オヤジ達の白球(83)胸が苦しい・・・
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/5a/12/debac845b9b51f64ff7510aeedc61af3.jpg)
「熊。念のために聞く。
もしもだ。まんいちの場合、おまえ、投げられるか?」
「野暮は言いっこなしだ、監督。
この包帯を見ろ。この状態だ。投げられるはずはねぇだろう」
「わかった。じゃ今夜は坂上と心中だ」
審判、タイムにしてくれと声をかけ、祐介がベンチから立ち上がる。
しかし。ゲームがはじまるまえのタイムなど、聞いたことがない。
(仕方ないですねぇ、この状態ですもの。うふふ)球審の千佳がほほえむ。
祐介がマウンドへ歩み寄る。
「どうした、坂上?」
「監督。胸が苦しい。いやに鼓動も速い。
身体がどうかなっちまったようだ。熱まで出てきたような気もする・・・」
「風邪でもひいたか?」
「風邪なんかひいてねぇさ・・・」
「じゃ、どうした。プレイボールの声はかかったぜ。
おまえさんが投げてくれなきゃ、ゲームははじまらねぇ。
みんなお前さんの投球を待ってるぜ」
「わかってるさ、それくらい。でもよ・・・なんだか、身体が動き出さねぇ」
「緊張のし過ぎか?。それともプレッシャーに負けているのか?」
「みんなには、ずいぶん迷惑をかけた。
こんな風にマウンドへ戻ってこられる立場じゃねぇが、またチャンスをもらった。
そんなことを考え始めたら、なんだか、体が動かなくなってきた」
「よく言うぜ。敵前逃亡した卑怯者が、一人前のことをいうじゃねぇか。
この程度のお膳立てで感動してどうする。
グランドの中での失敗は、グランドの中でしか取り返せねぇ。
そのくらいは、おまえさんでもわかるだろう」
「わかっているさ、そのくらいは。だからこそ・・・」
「いいからもう、なにも考えるな。
慎吾のミットをめがけて、思い切り投げろ。
せっかくみんなが用意してくれたマウンドだ。
感動するのは、試合に勝ってからにしろ!」
思い切り投げろよ。
耳元へそうささやいた祐介が尻をポンと叩き、ベンチへひきあげていく。
熊が心配そうに祐介をみあげる。
「監督。何か言ってましたか?。坂上のやろう」
「安心しろ、熊。おまえさんの出番はなさそうだ。
あのやろう。リベンジの重さを今ごろになって、ようやく実感したんだろう。
胸が苦しいそうだ」
「へっ?。一人前に胸が苦しい?。
前科一犯のくせに、みょうに感傷的だな、あのやろう・・・」
ふたたびプレィボールの声がかかる。
坂上が前傾姿勢をとる。
慎吾がサインを送る。坂上が、首を横に振る。
もういちど慎吾がサインを出す。サインが合わないのか坂上がまた、首を横に振る。
3度目のサインをだす。
今度は坂上がサインにこたえない。そのままプレートをはずす。
またピッチャサークルの中で棒立ちになっていく。
(あれれ、どうしたんだ、あの野郎。また別の病気でも発生したのかな?)
投球のために溜めていたエネルギーが、坂上の全身から消えていく。
顔がうつむいていく。
帽子のつばに顔が完全に隠れてしまう。
「ああ・・・また固まっちまったぜ。あのやろう。
わざわざ監督が激励に行ったというのに、あのやろうときたら、なにひとつまったく
理解していないようだな」
熊が(まったくもって面倒なやろうだぜ)チッと、舌を鳴らす。
(84)へつづく
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/5a/12/debac845b9b51f64ff7510aeedc61af3.jpg)
「熊。念のために聞く。
もしもだ。まんいちの場合、おまえ、投げられるか?」
「野暮は言いっこなしだ、監督。
この包帯を見ろ。この状態だ。投げられるはずはねぇだろう」
「わかった。じゃ今夜は坂上と心中だ」
審判、タイムにしてくれと声をかけ、祐介がベンチから立ち上がる。
しかし。ゲームがはじまるまえのタイムなど、聞いたことがない。
(仕方ないですねぇ、この状態ですもの。うふふ)球審の千佳がほほえむ。
祐介がマウンドへ歩み寄る。
「どうした、坂上?」
「監督。胸が苦しい。いやに鼓動も速い。
身体がどうかなっちまったようだ。熱まで出てきたような気もする・・・」
「風邪でもひいたか?」
「風邪なんかひいてねぇさ・・・」
「じゃ、どうした。プレイボールの声はかかったぜ。
おまえさんが投げてくれなきゃ、ゲームははじまらねぇ。
みんなお前さんの投球を待ってるぜ」
「わかってるさ、それくらい。でもよ・・・なんだか、身体が動き出さねぇ」
「緊張のし過ぎか?。それともプレッシャーに負けているのか?」
「みんなには、ずいぶん迷惑をかけた。
こんな風にマウンドへ戻ってこられる立場じゃねぇが、またチャンスをもらった。
そんなことを考え始めたら、なんだか、体が動かなくなってきた」
「よく言うぜ。敵前逃亡した卑怯者が、一人前のことをいうじゃねぇか。
この程度のお膳立てで感動してどうする。
グランドの中での失敗は、グランドの中でしか取り返せねぇ。
そのくらいは、おまえさんでもわかるだろう」
「わかっているさ、そのくらいは。だからこそ・・・」
「いいからもう、なにも考えるな。
慎吾のミットをめがけて、思い切り投げろ。
せっかくみんなが用意してくれたマウンドだ。
感動するのは、試合に勝ってからにしろ!」
思い切り投げろよ。
耳元へそうささやいた祐介が尻をポンと叩き、ベンチへひきあげていく。
熊が心配そうに祐介をみあげる。
「監督。何か言ってましたか?。坂上のやろう」
「安心しろ、熊。おまえさんの出番はなさそうだ。
あのやろう。リベンジの重さを今ごろになって、ようやく実感したんだろう。
胸が苦しいそうだ」
「へっ?。一人前に胸が苦しい?。
前科一犯のくせに、みょうに感傷的だな、あのやろう・・・」
ふたたびプレィボールの声がかかる。
坂上が前傾姿勢をとる。
慎吾がサインを送る。坂上が、首を横に振る。
もういちど慎吾がサインを出す。サインが合わないのか坂上がまた、首を横に振る。
3度目のサインをだす。
今度は坂上がサインにこたえない。そのままプレートをはずす。
またピッチャサークルの中で棒立ちになっていく。
(あれれ、どうしたんだ、あの野郎。また別の病気でも発生したのかな?)
投球のために溜めていたエネルギーが、坂上の全身から消えていく。
顔がうつむいていく。
帽子のつばに顔が完全に隠れてしまう。
「ああ・・・また固まっちまったぜ。あのやろう。
わざわざ監督が激励に行ったというのに、あのやろうときたら、なにひとつまったく
理解していないようだな」
熊が(まったくもって面倒なやろうだぜ)チッと、舌を鳴らす。
(84)へつづく
真っ白くなるほどの霜の日が続き
家の中は暖房が唸っています。
なので・・暖房は当たり前かと・・
でも上州ではこれからですか??
ビニールシートも十二単じゃないが
厚着にして、中に暖房の煙突のような
ものを設置して・・冬の準備なんですね
農地は休む暇なく働いているんですね
お体に気をつけながら、頑張ってください
10℃を下回る朝も増えてきました。
露地にうえたホウレンソウが、だいぶ大きくなりました。
あと3週間ほどで収穫になるでしょう。
ホウレンソウは、タネ播きから40日前後で収穫。
月末にゴルフコンペの誘いがやってきました。
もちろん、カミさんと2人で出席の即答。
ひさびさのゴルフです。
体調を万全に整え、楽しんできたいと
思います。