バスde温泉

バスで行く温泉旅日記

滝の湯@湯泉地温泉(十津川温泉郷)

2019-06-22 15:51:40 | 温泉(奈良県)
奈良交通・十津川村役場BSから旅館街とは反対方向、村役場横の十津川を渡る橋を歩いた先にある共同湯です。

ここは廃業になった民宿を共同湯に業態を買えた温泉で、さらなる大改装を得て、十津川村いち押しの温泉になっています。

土地の貴重な十津川にもかかわらず、ここは割りと広い敷地で、本館には簡易な食堂と休憩所が設えられています。
食堂のお料理の詳細は食べログで。

入り口で入浴料を支払って靴を預けると、本館の奥に増設された新館へ、以前の内湯は別棟になっていて、いちいちサンダルに履き替えての移動が強いられたのだが、今はこの真新しい内湯になっていて、硫黄臭漂う力強いお湯が満たされています。

同じ十津川村でも、この湯泉地温泉は十津川温泉とは全く異なる泉質。やや湯の花が漂う澄明な美しいお湯です。

露天へはここから公園のように美しく整備された庭の中を歩いていきます。以前はいったん服を着ることになって面倒だったが、改装後は裸でOK!ただし、かなり無防備な姿なので、コケたら擦り傷だらけになること必定…

石段を下り降りたところがここの白眉、滝の見える露天湯です。この露天湯でも力強いお湯が惜しげなく掛け流されています。多少熱くても森からの風と滝のミストによる冷気でのぼせることはありません。

本物の滝のある露天湯はそう見かけるものではありません。滝の音とミストを浴びながら自然のままの温泉に浸かる至福、さすが自然豊かな十津川、癒されます。

・泉質:単純硫黄泉 55.6度
・場所:奈良交通・十津川村役場BS
・訪問日:2019年1月20日

奈良県十津川村

2019-06-22 14:46:41 | 景勝地
奈良県吉野郡十津川村。ここは全国で最も広い面積を持つ村としても知られています。紀伊半島の最深部にあり、国道が開通するまでは周囲とは隔絶した地域だったため、独特の文化・気風を持っています。

壬申の乱の頃から幕末までは免租の特権を得ており、南北朝時代や幕末の争乱期に狂言廻しのように現 れる十津川郷士を輩出するなど、日本の歴史形成にも大きく関わっている村です。

全長166.9㎞、停留所の数は167、高速道路を使わない路線では、日本一の走行距離を誇る「八木新宮特急バス」。世界遺産「紀伊山地の霊場と参詣道」を駆け抜けることもあり、最近ではマスメディアにも取り上げられ、かなり有名になってきました。

この路線の多くは山岳地域で、その中核こそ全国で最も広い面積を持つ村としても知られている十津川村の村域です。この路線は十津川村の欠くことのできない重要な生活の足でもあるのです。


十津川村には十津川温泉、湯泉地温泉、上湯温泉からなる温泉があり、それらをまとめて「十津川温泉郷」と呼ばれており、これらが日本百名湯にも選ばれています。
十津川温泉郷が広く知られるようになったのが2004年、全国に先駆けて「100%源泉掛け流し宣言」を発表したこと。折も折、温泉偽装が世間を賑わせていたときに「掛け流し」の価値を高めたことが全国に波紋を広げました。

・十津川温泉

十津川温泉は十津川温泉郷の中核で、十津川村のやや南部、二津野ダム湖畔の平谷集落に10軒足らずの旅館・民宿と村営の入浴施設などが点在する実に静かな温泉街です。
源泉の発見こそ元禄年間という古湯ではあるが、あまりにも秘境にあることから知られることもなかったが、1974年、二津野ダムの完成によって集落が 移転した際に、現在の平谷地区まで源泉を引湯することに成功。これによって温泉街が形成されました。

・湯泉地温泉

湯泉地温泉は十津川村のほぼ中央に位置し、十津川村役場の十津川沿いに、数軒の旅館・民宿と2箇所の村営の入浴施設などが点在する、1581年佐久間信盛が訪れたといわれている古い歴史を持つごく小さい温泉です。最近、高級な離れ宿がオープンするなど、注目の温泉です。

・上湯温泉

上湯温泉は十津川の支流、上湯川上流に湧く温泉で、享保年間に里人が見つけたといわれる独特の泉質をもつ秘湯。川の畔にある大自然の中のしっとり落ち着いた一軒宿が人気の温泉です。

この村を語る上で避けて通られないのが1889年(明治22年)の「十津川大水害」です。同年8月に紀伊半島を襲った台風により、十津川村を縦断して流れる熊野川(十津川)流域で大規模な山腹崩壊が1080か所で発生。十津川を土砂がせき止めた後に決壊し、それにともなう洪水により、この村に壊滅的な被害をもたらしました。

地形が大きく変わるほどの災害により、生活の基盤である耕地や山林を損失した被災者2691人が北海道に移住。新十津川村がつくられることになりました。北海道の新十津川町では現在、十津川村を「母村」と呼んで同じ町(村)章を用いるなど、多くの交流があります。

記憶に新しい2011年(平成23年)の台風12号による「紀伊半島豪雨」。この時も「十津川大水害」と同様の土砂災害や氾濫が発生し、十津川村だけでも死者・行方不明者12名という犠牲に加え、折立大橋の落橋、長殿発電所の流出など、大きな被害がありました。

今もなおその爪痕が残る十津川村では、基幹となる国道168号線の改良工事を行うほか、観光振興に力を入れるなど、復旧・復興に努めています。

米屋別荘@杖立温泉

2019-06-22 10:50:48 | 温泉(熊本県)
筑後川の支流、杖立川が侵食した渓谷の僅かな土地に、幾筋もの湯煙が立ちのぼり、大型旅館や小旅館、湯治宿などさまざまな旅館が細長く立ち並んでいる、昭和の香りを残す温泉街です。

背戸屋と呼ばれる町並みのある杖立温泉のレトロな街の対岸、温泉街の南端に位置する米屋別荘は、現在は7代目の当主が引き継いでいる、創業が天保14年(1843年)という老舗です。

バイパスの完成によって、今は車の通りも少なくなった日田街道から、坂道を少し下りた奥まったところに玄関があります。敷地内に入るとチャボがお出迎え。なんだかほのぼのとした雰囲気は、老舗にありがちな敷居の高さを感じさせません。

玄関といっても旅館特有の仰々しいものではなく、縄暖簾のない居酒屋といった風体。旅籠の雰囲気を継承しているのでしょうか。中に入ると民芸調。土間に囲炉裏が据えられていて。フロントカウンターはなく帳場といった風情。

囲炉裏の裏手に狭いが落ち着いた雰囲気の談話室兼ライブラリーがあって、ここで宿帳に記帳。シフォンケーキとお茶を出してくださいました。

帳場のある母屋には個室の食事処とライブラリーとともに、ツインの和洋室が3部屋と和室が3部屋、それぞれバストイレ付が配されています。館内は木の質感を活かした造りで、純和風とういうのではなく、時折モダンな部分が顔を出す洒脱な空間になっています。

母屋の奥は右側が大浴場、左側が貸切の温泉棟があり、その間に源泉と温泉蒸し場があります。さらにその奥には離れ3棟。今回、離れで予約しています。案内されたのは、いちばん奥の離れ「朝明け」です。

コンドミニアム形式で、1階は和室と洗面所を兼ねたサンルーム、2階も和室で予め布団が敷かれています。贅沢なことに2階にもトイレがあります。

まずは眺めの良さに心躍ります。杖立川の流れが一望で流れの音も心地よい。この素晴らしいロケーションは何物にもかえがたい。

採光のいい大きな窓からはやわらかい光が差し込み、木肌の温もりと木の香りに包まれたスタイリッシュな空間が拡がる。余計な飾りは排除、インテリアなどもすっきりとさり気ない。シンプルに映るがモダンで洒落た造り。

お部屋のテレビは小さいが、こういう贅沢な空間ではむしろ無くてもいいぐらい。オーディオがあるので談話室からCDを借りてきて部屋で音楽三昧というのもいい。離れなので音漏れに気を使う必要もありません。

このお宿での食事は専用の個室でいただくことになります。夕食の時間になると、わざわざ若女将がお迎えに来てくださいました。料理の腕を振るうのは、京都で修行されたという七代目の若主人です。
料理の詳細は食べログで

ここは客室6室、離れ3室に対し、大浴場、貸切湯合わせて11ヶ所という、かなり温泉にこだわったお宿。メインの浴室は別棟となっており、「ゆ」と書かれた重厚な障子戸を開けて入る。入ってすぐのところが、男性専用浴室「殿の湯」です。脱衣所は浴室と一体式でだがやや狭い。宿泊客は外来入浴者用の玄関とは別の通路から脱衣所に直接入ることができます。

半露店状の屋内は岩風呂になっているとともに、1人用の石風呂が2つ並んだ「みようと風呂」も設えられています。この宿のお風呂はすべて掛け流し。浴槽に満たされている湯は澄明で、41~42℃くらいに調整されています。

泉質はナトリウム・塩化物泉。仄かな硫黄の香りとともに僅かに塩気が感じられる。なめらかなでマイルドな浴感なのは加水によるものでしょうか。湧出時の温度が98.3℃というからには、加水で調整するしかない。特徴的なのは、多くの浴槽にジャグジーの如く空気の吹き出しが備えてある。これも温度調整の一環かもしれません。

隣の「長寿霊泉」は野趣にあふれる混浴露天です。6畳ぐらいの石組み浴槽に、すぐ横にある米屋二号源泉から噴出してきたお湯が満たされています。周りには庭園のように多種の中・低木が植栽され、どこか幽玄さも感じさせる。3筋の打たせ湯からは勢いよくお湯が落ちていて、その飛沫がミストになって空間全体に靄がかかったようになっています。

長寿霊泉の横には小さな建物があり、これが古代伝承の「むし湯」です。98.5度の温泉の蒸気を使った、いわば湿式サウナ。三畳ほどの広さで4尺程度の浴室内に濛々と蒸気が籠っている。薪を枕に大の字で横たわると、10分もしないうちに汗が噴き出してきました。乾式のサウナは鼻が痛くなって苦手だが、湿式は喉や鼻にも優しい。

この宿の自慢は5つの貸切家族風呂と女性用露天風呂からなる「不老長屋」。一の湯から五の湯まである5つの貸切風呂は、各室は小さいながら屋根付きと露天の浴槽があって、そのうち140cmもの深さの「立ち湯」や岩を背にして寝ながら浸る「寝湯」など多彩。当初は全室制覇を目論んだが、あほらしくなって二つで止めました。

あほらしくなった理由は、離れのお部屋についている露天風呂が秀逸だったからです。杖立川の流れを眺めながら湯浴みのできるこの露天風呂には深さが二段になった長方形の浴槽と、大人二人がゆったり浸かることができる岩風呂露天。
当然ながら掛け流しで、源泉をそのまま流入させているとすぐに熱くなってくる。流量を調節してできるだけ濃厚なお湯に仕立てると、地球の息吹を感じるお湯になります。

静寂な環境の中での入浴は快適そのもの。さすが杖立て、湯量も泉質も申し分なし。肌にまとわりつくような無色の柔らかなお湯が惜しげもなく湯船から溢れだし、新鮮なお湯であることを改めて実感します。

この旅館の源泉は元湯なので他の温泉施設にも供給しているそう。温泉力を感じさせる魅力に溢れるお湯です。まだ若い7代目のご夫妻のさりげない気遣いがうれしい。この老舗宿には受け継がれてきたもてなしの心と古き良き情緒に溢れているようです。

場所:日田バス、産交バス・杖立BS
泉質:塩化物泉 約100℃
訪問日:2014年9月19日

やど湯の里@湯泉地温泉(十津川温泉郷)

2019-06-22 10:02:59 | 温泉(奈良県)
奈良交通・十津川村役場BSから旧道を十津川に沿って上流に向かうと、川沿いの崖っぷちに身を寄せ合うように民家や郵便局、そして小規模な旅館が数軒建ち並ぶ武蔵の集落が現れます。この辺りが十津川温泉郷のひとつ、湯泉地温泉です。

温泉街のさらに上流に、1軒だけひっそりと佇んでいる吉野建ての建物が「やど湯の里」です。吉野建てとは、平地が少ない吉野山に適した建築様式で、道路から見ると2階建に見えても、実は3階建ての2階部分という、山の斜面に合わせた建築様式です。

案内された部屋は「太郎」の間。この旅館唯一の二間続きの角部屋です。眼前には十津川の清流がサラサラ流れています。

この旅館の夕食はお部屋でいただきます。清流の十津川ではやはり鮎が旨い。それとともに、飾り包丁が見事です。
料理の詳細は食べログで。


ここのお風呂は玄関から1階下のところ、ここが本当の1階の上流寄りのところにあります。内湯はいささか古びた感じではあるが、滔滔と満ちているお湯は、紛う事なく今まさに地中から湧き出てきた源泉です。澄明で無味だが硫化水素臭はかなりある。湯温が熱いので少しばかり加水しているが、ガツンと来る濃厚なお湯です。

露天は噂に違わぬ絶景です。こちらは少し温めなので長く入っていられます。こちらも濃厚だが、湯の花が目立ちますね。今物の温泉たる証左です。この日は時折大雨が降るような天候ではあるが、雨に打たれ、霧に包まれながら極上の湯に浸かる…これこそが自然と一体になったような感覚を味わえる貴重な体験です。

驚いたのは湯上りにひと皮めくれたように肌がスベスベになったこと。今まで数多くの温泉に入ってきたが、ここのピーリング効果は一頭秀でてます。十津川の清流の音に包まれて湯に浸かる至極。本当に癒されます。

・場所:奈良交通・十津川村役場BS
・泉質:単純硫黄泉 55.6度
・訪問日:2008年12月10日

田花館@十津川温泉(十津川温泉郷)

2019-06-22 09:33:09 | 温泉(奈良県)
奈良交通・十津川温泉BSよりダム湖畔を少し歩いたところにある、創業が明治42年と、十津川温泉では最も老舗となる湖畔の温泉旅館です。

木造3階建ての建物の玄関横には温泉の流れる蹲があり、温泉気分を高めます。中に入るとすぐに階段となり、2階に上がったところに帳場がある、ちょっと変わった構造になっています。

客室は2階と3階に置かれていて、窓からは湖畔の建物越しにエメラルドブルーに輝く二津野ダムのダム湖が眺められます。

浴場は2階にあり、内湯には十津川温泉独特のやや白濁した柔らかいお湯が掛け流されています。鼻腔をくすぐるアロマがアルファー波を発生させ、柔らかな浴感は心を鎮める。泉質は極上です。

この旅館にも貸切の露天風呂もあります。周囲は壁に囲まれていて景色は全く楽しめないが、 天井がないので確かに露天には違いない。こんな申し訳程度の露天ではあるが、こちらに注がれているお湯のほうがなんだか濃厚なような気がします。

温泉もさることながら、ご主人自ら釣ってきた鮎料理も極上。冬場は牡丹鍋もいいですね。これぞ日本のジビエです。
料理の詳細は食べログで。


十津川温泉は湯量が豊富な高温泉なので、すべての旅館が完全放流の掛け流しを達成しています。ただ、熱い源泉を冷ますのにはどこの旅館も苦労しているようで、この旅館では、温泉を送るパイプに湧き水のシャワーを浴びせて温度を下げ、濃厚な湯を楽しめる様になっています。

・場所:奈良交通・十津川温泉BS
・泉質:ナトリウム‐炭酸水素塩・塩化物泉 70℃
・訪問日:2015年3月20日

湖泉閣吉乃屋@十津川温泉(十津川温泉郷)

2019-06-22 09:15:33 | 温泉(奈良県)
奈良交通・十津川温泉BSよりダム湖畔を少し歩いたところにある、創業が大正15年という老舗で、十津川温泉では高級の部類になる湖畔の温泉旅館です。

15室の客室を持つこの旅館は鉄筋5階建ての建物で、その姿は十津川温泉の遠景写真に必ずと言っていいほど写りこんでいます。温泉博士の松田忠徳氏も幾度となく宿泊されている評価の高いお宿です。


部屋は和室のみで10畳、または12畳もあって広々。窓を開けるとエメラルドグリーンに輝く二津野ダムのダム湖面が広がります。

この旅館の料理はさすが高級旅館だけあって質の高い山の幸、川の幸で溢れています。
詳細は食べログで。

この旅館の大浴場は1階にあります。入り口の格子戸を開けると脱衣所越しにダム湖と対岸の山並みが目に入ってきます。広々とした内風呂には十津川温泉らしい芳しいアロマのお湯が掛け流されています。

十津川温泉は湯量が豊富なので、すべての旅館が同じ源泉からの掛け流しです。タンクで貯めて旅館に配湯しているのと違い、熱々の源泉をそのままの状態で各旅館に配湯しているので、お湯の鮮度が一味違います。

しかし問題は源泉の温度が高いこと。加水しなけりゃ浸かれないし、加水すると温泉が薄まる。どこの旅館でも熱い源泉を冷ますのに苦労しているようです。この旅館でも源泉を適温にするのに工夫があって、温泉のパイプをダム湖に沈めて冷まし、加水することなく極上のお湯を提供しています。

湖畔に接した露天風呂は眺望も極上で、波穏やかなダム湖の景色と、時おり現れるヤマガラの鳴声に心癒されながら湯あみを楽しむことができます。

一角に備えられた銘木をくりぬいた野趣あふれるお風呂も人気で、十津川の極上のお湯を独り占めにすることができる…

ある日、突如霧が湧いてきて、一瞬にして幻想的な情景が広がりました。山の天気は変わりやすいというが、温泉に浸かりながら天候の移り変わりが実感できる…自然と一体化したような気分にさせてくれました。

・場所:奈良交通・十津川温泉BS
・泉質:ナトリウム‐炭酸水素塩・塩化物泉 70℃
・訪問日:2006年8月1日