京恋し

頑張った時のご褒美は京都。ずっと憧れ。

定家葛(ていかかずら)

2007-05-16 21:40:58 | 季節のことば
ご近所にテイカカズラを生垣にしているお宅があります。
今年は花が少し早かったようです


思いついて見に行ったところ、もうだいぶ黄ばんでいます。
それでもまだまだ甘い、いい香りを放っていました


        
        白からバニラ色へ、そして茶色に枯れてしまいますが、
        花びらが風車のようにねじれて、風に飛び立ちそうです

 

テイカカズラの名は、百人一首を選んだ藤原定家に由来します。
「定家」という謡曲が あります。
式子(しょくし)内親王が病でなくなった後、恋仲であった定家の執念が
カズラとなって式子内親王の墓石にまとわり付いて離れない。
苦しむ式子内親王の霊が旅の僧に訴えます。旅の僧の読経によって
やっと定家の妄執がとけ、式子内親王の霊はお礼の舞いを舞うという内容です。

        
        可憐な花なのに、どこにでも蔓を伸ばして巻きつく
        強さゆえに執念の深さになぞらえて定家の名を
        付けられてしまいました
        まるで定家が執念深い男であったかのよう。
        定家もとんだ濡れ衣を着せられたものです


この謡曲「定家」を思うとき、私は「嵐が丘」のラストシーン
……キャサリーンの墓はヒースに半ば埋まっていた……を思い出します。
ヒースは墓石となってもなおまとわり付くヒースクリフの狂気の愛を
暗示しているようです。

墓石を抱くように茂った草木に、人は愛の執念を思うのでしょうね

        
        テイカカズラキョウチクトウ科
        芳香のある可愛い花なんですよ
        名前も古風で嫌いじゃない