新・さひょ君のらくがき帳

僕と妻と娘、3人の日常と僕の趣味を書いたブログです。

アンチヒーローの物語

2012-12-06 21:55:13 | 特撮


70年代初期の第二次怪獣ブームの頃の巨大ヒーローもの。

変身もしないし超能力がある訳でもない、等身大の人間、静弦太郎が、巨大ヒーローのアイアンキングを助けて、敵のロボットや怪獣をやっつける勧善懲悪ドラマです。

えっ、逆じゃないかって?逆じゃないんですよ。本当にそういうお話なんです。

戦闘により、アイアンキングはエネルギー源の水を急激に消費してしまうため、活動時間は1分しかない。そのため、出てきてもいつも苦戦で、大ピンチに陥ってるのを助けるのが、我らが主人公、静弦太郎なのであります。

10話までの不知火一族編を見終わりましたが、アイアンキングが倒した敵ロボットは0。ゼロです!一体もありません全て、静弦太郎がやっつけております。
これは凄い。いったい何のためのヒーローか。大体、この方、スペシウム光線とかアイスラッガーとかいった必殺技らしいものも全然持ってないので、出てきても、ただ殴り合うしかない。これでは、やっつけようもないでしょうけど…。
毎回、アイアンキングのピンチに何十メートルもある相手に単身、ムチを奮って立ち向かう弦太郎の姿を見ると、言葉を失います(しかも、それで勝っちゃうし)。

真面目な話をすると、脚本を書いた佐々木守さんは、同時期の「シルバー仮面」でも、武器も必殺技もない等身大ヒーローの物語を描いていましたが、それ以前に、かの「ウルトラマン」で、あの、ジャミラの話を書いた脚本家です。北海道かどこかの先生が、道徳の教材に使っているという、あのお話です。多分、ヒーローが悪を倒してめでたしめでたし、の物語そのものに、疑問を持っていらしたんでしょうねえ…。

ところで、いいとこなしのヒーロー、アイアンキングに変身する霧島五郎を演じるのは、往年の日活青春スター浜田光夫さんなのですが、今作の出で立ちは、ほとんど吉幾三さんにしか見えません。ヒーローなのに主役じゃない、というのも、ご本人としては如何なものだったのでしょう?要らぬ世話ですが、よっぽど仕事のない時期だったのでしょうか…。