ショパンの「舟歌」。
39歳で亡くなったショパンが、最晩年に作曲した最高傑作だそうです。
そんな名曲が、あまり一般的に知られていないのはなぜなのかしら。
清塚信也さんも、この曲のことを、
「クラシック曲の中には掘り出し物があります。この曲もそんな掘り出し物と言えます。」
と紹介していました。
「舟歌」は、清塚さんにとって、ショパンの作品の中で最も好きな曲であると同時に、
思い出深い大切な曲なのだそうです。
出会いは中学生の頃、「ひと目惚れしてしまった。」と語っていました。
コンクールでぜひ弾きたいと思い、当時の先生に申し出たのだそうです。
その最初のレッスンで、意気揚々と練習してきた「舟歌」を弾き始めたその時、
「違う!」と、なんと最初の一音で止められたそうです。
最初の一音は、「ドの♯のオクターブ」。
もう一度弾き直すと、また、「違う!」。
その後も、「違う!」「違う!」「違う!」「違う!」「違う!」「違う!」・・・
最初の一音で、3時間が経過したそうです。
もういい加減にしてくれ!と思った頃、ようやく先生が教えてくださったこと。
この最初の一音は、「フォルテ」とあるけれど、
健康で元気な中学生男子が出すフォルテなどでは決してない。
8歳の頃から結核を患い、体が極端に弱かったショパンが、
最晩年である36~37歳にかけて最後の力を振り絞って書き上げた傑作。
最後となったお披露目のリサイタルでは、この曲ともう1曲のたった2曲しか弾けなかった。
まさに命を削って弾いた曲。
そのような「舟歌」のフォルテが、そんなフォルテであるはずがない。
中学生であった清塚さんには、理解できたようでいて、やっぱり理解しきれていなかった、と。
「今は、ようやく理解できたと思っています。」
と語って、大切に大切に弾き始めた一音目。
心に沁みました。
泣きました。
コンサート前の腹ごしらえ。
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「オー バカナル」のバゲットサンドとデニッシュ。
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