星さんぞう異文化きまぐれ雑記帳

異文化に接しての雑感を気ままに、気まぐれに

ケロウナ便り(5) 季節感

2006年05月27日 00時55分41秒 | Weblog

カナダで砂漠性気候を有する唯一の町ケロウナです。この時期でも日中は30℃近くに上昇する気温も夜は7~9度に下がります。真夏は35℃以上になる日も珍しくないとのことです。炎天下でやるゴルフには日焼け止めが必須アイテムです。肌が焼けるというか焦げるというか、文字通り「ジリジリ」と表現するのが適当との印象を受けます。しかし、空気が乾燥しているため体感温度はそれほど高く感じず、日陰に入ればひんやりと涼しく感じられてまことに快適です。

一日に春と秋と真夏が同時にやってくるような、一種独特の季節感が漂います。

学生仲間でやっている句会へはケロウナ滞在中もインターネット経由で投稿する約束になっているのですが、歳時記に見る日本の風物・季節感と当地の季節感とは大分開きがあって戸惑います。因みに、5月の兼題は「春の波」「春塵」「蝶」でしたが、ケロウナでの季節感ではイメージが湧かず、またまた締め切り間際のやっつけ仕事となってしまいました。宿題の出来の悪さの言い訳がまた一つ増えたというものです。

去年6月に初めてケロウナを訪れた時も投稿締め切りと重なり苦労したことを思い出します。当時の兼題は「さくらんぼ」「虹」「郭公(かっこう)」でした。ケロウナを含むオカナガン地方は「カナダの果樹園」と言われるほど果樹の栽培が盛んな所です。ケロウナから一時間半ほどのドライブで行けるオリバー(Oliver, BC)まで、俳句のイメージを湧かせるためにCherry orchardにサクランボを見に出かけたものでした。あいにくの雨で、「虹よ出てくれ!」との願いもむなしく、その日は終日しとしと降り続き虹にはとうとうお目にかかれませんでした。

先日、午後6時過ぎのにわか雨の切れ間に、これまで見たこともないような素晴らしく大きくてハッキリした虹に出会い、思わず車を停めてシャッターを押しました。何事にもスケールの大きさはいかにもカナダらしいなとつくづく思い、この虹を去年見ていればきっと素晴らしい句が出来たことだったろうにと悔しい思いが募りました。

この虹に限ったことではなく、考えてみれば自然の素晴らしいカナダには俳句の材料は無限にあり、それを感動として感じ取る感性が備わっているかどうかの問題のようです。季節感の違いを言い訳にしようとしたわが身を恥じ、もっともっと物事に感動する感性を磨く必要を痛感した次第です。