のほほんとしててもいいですか

ソプラノ歌手 佐藤容子のブログです。よろしくお願いいたします!

創作:スカボロフェア‐第3話‐

2011-07-08 | 『創作・短いお話』




第3話≪セージ≫







ここはスカボロー







商人が行きかう街








あの緑のスタンドで老婆が売っているのはセージ











昔の恋を思い出していました



かなり昔のことです





わたしはいつもあなたを想い、あなたもいつもわたしを想っていました




わたしの目はいつもあなたの姿を追い、あなたの目はいつもわたしを追いました





わたしはいつも遠くにいるあなたの呼吸を感じ、あなたはいつもわたしの鼓動をつかんでいました











でもわたしは森の奥に住む妖精のセージ






池のほとりの大木に一人ですむセージ




もちろん知っていました





あなたを愛せば死神をも愛さなければならないことを






そう






わたしに死がやってくることを











でも





瞬間でもよかった




愛というものに包まれてみたかった








わたしはこうして緑の葉になりました










でもあの暖かい一瞬のことはずっと忘れません




コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 8日おはようございます(*´∇`*) | トップ | おやすみ »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

『創作・短いお話』」カテゴリの最新記事