ユウコちゃん (その 5 )
ユウコちゃん、未だに私は君を見上げている。
もしかすると君は、あの日の母のように、どこかで私を見おろして
いてくれているのかも知れない。
いや、これは、君が私を軽蔑して、上から目線でいるという意味では
決してない。
優しくと言うか、女性は常に男性を見おろしているものらしい。
人からそんな事を聞いたことがある。
確かに、女性とはそういうものなのかも知れない。
いつの頃か、私もそんな風に思うようになった。
古墳の町で電車を乗り換えた時、すでに時間はかなり午後に食い込ん
でいた。
電車は、ゆっくり一駅、二駅と止まり、三番目の駅が目的の町だった。
この時点で、まだ彼女がどこにいるのかも、私は全く把握していない。
駅のホームに立って、ふと思う。
私は今回、ユウコちゃんに会うことが出来るだろうか?
たまたまにしろ、彼女に会えたら、その時、私は一体どうするのか?
その後どうするのか? (
)
思えば、肝心なことを何一つ考えてこなかったのに気がついた。
今さらだが、何だか不安になってきた。
このまま黙って、東京に引き返すのが正解なのかも知れない。
私の生き方ときたら、今までずうっとこんな調子だった。
現在、すでに70歳、何と進歩のない人生なのだろうか。
いずれにしても、もう時間が無い。
ともかく開いているお店に入って、ユウコちゃんの消息を尋ねてみる。
ひょっとしたら・・・、
もしかして、もしかしたら・・・。
ユッコ、君に会いたい!!
でも今すぐ、このまま君と会うのは、ちょっと怖くもあり・・・。
期待と怖れ・・・、複雑な気持ちで、私は店のドアに手をかけた。
(お終い)
ユウコちゃん、未だに私は君を見上げている。

もしかすると君は、あの日の母のように、どこかで私を見おろして
いてくれているのかも知れない。
いや、これは、君が私を軽蔑して、上から目線でいるという意味では
決してない。
優しくと言うか、女性は常に男性を見おろしているものらしい。

人からそんな事を聞いたことがある。
確かに、女性とはそういうものなのかも知れない。
いつの頃か、私もそんな風に思うようになった。
古墳の町で電車を乗り換えた時、すでに時間はかなり午後に食い込ん
でいた。

電車は、ゆっくり一駅、二駅と止まり、三番目の駅が目的の町だった。
この時点で、まだ彼女がどこにいるのかも、私は全く把握していない。

駅のホームに立って、ふと思う。
私は今回、ユウコちゃんに会うことが出来るだろうか?
たまたまにしろ、彼女に会えたら、その時、私は一体どうするのか?
その後どうするのか? (

思えば、肝心なことを何一つ考えてこなかったのに気がついた。
今さらだが、何だか不安になってきた。
このまま黙って、東京に引き返すのが正解なのかも知れない。
私の生き方ときたら、今までずうっとこんな調子だった。

現在、すでに70歳、何と進歩のない人生なのだろうか。
いずれにしても、もう時間が無い。

ともかく開いているお店に入って、ユウコちゃんの消息を尋ねてみる。
ひょっとしたら・・・、
もしかして、もしかしたら・・・。

ユッコ、君に会いたい!!

でも今すぐ、このまま君と会うのは、ちょっと怖くもあり・・・。

期待と怖れ・・・、複雑な気持ちで、私は店のドアに手をかけた。

(お終い)