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レンタルDVD三昧なアナログオヤジの、残日録。

博奕打ちいのち札

2017-11-12 02:15:06 | 邦画
名画座では上映が時々あるのですが
東映さんはこの映画のソフト化をいまだかってしたことがない
なぜなんだろう
で、CSの東映チャンネルで本日11日にOAされたので即効同時録画でのリアルタイム視聴
何度見てもいいですよねぇこの映画、実に良くできている
所謂ヤクザ映画でメロドラマを作ってしまった
というある意味ヤクザ映画の異色作

ってか安田(現 大楠)道代さんで成立してる映画ですよねぇ
当時の東映さんでこの役をできる方はいらっしゃらない
女をこれだけ前面にだせるのは当時まだ結婚されていなかった藤純子さんなんだけど
違うんですよねやっぱ
俊藤プロデューサーが安田道代さんを選択したのか・・・
山下監督なのか?ナイスなキャスティングですよねぇ

ヤクザ映画というより男と女のメロドラマですからねぇ鶴田さんも水を得た魚だったし
当時安田さんと付き合っていた若山さんもご自分の役柄を十分心得た演技してた。

東映が営々と作り続けてきたやくざ映画をある意味根底から覆した脚本は笠原和夫
そして監督は山下耕作将軍
山下・笠原・鶴田のトリオは同じ「博奕打ち」シリーズで
あの大傑作と三島由紀夫にいわしめた「博奕打ち 総長賭博」を作ってる

やくざ映画のドラマである葛藤のベクトルは男VS男だったものを
この映画はメロドラマですから、やくざ映画では禁断の男VS女の物語に昇華させてる
やくざの世界に仮託した恋愛映画ですよね
それも悲恋と言うか悲劇ですよねぇ、男と女のお話ですから
「博奕打ち 総長賭博」よりもその悲劇性が鮮明化されちゃう

男と女が愛を貫くというか成就させるには
あの世しかない 
という近松門左衛門のお得意なドラマツルギー
近松浄瑠璃というか、日本人の心のふるさとを見事に描き出してる
笠原脚本の勝利ですよね

でも笠原さんの『昭和の劇』によると
あのラストの血の海は笠原さんは知らなかったらしい
台詞は笠原さんのものですけど
映像は山下監督独自の演出だったらしい
実はそんなに語られていないのですが、血の海地獄の世界観は山下監督は高倉健さんの1「日本任侠道 激突篇」でもう一回使ってらっしゃる
つまり血の池地獄を抜ける先に任侠のしがらみのヤクザ渡世から逃れられるンですよねぇ
でもその途中で鶴田も高倉健も抜け出せなかった・・・ってことで

最近では園子温が自作で二階堂文に血の池をひょいひょいと外からやくざの世界に踏み入れさせる
って言う山下監督へのオマージュでその反対を演出していたような

オープニングでの内田朝雄さんのやくざ法度のナレーションの
「間男するな」っていうのがこの映画のシノップスすべてだったのですねぇ
ってか今回初めて気づいたのですが
らすとの血の池地獄の絵柄と対になる黒池の絵面をさり気なくインサートしてるンですね
今作品では花でなく赤い角巻きだったようで・・・

もう1回書きますというか、何度でもいいますが
東映さんなんでこの映画のソフト化しないんでしょうかねぇ

1971年製作、日本映画、東映作品
笠原和夫脚本、山下耕作監督作品
出演:鶴田浩二、若山富三郎、安田道代、水島道太郎、渡瀬恒彦、遠藤辰雄、時美沙、正司照江、河村有紀、天本英世、内田朝雄、天津敏、八名信夫、川谷拓三
コメント
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