北へふたり旅(37)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/57/d6/0a94865490cc06b1c88fada8979d20a4.jpg)
「いつも酔っぱらっていると思ったら大間違いだぞ。
おれだってたまには勉強する」
「知ってます。Sさんが努力家だということは」
「そのうち日本から、国産の良質米が消えるかもしれねぇな。
そんな時代がたぶん、やって来るだろう」
「こんどはコメの話ですか?」
話題がころころ変わる。今夜のSさんは饒舌だ。
酒のすすみととともに、饒舌が加速していく。
こうなると誰にも止めることはできない。
「あまり知られてない話がある。
つい最近のことだ。2018年4月、種子法が廃止された。
廃止されたことで外国産の種子がはいってくる。
そのうち国民は、遺伝子組み換えの米を食べざるをえなくなる」
「そのうち遺伝子組み換えのコメを食べるようになる?。
そんな事態がホントにやってくるのですか!。
そもそも種子法というのは、どんな法律ですか?。
なぜ廃止されることになったのですか」
「お・・・喰いついてきたな。いい傾向だ。
あわてるな。今夜はぞんぶんに語る。
呑め。そういうマスターも、いける口だろう」
2018年4月に廃止された種子法は、半世紀前の1952年5月に制定されている。
正式名称は「主要農作物種子法」。
主要農作物とはコメ、麦、大豆などをさし、主にコメを対象にしている。
第二次世界大戦のさなか、日本は深刻な食糧不足におちいった。
農家は強制的にコメを供出させられた。
種子も政府の統制下になった。
そのため、農家は良質な種子を手にすることができずにいた。
終戦後。人々の暮らしが落ち着きはじめた頃。
種子用として認められたコメや麦が、統制から除外された。
国の補助金を投入し、安定して農家に供給するために種子法が制定された。
優良な種子は、国民の食生活に不可欠だ。
公共財として守っていこうという法律がはじめて誕生した。
これが種子法の基本的な考え方。
農家が自ら生産した作物から種子を採取することは可能。
こうした行為は「自家採種」と呼ばれる。
しかし。同一品種の自家採種を何代も続けると品質が少しずつ劣化していく。
良質な種子を育成するためには、農作物の栽培とは別に、
種子の育成をしていかなくてはならない。
種子の育成には膨大な手間と金がかかる。
1つの品種を開発するのにおよそ10年、増殖にさらに4年がかかる。
農家は種子の栽培ではなく、農作物の生産に専念したいと考えている。
種子法をつくり、国民が生きるために欠かせないコメや麦、大豆の種子を
国が管理すると義務づけたのはそのためだ。
種子の生産を実際におこなっているのは、各都道府県。
日本の国土は南北に長い。土壌、気候などにそれぞれの地域性がある。
そのため生産する品種の認定は、各都道府県に委ねられた。
種子の生産に携わるのは、各都道府県の農業協同組合(JA)。
農業試験場などの研究機関と採種農家。
国は税金を投入して、それらの運営に必要な予算に責任を持つ。
都道府県が地域に適していると認め、かつ普及を目指している優良品種を
「奨励品種」と呼んでいる。
奨励品種は、農業試験場などの研究機関によってつくりだされる。
その種を農業振興公社や種子センターなどの公的機関が栽培し、採種農家が増産する。
こうしてうみだされた奨励品種が、各農家に供給される。
種子法によってつくられたこれら一連の流れが、これまでのコメや麦、
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「いつも酔っぱらっていると思ったら大間違いだぞ。
おれだってたまには勉強する」
「知ってます。Sさんが努力家だということは」
「そのうち日本から、国産の良質米が消えるかもしれねぇな。
そんな時代がたぶん、やって来るだろう」
「こんどはコメの話ですか?」
話題がころころ変わる。今夜のSさんは饒舌だ。
酒のすすみととともに、饒舌が加速していく。
こうなると誰にも止めることはできない。
「あまり知られてない話がある。
つい最近のことだ。2018年4月、種子法が廃止された。
廃止されたことで外国産の種子がはいってくる。
そのうち国民は、遺伝子組み換えの米を食べざるをえなくなる」
「そのうち遺伝子組み換えのコメを食べるようになる?。
そんな事態がホントにやってくるのですか!。
そもそも種子法というのは、どんな法律ですか?。
なぜ廃止されることになったのですか」
「お・・・喰いついてきたな。いい傾向だ。
あわてるな。今夜はぞんぶんに語る。
呑め。そういうマスターも、いける口だろう」
2018年4月に廃止された種子法は、半世紀前の1952年5月に制定されている。
正式名称は「主要農作物種子法」。
主要農作物とはコメ、麦、大豆などをさし、主にコメを対象にしている。
第二次世界大戦のさなか、日本は深刻な食糧不足におちいった。
農家は強制的にコメを供出させられた。
種子も政府の統制下になった。
そのため、農家は良質な種子を手にすることができずにいた。
終戦後。人々の暮らしが落ち着きはじめた頃。
種子用として認められたコメや麦が、統制から除外された。
国の補助金を投入し、安定して農家に供給するために種子法が制定された。
優良な種子は、国民の食生活に不可欠だ。
公共財として守っていこうという法律がはじめて誕生した。
これが種子法の基本的な考え方。
農家が自ら生産した作物から種子を採取することは可能。
こうした行為は「自家採種」と呼ばれる。
しかし。同一品種の自家採種を何代も続けると品質が少しずつ劣化していく。
良質な種子を育成するためには、農作物の栽培とは別に、
種子の育成をしていかなくてはならない。
種子の育成には膨大な手間と金がかかる。
1つの品種を開発するのにおよそ10年、増殖にさらに4年がかかる。
農家は種子の栽培ではなく、農作物の生産に専念したいと考えている。
種子法をつくり、国民が生きるために欠かせないコメや麦、大豆の種子を
国が管理すると義務づけたのはそのためだ。
種子の生産を実際におこなっているのは、各都道府県。
日本の国土は南北に長い。土壌、気候などにそれぞれの地域性がある。
そのため生産する品種の認定は、各都道府県に委ねられた。
種子の生産に携わるのは、各都道府県の農業協同組合(JA)。
農業試験場などの研究機関と採種農家。
国は税金を投入して、それらの運営に必要な予算に責任を持つ。
都道府県が地域に適していると認め、かつ普及を目指している優良品種を
「奨励品種」と呼んでいる。
奨励品種は、農業試験場などの研究機関によってつくりだされる。
その種を農業振興公社や種子センターなどの公的機関が栽培し、採種農家が増産する。
こうしてうみだされた奨励品種が、各農家に供給される。
種子法によってつくられたこれら一連の流れが、これまでのコメや麦、
大豆の種子のあり方だった。
(38)へつづく
(38)へつづく
夜明けもおそくなりました。
毎朝5時30分に家を出ますが、曇りの日は
うす暗いままです。
朝日があがるころ。
ビニールハウスの中でキュウリの収穫が
はじまります。
光を浴びて黒いシルエットになるキュウリは
なぜか大きく見えます。
しかし。こいつに手を出してはいけません。
キュウリは細かく大きさと長さ、曲がりが
決められている野菜です。
収穫に適しているのは20㌢以上。
瞬時に判断する目が求められます。
なにしろひとりで、100キロ以上も収穫するの
ですから
法律の定めの無いものはない言っても
いいくらいに、いろんな法律にがんじ
がらめです。
食糧管理制度制度がTPPの推進で大幅に
改変されたことくらいしか知りませんが
大変興味深いところです。
信州は今台風17号の風で荒れています
上州も気をつけてくださいね。