花にまつわる幾つもの話

子供時代の花にまつわる思い出や、他さまざまな興味のあることについて書いていきたいと思ってます。

第二十五章 染井吉野

2010年05月25日 | 花エッセイ
 染井吉野が満開になる頃、私はよく仕事の帰りに花見がてら一駅歩く。

堀沿いに咲く薄紅色の桜並木は、それは見事な景観で大勢の花見客が私同様桜に誘われ、

そぞろ歩いたり、宴会を繰り広げている。

中には外国の方もいて、見惚れるように足をとめている様には少しだけ誇らしくなってしまう。

 日本列島がピンク色に染まる季節。

普段は全く意識したこともないくせに、何故かこんな時ばかり、

日本人に生まれてきて良かったとしみじみと思ってしまうのだ。

 桜は日本の国花。きっとそれぞれの国でお国自慢の花があるのだろうが、

私はやはり桜のなんとも心浮き立つような雰囲気が好きだ。

 桜の園を歩いていると不思議と嫌なことが忘れられる。

きっと桜の精気が人を癒してくれるからなのかもしれない。

 桜の花が持つ高揚感は、開花するまで人々を散々やきもきさせつつも、

散り際は鮮やかなせいかもしれない。

永遠ではないからこその愛おしさ。
コメント
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