Tさんという人のブログ Everyone says I love you ! に、注目を集めていたフランス大統領選挙の決選投票で 勝利を収めたフランソワ・オランド氏の勝利演説が紹介されています。全文もあったので目を通しましたが、非常に格調高く説得力があるもので、その中では、対戦相手の敗者であるサルコジ氏に対しても「5年間フランスを治め、その意味から私たちの敬意に値するニコラ・サルコジに共和国のあいさつをおくります」という謙虚な配慮も示しています。演説の最初の部分を引用させてもらいます。
「みなさん、親愛なるフランス市民のみなさん。私たちのいるのはこの地球上のどうでもいいような国でも国家でもありません。私たちはフランスなのです。
そして、共和国大統領として、常にフランス人民のものであった希求、つまり、平和、自由、尊重、そして、独裁から自らを解放したり正当性に欠けた腐敗というお決まりのことから脱したりする権利を人民に与える能力をかかげるのは私の役割です」
これについてTさんはこう言っています。「橋下氏、石原氏、小沢氏など、むしろ独裁指向の政治家がもてはやされる我が国。この日本について、日本の政治について、平和、自由、人間の尊重と独裁からの解放について、こんな風に語る政治家が現れないか」。
Tさんは弁護士でいろいろ活動をされているようで、ブログの内容もなかなか面白いものです。同じ弁護士(出身)の橋下大阪市長は青木理さんと言うフリージャーナリストによれば、「テレビやネットの低劣部分から放(ひ)り出された塵芥のごとき存在に過ぎず、(中略)もしこのように軽佻浮薄な人物が消え去らず、今後ももてはやされ続け、日本社会や政治の世界でさらに大きな地位を占めることになれば、この国の先行きは絶望的に暗い」と言われています。(第三書館編集部編『ハシズムは沈むか』)
実際、傲慢な、人を見下したような態度で、何かと言うとアホとかバカ、クソなどと広言する橋下氏や石原氏が、仮にも総理になったとしても、格調高く謙虚な就任演説などは望むべくもないでしょう。日本には教養のある質の高い本当の政治家が少なく、下品な「政治屋」が多過ぎます。そんな政治屋が政治塾などを開いて政治家を促成しようと言うのですから、もしそれらが実際に政治に携わったら、日本の政治はもっと質が下がるのではないでしょうか。世界に発信されて、さすがだと感服させるような指導者が日本の政界に現れるのは「百年河清を俟つ」ことなのでしょうか。政治家の質が云々されることは結局、国民の質が問われていることなのだと思います。
(朝の散歩から)
キモッコウバラ(黄木香薔薇)。中国原産。