針策定を要請。 

 この骨子案がどのように具体化されるのかは今後の推移を見ていきたいと思います。ただ私は教諭の体罰を、「いじめ」というようなやや軽い印象を与える範疇にまとめてしまうことには疑問を感じます。このような動きのきっかけになったのは、大阪市立桜宮高校の顧問による体罰(殴打)によって生徒が自殺した事件があったからですが、この場合の当該顧問の体罰は「いじめ」などというようなものではなく、明らかに犯罪的な暴力事件です。この高校生の両親はこのほど顧問を告訴したようですが当然でしょう。 児童や生徒に対してほとんど絶対的な優位な立場にある教師の度を過ごした体罰、暴力を「いじめ」というように矮小化するのには反対です。またこのような度を越した体罰を与えた教師には免職も含む強い処分が必要だとも思います。

 私の幼少の頃は「いじめ」と言えば腕白たちが弱い子に向かって「やあい、やあい。おまえのかあさんでべそ」とはやし立てるような言葉の嫌がらせが主なもので、暴力を伴うことはあまりありませんでした。しかし教師たちは戦時中のこともあって子どもにはしばしば暴力を振るっていました。小学校1年生の時、クラスのある男の子が何をしたか分かりませんが教室で担任のM先生に何度も激しく殴られ、その子は「おかあちゃん、おかあちゃん」と泣き叫び、クラスの子供たちも泣きそうになってその光景を見ていました。その時のM先生の顔と様子は今でもはっきり覚えていますし、Mという先生の名を70年以上もたった今でも思い出すのは、そんな光景があったからです。その場面でしかM先生のことは覚えていません。そんなことで私は教師の暴力がどうにも我慢ができません。

 教師の行き過ぎた体罰は「いじめ」というような生易しいものではありません。まして「愛の鞭」などというような甘ったるいものではありません。単なる暴力です。教師、とりわけ中高校の運動部の顧問による暴力は、教師本人の性格にもよるのでしょうが、それを助長しているのは、「あの先生なら全国大会に連れて行ってもらえる」というような一部の保護者の甘い体罰容認姿勢です。自分の子が殴られて平気でいるのは親としても失格でしょう。 

 

 

 

 

 

 

 


8020(はちじゅうにじゅう)

2013-01-27 19:06:20 | 身辺雑記

 あと半年で80歳になります。その時に自分の歯が20本残っているという8020を目指してきました。8020というのは80歳になっても自分の歯が20本以上保とうという運動です。自分の歯が20本以上あると、ほとんどの食べ物がおいしく食べられ、心と体の健康が保てられるそうです。「8020推進財団」というところが進めています。 

と言っても、私はこれまでは歯科医院にまめに通うだけで特に気をつけていることもないのですが、歯は2年ほど前まではまずまず良好に保ってこられました。ところが一昨年あたりから急に治療することが多くなり、今ではかなりの歯が義歯になっています。しかし私が処置してもらっている医師は抜歯することはあまりせず、どういう風にしているのか、口の中のことですからよく分かりませんが、健康な歯につないだり、いろいろなことをしてくれているようです。彼は、高校時代に教えたことがあり、ちょっと変わっていますが、歯科医としての技術はなかなかのもののようです。 

 このところ左のうえの奥から2番目と3番目の歯が悪くなり、これは抜きました。その後には仮の歯を入れていますが、仮のものを差し込んでいますから食事の最中によく抜けます。この後に入れる本式の義歯はもう出来上がっていて、来月にはそれをきちんと接着することになるようです。よくわからないのですが磁石で接着するようで取り外しもできるということです。保険がきかないので10万円以上かかるようで、思わぬ出費ですが仕方がありません。 

 歯医者を嫌う人は少なくないようですが、私は口の中をガリガリされてもあまり気にはならず、ただ時々歯茎に麻酔薬を注射されるのが苦手です。何かしらだいぶ自分の歯を失ったような感じがして、先日尋ねてみましたら8020は何とかなりそうです。しかし後、半年あるのでその間にどうなるのかは分かりません。私の父は40代で歯槽膿漏のため歯をほとんど失い、私が中学生の頃には総入れ歯でした。あれだけはしたくないと思っています。総入れ歯になると、食べ物の味が分からなくなるようですね。それに歯を外すと途端に何歳も年をとったような顔になります。私の次男が4歳くらいの頃に父が口を動かして舌で歯を外してみせると、次男は仰天しました。父がふざけて「今度は手を外すぞう」と言って左腕に右手をかけて脅しましたら、ワアッと悲鳴を上げて隣の部屋に逃げ込み、両手で目をふさいで畳の上で転げ回って「ああ、たまらない」と叫んでいましたので、皆大笑いしました。 

 思えばわが歯も長い間頑張ってきてくれました。あと少しいたわりながら大切にしていこうと思っています。

 


国賊

2013-01-26 16:36:31 | 身辺雑記

 先頃民主党の鳩山元首相が、「日本政府は日中間に領土論争はないと言っているが、歴史を見るなら論争はある」と指摘し、政府の公式見解とは異なるとして物議をかもしました。これを受けて小野寺防衛相は中国に政治的に使われたのなら、不幸なことだと主張し、「国賊という言葉が心の中によぎった」とも言ったようです。 

  「国賊」とか「非国民」とかいうことばを聞くと、あの言論封殺時代の戦時中のことを思い出して非常に不愉快になります。当時はそのように呼ばれることは、その人の全人格を否定するようなものでした。小野寺防衛相は53歳、戦後生まれの彼の頭の中にこのようなことばがよぎるとはどういうことでしょうか。この言葉だけで、彼が右翼思想の持ち主だということが分かります。彼に限らず、近頃はこのようなことばをよく見聞きするのは、日本の社会が危険な状態になっているのではないかと思います。「国賊」にしても「非国民」にしても相手を日本国民と認めない思い上がった考えです。私はかつてこのブログのコメントで「あなたのような朝日新聞を好むサヨク爺さんは日本から出て行ってください」と言われたことがあります。ことばづかいは丁寧ですが、内容は乱暴そのものです。おそらく若者なのでしょうが、広い層でこのような考えが広がっているのかと心配します。 

 このような風潮を煽るかのように、最近新聞広告で見た『週刊新潮』はひどいものです。「ノーベル平和賞が欲しくて国を売った元総理」とあり、続いて大きく「超法規『国賊罪』で『鳩山由紀夫』を逮捕しろ!」とあります。『週刊新潮』は右派ジャーナリズムの先端を行く週刊誌ですが、これはひどすぎます。見出しは大仰でも読んでみたら、突出した右翼言論人のコメントの寄せ集めの程度の低いものなのかも知れませんが、まるで軍部独裁時代の「特高」を彷彿とさせます。いかに言論の自由と言ってもこのような暴論がまかり通ることは、読者が多いらしい雑誌であるだけに怒りを覚えます。 

 二度と再び「国賊」や「非国民」という言葉が使われないような時代になることを願いますし、保守を自任し左翼を嫌う人でも、このようなことばがどれほど人格無視の暴言かは知っていてほしいと思います。何やかやとありますが、とにもかくにも日本は中国や北朝鮮とは違って、言論の自由が保障された民主国家なのです。

 

 

 

 

 

 


教育に対する政治介入

2013-01-26 16:15:27 | 身辺雑記

 熊本市の幸山政史市長は23日の定例記者会見で、大阪市立桜宮高校の体罰問題についての橋下大阪市長の、同高の教員すべての入れ替えや、入試の中止要請を教育委員会が拒否した場合は予算を執行しないなどの一連の発言に対して「教育に対する政治介入に限りなく近い」と批判的な見解を示しました。(YOMIURI ONLINE) 

 幸山市長は、大阪市が取るべき対応として、〈1〉自殺の原因究明〈2〉当事者や監督責任者の責任問題の対処〈3〉再発防止策の策定――などを挙げたとあります。そのうえで、「これから調査に入ろうとする途中であり、(橋下市長の発言は)一部の情報で感情的な発言につながっているのではないか」「過激な発言で自分の思い通りにさせるという手法にはとても違和感を覚える」と述べ、さらに政治的介入に近いとの考えを述べて、「改めて、教育委員会の政治的中立性の必要性が明らかになった」と言ったようです。 

 この幸山市長の見解は、良識のある首長としては当然の正論ですが、自分の独裁的な発言が通ることに酔ってしまったような状態にある橋下市長は、おそらく「外部から口を出すな」くらいにしかとらないのではないでしょうか。大阪市民もそろそろ大阪市の在り方に不正常なことが多いことに気づき、この「お山の大将」に声を上げるべきです。これは 「お山の大将俺ひとり、あとから来るものつき落とせ」で始まる童謡ですが、橋下氏の場合は、「反対(批判)するもの突き落とせ」でしょう。

 近くのJR駅構内にあるエキナカスーパーの喫茶室にいましたら、隣の席に2人の50年配の男性がいて、最近の政治のことなどについて話していましたが、橋下氏のことになりますと1人が「あれはバカですよ」と言っていました。声が小さいのでその理由までは聞こえませんでしたが、前にも同じ喫茶室で隣席にこれも50代の2人の女性がいて、1人が橋下氏を強い口調で批判していました。私の住む市は大阪に近いのですが、大阪から少し離れると、橋下批判はかなり強いのではないかと思いました。

 

 

 

 

 


2013-01-26 08:14:49 | 身辺雑記

 私の父方の祖父は明治3年生まれの純然たる明治人で、裁判官でした。私の家族は一時期祖父の家に同居していたことがありますが、その頃はもう退官していました。小学校から帰ると私は祖父の居間に行き、祖父の前で正座して両手を突き「おじい様、帰りました」と挨拶したものでした。しかし祖父は頑固な昔気質の人物ではなく、その当時としては家族の誕生日を大切にしたりするなど開けたところがありました。 

 後年、母が言ったことですが、祖父は新婚間もない母を知人に紹介するときに「娘です」と言ったので、母はびっくりしたそうです。普通なら「○○(父の名前)の嫁です」と言うところですが、そういうところが祖父にはあったようです。父は兄弟が3人いましたが母はおとなしい性格でしたので可愛がられていたようです。私には息子が2人いますが、もし誰かに彼らの「嫁」を紹介するときに「娘です」とは多分言わないと思います。

 

 この「嫁」ということばは便利なようでもあり、そうでもないようでもあります。私は使ったことはありませんが、自分の妻のことを他人に言う場合は「うちの嫁さん」と言ったりします。自分の場合は普通は「妻」とか「家内」と言いますが、息子達については英語のmy son’s wifeのように「息子の妻」と言えばいいのでしょうが何となく使いにくい気がします。「連れ合い」はちょっとよそよそしい感じで堅苦しいし、そうすると本当は好きではないのですが、結局は「嫁」に落ち着き、これまでこのブログでも使って来ました。私は息子の「嫁」達を気に入っていて、祖父のように「娘」という感じなのですが、何か適当な言い方はないものでしょうか。

 

 

 


諸悪の根源は現憲法にある?

2013-01-25 07:54:06 | 身辺雑記

 日本維新の会の石原代表は19日に東京都内のホテルで開かれた同党の国会議員団研修会で挨拶し、現行憲法について「日本の諸悪の根源だ」などと述べ、改正を強く求めたという記事を見ました。(YOMIURI ONLINE) 

 それによると石原氏は北朝鮮の拉致問題を例にして、「9条がバリア(障害)になって、(拉致された)同胞を武力で解放できなかった。国家としてのシェイム(恥)」と主張したそうです。「同胞を武力で解放できなかった」とはとんでもない発言で、北朝鮮に攻め込んで拉致被害者を武力で奪い返すとでも言うのでしょうが、彼は本気なのでしょうか。彼はまた「財政的に成り立ちえない高福祉低負担の社会保障制度がまかり通るのは、憲法にうたわれている権利と義務が全く不均衡だからだ。こんな憲法を持っている国は世界中ない」とも語ったそうですが、現在の社会福祉制度までも憲法のせいにして非難するのには呆れます。 

 維新の会は改憲論者の集まりです。特に9条については、これを改変しようとしています。そういう連中が老いも若きも、このような時代錯誤的で反動的な老残の石原氏の言に頷いていたのかと思うと、憲法を順守する義務がある国会議員がと何か寒気がします。

 

 

 


友人の死

2013-01-24 09:39:37 | 身辺雑記

 高校時代の友人のK君が亡くなったと奥さんから知らせがありました。もう葬儀も済ませたようです。突然の知らせに驚きましたが、大腸癌で3年ほど前から悪かったようです。数年前までは時々会っていたのですが、とても健康的で、しょっちゅう一人で近くの六甲山をトレッキングしたり、ヨーロッパの山に登ったりしていましたから、何か信じられない思いです。 

 奥さんによると彼は医者嫌い、薬嫌いで、もらった薬は飲まずに捨てていたと言います。彼はもとは眼科医ですが、「医者の不摂生」を地で行ったようなもので、最後に癌はテニスボールほどになっていたそうです。せめて一度会いたかったのですが、終わりの頃はとても痩せこけて、誰にも会いたくなかったと奥さんは言っていました。 

 彼は私に比べると頑健なスポーツマンでしたが、やはり医師の言うことを聴いて養生すればよかったのにと残念に思います。幸い私は彼のように頑健ではなく外出には杖を必要としていてもまずまず健康ですから、これからもかかりつけの医師の言うことはよく聴いて、節制していこうと思います。

 

 

 


チューブ人間

2013-01-23 07:55:04 | 身辺雑記

 麻生副総理は21日、首相官邸で開かれた社会保障制度改革国民会議で、終末期医療の患者を「チューブの人間」と表現し、「私はそういう必要はない、さっさと死ぬんだからと(遺書を)書いて渡してある」と語り、その上で「死にたいなと思って、生かされるのはかなわない。政府の金で(延命治療を)やってもらうなんてますます寝覚めが悪い。さっさと死ねるようにしてもらわないと解決しない」と述べたようです。 

 麻生氏はその後、財務省内で記者団に対し、「私の個人的なことを申し上げた。終末医療のあるべき姿について意見を申し上げたものではない」と釈明し、「公の場で発言したのは適当でない面もあった。当該部分について撤回し、議事録から削除するよう申し入れる」とするコメントを発表したそうです。(YOMIURI ONLINE) 

 またぞろ閣僚の失言癖が始まったのかと不愉快になり、本当に軽率だと思います。「綸言汗の如し」と言いますが、彼は君主ではなくとも要職にある政治家ですから、口に出したことばは、議事録から削除しても元には戻りません。公の場で個人的なことにせよ、発言には責任を持つべきです。長く国会議員をしていると公私のわきまえの感覚が鈍ってきて、「チューブの人間」などという当事者にとっても家族にとっても残酷なことが平気で言えるのでしょう。まして「政府の金で(延命治療を)やってもらうなんてますます寝覚めが悪い。さっさと死ねるようにしてもらわないと解決しない」などとは、たとえ個人的なことであっても暴言も甚だしいもので、釈明ではなく、はっきり陳謝するべきです。

 

 

 

 

 

 

 

 


入試中止

2013-01-21 20:53:25 | 身辺雑記

 橋下大阪市長は、顧問の体罰で生徒が自殺した市立桜宮高校を訪れ、生徒達に約1時間にわたって話をし、2月に予定されている同高体育系2科の募集中止について「新しいクラブのあり方をきちんと出す前に新入生を迎えるべきではない」と述べ、考えに変わりがないことを強調しました。市長の話が終ったあとこれに対し挙手した2名の生徒から発言がありました。1人は、「(自殺は)忘れてはいけない出来事。桜宮のことを真剣に考えている。(ただ)体育科を続けた状態で考えていきたい」との内容で、もう1人は、「市長は人生は長いというが、今しかない時間を大切にしたい。普通科であればいいという問題でない。入ってくる子にとって受験は一度だけで、その機会を奪ってほしくない」との趣旨だったといいます。これに対し、橋下市長は「皆さんに責任はないが、世の中には越えてはいけない一線がある」などと譲らなかったようです。(YOMIURI ONLINE) 

 彼は後で記者団に「生徒の声を聞いても、僕の方針を変えるに至らなかった。生徒の言葉だけで間違った教育行政をやるべきではない」と言ったそうですが、はじめに結論ありきで、もともと彼には生徒の声を聴いて考えようという考えなどなく、自論を説明しただけでしょう。本当にもし生徒達の気持ちを知りたいというのなら、自分だけが長時間話さずに、もっと多くの生徒の声を聴くべきでしょう。 

 彼は生徒達への話の中で「スポーツの中で手を上げることは、ものすごく遅れた指導法。そんなことで技術力は上がらない」と言ったそうですが、これまであからさまに体罰を容認していた彼の本心のことばかと思ってしまいます。元プロ野球のジャイアンツの投手だった桑田真澄氏は桜宮高校の事件に関して「体罰は指導者の勉強不足による一番安易な指導方法で、チームや選手は決して強くならない」と話したそうですが、橋下氏は桑田氏の言をなぞって体裁を繕ったとしか思われません。 

 その後橋下氏は記者団に対して、「暴力がずっと行われてきた現場に、どう考えても生徒を迎え入れることはできない。学校の実態を知っているのは僕だけだ」と言ったそうです(『毎日』)、この自惚れはどうしようもありません。

  私は入試中止というのは荒っぽいやり方だと思います。これから受験しようと思っていた中学生達には何の罪もありません。これに関して彼は「(受験生は)生きているだけで丸もうけ」と発言して批判されましたが、これについて桜宮高校の生徒達には「生きていれば、少し回り道をしてでも自分のやりたいことに向けて進むことができるという意味だった」と釈明したようですが、相変わらずの「くぜち(口舌)の徒」だと思います。なぜ素直に言い過ぎだったと言わないのかと嫌悪を感じます。 

 この日の午後、大阪市教委は桜宮高校の体育科とスポーツ健康学科の入試取り止めを決めました。実施するなら予算措置をしないという市長の脅しに屈したという気がします。市長は「教育的な観点から素晴らしい決定をしてくれた」と大満足ですが、同校の運動部のある男子生徒は、橋下市長の勝利至上主義という発言の指摘を強く否定し「僕らのことを何も分かっていないと憤ったそうです(『毎日』)。「市教委のこれまでの安易な姿勢がことを難しくしたとも考えられますが、これからは真剣に対策に取り組むべきです。橋下市長も自分の主張が通ったと安易に考えないで、これから常識的で着実な打開策を講ずることのリーダーシップをとるべきでしょう。彼はまだ全教職員の異動の妥当性を主張しているそうですが、それがどれほど非現実的なことで、学校や生徒達に大きな混乱を与えるかということをよく考えるべきです。

22日付『東京』社説

 http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2013012202000133.html