獅子風蓮のつぶやきブログ

日記風に、日々感じたこと、思ったことを不定期につぶやいていきます。

“参政党現象”の正体 その1

2023-02-07 01:10:33 | 反ワクチン・陰謀論

「週刊文春WOMAN」という雑誌があります。

その vol.15 2022秋号で参政党についての興味深いレポートが載っていましたので、紹介します。

(記事は、kindle で購入して読みました)


週刊文春WOMAN vol.15 2022秋号

「ゆるふわオーガニック信仰」が排外主義、陰謀論と結びつく日
反ワクチン、ノーマスクでいまや党員10万人
“参政党現象”の正体
__応援動画にはキムタク母も。保守論壇の周辺の“寄せ集め政党”がなぜこんなに女性たちの支持を集めるのか。

参議院議員選挙から1カ月が過ぎた8月21日午前10時すぎ。幕張メッセの最寄り駅であるJR海浜幕張駅 は、2つの大型イベントを目指す人たちで混雑していた。
一つは3年ぶりに開催される音楽フェス「サマーソニック2022 (サマソニ)」。もう一つは参政党の政治資金パーティー「国政政党誕生予祝パーティー」である。
サマソニを目指す人たちは、おヘソを出した女性やタトゥーが入った外国人など派手な若者が目立つ。肌の露出度は高いが、ほとんどの人がマスクをしていた。 
一方、参政党の予祝パーティーに向かう人たちの年齢層は30~50代が中心だ。開場前に予祝パーティーの列に並んだのは約500人。男女比はほぼ半々で、 ジャケット姿の男性もいれば、女性の3人組や中高年夫婦、小学生を連れた家族もいた。
背中に「投票したい政党がないから、自分たちでゼロからつくる。」と書かれた橙色の「参政党応援Tシャツ」を着た人もいる。党員の4割が女性というだけあって、大黒天のような帽子、チュニック、カーディガン、ブラウスなどに党のイメージカラーである橙色を取り入れておしゃれをしている人も多い。

サマソニを尻目にノーマスク

整然と列に並ぶ人たちの服装は上品で物腰は柔らかい。列に割り込む人もいない。コロナ禍でなければ「上品な橙色の集団」と映るだろうが、ほとんどの人がマスクをしていなかった。 
12時半に君が代斉唱から始まった予祝パーティーは、和太鼓あり、篠笛あり、三味線あり。 講師の話が長時間続き、最後は党のテーマソング「おはよう」を歌うロックバンド「ザ・マスミサイル」の音楽ライブで盛り上がった。すべてが終了したのは午後8時だ。
しかし、パーティーで取り上げられた話題の中には「安倍晋三元首相殺害事件にまつわる陰謀論」「ワク チンの繰り返し接種は死の階段をあがること」「ある地域の電力の8%を太陽光に替えると自然に生きている生物が全部死ぬ」などの過激な主張も含まれていた。
隣の会場で行われたサマソニは、政府の基本的対処方針に従い「飛沫感染防止のためライブ中の歓声・大声での会話・コールアンドレスポンスなどは禁止」。一方、参政党のパーティーは講師の冗談に参加者たちが自由に爆笑。全員で「イチ、ニ、参政党~!」と大声で気勢を上げていた。
6月22日公示、7月10日に投開票が行われた今回の参議院議員選挙が国政初挑戦だった参政党は、比例代表に5名、全45の選挙区すべてに候補者を擁立した。計50名の立候補に必要な供託金だけで1億6500万円。参政党は多額の選挙資金を調達するため、2回の政治資金パーティーを開いている。
1度目は5月8日にパシフィコ横浜で行われた「イシキカイカクサミット2022」。全5000席を完売し、Tシャツ、書籍、講演DVDなどのグッズ販売とあわせて約1億2000万円を集めた。2回目となる8月21日の予祝パーティーのチケットも選挙前から販売し、その収入を選挙資金に充てている。
法的には全く問題ない。しかし、パーティー券の強気な価格設定には驚かされる。一般的な政治資金パーティーの相場は2万円程度だが、参政党のパーティー券は一番高いSS席が10万円。S席5万円、アリーナ席2万2000円、一般席2万円、高校生~25歳未満1万円、中学生以下500円。大阪、和歌山、福岡、沖縄にはパーティーの様子を生中継するサテライト会場が設けられ、そのチケットは2万円。党によると、予祝パーティーには会場、オンライン合わせて約7000人が参加し、寄付も含めて2億円が集まった。
参政党の理念は「活動も政策も人材も、自分たちでDIY (Do It Yourself)していく」だ。 党員が議員として活躍したい場合に「受講必須」と勧められる「参政党DIYスクール」の受講料は、通学が18万円、通信が6万円。他党の「政治塾」には参加費1000円のものもあるから桁が違う。あまりに高額な印象だ。
その点を参政党事務局長の神谷宗幣に問うと、「必須というのは、ある意味セールス文句ですよ。 強制はしていません」と笑った。
参政党の党員種別は、党費月0円のサポーター、党費月500円のメルマガ会員、党費月1000円の一般党員、党費月4000円の運営党員にわかれている。一番高額な運営党員には、大規模イベントへの運営参加資格、政策立案における投票権、公認出馬議員の党内予備選挙における投票権などが与えられる。しかし、党費は自民党や立憲民主党の党費(年間4000円) の12倍。安くはない。


自民党の12倍の党費を払う

「政治にはお金がかかります。運営党員には有料セミナーの動画を無料で流すなど学びの機会も提供しています。トータルで考えればメリットがあると思います」
神谷はそう言うと、もう一つの狙いについて話した。
「僕はもう15年政治をやっていますが、選挙のときだけうまく利用しようという人はいっぱいいるんです。誰でもどうぞというと、お金儲けをしようとしたり、内部分裂を煽ろうとしたりするような、質の良くない有象無象がいっぱい寄ってくる。だからお金というハードルでスクリーニングをかけるのは必須だと思います」
参政党の党員数は神谷氏によると10万3000人 (8月18日時点)。日本の国政政党では、自民党(約112万人)、公明党(約45万人)、日本共産党(約27万人)に次いで多い。 2021年12月に1万人、5月に2万8000人(党発表)だった政治団体は、党員数で立憲民主党(約10万人)、国民民主党(約5万人)、日本維新の会(約4万人)を抜き去った。 
「党員種別の内訳は公にしていませんが、ざっくり言うと半分が有料の一般党員と運営党員です。 有料党員を増やしたいのですが、 この比率はなかなか変わりません」
神谷はそう言って苦笑するが、党費収入は単純計算でも月5000万円以上。大変な金額だ。
参政党の党員や支援者は、街頭演説やイベントに大挙して結集する。金銭的にも支援する。街頭演説の動画がYouTubeにアップされると、熱心に視聴する。
そのため政治系YouTuberの間では「参政党の動画はよく回る (広告収入につながる)」と評判だ。
それを聞きつけた配信者が続々と参政党の街頭演説に集まり、大量の動画がネット上にあふれた。他人の動画を切り取ってTikTokに投稿する者も現れた。支援者たちは関連動画を積極的に視聴することで、動画が自然発生的に流通、増殖するループを作り出した。
参政党の党員たちは、候補者の演説に熱狂するだけ ではない。街頭演説の運営も党員がボランティアで担う。それどころか、党員自ら街頭で演説をする。
筆者は選挙前に原宿で行われた街頭演説会で、マイクを持った女性党員が目を大きく見開いて話していたシーンが忘れられない。
「私たちの党も陰謀論だとか言われますが、そもそも陰謀論という言葉は、それを使って得をする人たちが作った言葉だということをまず知らなきゃいけないんです!」
彼女の形相はまさに「覚醒」という表現がふさわしかった。それに続いた言葉は次のようなものだ。
「そもそも、スメラミコト(天皇)というのは、シュメール(メソポタミアに最古の都市文明を築いた人々)とつながっていると言われますよね!」
周りにいた党員たちは肯定も否定もせず話を聞く。限りなく自由だ。候補者以外の有権者がここまで主役になれる政党は他にない。
この参院選で、参政党は 「マスク着用の自由化」「ワクチン政策の是正と救済策」も掲げていた。コアな支援者層をたずねると、党のボードメンバーである赤尾由美はこう分析した。
「私たちは反グローバルを訴える政党です。しかし、その主張よりも、お注射(ワクチン接種)や流行り病(新型コロナ)、マスクをきっかけにたどり着いた人が多いと思います。党員の4割が女性というのも特徴だと思います」
赤尾は週に4回、地元でバレエのレッスンに通っているという。演説でも常に笑顔で物腰も柔らかい。政治家によく見られる「壁」や威圧感はまったくない。
「これまで政治を諦めていたり、関心がなかったりした 『迷子の人たち』が2年半のコロナ騒動であぶり出されたのではないでしょうか」(赤尾)
実際に筆者が一般党員に話を聞くと、こんな声が聞こえてきた。
「職場の人たちは『コロナ脳』なので、自分が参政党の党員であることは明かしていません。参政党の魅力は、やっぱり国民運動であることですね。誰でも参加できるところだと思います」(50代女性・既婚・息子2人・一般党員)
「コロナ禍で日本が衰退していくことや、ワクチンの被害を食い止めることができるのは参政党だけだと思いました。参政党支持だと話したら、関係を切られた友人もいます。だから親には話しません」(40代女性・独身・一般党員)

(つづく)

 

 

 


解説
党費収入は単純計算でも月5000万円以上。大変な金額だ。

昨年の参議院選挙前に私は、参政党のことを調べようとスマホをいじっていたところ、参政党事務局長の神谷宗幣氏は、「理想の党は公明党」というような発言をどこかでしていると読んだことがあります。
そのこころは、支持者が熱心に選挙運動をしてくれるので、党員や候補者はどぶ板活動をせずとも、政策の勉強ができるというものだったような。
なるほど、参政党に「熱狂的な」信者ともいうべき党員を多数集めて、しっかり資金を集めるところは、なかばその理想に近づいているのかもしれません。
しかし、それが民主主義にとっていいことなのかどうか、疑問は残ります。

保守論壇の周辺の“寄せ集め政党”が反ワクチン・陰謀論を利用して間口を広げたところで、“寄せ集め”は“寄せ集め”にすぎません。
いずれ内紛を起こして、社会に混乱を引き起こすでしょう。
そういう意味で、参政党は危険です。
要注意。

 

獅子風蓮