20191118今日の一手

11月3日の名南将棋大会から、私とHさんの対局です。
今回は趣向を変えて、寄せ方(と読み)の訓練です。後手の応手、62玉43竜は簡単ですから、それ以外の64合駒の変化をすべて寄せてみてください。
説明は単純なので明日回答します。
一昨日の一手の回答

☆ 形勢判断をします。
竜と成桂の作り合いだけで駒の損得はありません。
玉の堅さは後手のほうが堅いです。
先手の攻め駒は31竜と45銀もしくは45桂のどちらか(両方は数えない)と持ち駒香で3枚。
後手の攻め駒は18飛は入れて、38成桂と持ち駒香で3枚。
総合すれば後手が指しやすいです。
何手で詰めろになるか数えると
後手玉は53桂成~52成桂~61成桂同玉53銀成で詰めろ。現状は4手すきです。
先手玉は49成桂~48飛成58香ではだめなので49成桂~48成桂~58成桂で詰めろの4手すき。
先手番なので寄せ合いは先手有利です。
☆ 大局観として
私が筋の悪い攻め方をして分の悪い終盤でしたが、逆転したかと思える局面です。互いに遊び駒がなくて、攻めの銀の働きが良いか悪いかくらい。先手玉は薄いですが、4筋に金銀の壁を作っているので後手の攻めの速度が鈍っています。なので形勢は互角以上のはず。
寄せ合い勝ちだと気がついたら(何手で詰めろになるか数えてみるとわかりやすい)、自然な手で後手玉を攻略していきます。
受ける手もないことはないです。普通の受けでは駒損になりそうなのでテクニックが必要ですが。
☆ 簡単なまとめ
53銀成なたは不成から寄せ合うのが簡単です。

53桂成から同金同銀不成49成桂62香同角同銀不成同玉35角53歩

ここまで直線で読めるとして、簡単に勝ちだと思っていた私の直感は正しかったのですが、ここからの寄せに盲点がありました。読めますか?
○ 実戦は自然な53桂成。小さい駒を使い、桂が成桂になるのは駒得、一番自然に思えます。

53同金同銀不成49成桂62香

62同角同銀不成同玉35角53歩

この図は簡単に勝ちだろうと思っていました。(ここからの寄せが見えるでしょうか?)考えているうちにわからなくなって42角52香

これは42角ではなく、51角の王手から同金53角成同玉51竜が詰まないから、51に何か打ってくれないかと期待していたのですが、52香ではずれです。
予定では52金同玉34角

これで寄りだと直感していたのですが。43歩は32竜42香43角成62玉53角成

合駒は詰みますね。
合駒せずに62玉42竜71玉が53角成でも詰まないねえと、Sさんと感想戦をしていても気が付かなかったのですが、何のことはない61角成で

簡単でした。体調が良くないと特に4局目は疲労しているので読むことができません。直観は正しいけれど、この1手が見えず。家に帰ってから棋譜をつけていても気が付かないとは。
途中の変化としては、52金に71玉

(52同金は71角の詰み)53角成82玉61金

駒を取って詰めろなので簡単です。48飛成に合駒があれば先手玉は詰みません。
最初に戻って52桂成に49成桂は

52成桂同金55香

48飛成には58金打を用意しています。これも先手の寄せ合い勝ち。
○ 実は53銀成または53銀不成のほうがスマートです。

寄せのセオリーとしては小さい駒から使うのですが(相手に大きな駒を渡さない、残った攻め駒の性能が良い)、この場合は桂も銀も影響はありません。そして53同金に同桂不成

1手速く攻められるのです。だから53同金の変化が消えます。
49成桂52成銀(あるいは52銀不成か52銀成か)同金55香

これが寄せ合い勝ちだということだけ確認しておけばよいのです。先手の52香成が詰めろ、後手の48飛成は58金打で良いですし、48成桂は詰めろではありません。
△か× 53桂不成だと

後手玉に近い61金のほうをねらっているので、セオリーからはこちらが優先です。62金上には24角

49成桂51角成48飛成58香51金同竜61香同桂成同銀53銀不成35角

最後に攻防の35角を打たれては怪しいので、44銀をそのままに53金か53角か、すると千日手で粘られるかもしれません。ということでこの変化は全くの互角です。
また53桂不成に49成桂だと

61桂成同銀55香

とするのですが、この時に後手の62銀は72にあるほうが良いわけで、53桂不成は53桂成よりも劣ります。後手玉に近い61金は守りが堅かったので、外側の52金をねらう方が良かった、というのが本来考える順序なのでしょう。
× 55香は

重いですが確実な攻めをねらったというわけですが、すでに53には2枚の利きがあるので重すぎです。49成桂53香成48飛成

合駒が無くて68角には57銀が詰めろ。後手の寄せが速くなっています。
△ 35角ならば

角を攻めに使えるので攻撃力は上がります(まだ攻め駒には数えませんが)。49成桂53銀成48飛成58香

合駒を用意しておけば先手玉に詰み筋はないです。(48成桂だったとしても先手玉は詰めろではないので52成銀で勝ち筋。)よって62銀と埋めて粘るわけですが、52成銀同金53金

53桂成同金同角成には61金で厄介、ということで金を打ってみましたが61金と埋められて千日手か。
× 受ける方を見てみましょう。59金右と逃げたら

48成桂68金右58銀

後手の攻めが速くなります。
△か× 59金左のほうが受けきれるかもしれませんが

49成桂同金42角

41竜には31金で粘られます。少し駒損なので面白くはないです。
△ 38同金は

38同飛成同竜同金59銀でこれから。あるいは38同銀成53桂成48成銀52成桂同金29金

こういう寝技で粘るのも互角です。
△か○ 19歩も手筋で

これは対局中にも考えていました。28飛成に(29歩同竜か)46角29竜53銀不成

後手の竜は8段目よりも9段目にしたほうが粘りやすいです。49成桂~48成桂~58銀が詰めろなのですが王手で48飛成とされる変化が消えます。48竜には59金29竜39歩で手を稼ぐこともできます。ということで細かいのですが少し得なのかも。
こういうのは読み違えがあると1手損して負けてしまうことがあるので、寄せ合い勝ちならばシンプルな方が良いものですが。
△ 28歩だと

28同飛成46角は前の変化と同じようなものです。この手は銀取りでしかないので、42角41竜49成桂53桂成

53同角同銀成同金は銀桂で角を取っただけなので損をしています。ただ局面自体はほぼ互角です。
☆ まとめ
53桂成あるいは53銀成からの寄せ合い勝ちを読めれば正解です。あなたの感覚はあっているということです。
53桂成が普通ですが、そこからの寄せを読み切れるかどうか。私のように一目勝ち、で済ましていると、1手見えないばかりに負けになることがあります。
53銀成あるいは53銀不成

大きな駒から行く方がわかりやすいとは。たしかに53同金が歓迎なので変化が少ないですね。
当たり前で済ましていないで、直線の変化を読み切るか、広く手を探してより有効な手を探すか。若ければ直線を力ずくで読むほうが速いですし、ベテランならば広く良い手を探す方が勝ちやすいです。これが最近(ブログを書くことで)悟った重要な事実。