中国には西安の李真や謝俊麗など親しい友人が少なくないから、中国という国や政府のあり方には少なからぬ違和感を覚えても、これまで何度も中国に行き、中国の国土、歴史、文化、庶民などが好きになり、それで「中国迷爺爺」などと自称している。それでも、新聞やインタネットでの記事を見ると。いったい中国人とは何だろうかと思ってしまう事例によく出くわす。私が読んでいる新聞に、「食用油 どぶ仕込み」という記事があった、
中国ではかねてから社会問題になっているらしいが、ちょっと信じられないようなことで、ゴミからとった食用油が街に出回っているという話だ。この油は「地溝油(どぶ油)と言って、記事によると作り方は、町のホテルやレストランの調理室につながる排水溝のゴミを集める。狙いは捨てられた調理油や残飯から出る油分で、この雑多なゴミを釜で4時間ほど煮詰め、浮いてくる油を掬い取る。記事を書いた記者は、浙江省のある村で製造現場を見て次のように書いている。
直径2メートルほどの大釜は警察が持ち去ったが、残りかすをためた大きなかめがそのまま放置されていた。 白い気泡を立てる泥の表面を楊さん(注:近くに住む農民)がくわでほじくり返すと、黄ばんだ液体に混じってニンニク、唐辛子、菜っ葉のほかに、ストローやペットボトルのキャップなどが現れた。
ぞっとするような光景だが、製造していた夫婦は、1ヶ月ほど地元の警察に拘留されていたが、起訴は免れたと言う。
インタネットより
中国の公安省によると山東省のバイオディーゼル工場でこのような油は不純物を除去されて河南省の業者によって販売され、四つ星ホテルなどにも納品されたとのことだ。警察は工場の経営者らを逮捕したが、彼らは月平均500トンの地溝油を生産していたようだ。
もちろんこのような油は安全なものではなく、中国での医学的研究によれば、地溝油に含まれる最も危険な成分は発がん性物質のアフラトキシンであり、その毒性はヒ素の100倍にも及び、劇毒の農薬である666とDDTも基準値以上が検出されているとのことだ。
私はこれまで何度も中国に行き、食事のほとんどは外食だったから、おそらく地溝油を使った料理は何度も口にしただろう。忌々しいと思うがどうしようもない。西安の李真とこの油のことでチャットしたが、李真もこのようなことには非常な不信感を持っているようで、「教育、医学、食べ物、全部問題がある。中国の歴史と文化は愛しているが人間生存に適していない。人民の命が安い」と言い、「お金があれば家族と海外に移りたい」とも言った。
日本でもかつて廃油再生問題はあったようだが,すぐに根絶された。参考までに、それに関する記事を、インタネットから引用する。
http://www.worldtimes.co.jp/wtop/paper/html_fr10/sr100331.html
日本でも数年前に食品偽造が多発し問題になり、中にはきわめて悪質な業者があったので、徒に中国を嗤うことはできないのだが、それでもかなりの数の中国人のモラルの欠如には呆れるものがある。この地溝油のこともそうだが、官民に蔓延している賄賂や贋物、パクリの横行など これも中国4千年の歴史の産物なのか。李真のようなまじめな人間が嫌気を催すのも当然だ。
ある時代小説を読んでいたら、奇矯極まる恥知らずな言動の浪人が出ていて、その男は「頭に釘が刺さったまま生まれてきたような」と書かれている。地溝油などというとてつもない有害物の製造を考えて、それで儲けようとするような輩は、頭に釘が刺さって生まれてきたとしか思えない。