ゴキブリが好きな者はまずいないのではないか。暗くなるとキチンなどに現われ、退治しようとすると素早く狭い隙間にもぐりこんでしまうのが忌々しい。アブラムシとも言うように体が油で濡れたように光っているのも不潔な感じで気味が悪い。
私もご他聞に漏れずゴキブリが大嫌いだし、目にするとまるで親の敵に出会ったように殺そうと思うが、たいていはすばやく逃げてしまう。ある動物学者が、ゴキブリはとくに有害なものではない、不当に扱われていると弁護していたが、このような人は少ないだろう。いくら有害ではないと言っても汚い所から出てきて、食器の上であろうと何であろうと這い回り、あちこちに黒い糞をこびりつかせる。とにかく陰険で不潔な感じを与える虫である。私はかつて夜眠っている時に頬に何か異様な感触がしたので目を覚ますと、どうやらゴキブリが止まっていたらしい。悲鳴こそ上げなかったが払いのけた。しかし止まっていた頬のその部分がどうにも気持ちが悪く、しきりに指でこすった。翌日の授業のときにも何かしらゴキブリが止まっていた部分が嫌な感じで、話をしながらたびたびそこを指で掻いた。今でもあの脚の裏の細かい棘の感触を思い出すと不快になる。
ゴキブリの名は「御器被り」あるいは「御器囓(かぶ)り」が転じたもので、御器すなわち食物を盛る椀にたかる様子を言い表したものだろう。漢字では蜚蠊と書き、これは中国語由来だが、中国語でも油虫(ヨウチョン)とも言うようだ。英語はcockroachで、比較的知られている。世界中にいろいろな種類がいるようで中には90ミリもある巨大なものもいるらしい。我が家に見られるものは日本では普通に見られるクロゴキブリだ。他にも見たことはないが本来は熱帯種のワモンゴキブリが暖房設備の整った都市部に広がりつつあると言う。以前住んでいた安住宅で寒い時期に冷蔵庫を動かしたら、温かい裏側にたくさんのチャバネゴキブリがいて驚いたことがあった、チャバネゴキブリは1.5センチほどの小さなゴキブリで、普通のゴキブリのように毒々しい光沢はない。寒さに弱いため、暖房設備の整ったオフィスやホテル、飲食店、病院などに多い。いつだったか、ニューヨークかどこかの米国の大都市で、マンホールの蓋を開けて殺虫剤を吹き込んだら、ものすごい数のチャバネゴキブリがぞろぞろ出てきて作業員が逃げ出したと言う話を読んだことがある。とにかく世界的な嫌われ者である。インタネットでこんな記事を見た。
「ゴキブリが嫌われている理由としては、下水や生ゴミの上などを這い回った足であちこちを歩き回るので不潔、素早く不気味な歩き方が嫌い、などがあげられます。日本だとゴキブリの害と言ったらこんなものですが、外国ではもっと酷い害があります。ゴキブリが人間の耳の中に入り込む、人間が寝ている時にゴキブリが睫や指先、爪などを噛る、などです。それに、ゴキブリアレルギーで悩まされる人も多くいます。また、ゴキブリは実にいろいろな物を食べるため、その害も無視出来ません。人間の食べ物は全て食べますし、それ以外にも、美術品の絵の具、書物などの紙やそれを張合せている糊、煙草や家の建築材料、飛行機の器材の中にすら食べる物があるそうですし、共食いも行ないます。それと同時に、ゴキブリは絶食に対する、強さも知られています。ゴキブリは食べる物がなくても水だけで、1月以上生きていますし、餌だけではなく、水さえなくても2~3週間は生きられるそうです。」
つくづく嫌な奴だと思うが、世界に4000種ほどいる中で、人間にとって害虫とされるのは50種ほどだそうだ。3億年~3億5千万年前の古生代に姿を現わしたが、その後も現在に至るまでほとんど姿を変えずに来たので「生きた化石」と言われる。今では人を罵るのに「ゴキブリ野郎」などと言うくらい嫌な奴の代名詞のようになっているが、動物学的には、昆虫の中でも最古の「家系」を誇っていつから貴重な存在とも言える。もっとも貴重と言っても希少ではなく、種類も個体数も多く、環境への適応力は強いから、一番最後に地球に残るのはゴキブリだろうなどと言われたりもする。
ゴキブリの腹面(インタネットより)。いかにも古代的な外見で、映画に出てくる地球外生命体のようである。映画のモデルはゴキブリかも知れない。
この夏はいつもよりゴキブリの姿が目に付くようになったので、薬局で燻蒸式の駆除薬を買ってきた。キチンの床に容器を置いて足で小さなペダルを踏むと白煙が上がる。締め切っておいて放置した。翌朝入ってみると、床には仰向けになって転がってるのがたくさんいて、死屍累々と言うのは少し大袈裟だが、なるほどゴキブリというものは1匹目にしたら、実際にはそれよりもずっと多くのものが陰に潜んでいると言うのは本当だったなと納得した。
私もご他聞に漏れずゴキブリが大嫌いだし、目にするとまるで親の敵に出会ったように殺そうと思うが、たいていはすばやく逃げてしまう。ある動物学者が、ゴキブリはとくに有害なものではない、不当に扱われていると弁護していたが、このような人は少ないだろう。いくら有害ではないと言っても汚い所から出てきて、食器の上であろうと何であろうと這い回り、あちこちに黒い糞をこびりつかせる。とにかく陰険で不潔な感じを与える虫である。私はかつて夜眠っている時に頬に何か異様な感触がしたので目を覚ますと、どうやらゴキブリが止まっていたらしい。悲鳴こそ上げなかったが払いのけた。しかし止まっていた頬のその部分がどうにも気持ちが悪く、しきりに指でこすった。翌日の授業のときにも何かしらゴキブリが止まっていた部分が嫌な感じで、話をしながらたびたびそこを指で掻いた。今でもあの脚の裏の細かい棘の感触を思い出すと不快になる。
ゴキブリの名は「御器被り」あるいは「御器囓(かぶ)り」が転じたもので、御器すなわち食物を盛る椀にたかる様子を言い表したものだろう。漢字では蜚蠊と書き、これは中国語由来だが、中国語でも油虫(ヨウチョン)とも言うようだ。英語はcockroachで、比較的知られている。世界中にいろいろな種類がいるようで中には90ミリもある巨大なものもいるらしい。我が家に見られるものは日本では普通に見られるクロゴキブリだ。他にも見たことはないが本来は熱帯種のワモンゴキブリが暖房設備の整った都市部に広がりつつあると言う。以前住んでいた安住宅で寒い時期に冷蔵庫を動かしたら、温かい裏側にたくさんのチャバネゴキブリがいて驚いたことがあった、チャバネゴキブリは1.5センチほどの小さなゴキブリで、普通のゴキブリのように毒々しい光沢はない。寒さに弱いため、暖房設備の整ったオフィスやホテル、飲食店、病院などに多い。いつだったか、ニューヨークかどこかの米国の大都市で、マンホールの蓋を開けて殺虫剤を吹き込んだら、ものすごい数のチャバネゴキブリがぞろぞろ出てきて作業員が逃げ出したと言う話を読んだことがある。とにかく世界的な嫌われ者である。インタネットでこんな記事を見た。
「ゴキブリが嫌われている理由としては、下水や生ゴミの上などを這い回った足であちこちを歩き回るので不潔、素早く不気味な歩き方が嫌い、などがあげられます。日本だとゴキブリの害と言ったらこんなものですが、外国ではもっと酷い害があります。ゴキブリが人間の耳の中に入り込む、人間が寝ている時にゴキブリが睫や指先、爪などを噛る、などです。それに、ゴキブリアレルギーで悩まされる人も多くいます。また、ゴキブリは実にいろいろな物を食べるため、その害も無視出来ません。人間の食べ物は全て食べますし、それ以外にも、美術品の絵の具、書物などの紙やそれを張合せている糊、煙草や家の建築材料、飛行機の器材の中にすら食べる物があるそうですし、共食いも行ないます。それと同時に、ゴキブリは絶食に対する、強さも知られています。ゴキブリは食べる物がなくても水だけで、1月以上生きていますし、餌だけではなく、水さえなくても2~3週間は生きられるそうです。」
つくづく嫌な奴だと思うが、世界に4000種ほどいる中で、人間にとって害虫とされるのは50種ほどだそうだ。3億年~3億5千万年前の古生代に姿を現わしたが、その後も現在に至るまでほとんど姿を変えずに来たので「生きた化石」と言われる。今では人を罵るのに「ゴキブリ野郎」などと言うくらい嫌な奴の代名詞のようになっているが、動物学的には、昆虫の中でも最古の「家系」を誇っていつから貴重な存在とも言える。もっとも貴重と言っても希少ではなく、種類も個体数も多く、環境への適応力は強いから、一番最後に地球に残るのはゴキブリだろうなどと言われたりもする。
ゴキブリの腹面(インタネットより)。いかにも古代的な外見で、映画に出てくる地球外生命体のようである。映画のモデルはゴキブリかも知れない。
この夏はいつもよりゴキブリの姿が目に付くようになったので、薬局で燻蒸式の駆除薬を買ってきた。キチンの床に容器を置いて足で小さなペダルを踏むと白煙が上がる。締め切っておいて放置した。翌朝入ってみると、床には仰向けになって転がってるのがたくさんいて、死屍累々と言うのは少し大袈裟だが、なるほどゴキブリというものは1匹目にしたら、実際にはそれよりもずっと多くのものが陰に潜んでいると言うのは本当だったなと納得した。