(中国の友人たちを迎えて6日間、神戸や大阪のあちこちに出かけたのですが、終えてみるとやはり歳のせいでどうにも疲れがたまり、書きたいことはあるのですが、頭の動きが鈍くなってなかなか書けません。それでしばらくは、これまでに何となく書いたものを出してまいります。)
近頃は歳のせいか、ついさっきのことを思い出せなかったりするのに、昔のことだったら、例えば流行歌の歌詞などをふっと思い出して口ずさんだりする。さてはそろそろ来たかと不安になったりもするのだが、先日もこんな歌を思い出した。
空にゃ今日もアドバルーン
さぞかし会社で今頃は
おいそがしいと思うたに
あゝそれなのに それなのに
ねえ おこるのは おこるのは
あたりまえでしょう
正確に言うとこの歌そのものではなくて、その英語訳(?)の歌詞の最後のほうを思い出したのだ。この歌は「ああそれなのに」という題で昭和11年に古賀政男が作曲し(作詞は星野貞志)、大ヒットしたものらしい。会社員の、おそらくは若妻のやるせない心情をを歌ったものだ。 http://takurou.co-site.jp/ikoi/aauta.html 昭和11年と言えば戦争末期に近いから、歌詞からしても軍部の規制の対象になっただろうが、私が耳にするようになったのは戦後で、それでも中高生頃だった私の耳の奥にまだ残っているくらいだからかなり流行ったらしい。それに戦後のことで英語も大いに流行り、怪しげな英語を使う者もいた。そういうことで、この歌も誰かがふざけた「英語訳」をし、それがまた中高生(おそらく大学生も)の間で人気があったようだ。私が覚えていたのは、
Today adbaloon in the sky.
Parhaps he is in the company.
I think he is very busy.
Oh, nevertheless, nevertheless, you see?
I am angry I am angry, it is naturaly.
これくらいの英語の単語なら、中高校生程度なら理解できて” you see?”というところなどは大いに気に入ったものだった。一応英語らしい形になってはいるし、韻らしきものも踏んでいるが、英米人が聞いたら理解できるものかは分からない。調べてみると、部分的には使っている単語が違うものがあり。それだけあちこちで歌われたのだろう。
これなどはまあ、まともな英語に近いが、その頃には得体の知れない英語訳(?)もあった。例えば、
Free care coward tomb be comb miss note
というのがあるが、これはいくら辞書を引っくり返しても一つ一つの単語の意味は分かっても、全体としては何のことやら分からない。
正解は芭蕉の有名な句、
古池や蛙(かわず)跳びこむ水の音
というから、むちゃくちゃなものだが、当時の私たちは面白がっていた。類似のものに、
You might think, but today's cold fish
というのがあり、これには
You might or more head,today's some fish
というものもあるが、前の芭蕉の句のものよりもまだ英語風で、つい引っかかってしまう。さて正解(?)は・・・? ヒントは作者不詳だが、日本の寒い冬を詠んだ句として有名なものだ。cold fish がおもしろい。
一茶の「やせ蛙負けるな一茶ここにあり」のドイツ語訳(もちろんインチキ)もあったが、忘れてしまった。