バスde温泉

バスで行く温泉旅日記

牟婁の湯@白浜温泉

2019-06-10 23:13:06 | 温泉(和歌山県)
JRきのくに線・白浜駅から明光バスで10分ほど、湯崎BSで降りて少し戻ったところにあるのが、道後・有馬と並び日本三古湯とされる白浜温泉で、岬の先端に威容を漂わせている、崎の湯と並んで白浜温泉を代表する外湯です。
 
湯崎の温泉街に建つ堂々たるコンクリート造りの建物で、その正面には唐破風をモダンにアレンジしたようなエントランスになっていて威厳が感じられます。
 
浴室に歩を進めると、大きな浴槽の中央に仕切りがあり、左右で色の異なるお湯が満たされています。ここではすぐそばに湧く砿湯(まぶゆ)源泉と、近くの崎の湯と同じ行幸源泉(みゆきげんせん)が引かれていて、泉質の異なる二つの源泉を同時に味わえる贅沢な浴場なのです。
 
同じ浴室のため匂いも混じってしまって2種の浴感の違いは微妙ではあるが、焦げ茶色の湯の花の舞う礦湯のほうが塩辛くて力強く、白い湯の花が舞う行幸源泉はややマイルド。もっともどちらのお湯も甲乙つけがたい最上級の泉質であることに間違いない。
 
「日本書紀」や「万葉集」にも登場し、斉明、天智、持統、文武天皇など、高貴な宮人たちを魅了した歴史と由緒のある源泉が420円で味わえる至福。いろいろな風呂で趣向を凝らすスーパー銭湯も、これには勝てないですね。
 
・場所:明光バス・湯崎BS
・泉質1:礦湯2号・含硫黄-ナトリウム-塩化物泉 74.0℃
・泉質2:行幸源泉・ナトリウム-塩化物泉 78.0℃
・訪問日:2012年1月16日

崎の湯@白浜温泉

2019-06-10 23:00:14 | 温泉(和歌山県)
JRきのくに線・白浜駅から明光バスで10分ほど、湯崎BSで降りて海岸線を少し歩いたところに、猛烈な湯気と強烈な匂いを発している源泉があります。湯崎の各温泉旅館に配る温泉を汲み上げている行幸源泉です。
 
湧出しているとところを覗いてみると、余って行き先を失ったお湯は容赦なく海に流れていて、排水溝のところには、えげつないほどカルシウムの結晶が堆積している。白浜の湧出量の豊富さを象徴していますね。
 
この源泉の奥にあるのが、白浜温泉を語る上で決して外せない共同湯「崎の湯」です。道後・有馬と並び称される日本三古湯のひとつで白浜温泉を象徴する岩造りの露天風呂です。
 
ここは自然の状態の露天湯で、真近に太平洋が迫る大自然の湯です。一昔前までは無料で入ることができたのだが、今は脱衣所やロッカーを作り、露天湯自体も手を加えているので3歳以上500円になっています。
 
入口から男女別になっていて、脱衣所の奥が太平洋と一体化した温泉です。手前は一般的な温度に調整された露天風呂で、さらに海べりに浅い浴槽があり、こちらは波が荒ければ閉鎖されます。
 
お湯は澄明だが硫化水素臭があり舐めるとかなり塩辛い。加水はあるもののもともとの成分が濃いため、僅かに湯の花が漂うとともに、堆積物がビッシリ付着しています。

しかも、お湯に溶け込んでいる成分の粒子が細かいのか、ザラザラしていなくてツルンと滑らかに岩に付着している。そしてもともと美しいお湯に、空の青さが反射してえもいわれぬ美しさ…まさしくアクアブルーですね。
 
周囲から隠すものが何もない開放的な男湯では、お湯に浸かりながら、目の前でザッパーンと波が洗っています。実に豪快!
 
隣の展望塔から丸見えだが、絶景の前ではそんなの気に気にならないですね。女湯はさすがに塀で囲われて見えないようになっているが、波が洗うのは男湯同様だそう。

オーシャンビューの露天湯は数々あるが、泉質がこれほど優れているのは希有。さすが日本を代表する古泉です。
 
・場所:明光バス・湯崎BS
・泉質:ナトリウム-塩化物泉 78度
・訪問日:2019年6月5日
※現在は内部の写真撮影は禁止されているため、本稿の写真は以前に撮影したものを使用しています。
 

湯浅の重要伝統的建造物群保存地区@和歌山県湯浅町

2019-06-10 09:37:30 | まち歩き
和歌山県の中部、紀伊水道に面する位置にある湯浅は、醤油醸造発祥の地といわれ、中世以来の醤油と金山寺味噌の醸造のほか、漁業も盛んであり、熊野参詣道の伝馬所でもあるなど、さまざまな産業が発達するとともに、近世以降は有田地方の中心として、紀中の政治経済を支えてきた街です。
 
紀伊水道に流れ込む山田川の河口近く、川の南岸辺りには、数多くの伝統的建造物が残り、「湯浅町湯浅伝統的建造物群保存地区」として国の重要伝統的建造物群保存地区として選定されています。
 
「バスde温泉」(kurodaが実践する温泉ひとり旅のこと)により白浜を訪れた帰りのこと。きのくに線の鈍行で和歌山方面へ向かっていたが、ふと思い立ち、この湯浅駅で途中下車して湯浅の街を散策してみることにしました。
 
保存地区は駅から北西方向に15分ぐらい歩いたところにあります。この東西約400m、南北約280mの保存地区には、醤油・味噌醸造業関係の町家や蔵などの古建築物が、その多くが未だ現役で多数軒を連ねています。
 
湯浅醤油「角長」もそのひとつで、江戸時代末期、慶応2年(1866年)築造の醤油仕込蔵をはじめ、昔の姿そのままの建物内で、昔ながらの手作りの製法で醤油醸造を行っています。
 
この建物に沿って、醤油を船積みした掘割「大仙堀」も残っているが、手入れが行き届いていないのか、ほぼ干上がっています。浚渫が必要でしょう。
 
さらに興味深いのが甚風呂です。ここは江戸時代の嘉永年間(1848~53)以前に須井甚蔵氏が開業した公衆浴場で、経営者の名前から「甚風呂(じんぶろ)」と呼ばれ、昭和60年に営業を終えるまでの間、長年にわたり地域住民の憩いの場として親しまれてきました。
 
廃業から10年以上過ぎた後、平成13年に町の財産となり、銭湯跡歴史資料館「甚風呂」として内部を公開するだけでなく、明治・大正・昭和期に使われていた古民具を中心に展示。昭和の時代にタイムスリップしたようなノスタルジックな空間となっています。
 
この湯浅の街では、まだまだ商業的に観光地化されていないので、街全体が前時代の雰囲気を色濃く残していることが知られるようになり、いまや国内外の観光客を集めるようになっています。
 
ただ、昔からそのままの古い街路に地元の車が無遠慮に走り抜けて行くのが気になります。多少の不便もあるだろうが、より多くの観光客を集めようと目論むなら、通行規制も考えた方がいいと思います。