80歳に向けて・「新風来記」・・・今これから

風来居士、そのうち80歳、再出発です。

「短編小説」のつもり ― ユウコちゃん (その4)

2018年04月12日 09時16分15秒 | 創作
ユウコちゃん (その4)

目的を持った行動、目的のある毎日。
愛する人のいる家庭。

自分の行為、目的が、常に愛する人に結びつく、そんな生活。
心地よい疲労感。 ・・・

旅・・・人生という旅を、たった一人で歩いていくのは、あまりにも
寂しいことだ。


現在、70歳、今後10年を生きる目的、目標を考えてみる。

いつの間にか遠離る過去・・・。
見失われる目的と目標・・・、そして未来すらも。

自分が良ければ、それはそれで良いのではないだろうか?
そうも思う。
他人のことなどいろいろと考えたところで、所詮、他人は他人でしか
ないのだ。

お互いの間に強い信頼感がなければ、結局、他人は他人でしかあり得
ない。

新年度、あるいは自分の誕生日、時に触れ、総てをやり直すつもりで、
歩き出してみる。

しかし、結局、私は私以外の何者にもなり得ない。


思えば、いつもいつも、何か、やろうやろうと考えてはみるものの、
結局何も見つからず、何も出来ないまま、いつの間にかグータラ生活が
体に染み込んでしまった。


そう、まさに後悔は先に立たず・・・だ。

午前中、寄り道をして、私は、あの古墳の町に立っていた。

目の前の、小高い丘は、大昔、誰やらを葬った墓であるらしい。
ここで石器らしきものを見つけたこともあった。
私には、大変思い出深い丘だ。

以前、丘のふもとの公営住宅で、私たち一家は暮らしていた。
いたずらをした時に父に、木の枝で昼間も少し薄暗い山道を、
「反省しながら、一人で頂上まで登ってこい!!」とやられる。

まだ幼かった私には、細く薄暗い山道登りは、思う以上にきつかった。
・・・

私はいつも泣きながら、あるいは半べそで、えっちらと岡の頂上まで
登って帰ってくる。

今から思えば、これはいたずらの罰であると同時に、私の足腰の鍛錬
でもあったような気がする。


さらに、後で気がついたことだが、そんな時、いつもそっと母が
後ろから付いて来てくれていたようだ。

(続く)