オヤジ達の白球(68)カーポート倒壊
ドサリ。雪の落ちる音が聞こえてきた。
かたまりが、どこかでまとめて落ちたような音だ。
祐介が、おもわず足をとめる。
すぐ前方。洒落た2階建ての庭から、雪煙があがっている。
音はそこから響いてきたようだ。垣根越しに祐介が、中の様子を覗き込む。
信じられない光景が目に飛び込んできた。
「えっ・・・」
カーポートの支柱が、ぐにゃりと折れ曲がっている。
アルミの屋根が落ち、停めてある2台の車を直撃している。
屋根はゆるいアーチ状。本来なら雪がしぜんに落ちるはずだ。
しかし。屋根から滑り落ちた雪が、両サイドに雪の壁をつくった。
落ち場をうしなった雪が、さらに屋根へふりつもる。時間ととも分厚くなっていく。
重みに耐えきれずついにアルミの支柱が、ポキリと折れた。
支えを失った屋根が大量の雪を乗せたまま、2台の車の上へ落ちた。
(カーポートが、雪の重みで倒壊してしまうなんて・・・
なんとも信じられない光景だ。雪も60㌢を超えると、凶器にかわるんだな)
目の前の光景に、祐介が言葉を失う。
住人はまだ、この悲劇にまったく気が付いていないようだ。
1階の雨戸はかたく閉じている。2階のカーテンも分厚いまま閉じられている。
(驚くだろうな、きっと。目を覚ましたら、この有様に)
そういう俺も、2階の屋根から落ちる氷のかたまりに度肝を抜かれたと、
祐介が口元をゆがめる。
悲劇は連鎖する。
いつもの曲がり角へやってきたとき。
目の前に、崩れ落ちたもうひとつのカーポートがあらわれた。
こちらは支柱が、根元からポキリと折れている。
片傾斜の屋根が、そのまま住人の愛車を押しつぶしている。
(どうやらカーポートの倒壊は、ひとつやふたつじゃ終わらないみたいだな)
いつもの曲がり角で立ち止まった祐介が、あらためて周囲を見渡す。
崩壊していないカーポートが目に入る。
しかし。こちらのカーポートも時間の問題だろう。
4本の柱が必死に重みに耐えている。だがカーポートの雪はゆうに70㌢をこえている。
未明から降った大量の雨もふくんでいる。
(あっ・・・カーポートだけじゃねぇ。もうひとつ心配事がある!)
昨日。ビニールハウスが心配だからと早めに帰っていった小山慎吾を思い出す。
あわてて毛布の下のポケットを探る。
携帯を取り出す。
一覧の中から小山慎吾の番号を選び出す。
数回の呼び出し音が鳴ったあと、「はい」と慎吾の声が返って来た。
「おはよう。慎吾か。
大変だ。たったいま俺の目の前で、丈夫なはずのアルミ製のカーポートが崩壊した。
それで気が付いたんだ。おまえさんのビニールハウスは大丈夫か!」
「さっきまで徹夜です。朝の4時までハウスの雪下ろしをしました。
残念ですがこれ以上、雪をおろすスペースがありません。
やるだけのことはやりました。
これ以上は無理だとあきらめて、さきほど家へ戻ってきたところです」
「アルミの柱が雪の重みで折れたんだぜ。
ビニールハウスは、これだけの雪の重みに耐えられるのか!」
「群馬のビニールハウスは、雪国仕様ではないので何とも言えません。
耐えられるかどうか、微妙です。
しかし。いまのところは大丈夫です。まだ、つぶれていませんから」
「そいつを聞いて安心した。
歩いていたら目の前で、いきなりカーポートが倒壊したんだ。
急に心配になってきた。それでおまえさんへ電話したんだ。
わるかったな朝から、つまらないことで電話して」
「いえ。心配していただき、ありがとうございます。
こちらはいまのところ大丈夫です。
大将のほうこそ足元に気を付けて、周囲を見回ってください。
それじゃ」
それだけ言うと慎吾の電話が切れた。
(69)へつづく
ドサリ。雪の落ちる音が聞こえてきた。
かたまりが、どこかでまとめて落ちたような音だ。
祐介が、おもわず足をとめる。
すぐ前方。洒落た2階建ての庭から、雪煙があがっている。
音はそこから響いてきたようだ。垣根越しに祐介が、中の様子を覗き込む。
信じられない光景が目に飛び込んできた。
「えっ・・・」
カーポートの支柱が、ぐにゃりと折れ曲がっている。
アルミの屋根が落ち、停めてある2台の車を直撃している。
屋根はゆるいアーチ状。本来なら雪がしぜんに落ちるはずだ。
しかし。屋根から滑り落ちた雪が、両サイドに雪の壁をつくった。
落ち場をうしなった雪が、さらに屋根へふりつもる。時間ととも分厚くなっていく。
重みに耐えきれずついにアルミの支柱が、ポキリと折れた。
支えを失った屋根が大量の雪を乗せたまま、2台の車の上へ落ちた。
(カーポートが、雪の重みで倒壊してしまうなんて・・・
なんとも信じられない光景だ。雪も60㌢を超えると、凶器にかわるんだな)
目の前の光景に、祐介が言葉を失う。
住人はまだ、この悲劇にまったく気が付いていないようだ。
1階の雨戸はかたく閉じている。2階のカーテンも分厚いまま閉じられている。
(驚くだろうな、きっと。目を覚ましたら、この有様に)
そういう俺も、2階の屋根から落ちる氷のかたまりに度肝を抜かれたと、
祐介が口元をゆがめる。
悲劇は連鎖する。
いつもの曲がり角へやってきたとき。
目の前に、崩れ落ちたもうひとつのカーポートがあらわれた。
こちらは支柱が、根元からポキリと折れている。
片傾斜の屋根が、そのまま住人の愛車を押しつぶしている。
(どうやらカーポートの倒壊は、ひとつやふたつじゃ終わらないみたいだな)
いつもの曲がり角で立ち止まった祐介が、あらためて周囲を見渡す。
崩壊していないカーポートが目に入る。
しかし。こちらのカーポートも時間の問題だろう。
4本の柱が必死に重みに耐えている。だがカーポートの雪はゆうに70㌢をこえている。
未明から降った大量の雨もふくんでいる。
(あっ・・・カーポートだけじゃねぇ。もうひとつ心配事がある!)
昨日。ビニールハウスが心配だからと早めに帰っていった小山慎吾を思い出す。
あわてて毛布の下のポケットを探る。
携帯を取り出す。
一覧の中から小山慎吾の番号を選び出す。
数回の呼び出し音が鳴ったあと、「はい」と慎吾の声が返って来た。
「おはよう。慎吾か。
大変だ。たったいま俺の目の前で、丈夫なはずのアルミ製のカーポートが崩壊した。
それで気が付いたんだ。おまえさんのビニールハウスは大丈夫か!」
「さっきまで徹夜です。朝の4時までハウスの雪下ろしをしました。
残念ですがこれ以上、雪をおろすスペースがありません。
やるだけのことはやりました。
これ以上は無理だとあきらめて、さきほど家へ戻ってきたところです」
「アルミの柱が雪の重みで折れたんだぜ。
ビニールハウスは、これだけの雪の重みに耐えられるのか!」
「群馬のビニールハウスは、雪国仕様ではないので何とも言えません。
耐えられるかどうか、微妙です。
しかし。いまのところは大丈夫です。まだ、つぶれていませんから」
「そいつを聞いて安心した。
歩いていたら目の前で、いきなりカーポートが倒壊したんだ。
急に心配になってきた。それでおまえさんへ電話したんだ。
わるかったな朝から、つまらないことで電話して」
「いえ。心配していただき、ありがとうございます。
こちらはいまのところ大丈夫です。
大将のほうこそ足元に気を付けて、周囲を見回ってください。
それじゃ」
それだけ言うと慎吾の電話が切れた。
(69)へつづく
これから7月の半ばまで、連日の収穫と
出荷作業がつづきます。
本日の群馬は、30℃。
ハウスのなかは、まるで低温のサウナです。
4月だというのに、なかはまるで真夏のような暑さです。
今日も大量の汗をかきました。
暑さに負けないよう、水をじゅうぶん飲みながら
頑張っていきます。
ついているでしょう、信州のものは
大概暖房を炊いて降る端から溶かす
大雪のときは、雪をおろしますが
小雪のときは暖房と補強で4-50センチ
くらいまでは大丈夫、カーポートは
ホームセンターのものは大概数年で
なくなっています (≧ω≦)
いよいよ 茄子も生産出荷に追われますね
私のところでは 親戚から苗が届いてから
まだもう少し先になります。
でも、好きな茄子はスーパーで買って
食べています。美味しいナスを
たくさん作ってくださいね