新浦 縞太郎が「短編」を書いてみたと言う。
本人曰く、これはあくまで「短編小説」のつもりだとか。
ユウコちゃん (その1)
まともな社会人ならば、誰もがそれなりの考えで生きている。
しかし、現状の考え方で、判断、行動していっても、つまる
ところは、このままの人生が続いていくだけだ。
ほんの少しだけでもいい、生き方を変えてみたいと思う。
夢のある生活・・・。
*月*日(土) 曇り、風すこぶる強し。
私は部屋で、ただ一人ウィスキーを飲んでいる。
今ではもう決して戻ってくるはずのない過去の長い時間と日々。
さらには、ひょっとしたら、もっと良い別の生き方があったの
かも知れないという後悔の時間、そして日々。
しばらくは職安に通っていた。
職員曰く、
「う~ん・・・、70歳ですか? 再就職と仰ってもねぇ・・・。
この所、景気が落ち込んできて、新卒の若い人でもなかなか思う
ような就職先が見つからないのですよ。」
総てを見失って、私は東京のアパートで一人暮らしを続けている。
わずかばかりの年金が唯一の収入。
在職中にわずかずつ貯めていた預金も、そろそろ底をつく。
滅多に鳴ったことのない電話が鳴った。
夜間高校時代の友人からの、本当に久し振りの電話だった。
同郷の彼と話しているうちに、私は故郷のことを思い出した。
すでに遠い夢のような過去だ。
しかし、それは確かな現実でもある。
彼と話しているうちに、ふと故郷に戻ってみたいと思った。
何故か、ふいに昔を思い出した。
それは小学校の入学式。
偶然、隣り合ったかわいい女の子。
確か・・・、そう、その子は「ユウコちゃん」といった。
思い出したら、気になってくる。
この歳になって、今さら好きも嫌いもないが、心の奥底に強く印象
に残っている女の子だ。
小学1年の終わりに、私の家族は隣町に転居した。
新しい町で、私は小学校、中学校を卒業、そして高校に入学した。
高校2年の夏、家族が父の故郷、三重に引っ越すが、お前はどう
する?と問われた。
学業が中途半端だった。
考えた末、私は独立して、一人、東京で暮らしていくことを選んだ。
一旦退学、就職して、翌年夜学に通う道を選んだ。
その後、職場は二度変わったが、夜間高校だけは一応卒業した。
(続く)
本人曰く、これはあくまで「短編小説」のつもりだとか。
ユウコちゃん (その1)
まともな社会人ならば、誰もがそれなりの考えで生きている。
しかし、現状の考え方で、判断、行動していっても、つまる
ところは、このままの人生が続いていくだけだ。
ほんの少しだけでもいい、生き方を変えてみたいと思う。
夢のある生活・・・。
*月*日(土) 曇り、風すこぶる強し。
私は部屋で、ただ一人ウィスキーを飲んでいる。
今ではもう決して戻ってくるはずのない過去の長い時間と日々。
さらには、ひょっとしたら、もっと良い別の生き方があったの
かも知れないという後悔の時間、そして日々。
しばらくは職安に通っていた。
職員曰く、
「う~ん・・・、70歳ですか? 再就職と仰ってもねぇ・・・。
この所、景気が落ち込んできて、新卒の若い人でもなかなか思う
ような就職先が見つからないのですよ。」
総てを見失って、私は東京のアパートで一人暮らしを続けている。
わずかばかりの年金が唯一の収入。
在職中にわずかずつ貯めていた預金も、そろそろ底をつく。
滅多に鳴ったことのない電話が鳴った。
夜間高校時代の友人からの、本当に久し振りの電話だった。
同郷の彼と話しているうちに、私は故郷のことを思い出した。
すでに遠い夢のような過去だ。
しかし、それは確かな現実でもある。
彼と話しているうちに、ふと故郷に戻ってみたいと思った。
何故か、ふいに昔を思い出した。
それは小学校の入学式。
偶然、隣り合ったかわいい女の子。
確か・・・、そう、その子は「ユウコちゃん」といった。
思い出したら、気になってくる。
この歳になって、今さら好きも嫌いもないが、心の奥底に強く印象
に残っている女の子だ。
小学1年の終わりに、私の家族は隣町に転居した。
新しい町で、私は小学校、中学校を卒業、そして高校に入学した。
高校2年の夏、家族が父の故郷、三重に引っ越すが、お前はどう
する?と問われた。
学業が中途半端だった。
考えた末、私は独立して、一人、東京で暮らしていくことを選んだ。
一旦退学、就職して、翌年夜学に通う道を選んだ。
その後、職場は二度変わったが、夜間高校だけは一応卒業した。
(続く)