京恋し

頑張った時のご褒美は京都。ずっと憧れ。

夢の花

2006-06-15 23:42:35 | 季節のことば
梔子(くちなし)の生垣に白い花が一つ、二つ


梅雨の湿った風がどこからともなくあまーい香りを運んで来る

          
          真っ白なビロードの花びらは梅雨空の下のフットランプ…



香りですぐわかりましたそこに梔子があることを
大束で売られていた花屋さんの店先
梔子は2日位しかもたないそうです。だから早く売り切りたいんだ。
それで、大束にしてあるのかァ花屋さんの事情だけど
このたっぷりの大束が幸せ

          

「旅情」という古いイギリス映画をご存知でしょうか
キャサリーン・ヘップパ-ン演じるジェーンと、ロッサノ・ブラッツィ演じるレナート。

ジェーンはアメリカのハイミスOL,旅先のベニスで骨董品店の
ちょっとくたびれたオーナーのレナートに出会います。

サン・マルコ広場でのディナー
恋人たちのためにテーブルを回る花売り。
その花かごの中からジェーンが選び取ったのは
バラでもカトレアでもなく、くちなしの花でした

「初めての舞踏会の日につけたかったの。でもくちなしはとても高くて、
彼はまだ学生だったから…」とジェーン
するとレナートが言います。「夢の花だね」

そのくちなしの花を、帰り道の運河に落してしまいます。
おいかけて、手を伸ばして、拾おうとしてもとうとう手は届かず、
くちなしはゆっくり流れていってしまいました

引き止める彼を振り切って、
「今帰らなければ帰れなくなる」と決然と汽車に乗るジェーン。

走り出した汽車を必死で追いかけてホームを走るレナート。
窓から身を乗り出すジェーン。
レナートが手渡そうとしてとうとう届かなかったは、
夢の花くちなしでした。




梔子の甘い香りが切なく感じられる映画。大好きな映画でした。
梔子の花が咲くと思い出します
勿論ビデオでしか見たことないですよお